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世界選手権ドルトムント大会(団体戦)

男子は予選リーグが全て終了し、決勝トーナメントの組み合わせも決定した。リーグ戦の記録、決勝トーナメントの組み合わせは以下の通りです。
 現地時間の28日22時30分から、チャンピオンシップディビジョン・決勝トーナメントのドローが行われた。

 日本男子が準々決勝で対戦するのは、シンガポール対ベラルーシ戦の勝者。ベラルーシには予選リーグで3-0で勝利している。シンガポールはエースのガオ・ニンが手強いが、2番手のヤン・ツーはすでにピークを過ぎ、3番手のパン・シュエジエ以下はかなり力が落ちる。どちらが勝ち上がるかは予想しにくいが、どちらが来ても勝つ可能性は高いと見る。
 ポルトガル対スウェーデン戦の勝者とドイツが準々決勝で戦い、勝者が日本の準決勝の相手となる。つまり、日本は中国とは決勝まで当たらない。これは幸運な組み合わせ。地元の大観衆を前にドイツと戦うのはハードな挑戦だが、中国に比べれば攻略の糸口はある。前回のモスクワ大会・予選リーグで敗れたリベンジを果たしたい。

 日本女子も中国とは反対のヤマに入った。悲願の決勝進出が見えてきたが、準々決勝の対戦相手が厳しい。韓国対ハンガリー戦の勝者だ。おそらく、前回のモスクワ大会に続いて準々決勝で韓国と相まみえることになるだろう。
 準決勝に勝ち上がれば、ドイツ対北朝鮮の勝者vs.シンガポールの一戦を制したチームと戦うことになる。やはりシンガポールだろう。エース馮天薇のパフォーマンスは2年前のモスクワ大会に比べるとかなり落ちる。日本にも十分勝機はありそうだ。

 予選リーグの結果や男女決勝トーナメントのドローについては、後ほど詳しくお知らせします。
〈日本 3-1 スロバキア〉
○水谷 -10、-6、6、8、8 セレダ
 丹羽 -8、7、-8、-8 カイナット○
○松平 8、-5、-8、7、7 バルドン
○水谷 3、6、5 カイナット

 日本、スロバキアを下して4勝1敗となり、予選グループDを1位通過。準々決勝進出を決めた!

 3番松平の試合中に、サブアリーナで行われていたベラルーシ対クロアチア戦の3番で、コラレク(クロアチア)が3-1でプラトノフ(ベラルーシ)に逆転勝ち。日本は3-1で勝てば、無条件で予選リーグを1位通過できることになった。その状況の中でも3番松平の試合は非常に苦しかったが、最終ゲーム3-6でタイムアウトを取ってから下回転系サービスの連続サービスエースで6-6に追いつき、11-7で逆転勝ち。4番水谷へつなぐ、値千金の一勝を挙げた。

 トップでは1点も落とせないプレッシャーからか、プレーが消極的になった水谷も、こうなるとエンジンがかかる。第1ゲーム4-0、第2ゲーム4-0、そして第3ゲームは7-0とどのゲームもスタートダッシュ。威力ある3球目攻撃と相手の待ちを外す軟攻で得点を重ね、あっという間にカイナットを料理した。
 リーグ最下位にも関わらず、スロバキアの選手たちのプレーは真剣そのものだった。松平賢二の頑張りで、ようやく砦(とりで)を落とした、白旗を揚げさせたという感じだ。スロバキアにも拍手を送りたい。下写真中央は松平とクロスゲームを演じたバルドン。

★水谷隼の試合後のコメント
「1試合目の1ゲーム、10-8でリードしていたのに負けてしまって、精神的に苦しくなったのが良くなかった。サービスがあまり効かなかったので、3ゲーム目から違うサービスを組み立てていって、サービスをうまく転換できたのが勝因だった。
 2試合目は、丹羽が2番でやっていて、相手のサービス、レシーブ、特徴もわかっていたので、自分のプレーができた。(松平の試合は)彼が取ってくれないと日本は負けてしまうかもしれないと感じていたので、何とか踏ん張ってくれて感謝しています。グループを1位通過できたし、チーム一丸になって戦いたい」
 〈日本 1-1 スロバキア〉
○水谷 -10、-6、6、8、8 セレダ
 丹羽 -8、7、-8、-8 カイナット○
 松平 vs. バルドン
 水谷 vs. カイナット
 丹羽 vs. セレダ

 日本、予選リーグ最終戦のスロバキア戦。エース水谷がセレダに2ゲーム先行されながら辛勝したが、2番丹羽は元ドイツ代表カイナットの堅いバックブロックと、打球点の高いバックドライブに敗れた。これで1-1。
 ラテン系ペン表速攻のカンテロ、週イチ練習のマスターズプレーヤー何志文、無個性すぎて妙に気になるマチャドなど、ひとクセある選手が揃うスペイン男子チーム。その中でも極めつきの個性派がこの人、アルフレッド・カルネロス。

 ベンチでメガネをかけて静かに座っていると、なにやら大学教授のような雰囲気。しかし、1回の試合で誰かに、何かに、文句をつけずにはいられないところがある。北京五輪で対戦相手と試合後に口げんかをしていたし、昨日のチェコ戦ではコルベルに試合後しつこくまとわりつき、コルベルは顔に漢字で「鬱陶しい」と書いてあった。

 ただし、卓球の腕前はかなりのもの。前陣でのカウンタープレーを得意とする左シェークドライブ型で、飛びつきざまにフォアストレートへ放つシュートドライブなど、コンパクトなスイングでキレのあるボールを放つ。09年横浜大会で、馬琳が苦戦を強いられ、渋い表情をしていたのを思い出す。

 試合で負けた対戦相手をいたわるような優しいしぐさもあるので…と言いたいところだが(下写真右)、どうもこの写真を見る限り、「ちょっと顔貸せや」というキャプションのほうが合っているようだ…。
写真左は言わずと知れた金擇洙(韓国)、右は泣く子も黙る倪夏蓮(ルクセンブルク)。
倪夏蓮のほうがずっと年上だが、まだ現役でプレーしている。ひょっとしたら「生涯現役」という可能性もゼロではない。
 フランス戦を戦い終えた藤井寛子のコメント「自分の中ではセルビア戦で負けたことがありえないことで、自分自身が情けなかった。今日は自分の卓球に自信を持って、みんなのことを信じて挑戦しようと思って臨んだ。それなのに、2番で負けてふがいなかった。
 2番で負けた後に岸田コーチからアドバイスをもらったりして、4番で気持ちを切り替えてやることができた。(2番での敗戦は)やはり気持ちの面です。恐怖心というか、自分に自信を持って戦えなかったし、ボールを打つのが怖い気持ちがあったので、思い切った戦術を使えなかった」
〈日本 3-1 フランス〉
○石川 4、8、12 アバ
 藤井 9、-8、-8、-8 グルンディッシュ○
○石垣 7、4、9 レノン
○藤井 9、6、6 アバ

 女子予選リーグCの最終戦、日本はフランスを下し、予選リーグ5戦全勝。3番で今大会初出場の石垣が、カーブロングとスマッシュを交えた攻撃的なカットプレーを見せ、会場を沸かせた。

 2番でグルンディッシュに敗れた藤井は、なかなか調子が上がらない。前陣での崩れない両ハンド攻守が藤井の持ち味だが、相手のボールに対する待ちの悪さが目立ち、ドライブのスイングも思い切りの良さがない。それは当の藤井自身が最も実感しているだろう。

 4番で対戦したアバとはさすがに地力の差があり、ストレートで勝利。試合終盤のプレーには復調の兆しも見られた。準々決勝以降は福原・石川・平野の3人を中心に戦っていく日本だが、ロンドン五輪団体戦のリザーブでもある藤井には、今大会で少しでも自信をつけてもらいたい。
 サブアリーナで行われていたチャンピオンシップディビジョンの女子予選グループD。前回大会に続いて予選グループDで同グループとなった韓国と香港が対戦し、香港が3-2で勝利。ラスト姜華君が唐イェ序との異質速攻対決を制し、韓国女子に初めて土がついた。

 もっとも、韓国女子といっても2点起用されたのは石賀浄と唐イェ序。対する香港女子は帖雅娜と姜華君。中国からの帰化選手同士でやっている試合だ。韓国としては勝利のためにベストなオーダーだったのだろうが、帰化選手ふたりを2点使いというのは、「アジアの虎」韓国としては少々寂しいところ。

 香港はすでにロシアに2-3で敗れているため、これで韓国と香港は3勝1敗で並び、予選グループDの1位通過は第5戦の結果をもって決まる。昨年のワールドチームカップ、2月のアジア選手権と香港に完勝している日本としては、香港のほうが相性が良い。前回のように韓国が2位通過となり、準々決勝で韓国と当たるドローになるよりは、韓国の1位通過を望みたいが、果たしてどうなるか。
 上写真はトップで唐イェ序を破った帖雅娜。相変わらず強い。前陣攻守タイプなのにカットにも強いから、韓国も金キョン娥や朴美英を起用できなかったのだろう。
 〈日本 3-0 ロシア〉
○水谷 8、7、12 シバエフ
○丹羽 -8、8、-12、8、13 スミルノフ
○松平 13、6、-8、-9、3 スカチコフ

 日本は3番で松平賢二がスカチコフを下し、3-0のストレートで勝利。予選リーグ1位通過へ大きく前進した。
 
 進境著しいスカチコフは強敵と思われたが、試合後の会見で松平は「過去2回やって2回とも勝っている。サービスがよく効く」と語った。「最終ゲームになってまたサービスが効いた。孝希(丹羽)が一番大変だったと思うけど、自分は2-0で回ってきたから思い切ってやれた」(松平)。最終ゲームはなんと10-0でマッチポイントを取り、最後はフォアの流しフリックからスマッシュをたたき込んで、日本の勝利を決めた。

 日本、これで夜のスロバキア戦に勝利すれば1位通過が確定する。ドイツの子どもたちが日本応援団の声援を聞いて少しずつ集まりだし、「ヤーパン!ヤーパン!」「ケンジ!ケンジ!」の大声援を送ってくれた。時々「シンジ!」「シンジ!」(香川?)という声援も混じっていた気がするが、やはりうれしいものだ。