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ロンドン五輪

 終わってみれば、日本にとっては銀メダルという大きな足跡が残ったが、期待された男子シングルスの水谷と男子団体の準々決勝敗退という反省点も残った。この4年間、何が成功し、何が不足、もしくは失敗だったのかを冷静に分析、総括することを忘れてほしくない。オリンピックでのメダルは言葉以上に重く、そして卓球界への影響や、卓球というスポーツの存在、おもしろさ、すごさをアピールできる最大の舞台であることは間違いない。
 中国や韓国などのオリンピックへかける執念や気合い、そして選手への指導力をまざまざと見せつけられた思いがする。
 まずは感動のハイライトは卓球王国10月号(8月21日発売)で。そして詳しい戦いや舞台裏は9月21日発売の卓球王国11月号で報道する。お楽しみに。
中国が4個目の金メダルを獲得
 中国男子はロシア戦でのダブルスと、ドイツ戦での張継科(相手はボル)の2点のみの失点で金メダルを手にした。内容的にも圧勝。張継科、王皓、馬龍というのは死角がなく、世界選手権を通しても最強のメンバーのような気がする。
 中国が前回の北京大会同様に金メダルを4個獲得した。前回はシングルスが3人枠だったために、シングルスの男女6個のメダルを総取りしたが、今回は2名枠だったためにシングルスでは4個のメダル。
 ドイツが2個の銅メダル、日本と韓国がそれぞれ銀メダルを1個獲得した。
 男子団体決勝が行われ、中国が圧倒的な強さを見せ、2ゲームを失っただけで優勝。2大会連続の団体金メダルを手にした。トップの柳承敏、2番の朱世赫はベストのプレーを見せたが、それでも馬龍、張継科からそれぞれ1ゲームを奪うのみに終わった。

●男子団体決勝
    中国   3−0   韓国
○馬龍   6,6、−6、4     柳承敏
○張継科  9、−5、6、8     朱世赫
○張継科/王皓 4、8、8 柳承敏/呉尚垠
 香港戦の4番でボルが前半競り合い、ヒヤッとさせる場面もあったが、終わってみればドイツの強さが際立った。ボルの力は以前より落ちているとはいえ、ここぞという時の安定感は抜群。香港戦のダブルスに起用され、落としたオフチャロフだが、シングルスでは事実上、ドイツのエースになっている。3番手に悩みを抱えるドイツだが、この二人が健在であれば、まだ欧州を制覇し続けるだろう。
 欧州では若手が急成長を続けるフランスがユース選手権を総なめにして、一方、ドイツには次の若手がいない。しかし、フランスがドイツを追い越すのはまだ先になりそうだ。
 ドイツは92年のロスコフ、フェッツナーの男子ダブルス銀メダル、96年のロスコフの銅メダル、08年の団体に続き、今大会はオフチャロフと団体の2個のメダルを獲得した。
 男子団体の銅メダルを決める3位4位決定戦が行われ、ドイツが3−1で香港を破り、2大会連続のメダルを決めた。

●男子銅メダル決定戦(3・4位決定戦)
     ドイツ  3−1   香港
○ボル     6,3,7            梁柱恩
○オフチャロフ 11、−11、9,9          唐鵬
 オフチャロフ/シュテガー −10、−8,−4 江天一/梁柱恩○
○ボル     −9、5、9、9          江天一
 卓球会場を訪れた世界のメディアからも賞賛を受け、会場の観客もこの3人に大きな拍手を送った。3人の五輪メダルにかける思いの大きさがこの瞬間を作ったのだろう。
 決勝で敗れたあとに行われた表彰式。「銀メダリスト、ジャパン」と呼ばれると真ん中に平野を置き、3人は手をつないで台に上がった。銀メダルを胸にかけると3人の目から大きな涙の粒が流れた。なんてすてきな笑顔だろう。日本の3人は最後の最後までさわやかな表情を会場に振りまいた。
 記者会見では「被災地の子どもたちと約束した五輪メダルを見せてあげたい」と福原が語った。それぞれの五輪のメダルへの思いがその所作に表れていた。素晴らしいメダリストの誕生だった。
 試合後のインタビューで3人は口を揃えて「この3人で戦えて、メダルを獲れて幸せです」と語った。
 3人ともがライバルで普段は別々に練習し、五輪代表を巡っては激しい代表争いを続けてきた仲だ。決して仲良しグループではない。火花を散らすこともあっただろう。しかし、ひとたびコートに入れば、これほどチームワークの良い、スピリットを持っているメンバーは他の国を見てもいない。
 3人が揃って戦うとプラスアルファの力を発揮する。それぞれ切磋琢磨し、成長を続け、世界で戦う力を身につけてきた。
 「このメダルで卓球を始める子どもたちが増えたらうれしい」と福原は語った。卓球界を、そして日本を明るくした3人に大きな拍手!!!

写真は表彰式での3人と遂にあがった日の丸
 中国には力で及ばなかった日本。「中国に勝つには4年間では難しい。長期的な計画を作らなくては勝てない」と記者会見で村上監督は語った。
 しかし、日本の五輪史上の初のメダル、そして日本女子の戦いぶりとチームの雰囲気に世界の卓球関係者は祝福と賞賛を浴びせた。

写真はダブルスと仲良く手をつないで表彰台に上がる3人