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2013世界ジュニア選手権速報

 間もなく男子シングルス1回戦が始まる会場。卓球と関係ない話題が続いてすみませんが、せっかくなのでモロッコの料理についても少しご紹介します。

 昨夜、旧市街近くのレストランで食べたのが、日本でも結構有名になったタジン。もう日本でもお馴染みですが、スライムみたいな形状の鍋で、牛肉や羊肉、野菜を蒸し焼きにする料理ですね。
 昨日は野菜のタジンと、羊肉とフレッシュデーツ(ナツヤメシ)のタジンをいただきました。これがまた、あっけにとられるほど美味しい。特に羊肉とデーツのタジンは、あまいデーツとホロホロの羊肉がとろけながら絡み合い、絶品でした。

 そして世界最小のパスタと言われるクスクス。米粒より小さいです。こちらもタジンの鍋を使って、野菜や牛肉と一緒に蒸し焼きにしたものをいただきましたが、これがまた素晴らしい。別添えのコクのあるスープを回しかけながら食べるんですが、ツユダクな感じがすごく日本人好みです。

 ……いい加減しつこくなってきたようです。お店の名前は「LE PETIT BEUR(ル・プティ・ブール)」。タイル張りの内装と民族音楽の演奏もステキ。ラバトにお越しの際は是非。またこういう記事を書くと、編集部に帰ってから色々言われるんだろうなと思った速報担当でした(笑)。
  • 羊肉とデーツのタジン

  • 野菜の周りの粉のようなのがクスクス

  • 路地で売られていたタジンの鍋

練習会場でウォーミングアップやトレーニングを行う日本男子チーム。トレーナーの田中礼人さんの指導のもと、様々なメニューに取り組んでいる。
ジャンプ系のトレーニングに取り組んでいたのは酒井明日翔選手。団体決勝3番では中国の周凱を破り、渡邊隆司監督も「中国から2年続けて団体決勝で勝ち星を挙げるのはすごいこと」とその活躍を評価する。準々決勝まで勝ち進めば団体決勝で破った周凱との再戦となるが、中国は同じ相手に二度続けて敗れることを何よりも嫌う。選手もコーチも全力で対策を練ってくるはず。それを再び打ち破れば、その2勝目の価値は非常に大きい。
 昨日の夕方、せっかくラバトに来たので、会場を出て市街の中心地を散策してみました。青空と白い外壁の建物に緑の街路樹が映え、とても美しい街。旧市街のメディナを抜けた先には、広大な墓地と大西洋が広がっていて、その奇景にしばし見とれてしまいました。
 かつてフランスの保護領だった時代があるため、街にはフランス語の表示が目立ちます。フランス語もアラビア語に次ぐ準公用語として、かなり通じるようです。そして、国民のほとんどが敬虔なイスラム教徒。イスラムの寺院で礼拝する人たちの姿も見られました。

 男子シングルスの予選グループが終了し、決勝トーナメントのメインドローが発表された(女子シングルスはまだ予選グループが終了していない)。日本選手の1回戦の対戦相手は下記のとおり。

●男子シングルス1回戦
村松雄斗 vs. レイツパイズ(チェコ)
三部航平 vs. アレン・ワン(アメリカ)
酒井明日翔 vs. 李漢銘(香港)
森薗政崇 vs. 孔軍凱(香港)

村松が対戦するレイツパイズは、ヨーロッパでも名の通った実力者で、下がっても粘り強い長身の右シェークドライブ型。カット打ちの実力は未知数だが、第1シードの初戦としては厳しい相手。油断はならない。
三部が対戦する中国系のアレン・ワン、森薗が対戦する孔軍凱はそれほど問題はなさそう。酒井は台上から早い打球点のフォアドライブで攻める李漢銘に対し、受け身に回らないようにしたい。

なお、日本の4選手は準々決勝まで勝ち進むと必ず中国選手と当たる。対戦カードはこうなる。

●男子シングルス準々決勝(両者が勝ち上がった場合)
村松雄斗 vs. 梁靖崑(中国)
三部航平 vs. 孔令軒(中国)
酒井明日翔 vs. 周凱(中国)
森薗政崇 vs. 周啓豪(中国)

中国に勝たなければ日本男子のメダルはない。そして金メダルをつかむためには、準々決勝から3人連続で中国選手と当たることも考えられる。男子団体決勝の借りを返す時が来た。
もちろん、3回戦で三部がムッティ(イタリア)、酒井がカルデラノ(ブラジル)と当たるなど、それまでに強豪との対戦もある。まず準々決勝まで確実に勝ち上がりたい。
 
  • 村松はこの男にリベンジしたい。中国の梁靖崑

  • 森薗との対戦が予想される周啓豪

会場で練習やトレーニングに汗を流していたのが、韓国男子チームのエースであるジャン・ウジン(張禹珍)。韓国選手としては細身で小柄だが、その打球センスは非常に優れている。台上での柔らかいボールタッチ、そして中・後陣でのロビングやカット。かなりイメージが変わってきたとはいえ、まだ労働集約型のイメージが強い韓国選手の中では異色の存在だ。
韓国チームのコーチ、コ・カンヒさんにジャン・ウジンの長所と課題について聞いてみた。

「ジャン・ウジンの最大の長所はクレバーなところ。とても頭が良いね。それに前陣で速い攻めができるのも特長だ。これからの課題としては、もっとウエイトトレーニングをして、筋力を鍛える必要がある。
 韓国では朝9〜12時、午後2時半〜6時まで打球練習で、その後でウエイトトレーニング。午後8時以降はフリーの課題練習というのが普通。ウエイトトレーニングは毎日必ずやる。ジャン・ウジンも毎日ウエイトトレーニングをしているよ」

 2010年に1年間、学校を休学してドイツに卓球留学していたジャン・ウジン。そのため、まだ高校2年生だが、今年が最後の世界ジュニアになる。男子団体では準々決勝でポーランドに金星を献上した韓国だが、男子シングルスでは活躍を見せることができるだろうか。
  • 練習会場で鮮やかな横回転ブロックを披露

  • トレーニングは毎日欠かさない

閑話休題……

2013/12/05

昨日行われた混合ダブルスからの1ショット。団体戦で男子チーム、もしくは女子チームしか出場していない国も多いため、違う国同士で組んだ国際ペアを多く見かけた。上写真左は、アルゼンチンのディエゴ・テプリツキと、プエルトリコのリネリス・リベラのペア。テプリツキ選手はティバーのグラス.D.TecS、リベラ選手はバタフライのフェイント・ロング・Ⅲの一枚ラバーをバック面に使用。粒高攻守型同士のダブルスなので「つぶるす」と命名。

上写真右はその国際ダブルスが生んだ一枚。このおふたり、怪しい仲ではありません。ポルトガル男子チームのコーチと、ルーマニア女子チームのコーチが同じベンチに入った。もうちょっと離れても良いんじゃないですか。

写真下は会場近くのカフェにいる猫。太っちょのマスターも追い払うことはなく、客席の間を自由に歩き回っている。モロッコの猫なので「もろねこ」と命名しました。
世界の選手たちのプレーを見るのは飽きないですが、今日は少し街に出てみましょうか……。
 非常に基本のしっかりとした両ハンドのパワードライブを放っていた、プエルトリコ男子チームのブライアン・アファナドル選手。普段はスウェーデンで練習し、91年世界男子複優勝のピーター・カールソンの指導を受けているという。聞いて納得の強さだった。

 好きな選手を聞いてみたら、「樊振東(中国)!」。ホホウ、新しいところで来ましたね。「…それから、マサタカ・モリゾノ!」。うーん、樊振東とはずいぶんタイプが違いますが、やはりあのファイトにひかれるのでしょう。日本のテーブルテニス・マガジンだから、ちょっと気を遣ってくれたかな?
日本女子チームが会場入りし、今日は午前中だけで軽めの調整。午後はオフだそうだ。マッサーとしてチームに帯同している榎沢静香さんの指導のもと、様々なウォーミングアップに汗を流す選手たちの表情は明るい。練習会場は台数があまり多くないので、なかなか台に入れないのだ。

伊藤選手のコーチを務める松﨑太佑コーチは、「昨日、あそこまでいったら勝ちたかったですね」と女子団体決勝トップの顧玉ティン戦を振り返った。「顧玉ティンは打球点を落としてくるから、バック表ソフトのナックルブロックは有効だった。第5ゲームはフォアで少し合わせにいってしまって、そこで少しスコアが離れてしまった」。ひとつプレーを変えるだけで、全体のプレーに影響するのが卓球の難しさだ。しかし、対中国に希望が見出せる内容だったのは間違いない。
  • 美誠ちゃん、爆笑ダッシュ!

  • ピンポン球を背中に挟んでジリジリ移動

  • 選手たちを指導するマッサーの榎沢さん

 個人戦がスタートする大会第5日目。本日もラバトは快晴、なれど安定した寒さ。昨日の男子団体決勝で、「シャーアッ!」と吠えた孔令軒くんの息が白かったのを、速報担当は確かに見ました。フロアの片隅に置いておいたミネラルウォーターの水は、しばらく経つと冷え冷えで飲み頃に。

 日本選手団にドクターとして帯同している辻王成先生も「選手の子たちは動いているからまだ良いんですが、むしろスタッフが体調を崩さないかが心配。外のほうが暖かいのに、会場がここまで寒いとは予想していなかったです」と話していた。確かにここまでとは思わなかったですよ。

 ここ2日ほど、ホテルのWi-Fiが混んでつながらない23時頃に寝くたばってしまい、2時過ぎにゴソゴソ起き出して速報をアップしている速報担当。速報になっていなくてスミマセン。今日は男女シングルスの予選グループが行われ、全員がシードの日本選手は試合なし。チョコチョコと話題を集めていきたいと思います。
日本は男女とも決勝で中国に敗れた。しかし、ほとんどのチームが中国に対して戦意を喪失し、敗れ去る中で、日本は「今本気で中国を倒そうとしているのはどのチームなのか」をはっきり示してくれた。

そして男子団体決勝の日本対中国は、近年まれに見る好ゲームだった。ジュニアの大会ではあるが、日本が中国に勝ち、ひとつの歴史が変わる瞬間を見たかった。それはかなわなかったが、選手たちのプレーは胸の日の丸に恥じないものだ。ベンチだけでなく、観客席からもコーチ陣が一丸となって声援を送った。コートサイドで試合を取材できたのは幸せでした。

日本の皆さん、どうか若き日本代表選手たちの健闘を讃えてください。結果だけを見て、「やっぱり中国には勝てないんだよ」などとは、どうか言って下さいませぬよう。そして、後半の個人戦での活躍に期待しましょう!