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世界卓球東京大会WEB速報

 韓国チームは、この世界卓球の前に起きた大型フェリーの犠牲者への哀悼の意を込めて、ジャージーの胸に喪章をつけて大会に臨んでいる。
 
 昨日までは黒の喪章だったが、今日は黄色のリボン。この黄色のリボンの意味は、フェリー事故にあった子供たちがなんとか戻ってきてという願いを込めていると言われている。

 3年前、同じように日本も東日本大震災の直後に、ロッテルダムでの世界卓球を戦った経験がある。その際、喪章をつけてプレーした。今回は韓国チームが同様に国全体を悲しみに包んだ大事故の犠牲者を悼んでいる。
 大会第3日目、日本男子は勝負のフランス戦、そしてポルトガル戦を迎える。本日の日本男女チームのタイムテーブルは下記のとおり。

13:00〜 男子予選グループC 日本 vs. フランス
16:30〜 女子予選グループB 日本 vs. チャイニーズタイペイ
19:30〜 男子予選グループC 日本 vs. ポルトガル

 現在1勝1敗の日本男子。2位通過、3位通過だと、準々決勝で中国やドイツに当たる可能性が出てくるため、あくまでも目標は1位通過だ。残り3試合を3−0、あるいは3−1で3連勝してポルトガルと並び、(直接対決で勝利しているため)1位通過というのが最良のシナリオだ。フランス戦では、今日4月30日が誕生日である塩野真人の起用もありそう。そしてポルトガル戦では、2点起用は水谷と丹羽、3番は昨日初勝利を挙げた松平健太か。

 逆に最も避けたいのは、日本が残り3試合を2勝1敗でいったとして、3勝2敗で日本とフランス、ギリシャなどが並んでしまう展開。こうなると得失試合数で、日本が4位になり、13〜24位決定戦に回る可能性も出てくる。日本は残り3試合、1試合も負けられない戦い。なおかつ、失点もできる限り避けなければいけない。世界団体は初采配の倉嶋洋介監督にとっては厳しい局面だが、その手腕に期待したい。

 一方、女子チームはここまで好調。昨日の2試合では、トップ石垣が抜群の働きを見せ、石川・平野も要所を締めるプレーで勝ち星を重ねている。今日のタイペイ戦は、石川と石垣の2点起用、そして3番平野のオーダーが予想される。タイペイは昨日のベラルーシ戦で5番ラストの最終ゲームまで追い詰められ、全体的にあまり調子が上がっていない。日本は出足からエンジン全開で、一気にのみこみたい。
星野美香の眼
「トップの石垣はカットマンとしては出足ですばらしい攻撃を見せた。ほとんど攻撃にミスがないのには驚かされた。フォアカットのナックルも非常に有効だった。
 2番の石川に対して相手は2ゲーム目から打球点で勝負するのではなく、回転を多くかける攻め方をしてきた。それに対して石川は少し苦しんだが、より早い攻めに徹した。競ったときに先に鋭い攻めができたのが勝因だろう。
 3番の平野は1ゲーム目はラリーで押されていたが、2ゲーム目からストップレシーブと、ミドル攻めでによって相手を崩していった。勝負のポイントとなったのは3ゲーム目の9−9の時にサービスからの3球目で鋭く攻めたのが良かった。
 チームとしてそれぞれ良い感じできているので、この調子のままタイペイ戦に臨んでほしい」
 〈日本 3−0 ハンガリー〉
○石垣 5、7、2 アンブルシュ
○石川 3、−5、9、9 ペルゲル
○平野 −9、3、9、5 マダラシュ

 日本、平野が3番で勝利して、ハンガリーにもストレート勝ち。これで3戦3勝だ!

 石川、平野も勝負所をしっかり締めたが、なんといっても素晴らしいプレーを見せたのは石垣。「1試合目(リリー・チャン戦)でミスが出てもサービスからのパターンを確かめたり、打っていったから、2試合目(アンブルシュ戦)では自分の思うとおりに攻撃を仕掛けられた。自分の理想に近いプレーができました」(石垣)。フォア深くへのカットから、あるいはレシーブでフォアサイドを切るツッツキから、フォアストレートへ会心のカウンタードライブを何本も決めた。ややシュート回転が入り、バックサイドへ逃げていくこのボールを、アンブルシュもただ見送るしかなかった。

「海外選手は、やる気がないように見えても、急に集中してきたりするので、最後まで気を抜かないようにした。明日のチャイニーズタイペイ戦は、カット打ちが苦手な選手がいるので、試合に出られたら1点でも2点でも取れるように頑張りたい」(石垣)。福原の代替出場という形でのエントリーとなった石垣だが、今日の活躍は期待に違わぬものだった。
  • トップで会心のプレー、石垣優香

  • 時折チキータでのレシーブも見せた平野

  • 3番で敗れたが、威力あるバックドライブを見せたマダラシュ

男女予選グループで目を引いた試合をピックアップ。写真上段の2枚は、ポルトガル対フランス戦でのフレイタス(左)とマテネ(右)。「ちょい悪サウスポー(見た目だけです)」フレイタスは、ヨーロッパ勢の中では精神面の強さが際立っている。対照的にマテネは、ゲームをリードし、勝利を目前にしながらミスで自滅する試合が多い。明らかにメンタルの問題を抱えている。ここでまたひと皮むければ、ヨーロッパのトップに定着できるのだが…。

写真中段は、激戦を展開した女子の香港対ウクライナから。左写真はウクライナのエース・ペソツカで、バックドライブの連打で粘り強くラリー戦を展開。香港戦では姜華君を破った。右写真は香港ベンチで、選手以上にハッスルしていた李静監督。

写真下段は香港を破る金星を挙げたクロアチア男子チーム(右写真)。左写真のエース・ガチーナが江天一と唐鵬を連破した。ベンチの雰囲気も素晴らしい。
星野美香の眼
「丹羽が何をするのか相手が予想できない、という時は彼が強い。丹羽の意表を突く技がうまかった。そして、相手のドライブを前陣でカウンターできていた。ただ、この試合では3球目の打球点を落としたドライブが多かったようだ。彼がエンジン全開となれば、日本はもっと強い。
 2番の水谷は普通の技をして相手がミスをしていたし、昨日より3球目ドライブはよくなっていた。3球目、レシーブ、4球目でも先手が取れるのだから相手は勝ち目がない。特にストップレシーブからの4球目攻撃が冴えていた。
 3番の松平は、相手のドライブを前陣で目もくらむようなカウンタードライブをする、いつもの松平のプレーが見られた。さらに4ゲーム目の9-7からのスーパーバックドライブもあり、彼の調子もあがってきた。要所で、しゃがみ込みサービスも効いていた。ただ、サービスミスも多かったが、次の試合ではうまく調整してくれると思う」
 男子予選グループCのギリシャ対ハンガリー。トップのイオニス、2番のクレアンガで幸先良く2勝を挙げたギリシャだったが、ここからまさかの逆転負け。特に4番でイオニスが、同じフォア攻撃+バックカットのパッタンチュースに完敗した一戦には驚いた。ラストのクレアンガも、ヤカブの豪快なフォアのカウンターに屈した。

 グループCは2試合を終え、ポルトガルが唯一の2連勝、ルーマニアが2連敗。残る日本、ギリシャ、フランス、ハンガリーが1勝1敗と混戦模様。日本はこれで、自力でのグループリーグ1位突破のチャンスが出てきた。明日のフランス戦、ポルトガル戦は見逃せない!
 昨日は悲痛な表情でのコメントだったが、ようやく初勝利をあげた日本男子の倉嶋洋介監督のコメント。
「片目があきました。昨日のミーティングでもっと勇気を出していこうと言いました。1ゲーム目を自分たちの得意なサービスを出して果敢に攻めていこうと。今日のオーダーでは、健太は先のことを考えて今日勝って調子に乗ってほしかった。塩野? はい、使う予定でした。本当のオーダーは水谷を休養させて、岸川、丹羽、塩野でいこうと思っていましたが、昨日の負けで予定が違ってしまって、これからはなりふり構わず戦うしかない。
 健太は反応の早さとそこからのカウンターが特長。まだ6割くらいしか出していない。まだ本当の姿ではないから徐々に調子を上げていってほしい。丹羽は前半でサービスを効かせて序盤でリードしていくという彼本来の試合ができた。
 明日は大事なフランス戦とポルトガル戦で、勇気を出して、思いきっりやっていきます」
 今大会初勝利をあげた丹羽孝希は高ぶることなく表情を変えずに記者の質問に答えた。
「自分のプレーは全然できなかったけど、とりあえず勝ててよかった。みんな言っているけど、台の変化がある。ループドライブをかけられた時に沈むことがあるので、自分の得意なカウンターのタイミングがつかめていない。
 あと1敗もできないので、しっかり自分のプレーをしてチームに貢献したかったし、明日からの試合をみんなで協力して勝ちたい。会場の雰囲気はやりやすい、応援をたくさんしてもらっている。リラックスしてプレーできました」
  • 初勝利をあげた丹羽孝希

 〈日本 3−0 ルーマニア〉
○丹羽 8、8、−5、5 イオネスク
○水谷 10、8、−9、5 カザク
○松平 10、9、−7、7 スッチ

 日本男子はルーマニアを3−0で破り、初勝利!
 「クリサンとチオティがいないルーマニアは格下。負ける相手ではない」とエース水谷が試合後に語ったルーマニア。しかし、未知の若手が多く、日本は3選手とも2ゲームを先取しながら第3ゲームを落とし、「快勝」とは言い難い。
 しかし、昨日のギリシャ戦で敗れ、今日のスッチ戦でもサービスミスが数本出ていた松平が、第4ゲーム7−7から2本のサービスエースで勝利。松平本人は「まだまだ納得していない。サービス・レシーブの感覚が良くない」と語るが、これがひとつのターニングポイントになることを願う。「自分としては明日のフランス戦が勝負だと思っている。明日良い試合ができるように頑張りたい」(松平)。

 とにかく、今は勝利が最良の薬。明日の日本男子は、フランスとポルトガルという強豪とのダブルヘッダー。勝負の一日だ。
  • 今大会3勝目をあげた水谷

  • トップで丹羽に敗れたイオネスク

 4年前のモスクワ大会で、初めてスコートを着用した中国女子チーム。孔令輝監督は「女子卓球をよりファッショナブルにしたい」と語っており、今大会もスコートを採用している……のだが、相変わらずなぜか黒のスコート。昨年の「世界女子“攻撃対カット”大戦」では、上下の色を合わせたワンピースタイプのウェアをお披露目していたのだが、そこまで大胆な改革はできなかったようだ。蛍光タイプのオレンジは、どことなく古めかしく映る。

 中国はテニスのウェアをひとつの規範にしているようだが、卓球はテニスよりもスタンスが広く、太ももを開いて軽く腰を落とす。スコートでこの体勢を作ると、どうにも恰好が悪い。卓球選手を最もキレイに見せるウェアとは……、何でしょう。10年モスクワ大会で郭躍に「スコートの感想は?」と聞いて、鼻で笑われたのを思い出した速報担当でした。