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世界卓球東京大会WEB速報

星野美香の眼
「石垣はカットからの甘いドライブを反撃する形で3−0で勝った。相手が強くなると攻撃が1回では決められない場面が出てくる。そのときに連続攻撃ができる技を高めていけば、より格上の相手を倒していけるだろう。
 石川は終始リードし、相手に隙を与えないプレーで、圧倒した。両ハンドのドライブも冴えていた。
 森は最後の5ゲーム目は彼女の持ち味である強気の攻め、かつ気迫のあるプレーで相手を振り切った。よい試合だった」
 〈日本 3−0 アメリカ〉
○石垣 5、7、9 リリー・チャン
○石川 4、10、7 ウー・エリカ
○森 6、−10、2、−8、5 ジャー

 日本は格下のアメリカにストレート勝ち。トップに石垣、3番に森を起用し、これで代表5名全員が世界卓球のコートに立った。
 石垣はカットだけでなく、相手の攻撃を狙い打つフォアの強打も冴えた。世界卓球初出場の森は、さすがに緊張が伝わってくるプレーだったが、最終ゲームは5−5から6点連取。あのガッツポーズが復活し、世界卓球での初出場・初勝利をつかみとった。「一生に一度体験できるかどうかの大舞台だと思っているし、プレーできることには幸せを感じました」(森)。

 日本女子にとっては、この勝利はすでに織り込み済み。19時半からの第3戦の相手、ハンガリーが現在チャイニーズタイペイと2−2ラストまでもつれる接戦を演じている。やはりハンガリーは油断がならない。

★石川佳純の試合後のコメント
「出番があったので、しっかり勝つことを考えた。次のハンガリー戦につながる試合ができればいいと思っていました。森さんには思いっきりやってねと声をかけた。相手のエリカ・ウーはバックハンドがうまい選手なので気をつけた。次のハンガリー戦のポータは1回しかやったことがなくて、その時は負けているので、向かっていく気持ちで戦いたい」
  • トップで勝利した石垣

  • 世界戦初勝利の森

 世界卓球は会場の外も大賑わい。テレビ東京の視聴者感謝イベント「テレビ東京フェスティバル」では、石川佳純選手や松平健太選手のサービス体験コーナー、卓球台での的当てなどが60分待ちを越える人気。人気番組のブースなども黒山の人だかりだ。意外な有名人の野外ロケにも遭遇できるかも。B級グルメなどの売店もたくさん並び、巨大なテントの下で皆さん美味しそうに頬張っていらっしゃいます。

 もちろん卓球メーカーのブースもズラリ。大会記念グッズは見逃せませんよ。日本で10年に1回、開催されるかどうかという祭典。当日券、まだあるはずです!
●男子予選リーグ第2戦
 〈北朝鮮 3−0 ベラルーシ〉
○キム・ナムチョル 8、9、−1、9 サムソノフ
○キム・ヒョクボン −8、7、8、−8、5 プラトノフ
○チェ・イル −7、3、−7、5、4 ハニン

 男子予選グループDの第2戦、昨日韓国をあと一歩まで追い詰めたベラルーシが、北朝鮮にストレートで敗れた。韓国戦で鄭栄植と金ミン鉐を破り、健在ぶりを見せつけたサムソノフが、トップで左腕キム・ナムチョルのフォア連打に防戦一方となった。キムは小柄だが、全身を使ったパワードライブは相当重そうだ。

 韓国、チャイニーズタイペイ、スウェーデン、ベラルーシ、スペイン、そして北朝鮮というグループD。第2戦を終えて韓国とチャイニーズタイペイが2連勝だが、まだ思わぬ波乱がありそうだ。韓国と北朝鮮の「南北対決」は第5戦、5月1日に行われる。
 昨夜の日本女子戦はベラルーシに3−0で圧勝したものの、試合開始が遅れたせいで試合が終わったのは夜の11時過ぎ。そこからのインタビューなどで会場を後にしたのは12時近くになっていた。編集部の多くは通いなので、終電ぎりぎりとなった。あれでもつれていたらたぶん泊まりだっただろう・・。

 さて、その日本女子の第2戦はアメリカ戦。午後1時スタート。名門プリンストン大に入学した文武両道のアリエル・シンを欠いたアメリカ。日本にとっては組みしやすい。おそらく石川、平野、石垣で臨むのでは、と予想される。

 昨夜の平野選手のコメント。
「世界選手権は改めて難しい試合になると感じました。自分は精一杯の準備をしてきたので、あとは自分の力を相手にどれだけぶつけられるのか。初戦のトップはその試合の流れを作る役割を今までの大会で感じていたので、よい流れを作りたいという気持ちで臨みました。
 パブロビッチとは4年前にやってからやっていない。カットには積み重ねたものがある。もっと攻撃してくると思っていたので、準備をしていた。
 緊張はしました。昨日の夜にオーダーが決まってから。1ゲーム目もすごくよかった。反省するところはたくさんあるけど、初戦という意味ではよい内容だった。よい形で試合を始められた。1試合1試合が勝負になってくる」
 
 夜は3戦目でハンガリーと対戦。今日一気に3勝目を挙げたい日本女子である。
★大会第2日目・日本チームの対戦カード
13:00〜 日本女子 vs. アメリカ
16:30〜 日本男子 vs. ルーマニア
19:30〜 日本女子 vs. ハンガリー

 男子は予選リーグ第2戦、女子は予選リーグの第2戦、第3戦の2試合を戦う日本チーム。

 昨日、ギリシャに苦杯を喫した日本。ギリシャは確かに強かった。しかし、中国やドイツだったら、どんなオーダーでも、多少の緊張感があっても、勝っている相手。才能あふれる選手を揃え、例年以上に期待がかけられている日本男子だが、いきなり厳しい現実を突きつけられた。
 今日戦うルーマニアは、エースのクリサンが直前で出場をキャンセル。戦力は大きくダウンしたが、スキンヘッドの強打者・フィリモン、スッチの兄であるH.スッチなど、欧州では実績のある選手がいる。水谷の2得点は堅いところだが、残り1点を誰がキッチリ取るのか。

 日本女子はダブルヘッダー。アメリカは、エースのリリー・チャンをしっかり抑えれば問題ない相手。ハンガリーはエースのポータは強打の威力はあるが、プレーに緻密さはなく、石川・平野は相性が良いはずだ。3番手にカットの石垣の起用はあるのか、村上監督の起用法に注目が集まる。「ハンガリーに勝って、3勝0敗でチャイニーズタイペイ戦に臨みたい」(村上監督)
星野美香の眼
「トップの平野がパブロビッチに対して勝ったことがチームの勝ちにつながった。内容として、平野の良い点を3点あげるならば、一つ目にカットマンに対して3球目とカット打ちのラリーの中で打球点の早いドライブの攻めがあり、これはカットマンに対して非常に有効だ。二つ目はドライブの回転を使い分けることができること。三点目は相手のカットを何本も粘りきれる回転量を見る目と足があることである。
 2番の石川は良い仕事を果たした。
 3番の田代は世界大会初出場、ましてチーム戦の初戦はどんな選手でも緊張する。あの李暁霞でさえも今回の初戦はフルゲームまで行った。その点を考えると田代の初戦勝利はすばらしい。
 内容的には、1ゲーム目は緊張し、それぞれの技の打球点が少しずつずれていたが、2ゲーム目に落ち着き、ボールをとらえることができた。
 台上のレシーブ、特にバック前の技術が単調だったので、技のバリエーションを増やし、状況に応じて使い分ければそこからも得点可能になる。また相手がどう攻めているのか、自分が何をすれば得点できるのかが試合の中で明確にわかれば、これからも強い相手に勝てるようになるだろう。
 日本チーム、田代選手の1勝に拍手!」
 〈日本 3-0 ベラルーシ〉
○平野 3、9、-6、6 Vi.パブロビッチ
○石川 4、9、11 プリヴァロワ
○田代 -5、4、10、5 クチュク

 日本男子の敗戦の衝撃冷めやらぬメインコートで、すぐに始まった日本女子対ベラルーシの一戦。持久戦も予想されたが、こちらは予想外の早期決着。3-0で会心の勝利だった。

 トップ平野は得意のうまみのあるカット打ちでパブロビッチを攻略した。平野のカット打ちに対し、パブロビッチは我慢が効かず、第4ゲームは連続で打ちミスが出る場面も。相手を心理戦に引きずり込むカットマンを、逆に心理戦に引きずり込んでしまうのが平野の真骨頂だ。
 続く石川は第3ゲームに7-10でゲームポイントを握られたが、逆転でストレート勝ち。試合後、プレーの出来は60点くらいだけど、初戦ということを考えたら85点くらい。世界選手権はやっぱり緊張するけど、今までの初戦に比べると一番良くできたかなと思います」とコメントした。

 3番田代はカットマンとの対戦が予想されたが、出てきたのは右シェークドライブのクチュク。相手のパワーあるバックドライブに押され、第1ゲームを落とした田代だったが、世界戦初出場のプレッシャーを感じさせない、積極的なフォア攻撃を見せた。ここで田代が勝利し、ストレート勝ちした意義は大きい。日本女子、ナイスゲームだ!
  • 平野は円熟のカット打ちを見せた

  • 田代はチームに勢いを与える勝利!

  • 応援もアツイ!日本女子

星野美香の眼
「トップの水谷を含め、初戦の地元ということでかなりの緊張があった。勝つチャンスは2番と3番であった。岸川と松平は勝てる要素が十分にあったが、技の使い方がポイントでうまく使えていなかった。それが敗因だろう。これが団体戦というものか。
 水谷は苦しい状況においても勝つポイントを知っている。初戦の1番ということで非常に緊張していた。そのせいか、バックサイドからの3球目攻撃のミスが多かった。やはり、ボール感覚が緊張で鈍ったせいかもしれない。ただ、最後に勝つところはすばらしい。
 気持ちを切り替えて、始まったばかりなので次からの試合に臨むことが重要だ」
*星野美香 全日本選手権7回優勝、ソウル五輪ダブルスベスト4
 ラストの岸川戦では、第2ゲームからエンジン全開のバックドライブを連発したクレアンガ。第3ゲームのマッチポイントで試合を決めた、ラリー戦からのバックのパワードライブは、かつてスーパーサーキットで大暴れしていた頃の当たりを彷彿とさせた。

 試合後のミックスゾーンでは、「1試合目は負けたけど、すごく調子が良かったから、これはいけるというフィーリングがあった。ラストは自信を持って戦うことができた」と語った。42歳という年齢までこのレベルをキープできる秘訣については「練習だけだよ」とひと言。

 出場をキャンセルした09年世界選手権横浜大会をはじめ、ジャパンオープンでもエントリーしながらキャンセルが続いていたクレアンガ。本人曰く、日本での大会出場はこれが9年ぶり。その理由については「故障を抱えていたり、特別な理由はない。ぼくにはふたりの娘もいるからね」とのことだった。