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ユース五輪・卓球競技

 ユース五輪の大会期間中、会場に入る観客やメディアは、必ずセキュリティチェックを受けなければならない。手荷物をX線に通して、金属探知機のゲートをくぐった後、「はい両手を広げて」「はい後ろを向いて」とまた金属探知機のバーを体中にペタペタ。
 ボランティアの学生さんたちがやっているので、あまり緊迫感はないが、メディアセンターへの入り口にあったセキュリティゲートではバッグを開けられ、カメラを取り出されてひと言「ノーマルな(?)カメラかどうか、一枚写してみてくれ」。カシャッとシャッターを切ると「OK!」とのこと。そういうマニュアルになっているのかもしれない。思わず顔を見合わせて笑ってしまった。

 ちなみに地下鉄でも、8月いっぱいはすべての乗客がセキュリティゲートを通らなければならない。日本では考えられない光景だ。メディアセンターへ行った帰り道、地下鉄の駅でセキュリティゲートを撮影していたら、横にいた公安のお姉さんに怒られた。平静を装って、早歩きで逃げました。ちなみにユース五輪のIDカードを持っていると、地下鉄とバスはすべて無料。
  • 地下鉄のセキュリティゲート

  • 車の乗客もすべて下車してチェックを受ける

  • 何とも緊迫感のないセキュリティゲートの入り口

 下写真左は、チャイニーズタイペイのバック粒高攻守型・邱嗣樺をゲームカウント0−2からの逆転で下したトロスマン(イスラエル)。邱嗣樺の粒高の変化球とカウンターに苦しみながら、我慢に我慢を重ねての勝利。何度も切れそうになったが、最後まであきらめなかった。その精神力とファイトが中国の観客をも魅了した。

 下写真右は、ポルトガルの右シェークドライブ型、ディオゴ・チェン。韓国の金民爀に最終ゲーム5−1から9点連取という離れ業を演じ、大逆転勝ち。試合後、ベンチに戻って「YES!」と大きく吠えた。金の正確なカウンタードライブ、フォアクロスの打ち合いでの強さに劣勢に追い込まれながら、最終ゲーム中盤で見せた読みの鋭さ、思い切りの良さは見事。若者らしい、清々しいファイトだった。
 村松、加藤両選手のベンチに入った男子ジュニアナショナルチームの田㔟邦史監督。さすがに緊張の色が隠せない選手たちを、冷静なベンチコーチでしっかりカバーしている。以下は田㔟監督のコメント。

「村松はもうちょっと緊張するかと思ったけど、結構自分のプレーができている。あとは会場の雰囲気や卓球台、あと風が強いので、タイミングがあっていないところがある。そのあたりを練習しながら修正していきたい。オルトは村松とは対戦したことがない。ヨーロッパ選手は序盤からどんどん力でくるので、『力で攻めてくると思うよ』と言っていたら、やっぱり力で押してきて、ミスが多かった。台上からの攻めも厳しくなかったし、サービスを持ったら先に攻めていけとアドバイスをしていた。

 加藤はちょっと緊張があって、まだ自分のプレーができていない部分もあるけど、1試合目より2試合目とどんどん良くなってきている。あとは精神面をコントロールしながら、自分でどれだけ修正できるか。まあ、1試合目はちょっと緊張しすぎてましたね(笑)。でもふたりとも良いスタートを切れたので、明日につながると思います」

 今日は日曜日ということもあり、家族連れを含めてたくさんの観客が入った。日本選手にとっては、雰囲気は少々アウェーな感じあり。卓球に詳しい人たちが来ているわけではないので、日本の対戦相手に声援が多くなるのも、無理からぬところだろう。もっとも、険悪な雰囲気というわけではなく、日本選手でも好プレーには拍手が送られている。
 「団体戦の決勝で中国とやるとか、そうなればもっとすごい歓声になる。初日でこれだけの歓声で騒いでくれれば、選手たちも慣れられると思うので、ちょうど良かったんじゃないですか」と田㔟監督。さすがに肝が太い。最終日の団体決勝で、ぜひとも日本チームの痛快な勝利が見たい。
  • 村松にアドバイスする田㔟監督

  • 勝利にはこの笑顔!

●女子シングルス予選グループ・第2戦
加藤 10、8、ー7、5 ルン・リサ(ベルギー)
●男子シングルス予選グループ・第2戦
村松 5、7、9 オルト(ドイツ)

 加藤はバックハンドの強い中国系選手・ルンに第3ゲームを落としたが、短気の虫が時折のぞくルンを粘り強く攻略。会場の空調の風の影響で、サービスがやや不安定になっているという。しかし、予選グループのヤマ場は乗り切った。明日の第3戦はグループの4番手、ニュージーランドのドンとの対戦だが、まず問題ないだろう。

 村松はオルトの強引なカット打ちにも助けられ、ストレート勝ち。「オルトは昨年の世界ジュニアで森薗とも良い勝負をしていたし、対攻撃ではかなりやると思っていたけど、カット打ちは情報がなかった。でも出足で無理に打ってきたので、これはカットは打てないなと」(田㔟監督)。第3ゲーム10−9のマッチポイントでは、ラリーから強烈なバックドライブで試合を決めた。このカットからのバックドライブ、もはや「ムラマツ」と名づけたくなる、彼一流のテクニックだ。

 「自分の調子は悪くない。まだ会場の空調とか、台に慣れていないので、そこをしっかり調整したい。緊張はするんですけど、いつものプレーをすれば勝てると思っているので、気負いすぎずにプレーしたい」(村松)。
  • ベンチに戻った加藤、「緊張した〜」とこの表情

  • 会場をうならせた村松のバックドライブ

  • 決定打にオーバーミスが続出したオルト

 今日の試合開始に先がけ、歓迎の挨拶を述べたのは世界選手権3回優勝の王励勤(中国)。まったく太る気配はなく、現役時代とまったく変わらぬ面立ちはさすがミスター・ストイック。観客からの人気は大変なもので、選手席にいる王励勤を携帯やカメラで撮影するため、何十人もの観客が客席の端に押し寄せて、メディアシートにまであふれる始末。勝手に記念写真を撮る人、続出。

 そして会場を訪れたもうひとりの元世界チャンピオン、スウェーデンのヨルゲン・パーソン。こちらもスマートな体型を維持、実にカッコイイ。王励勤とは携帯で「自撮り」をしたり、なにやらヒソヒソささやきあったりと、実に仲むつまじい様子。
 加藤に続いて登場した村松雄斗も、男子シングルス予選グループ初戦をストレートで突破した。対戦相手のアレグロはサウスポー、回転量の多いフォアドライブを打ち込んできたが、村松のバック表ソフトのツッツキ、カットに対してオーバーミスを連発。第2ゲームはジュースにもつれたものの、試合のペースは常に村松が握っていた。

 ひとつ隣のコートでは、第1シードの樊振東(中国)が、アファナドル(プエルトリコ)にいきなり第1ゲームを落とした。9−10から強引に打ちにいったボールが台から出ず、空振り。会場を大きなため息がつつんだ。その後はしっかり持ち直して3ー1で勝利したが、優勝候補と言われる選手ほど、やはりプレッシャーも大きい。
  • 第2ゲームのジュースを乗り切ってストレート勝ち

  • 左腕のアレグロ、村松を苦しめる

  • 国際大会では経験豊富な村松も、さすがに未体験のプレッシャーか

 女子シングルス予選グループ、日本の加藤美優はイムレ(ハンガリー)と対戦。回転量の多いイムレのバックドライブ、そして初戦の緊張感に苦しんだ。第1ゲームは10ー9からネットインで辛くも先取。しかし、第2ゲーム10ー8のゲームポイントで、フォア前から鮮やかなミユータ(逆回転のチキータ)で打ち抜き、第3ゲームは一気にリードを広げた。

 試合後は「緊張しました〜!」と安堵の笑顔。しかし、競ってもゲームを落とさず、ストレートで乗り切るあたりは頼もしい。独特なしゃがみ込みサービスは、中国の観客からも注目を集めていた。
  • 代名詞のミユータ、鮮やか!

  • 第1ゲーム最後のネットインではこの表情

  • どっしり構えたイムレ、バックドライブは威力があった

 いよいよ男女シングルスの予選グループがスタートした南京・五台山体育館。フロアに設置された卓球台は4台のみ。まさに五輪仕様で、それだけに選手たちの緊張感は相当なものだ。

 「さあ、フロアに下りて撮影するぞ」と撮影用のビブスを受け取る場所を探したら、なんと体育館から遠く離れたメディアセンター。そうでした、IOC(国際オリンピック委員会)が主催する大会は、メディアセンターやアクリディテーションセンターで、メディアを一括して管理するのが通例。IDカードが事前に送られてきていたので、油断してしまった……。
 というわけで、午前中は観客席の一番前にあるメディアシートで撮影。ちょっと長いお昼休みを利用して、メディアセンターに向かいます。写真がちょっと「上から目線」になりますが、ご容赦ください……
  • 五輪さながらのフロアの様子

 朝、肌寒さで目が覚めた速報担当。天気予報は事前にチェックしていましたが、ここまで涼しいとは思わなかった。明日からは天候は回復するようだが、気温はやはり31℃くらい。

 ホテルの部屋に置いてある新聞「鳳凰資訊報」、一面の大見出しは「日本の対中国の情報戦が暴露された」。サブの見出しは「日本の対中国の情報戦はすでに始まっている。収集している情報は想像をはるかに超えるものだ」。記事に目を向けると、徳川家康が征夷大将軍に任命された時、中国に対して大規模な調査活動を行ったことから書き起こされている。ううむ、そこまでさかのぼりますか……。

 下写真右は、火事が発生した時のための呼吸用のマスク。「緊急災害時以外に開けたら、110元払ってもらうからね」というオビの但し書きが面白い。
 南京駅に到着した速報担当、ユース五輪のボランティアスタッフによる案内ブースが出ていたので、とりあえず英語で声をかけてみた。「このホテルに行きたいんだけど、地下鉄とタクシー、どちらがいい?」。すると何ということか、閻安によく似た気の良さそうなボランティアのお兄ちゃんが「な、何をおっしゃいます、車でホテルまでご案内します」と言うではないですか。

 特別な通路を抜け、入っていったロビーでは女子大生のボランティアに「お水がよろしいですか、それともコーラ?」と尋ねられ、さらに駅前の一角に案内されると、ズラリと並ぶ黒塗りの高級車。車内はすべて革張りのピカピカ。このユース五輪のために新車を揃えたのだろう。荷物も全部トランクに入れてくれて「再見!」。

 後ろの座席でVIP気分に浸っていると、なぜか車が途中でストップ。10分ほど待っても動かず、バスや自動車が大渋滞。運転手さんに理由を尋ねてみると、「通行止めになってるんだよ。お偉いさんが通るから」とのこと。そう、ユース五輪の開会式に出席する習近平国家主席らの一団が、ちょうど近くを通過していたのだ。本物のVIPには勝てなかったが、ほどなくして通行止めは解除。無事にホテルへ入ることができた。
  • 上海のブランド「ROEWE」の高級車

  • 突然、大渋滞が発生!