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平成26年度全日本選手権大会速報

 大会第4日目、曇り空の東京体育館。今日は雨模様とのことだが、東京体育館はJR千駄ヶ谷駅の目の前。安心して会場にお越し下さい。

 今日は期間中で唯一、7種目すべてが行われる日。男女シングルスは3・4回戦が行われ、4回戦でスーパーシードの32名が登場する。男子シングルスの優勝候補、水谷隼、丹羽孝希、松平健太らのすべり出しはどうか。波乱も多いラウンドだけに、強豪選手も油断はできない。女子シングルスは昨年度優勝の石川佳純、平野早矢香、そしてジュニア女子でベスト4に残っている平野美宇、伊藤美誠、早田ひななどのスーパー中学生がコートに立つ。

 男女ダブルスは3・4回戦が行われ、そして混合ダブルスとジュニア男女は準決勝・決勝が進行。ジュニア男子は青森山田と野田学園の一騎打ち、ジュニア女子は中学生4人が頂点を目指す。対戦カードは下記のとおり。

●ジュニア男子準決勝
三部航平(青森山田高) vs. 青山昇太(野田学園高)
及川瑞基(青森山田高) vs. 伊丹雄飛(野田学園高)
●ジュニア女子準決勝
早田ひな(石田卓球クラブ) vs. 木村香純(ミキハウスJSC)
伊藤美誠(スターツSC) vs. 平野美宇(JOCエリートアカデミー)
ジュニア男子準々決勝で及川に敗れ、張本智和の今年の全日本が終わった。
初挑戦の一般シングルスは初戦で敗れたものの、小学5年生でのジュニアベスト8入りという快挙を成し遂げ、大会前半戦の主役とも言える活躍ぶりだった。
 
 1回戦から5つ以上も年上の高校生たちを連破し、4回戦では高取、5回戦では松山という高校生でもトップクラスの選手をフルゲームで撃破。「怪物」と呼ばれる少年とはいえ、ここまでの活躍は誰も予想できなかっただろう。

 小学生特有の早い打球点でのプレーが高校生達を苦しめるのは、他の小学生選手でも比較的よくある光景だが、張本はパワーの面でも高校生と互角に渡り合い、台上からの攻め、サービス・レシーブでも優位に立つという驚異的な実力を見せつけた。また勝負どころでの戦い方も高校生を上回る巧さがあり、松山戦でも相手にゲームポイントを握られた場面で、完璧に狙い澄ましたであろうカウンターを決めたり、相手の逆を突くストレートへのバックハンドで抜き去るなど、単純な技術力だけではなく、「勝ち方を知っている」というオーラを放っていた。
 準々決勝の及川戦や、一般男子シングルス1回戦の神原戦のように、相手に距離をとって戦われた時に、早く攻めようとしすぎてミスが出る、という課題も見られたが、1年後にはしっかりと対策を練って、そして今以上にパワーをつけて、また全日本に臨んでくるだろう。
 大会前、男子NT倉嶋監督が「張本はベスト8に入ってもおかしくない実力がある。来年は優勝を狙えるレベルになっているはず」と語っていた。監督の予想どおり、今大会でベスト8入りを果たした怪物は、来年、史上初となる小学生でのジュニア制覇を成し遂げるのかもしれない。



※来週21日発売の卓球王国3月号では「怪物・張本智和の強さの秘密」という特集を組んでいますので、ぜひご覧になってください!
 全日本の会場にはスポーツ医科学委員会の相談ブースが設置されている。
 スポーツ医や栄養士などによるアドバイスが無料で聞けるのだ。「子どもに何を食べさせたら良いのか?」「パワーを付けたいんだけど、トレーニング方法を知りたい」「練習後、手首が痛いと言うけどどうすれば良いのか?」など、具体的な悩み相談でもOK!

 また、全日本の試合で負けた選手は、落ち込んだ気持ちをそのまま家に持って帰らずに、メンタルの回復のためにも寄ってみてはいかがだろう。優しい言葉で前向きな気持ちにさせてくれるぞ。
 平日なら人も少ないので、待ち時間はほとんどなし。自分の小さな悩み、疑問を専門家に相談してみよう。

 ちなみに、写真右は日本卓球協会ナショナルチームドクターの小笠先生(山口大学医学部附属病院)。卓球王国本誌2月号から3回にわたって連載中の記事『故障やケガを防ぐシニアのためのエクササイズ』のアドバイザーを務めていただいている。21日発売の3月号は『腰部編』。腰痛で悩んでいる人は必見!必読!
  • 試合前には何を食べれば良い、とか知ってます?

  • 何でも相談にのります!

● 混合ダブルス準々決勝
時吉/山梨(ZEOS/ミズノ) 4、8、6 御内/北岡(シチズン/日立化成)
松平/若宮(協和発酵キリン/日本生命) 5、2、9 英田/根本(朝日大/十六銀行)
田添/前田(専修大/希望が丘高) 5、6、-9、1 山本/小道野(早稲田大) 
吉村/石川(愛知工業大/全農) 8、7、12 及川/宋(青森山田高/中国電力)

 混合ダブルス準々決勝の結果は上記のとおり。優勝経験のある松平/若宮、田添/前田に、2大会連続準優勝の吉村/石川、経験豊富な時吉/山梨という実力派ペアがメダル獲得を決めている。
 吉村/石川以外の3ペアは女子が異質攻守型で、前陣に徹してコースを突き、バック表ソフトの変化をうまく使う。両者の攻撃がかみ合えば、吉村/石川がもっとも攻撃力の高いペアだが、調子の波も大きい。果たして明日の準決勝はどのような結果になるか。
  • 動きがキレキレの時吉が山梨をリード

  • 2年ぶりの優勝を狙う田添/前田

●ジュニア女子準々決勝
早田(石田卓球クラブ) -6、9、8、9 橋本(四天王寺高) 
木村(ミキハウスJSC) 15、6、3 三條(四天王寺高)
伊藤(スターツSC) -7、9、4、-9、7 浜本(JOCエリートアカデミー/大原学園)
平野(JOCエリートアカデミー) 8、-9、2、8 芝田(四天王寺高)

ジュニア女子は中3の木村と、早田・伊藤・平野の中2トリオがベスト4へ勝ち進んだ。なんと、ベスト4はすべて中学生が占めた!

早田は橋本の低く鋭いバックカットに苦しみながら、正確で威力のあるフォアドライブを打ち続け、粘り強く攻略。木村は相変わらずのパンチ力のあるフォア強打と、堅固なバックの守りで、三條との同士討ちを制した。
伊藤は浜本の回転量の多い両ハンドドライブにミスも多く出たが、前陣に徹したブロックと、時折見せるバック強打で競り勝った。3試合連続でゲームオールの接戦、「気持ちが守りに入ってしまったけど、どの試合も2-2の最終ゲームでリードできたのが大きかった。競っても落ち着いてやれた」と試合後に語った。

平野は昨日「ジュニアで警戒している選手」と語っていた芝田と対戦。先月の世界代表選考会では敗れている相手だったが、芝田の威力ある両ハンドドライブにも前陣での非常に打球点の早いブロックとカウンターで対応。フォアに揺さぶられても後ろに下がらず、「速さ」で芝田を制した。

明日の準決勝は早田対木村、伊藤対平野。伊藤は「ミウミマ対決」を前に、こう語っている。「明日はまず美宇ちゃんとのダブルスがあるので、それに集中したい。昔はちょっと苦手意識があったけど、今は平気です。同世代だから、上に行くためには必ず当たる。それは『覚悟』ですよね」。「黄金世代」の中から、誰が飛び出すのか?
  • ジュニアで過去2回2位の平野。明日は悲願の優勝なるか

  • 木村は健闘のベスト4。お父さんの正幸さんは川鉄千葉で活躍した往年の名選手

●ジュニア男子準々決勝
三部(青森山田高) 12、9、6 坂根(育英高)
青山(野田学園高) 5、-9、9、-9、6 廣田(愛工大名電高)
及川(青森山田高) 4、9、9 張本(仙台ジュニアクラブ)
伊丹(野田学園高) -4、4、8、15 緒方(JOCエリートアカデミー/帝京)

ここまで快進撃を続けてきた張本。仙台ジュニアクラブの先輩・及川に敗れ、ベスト8。中・後陣でのラリー戦に抜群の安定感を誇る及川。張本がフォアに大きく揺さぶったボールもうまくしのぎ、機を見て反撃。張本の攻守を包み込むような、巧みなプレーを見せた。
敗れた張本は「ドライブのミスが多かった」と悔しい表情。「ただ、今日2勝できて、去年よりも勝てたので、今年はじめての試合としては良かったと思います」と語った。
一方、6歳下の後輩を退けた及川は「やっぱり簡単には勝てませんね」と、ストレートの勝利だが、心境としてはかなり厳しい試合だったようだ。

他にベスト4に残ったのは三部、青山、そして伊丹。三部はフォアストレートへのフォアドライブをうまく使い、坂根を攻略。青山はキレのあるフォアドライブで廣田との激しいラリー戦を制し、会心のガッツポーズを決めた。伊丹は緒方を下し、昨年のベスト16からベスト4へと躍進した。準決勝は三部対青山、及川対伊丹。ヤマダ対ノダの構図だ。
  • 正確なコントロールでフォアドライブを打ち分けた三部

  • ファイター青山はメンタルが非常に強くなった

  • 会見での張本。男子では、小5でのベスト8入りは快挙と言うほかない

● 混合ダブルス4回戦
時吉/山梨(ZEOS/ミズノ) 5、9、-6、5 星野/竹前(埼玉工業大) 
御内/北岡(シチズン/日立化成) 4、7、8 井上/宮内(フジ/日本大)
英田/根本(朝日大/十六銀行) 6、13、3 藤村/楠川(愛知工業大) 
松平/若宮(協和発酵キリン/日本生命) 4、2、-10、-9、3 軽部/天野(シチズン/サンリツ)
山本/小道野(早稲田大) 12、-3、5、9 笠原弘/笠原多(協和発酵キリン/NTT東日本東京) 
田添/前田(専修大/希望が丘高) 6、10、9 神/平野(明治大/東京富士大)
及川/宋(青森山田高/中国電力) -6、8、-11、9、8 森田/山本(シチズン/中央大)
吉村/石川(愛知工業大/全農) -7、2、7、9 鹿屋/阿部(法政大/サンリツ)

混合ダブルスの8強が決定。カットペアの英田/根本が大健闘のベスト8入りだ。松平/若宮は快調に2ゲームを連取し、第3ゲームもマッチポイントを握りながら逆転されたが、最終ゲームは松平が積極的に攻め、大きくリードした。
  • 英田/根本ペア、ストレート勝ちでベスト8進出

  • こちらもカットペア。御内の攻撃が冴えた御内/北岡ペア

●男子シングルス2回戦
梅崎(倉敷工業高) 4、-3、7、-8、8 厚谷(専修大)

 男子シングルス2回戦屈指の好カードとなったのが梅崎(倉敷工業高)vs.厚谷(専修大)。ともにポイントをあげるごとに大きく声を出すファイター対決だ。
恵まれた体格から豪快なドライブを放つ梅崎に、カット型の厚谷もドライブを織り交ぜ応戦。勝負は最終第5ゲームまでもつれたが、出足で7ポイント連取した梅崎が逃げ切り、この日一番の雄叫びをあげた!
●ジュニア女子5回戦
橋本(四天王寺高) 6、-9、7、9 加藤(JOCエリートアカデミー) 
早田(石田卓球クラブ) 5、6、7 鎌田(駒大苫小牧高)  
木村(ミキハウスJSC) 9、8、5  金子(愛み第瑞穂高)
三條(四天王寺高)6、-8、8、-10、8 佐藤(札幌大谷高) 
浜本(JOCエリートアカデミー/大原学園) 11、4、8山本(福井商業高) 
伊藤(スターツSC) 9、-9、-9、2、7 田中(武蔵野高)
芝田(四天王寺高) 4、1、8 木村(山陽女子中)
平野(JOCエリートアカデミー) 5、5、1 馬場(芦屋学園高)

ジュニア女子5回戦で、ディフェンディングチャンピオンの加藤が、カットの橋本に敗れる波乱が起きた。また成長著しいカットマンの佐藤は、三條との大激戦の末に敗退。三條の強烈な回転のループドライブ、バックの変化ボール、そしてスマッシュに最後まで苦しめられた。
優勝候補の平野はストレートで順当に勝利したが、伊藤はダークホースの田中の球に合わず、苦しんだがなんとか勝利。
四天王寺勢が4人ベスト8入りと健闘を見せている。

このあと準々決勝が行われる。
  • 加藤美優は2連覇ならず

  • 昨年のチャンピオンを破る金星を上げた橋本

●ジュニア男子5回戦
三部(青森山田高) 4、8、2 金光(JOCエリートアカデミー)
坂根(育英高) 8、-7、9、8 龍崎(JOCエリートアカデミー/帝京)
青山(野田学園高) 8、5、9 高橋(青森山田高)
廣田(愛工大名電高) 9、-9、11、-9、9 硴塚(JOCエリートアカデミー)
緒方(JOCエリートアカデミー/帝京) -9、10、6、-8、5 一ノ瀬(青森山田高)
伊丹(野田学園高) 8、7、10 木村(関西高)
張本(仙台ジュニアクラブ) 8、13、-9、-8、7 松山(愛工大名電高)
及川(青森山田高) 8、9、6 木造(愛工大附属中)

 ジュニア男子でベスト8が決定。優勝候補の一角だった龍崎が坂根に敗れ、ここで姿を消した。エリートアカデミー勢、残るは緒方ひとりのみ。
 5回戦最大の注目カード、及川対木造は及川が完勝。ボールセンスは抜群の木造だが、前陣ではもう少し打球点の早い攻めや、バックハンドでの攻撃を有効に使いたい。
  • エリートアカデミー勢で唯一8入りした緒方

  • 優勝候補、龍崎は坂根に敗れる