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世界卓球クアラルンプール大会速報

 ポルトガル戦2番でまさかの敗戦を喫しながら、4番では崩れそうになるプレーを必死に食い止め、勝利した水谷。水谷隼らしくないプレーだったが、同時にリズムを失っても勝利をもぎ取る姿勢はやはり水谷隼だった。

「1試合の3ゲーム目の7-4でリードしたところで油断しました。調子が悪い中で1、2ゲーム目を取って、3ゲーム目も調子が悪いなりに勝てるのかと思った瞬間に流れががらっと変わりました。
 自分らしくないミスがたくさんあったし、思うようなプレーが3ゲーム目以降できなかった。なんとか立ち直そうと思ったけど、どこにボールに対してもミスが出てしまって、最後まで修正できなかった。相手のほうが1本多く入れてきた。

 2試合目は自分本来の調子を取り戻せば、負ける相手じゃないけど、調子は最後まで上がらなかった。その中で自分のできることを精一杯したことが結果につながった。予選ではしばらく負けていなかったので、すっきりした気持ちもあったし、自分が負けたけど吉村と丹羽が取ってくれてうれしい気持ちもありました。丹羽が3-0で回してくれたので、その良い流れの中でぼくが絶対負けるわけにはいかなかった。

 最初から最後まで足の切れが良くなかった。パフォーマンス、集中力、足の動きを良い状態に持ってこれなかったのは反省しなくてはいけない。本大会で、まだ自分の納得できる試合が1試合もない。決勝トーナメントでは『これが水谷のプレーだ』というのをアピールして、2点取ってチームを引っ張っていきたい」(水谷)
〈日本 3ー1 ポルトガル〉
○吉村 8、8、ー10、8 アポローニャ
 水谷 3、7、ー9、ー9、ー8 モンテイロ○
○丹羽 7、5、5 フレイタス
○水谷 ー5、8、6、6 アポローニャ

 日本男子、ポルトガルを3ー1で下してグループリーグ5連勝!
 グループC1位で準々決勝進出を決めた!

 日本、4番に再び登場した水谷は、やはり2番で崩したリズムが戻らず。水谷らしい抜群の予測能力、軽快な動きが影を潜め、ボールがしっかりラケットにミートしていなかった。それでも第2ゲームから少しずつリズムを取り戻し、第4ゲームは4ー6から一気に当たりがついて7点連取。最後は台上に浮いたボールを3球目フォアドライブで豪快に打ち込み、日本に勝利をもたらした。
  • 最後は本来の当たりを取り戻した水谷

  • 王者もさすがに安堵の表情

〈日本 2ー1 ポルトガル〉
○吉村 8、8、ー10、8 アポローニャ
 水谷 3、7、ー9、ー9、ー8 モンテイロ○
○丹羽 7、5、5 フレイタス
 水谷 アポローニャ
 吉村 モンテイロ

 日本は3番丹羽が、3番に下がったフレイタスをあっという間に料理。強烈な回転のチキータからバック対バックに相手を縛り付け、先に回り込んでのシュートドライブで相手を台から離した。ワールドツアーで2連敗していた相手だが、この試合に関しては丹羽が2連勝した14年東京大会のリプレイのようだった。

 4番水谷、気分転換の時間は少々短かったが、何とかリズムを取り戻してほしい。
  • ここ一番で会心のプレー、完璧に集中していた丹羽

  • 今大会、別人のように精細を欠くフレイタス

〈日本 1ー1 ポルトガル〉
○吉村 8、8、ー10、8 アポローニャ
 水谷 3、7、ー9、ー9、-8 モンテイロ○
 丹羽 フレイタス
 水谷 アポローニャ
 吉村 モンテイロ

 日本男子、ポルトガルとのグループ首位を懸けた一戦。
 
 トップ吉村は、堅実なレシーブと中陣での粘りがあるアポローニャを、確実に攻略。サービスがあまり効かない時点で、以前なら苦しい戦いを強いられるところだが、ラリー戦でも安定した両ハンドの攻撃で攻められるようになったのは成長の証(あかし)。1ゲームを返された第4ゲーム、2ー5のビハインドから6ー6に追いつき、10ー8のマッチポイントから10ー10になっても慌てなかった。ここでサービスエース、そして威力あるバックドライブを決め、貴重な先制点を日本にもたらした。

 2番水谷は、楽勝ムードの2ゲーム連取、第3ゲーム7ー4のリードからまさかの大苦戦。あまりにイージーにいきすぎた試合では、水谷ほどの選手でも思わぬ落とし穴にはまる。次第に当たりがつき、バックハンドから積極的に回り込むモンテイロのフォアドライブに押され、ブロックのミスが続いた。
 最終ゲーム、5ー3のリードから5ー6と逆転されたところでタイムアウト。ここから8ー8まで競ったが、最後まで狂った歯車は戻らず。8ー10から強烈なモンテイロのバックドライブを返しきれず。水谷がグループリーグで敗れるのは08年広州大会のシュテガー戦以来だ。
  • 吉村は成熟したプレーを披露

  • 水谷は中盤から守勢に回った

  • かつてUMMCで水谷のチームメイトだったモンテイロ、殊勲の星

  • 絶対的エース・水谷にまさかの落とし穴

 10・12・14年大会と3大会連続で決勝に進出し、今大会でも第2シードだったドイツが、グループBでまさかの4位となり、まさかの下位トーナメント(13〜24位決定戦)に回ることになった。ドイツがベスト8に入れないのは、旧西ドイツ時代の85年大会以来、実に31年ぶり。

 グループBはすでにフランスの首位通過が確定。ドイツはグループ最終戦のスウェーデン戦に3ー2で勝ち、スウェーデン、イングランドの2チームと3勝2敗で「三つ巴(どもえ)」になったが、計算によりスウェーデンが2位、イングランドが3位、そしてドイツが4位。ドイツはスウェーデンに3ー1以上で勝たなければならなかったが、3番メンゲルが右シェークフォア表のM.カールソンに0ー3で完敗。1ー2とされた時点で上位への道は閉ざされた。

 さすがに落胆は隠せないドイツベンチ。それでも4番フィルス、5番シュテガーはしっかり声を出して戦い、スウェーデンに3ー2で逆転勝ちしたのはドイツの意地か。オフチャロフが故障で欠場し、ボルも体調不良で帰国するという。「飛車角落ち」で大幅な戦力ダウンとはいえ、ショックの大きな結果となった。

●男子グループB・最終戦
〈ドイツ 3ー2 スウェーデン〉
○シュテガー 10、1、4 Jon.パーソン
 フィルス ー12、ー9、7、ー2 K.カールソン○
 メンゲル ー12、ー12、ー11 M.カールソン○
○フィルス ー9、8、ー15、5、6 Jon.パーソン
○シュテガー 8、ー7、5、ー7、4 K.カールソン
  • スウェーデン戦ラストで勝利したシュテガーと、対戦相手のK.カールソン

  • ロスコフ監督もさすがにガッカリ……

 男女グループDでともに同じグループに入った韓国と香港。今日、朝10時からのグループ最終戦で、隣のコートでこの2チームが相まみえた。
 男子は前半を終えて1ー1となり、3番鄭栄植と唐鵬の一戦がキーマッチ。鄭栄植は相当ナーバスになっていたが、バックサービスを主体とする新スタイルで、バック対バックで唐鵬を上回り、僅差の勝利。4番朱世爀と黄鎮廷は、カットとペンドラの華々しいラリー戦が繰り広げられたが、朱世爀が豪打を何本でもしのぐ鉄壁の守備を見せた。黄鎮廷、球威はあるが、少しコース取りと前後の揺さぶりがワンパターンだったか。

 一方、女子は香港が韓国を破った。香港の若手ふたり、杜凱琹と李皓晴はカット打ちが苦手。トップで杜凱琹が徐孝元に完敗し、ラスト李皓晴対徐孝元に持ち込まれていたら、香港に勝機は薄かっただろう。しかし、韓国はナーバスになった感のある梁夏銀がまさかの2敗。3番では左腕の朴英淑が姜華君に競り負け、層の薄さを突かれて香港に1ー3で敗れた。

 これで男子グループDは韓国、女子グループDは香港が1位通過となった。

●男子グループD・第5戦
 〈韓国 3ー1 中国香港〉
 李尚洙 8、ー9、ー4、ー11 黄鎮廷○
○朱世爀 5、2、3 何鈞傑
○鄭栄植 8、ー7、ー7、13、8 唐鵬
○朱世爀 ー6、6、13、ー9、4 黄鎮廷

●女子グループD・第5戦
 〈中国香港 3ー1 韓国〉
 杜凱琹 ー7、ー4、ー9 徐孝元○
○李皓晴 7、ー4、ー9、7、8 梁夏銀
○姜華君 8、ー8、11、5 朴英淑
○杜凱琹 6、8、ー8、1 梁夏銀
  • 朱世爀、当たれば入る鉄壁のカットで勝利

  • 敗れたとはいえ、華のあるプレーを披露した黄鎮廷

  • 李皓晴(奥)と杜凱琹、抱き合って歓喜

  • 失意の梁夏銀、メンタルのもろさが出てしまった

●男子グループC・第4戦
〈ポーランド 3ー1 ポルトガル〉
○ワン・ツォンイ 7、9、8 フレイタス
 ディヤス 6、ー7、ー11、ー6 アポローニャ○
○ゴラク 10、ー8、8、8 モンテイロ
○ディヤス ー8、8、7、ー11、7 フレイタス

 日本と同じグループCで、深夜22時半を回ったポーランド対ポルトガルの一戦は、ポーランドが勝利。ポルトガルはエースのフレイタスが絶不調。4番のディヤスとの一戦は、ディヤスのバックサイドにつないだボールを強烈なバックドライブで反撃され、さらにネットやエッジがディヤスに連続してついた。

 まさかの2失点に、ディヤスに敗れた後、ボールを踏みつぶしたフレイタス。両チームのベンチもピリピリムードだった。明日の日本との最終戦を前につまづいたポルトガル、日本に勝てばグループ1位通過は可能だが、ショックが長引きそうな敗戦だ。
  • 日本戦では大島に完敗したディヤスだが、金星を挙げた

  • 怒りのち茫然自失のフレイタス。中陣からのしのぎにもミスが出た

今大会初登場となった松平健太は、3番でストレート勝ち。2年前の東京大会は持ち味が出せず、悔しい大会となったが、今回は初戦を見事に乗り切った。

「今日は健太卓球が満載でしたね。ブロックあり、カウンターあり、しゃがみ込みあり、速攻ありで、健太の卓球を出し尽くした試合だった。単調になりすぎず、健太のもっている技術をしっかり出せた。チームメイトが良い流れでまわしてくれたので、緊張せず良いプレーができたと思う」と試合後の倉嶋監督。

監督に「力を出し切った」と評された本人は、「ボチボチです」と遠慮気味に笑顔を見せた。「はじめはちょっと緊張しましたけど、2ゲーム目からは大丈夫でした。いつもより余裕をもってできたのが大きかった」(松平)。

明日は、予選リーグの最終戦となるポルトガル戦。エースの水谷は「明日勝てばメダルの可能性は80%以上、負ければ20%くらい。それだけ大きなヤマ場だと思っています。でも自分が2点とれば、絶対に日本は負けない」と自信に満ちたコメント。

メダルに向けた大事な一戦は、明日の16時半(現地時間)にスタートする。
 〈日本 3ー0 ウクライナ〉
○水谷 8、9、5 コウ・レイ
○吉村 8、9、8 プリスチェパ
○松平 4、12、7 エフィモフ

 3番で、今大会の日本選手団のアンカーとして、松平健太が出場した日本男子。トップ水谷がコウ・レイとのエース対決を制して流れをつかみ、3試合とも3ー0で完勝。コウ・レイの両ハンドは非常に正確で安定していたが、水谷のすばやい攻守の切り替えに後手に回った。ここまでポーランドとベラルーシを破っているウクライナ。格下とはいえ、決して簡単な試合ではないと思われたが、心配は無用だった。

 松平の動きは軽快で、バックハンドはまだミスも多いものの、豪快に振り抜くバックドライブを随所に決めた。第1ゲームは5ー4から6点連取、第2ゲームは8ー4から追いつかれ、10ー11、11ー12と2回ゲームポイントを握られたが、しのぎきった。
  • 水谷、攻守に群を抜く安定感

  • ケンタ、今大会初戦はストレート勝ち

  • 水谷に敗れたコウ・レイ

 タイ戦の3番を締めた浜本由惟。試合後、「今日はいつもより暑くて、練習も思う通り行かなくて、でもみなさんから声をかけてもらって安心してプレーすることができました。あまり自信がないのでいつも試合前は不安です」とコメント。174cmの長身が、コートでは次第に大きく見えてきているが、ミックスゾーンでの声はいたって控えめ。発言もちょっと後ろ向き?

「試合前に福原さんから4番も5番もいるから安心して戦ってきて、と言われ、それが本当に心の支えになりました。あまり調子が良くない中でも気持ちを切り替えて戦えました。今回は団体戦なので仲間として美誠ちゃんからもアドバイスをもらっているし、良いチームだと思います」(浜本)。

 クアラルンプールは35度を超える暑さが続く。「暑いのは苦手で、苦手な日々です。熱中症対策をしています」と浜本。コートでの戦いはますます熱さを増すが、「浜ちゃん」はクールなハートと頭脳で、プレッシャーのかかる試合を乗り越えている。
  • 結構貴重な浜ちゃんスマイル