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欧州リポート

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4/13 [グレンツァオ 3-6 デュッセルドルフ
4/13 [ブレーメン 6-2 ユーリッヒ]
※左側のチームがホーム


 4月13日に行われたドイツ・ブンデスリーガの試合で日本人選手3人が出場した。デュッセルドルフの水谷隼(明治大)はアウェイでグレンツァオと対戦。オフチャロフと組んだダブルスで敗れ、シングルスでもパベルカ(チェコ)に不覚をとり、この日は勝利なし。チームは6-3で勝利している。

 岸川聖也(スヴェンソン)が所属しているブレーメンはホームで、高木和卓(東京アート)が所属しているユーリッヒと対戦。岸川はケーンとのダブルスで、ダブルスランキング1位で9連勝中と絶好調のロスコフ/高木和組にストレート勝ち。これで勢いにのると、シングルスでもロスコフと高木和に勝利し、3勝を挙げる活躍でチームに大いに貢献した。反対に、高木和は好調だったダブルスでの敗戦が響いたか、シングルスでも2敗を喫してしまった。

日本人選手の成績
●水谷隼
4/13 対グレンツァオ
オフチャロフ/水谷 -11、-7、3、-6 フェイヤー-コナート/パベルカ
水谷 -10、8、-5、6、-10 パベルカ

通算成績
シングルス:5勝7敗
ダブルス:4勝6敗

●岸川聖也
4/11 対ユーリッヒ
ケーン/岸川 6、6、12 ロスコフ/高木和
岸川 10、10、7 ロスコフ
岸川 9、9、-4、9 高木和

通算成績
シングルス:18勝15敗
ダブルス:10勝6敗

●高木和卓
4/11 対ブレーメン
ロスコフ/高木和 -6、-6、-12 ケーン/岸川
高木和 -11、-4、-5 ケーン
高木和 -9、-9、4、-9 岸川

通算成績
シングルス:9勝21敗
ダブルス:13勝4敗

現在の順位(4月13日終了時)
1位:デュッセルドルフ(13勝2敗1分)
2位:フリッケンハオゼン(12勝2敗3分)
3位:オクセンハオゼン(7勝2敗8分)
4位:フルダ・マーバーツェル(10勝6敗1分)
5位:グレンツァオ(9勝7敗1分)
6位:ヴュルツブルグ(4勝7敗6分)
7位:ブレーメン(6勝11敗)
8位:プリューダーハオゼン(3勝9敗4分)
9位:ユーリッヒ(3勝10敗4分)
10位:ゲナン(1勝12敗4分)

ヨーロッパチャンピオンズリーグ 女子決勝第1戦
4/11 [ヘーレン 3-1 クロッパッハ]
※左側のチームがホーム

 4月11日に、ECL(ヨーロッパチャンピオンズリーグ)女子決勝第1戦の再試合が行われた。これは3月7日に女子決勝第1戦で、単純な連絡ミスにより国際審判員が会場に現れず、急遽ドイツ人審判員が代役を務めるという前代未聞の出来事があり、その試合に敗れたヘーレン陣営がETTU(ヨーロッパ卓球連合)に異議申し立てをして再試合となったもの。また、ETTUは再試合を行うことを決定したが、勝者のクロッパッハ陣営はこれを不服としてスポーツ仲裁所に第1戦の有効を訴えるなどコート外での戦いが繰り広げられていた。結局、クロッパッハの訴えは退けられ、再試合が4月11日に行われた。

 この試合、勝ったのははじめに訴えを起こしたヘーレン。トップでヨーロッパチャンピオンのリー・ジャオが、“幻の第1戦”で2点獲りの活躍を見せたクロッパッハの朱芳を破ると、続く王晨が呉佳多をゲームオールで撃破。倪夏蓮はトートに敗れたが、4番で再び回ってきたリー・ジャオが呉佳多に快勝して勝負を決めた。

 再試合になり勝者が変わった女子決勝第1戦。ヘーレンのマネージャーであるレネ・ダニエルは「両クラブの友好関係が損なわなければよいのだが…」と危惧しているが、はたしてどうか。また、ヨーロッパクラブNO.1を決める決勝戦に出場した6名のうち、中国選手・中国帰化選手が実に5名。純粋なヨーロッパ人選手はトートのみというのも何とも寂しい話だ。

4/11 [ヘーレン 3-1 クロッパッハ]
WINリー・ジャオ -8、9、6、9 朱芳
WIN王晨 -5、3、7、-10、9 呉佳多
WIN倪夏蓮 -7、-9、-7 トートWIN
WINリー・ジャオ 9、4、9 呉佳多

ヨーロッパチャンピオンズリーグ 男子準決勝第2戦
4/11 [シャルロワ 3-1 デュッセルドルフ]
4/12 [カジャグラナダ 1-3 ニーダー・オーストリア
※左側のチームがホーム


 4月11日と12日にECL(ヨーロッパチャンピオンズリーグ)男子準決勝第2戦が行われた。第1戦でデュッセルドルフ(ドイツ)に勝利していた王者・シャルロワ(ベルギー)は、この日も3-1で勝利。00/01年シーズンから8年連続の決勝進出を決めた。名門デュッセルドルフは99/00年シーズン以来の優勝を狙って、満身創痍のボル(ドイツ)も投入したがトップでサムソノフ(ベラルーシ)との欧州頂上決戦にゲームオールで敗れ、手痛いスタート。2番ではオフチャロフ(ドイツ)がスミルノフに勝利したが、結局これが唯一の得点に。デュッセルドルフがECLの舞台から姿を消した。

 一方、カジャグラナダのホームで行われたカジャグラナダvs.ニーダー・オーストリアの試合は第1戦で敗れていたニーダー・オーストリアが3-1で勝利。大逆転で2年連続の決勝進出を決めた。対するカジャグラナダはスペインチームとして初のECL決勝進出を目の前にしての悔しい敗戦。2番手で何志文(スペイン)が柳承敏(韓国)を破り、一気に流れに乗るかと思われたが、柳承敏に加えてシュラガー、陳衛星(ともにオーストリア)を揃えるスター軍団の底力に屈した格好。

 これで07/08シーズン決勝は昨季と同じシャルロワvs.ニーダー・オーストリアの対戦に決まった。決勝戦は5月上旬に行われる予定。ヨーロッパクラブNo.1がついに決まる。

4/11 [シャルロワ 3-1 デュッセルドルフ]
サムソノフ -9、10、-8、3、11 ボル
スミルノフ -4、-9、5、8、-6 オフチャロフ
J.セイブ -9、10、12、7 ズース
サムソノフ 10、8、-9、7 オフチャロフ

4/12 [カジャグラナダ 1-3 ニーダー・オーストリア
シャン・ミンジー -9、-6、-6 シュラガー
何志文 -7、9、-6、10、5 柳承敏
プリモラッツ -8、-9、10、-6 陳衛星
シャン・ミンジー -4、-16、-5 柳承敏
 6月14~15日の2日間、トルコ西部の大都市イスタンブールで第1回ヨーロッパコーチ会議が開催される。この会議はヨーロッパ各国のコーチがそれぞれ持っている知識を共有するもので、アジア選手に大きく水を開けられている現状を打破することが目的である。

 ETTU(ヨーロッパ卓球連盟)会長のボッシは「ETTUがこのような会議を主催するのは初めてで、ヨーロッパ各国にとって刺激的なチャンスになるだろう。また各国の協会が協力し合う歴史的な機会である」と大きな期待を抱いている。
 世界ランキング11位の朱世赫(韓国)が今シーズン限りでザグレブ(クロアチア)から移籍することがわかった。朱世赫はブツ切りカットと攻撃選手顔負けのフォアドライブを駆使して活躍する世界一のカットマン。世界選手権初出場の2001年に大阪大会こそベスト128にとどまったが、2年後のパリ大会では荘智淵(チャイニーズタイペイ)、馬琳(中国)、クレアンガ(ギリシャ)を連破して一気に決勝進出。決勝では経験の差でシュラガーに敗れたが、大会前の世界ランキングが61位だった23歳の若武者の快進撃に誰もが度肝を抜かれた。その後はプロツアーではコンスタントに安定した成績を残し、世界戦でも中国には及ばないものの他国の大きな壁となっている。

 朱世赫は今季ECL(ヨーロッパチャンピオンズリーグ)でプレーし、予選では8戦負けなしの抜群の成績。混戦となったグループB突破の原動力となった。決勝トーナメント準々決勝ではカジャグラナダに敗れ、自身もプリモラッツ(クロアチア)に敗れてしまったが、ヨーロッパNo.1クラブ決定戦でその存在感を大いに見せつけた。
 来季はフランスのルバロワでのプレーが有力視されており、ECLにも引き続き参戦する予定。なお、ザグレブは移籍する朱世赫の代わりに、今季でカジャグラナダ(スペイン)を退団する自国の英雄プリモラッツを獲得する方向で動いている。
 3月22~29日まで、ドイツのザールラントにて若手ヨーロッパ選手男女100名以上を集めた大規模な合宿が行われた。この合宿は「オールスタートレーニングキャンプ」と銘打たれ、ドイツ、クロアチア、ベルギーなどヨーロッパ各国からジュニア・カデット選手が集まり、コーチもベルギーナショナルコーチ、クロアチアカデットコーチなど豪華な顔ぶれ。また、現役で活躍中のポーランドのブラシュチック、ゴラク、スロベニアのトキッチを招くなど、未来のチャンピオン候補生たちは恵まれた環境の中で汗を流した。
 また、今回のキャンプの素晴らしい点は地元の全面的な協力を得られたこと。これにより100名以上が参加するという大規模な合宿でありながら、低予算で遂行することができた。

 長年、世代交代が進まずに苦しんでいたヨーロッパ各国だが、近年はこのようなジュニア以下の育成プロジェクトが積極的に開催されている。近いうちに、この中から中国や日本などのアジア国を脅かすような才能が出てくるかもしれない。
 4月2~6日までフランス・ナントで行われた北京五輪ヨーロッパ予選。激戦を勝ち進み、北京五輪の切符を獲得したのは下記の男女各11名。中国リポートでも既報の通り、女子は11名中7名が中国からの帰化選手という結果となった。

 男子は大会前にJ.セイブ(ベルギー)、クリサン(ルーマニア)が負傷により欠場を決定。J.セイブは世界ランキングによる自動出場枠はあと一歩のところで逃し、ソウル五輪からの6大会連続出場の夢をヨーロッパ予選に賭けていたが、直前で肩の故障を発生。無念のリタイアとなった。今後は最後の望みをかけて世界最終予選に出場するか検討中だ。
 また、予選ではブラシュチック(ポーランド)が途中棄権するなど、波乱の様相を呈していた。

 最終結果を見ると、実力者が出場権を獲得しているように思えるが、コルベル(チェコ)の名前がないことにお気づきだろうか。コルベルは予選を1位で通過し、トーナメントでも順調に勝ち上がったが代表決定戦で、デュッセルドルフのチームメイトでもあるズース(ドイツ)に敗れた。敗者トーナメントに回ったコルベルは1回戦でベテランのヤン・ミン(イタリア)に圧勝するも、2回戦でモンテイロ(ポルトガル)にゲームオールで敗れてしまう。最終トーナメントに望みをかけたコルベルだったが、ここでも2回戦でレグー(フランス)に敗れ、五輪出場権獲得はならなかった。
 他の有名選手ではエロワ(フランス)、カラカセビッチ(セルビア)、ケーン(オランダ)、マズノフ(ロシア)らが出場権獲得には至らなかったほか、世界選手権団体戦広州大会で王励勤(中国)を破ったフィリモン(ルーマニア)、イングランド期待の若手・ドリンコールも出場権を逃した。とくにドリンコールは予選を1位通過するなど、絶好調かと思われていただけに無念の結果である。

 女子ではステファノバ(イタリア)、パルティカ(ポーランド)、バーテル(ドイツ)らが出場権を逃した。

北京五輪ヨーロッパ予選通過者
●男子
1.譚瑞午(クロアチア)
1.ルンクイスト(スウェーデン)
3.トキッチ(スロベニア)
4.ガルドス(オーストリア)
5.ズース(ドイツ)
6.陳衛星(オーストリア)
7.イオニス(ギリシャ)
7.モンテイロ(ポルトガル)
9.シーラ(フランス)
10.レグー(フランス)
11.クズミン(ロシア)
●女子
1.リー・ジエ(オランダ)
2.Vi.パブロビッチ(ベラルーシ)
3.サマラ(ルーマニア)
4.フー・メレク(トルコ)
5.シャン・イーファン(フランス)
6.ガニナ(ロシア)
7.パオビッチ(クロアチア)
8.シュー・ジエ(ポーランド)
9.リ・チャンビン(オーストリア)
10.朱芳(スペイン)
11.タン・ウェンリン(イタリア)
 昨年10月に第1回が行われ、見事に成功裏に終わったヨーロッパスーパーカップ。種目は男子シングルスのみだが、ヨーロッパ選手の中で世界ランキング上位8名がしのぎを削るという魅力的な対戦カードに加え、大型賞金付き大会ということも大きな話題となった。さらに注目を集める第2回は今年11月11~12日にロシアの首都モスクワで行われることが決定しているが、この大会がユーロスポーツで生放送されることが発表された。

 ユーロスポーツは1989年にスポーツ専門チャンネルと開局して以降、徐々に事業を拡大し今や世界約60カ国で放送され、2億4000万人の視聴者がいると言われる人気テレビ局。放送されるのは準決勝と決勝のみだが、ユーロスポーツで放送されることにより、ヨーロッパスーパーカップにとって大きな一歩となる。

 卓球王国5月号p.21「まるごと世界 WHAT’S UP!」でご紹介したように、ロシア卓球協会は大規模な普及&強化プロジェクトを始動しており、今回の放送決定にもロシア卓球協会の尽力があったことだろう。そして、ロシアでは2010年に世界選手権が開催されることが決まっている。その大舞台に向けても、第2回ヨーロッパスーパーカップは非常に注目を集める大会となりそうだ。
 1993・97年のワールドカップを制し、今年8月に行われる北京五輪には6回目の五輪出場権を得ているなど息の長い活躍を見せているプリモラッツ(クロアチア)。現在はスペインのカジャグラナダに所属しており、ECL(ヨーロッパチャンピオンズリーグ)では予選で4勝1敗と勝ち越すなど、チームの予選突破に大きく貢献したが、ECLのインタビューで今季限りでの退団を発表した。なお、今後の移籍先は未定。

 ECL準決勝第1戦では得意としている陳衛星(オーストリア)に不覚をとった格好だが、第2戦では全盛期に“無冠の帝王”とまで称されたその右腕に期待がかかる。「来季はグラナダにはいないので、ここで多くの素晴らしい思い出を作る」と力強く語ったプリモラッツ。グラナダでの有終の美を飾るつもりだ。
 遅ればせながら、日本人ブンデスリーガーの3月の成績を紹介しよう。

 現在、ブンデスリーガで首位に立っているデュッセルドルフに所属している水谷隼は2試合に出場。ともに日本人対決となったダブルスでは敗れたが、シングルスでは2連勝。世界選手権からの好調を維持しているようだ。

 ブレーメンの岸川聖也も2試合に出場。世界選手権に続いて格上のカラカセビッチ(セルビア)に勝利するなど単複で3勝3敗。まずまずの成績を収めた。

 ユーリッヒ所属の高木和卓は3試合に出場。2番手で起用され、相手チームのエース級との対戦が多いくシングルスでは苦戦を強いられたが、ロスコフとのダブルスでは3勝。昨年11月23日からの連勝を9に伸ばしている。

 日本人選手の成績
●水谷隼
3/23 対ユーリッヒ
ズース/水谷 -4、8、-4、9、-9 ロスコフ/高木和
水谷 4、4、6 フレイタス

3/26 対ブレーメン
コルベル/水谷 12、-8、8、-3、-9 ケーン/岸川
水谷 4、5、-9、3 ヒールシャー

通算成績
シングルス:5勝6敗
ダブルス:4勝5敗

●岸川聖也
3/23 対プリューダーハオゼン
ケーン/岸川 -9、8、-5、9、-6 カラカセビッチ/スベンソン
岸川 8、7、3 カラカセビッチ
岸川 -7、-11、4、8、-4 スベンソン

3/26 対デュッセルドルフ
ケーン/岸川 -12、8、-8、3、9 コルベル/水谷
岸川 -9、-10、-11 ズース
岸川 キケン コルベル

通算成績
シングルス:16勝15敗
ダブルス:9勝6敗

●高木和卓
3/09 対フリッケンハオゼン
ロスコフ/高木和 -9、-9、1、7、4 馬文革/バウム
高木和 -9、12、-6、-5 馬文革
高木和 -3、-5、-8 トキッチ

3/16 対オクセンハオゼン
ロスコフ/高木和 11、3、9 モンテイロ/ボボチーカ
高木和 10、3-、7、4 クリサン
高木和 12、-2、3、6 梁柱恩

3/23 対デュッセルドルフ
ロスコフ/高木和 4、-8、4、-9、9 ズース/水谷
高木和 -10、-10、-8 ズース
高木和 -6、-5、10、11、-4 コルベル

通算成績
シングルス:9勝19敗
ダブルス:13勝3敗