スマホ版に
戻る

欧州リポート

トップニュース欧州リポート
 元世界選手権出場者たちが、友好を深め合う目的で1967年に結成した「スウェイスリングクラブ」に新メンバー2名が加入した。

 新たに加入したのは、イゴール・レビティンとコンスタンチン・パシュコフの2名。前者はロシア卓球協会会長で、後者は副会長。ロシアは、今年はヨーロッパ選手権が開催され、再来年は世界選手権が開催されることもあり、卓球人気が高まっている。また、国内プロリーグの整備なども積極的に行われており、それらの功績がスウェイスリングクラブに認められたのだろう。

 今後もロシア卓球界から目が離せない。
 北京五輪団体戦で銀メダル、先日行われたヨーロッパ選手権でも団体2連覇を達成したドイツ男子チーム(ティモ・ボル、ディミトレ・オフチャロフ、クリスチャン・ズース)が、4万人を超える大観衆から祝福を受けた。
 これは昨日15日にドイツ・メンヒェングラッドバッハで行われた2010年サッカーW杯・ヨーロッパ予選、ドイツvsウェールズ戦の前に行われた表彰でのひとコマ。ドイツサッカー協会のテオ・ツバンツィガー会長が、卓球の熱心なホビープレーヤーであることから実現したようだ。試合が行われたボルシア・パークには、46,297人の大観衆が詰めかけており、サッカーに先駆け、まずは卓球の代表チームの健闘を讃えた。ドイツサッカー協会は、今年11月19日に行われるドイツvsイングランドの親善試合にも、卓球の代表チーム3名を招待することを発表している。

 なお、ドイツvsウェールズの試合は、トロコフスキのゴールでドイツが1-0と辛くも勝利…。
 09~12年にかけて行われる、国同士の団体戦「ENL(ヨーロッパネイションズリーグ)」の公式抽選会が、10月11日に行われた。

 ENLは参加する男女各25カ国を、「プレミア」「チャレンジ」「スタンダード」の3つのディビジョンに分け、さらにディビジョンごとにグループを2つに分けて4~5チームによる総当たり戦を行う。
 試合はホーム&アウェイ方式で行われ、第1戦は2009年2月24日と4月1日に行われる予定。また、スタンダードDIVISIONで5チームのグループは、2009年11月11日にも試合が行われる。

 組み合わせは以下の通り。

●男子
プレミアDIVISION
グループA:ドイツ、ベラルーシ、ロシア、スウェーデン
グループB:オーストリア、ルーマニア、チェコ、デンマーク

チャンレンジDIVISION
グループA:ポーランド、ベルギー、スペイン、イタリア
グループB:セルビア、ハンガリー、クロアチア、フランス

スタンダードDIVISION
グループA:ギリシャ、スロベニア、ラトビア、ルクセンブルク、スイス
グループB:ポルトガル、イングランド、トルコ、イスラエル

●女子
プレミアDIVISION
グループA:ハンガリー、ルーマニア、クロアチア、イタリア
グループB:オランダ、オーストリア、ドイツ、スペイン

チャレンジDIVISION
グループA:ロシア、チェコ、セルビア、スウェーデン
グループB:ベラルーシ、フランス、ポーランド、イングランド

スタンダードDIVISION
グループA:リトアニア、ギリシャ、ルクセンブルク、イスラエル、ポルトガル
グループB:ベルギー、トルコ、スロベニア、スイス
 ケーン(オランダ)、シーラ(フランス)といった欧州黄金世代の引退が相次いだが、1996年アトランタ五輪銅メダリストのロスコフ(ドイツ)がドイツ男子代表のアシスタントコーチに就任したことが明らかになった。
 ロスコフは1986年ヨーロッパジュニア選手権ダブルスで優勝するなど、早くから国際舞台で活躍。89年世界選手権ドルトムント大会ダブルス優勝、92年ヨーロッパ選手権優勝、92年バルセロナ五輪ダブルス銀メダル、96年アトランタ五輪銅メダル、98年ワールドカップ優勝、98年ヨーロッパ選手権ダブルス優勝など、輝かしい成績を収めてきた。

 ドイツ日刊紙『Der Tagesspiegel紙』のウェブサイトにおいて「卓球は大いに発展してきたので、私も卓球に対する焦点を変えてみたい。」とコメント。「ボルのプレーを改善させる多くのポイントがある」と、早くもコーチ業への意欲に燃えている。ただし、現役を引退するとは明言しておらず、ブンデスリーガでもプレーを続ける。

 現在、ロシア・サンクトペテルブルクで開催中のヨーロッパ選手権。男女団体戦に続き、男女シングルスとダブルスが行われている。
 シード勢が登場している男女シングルスで、異変があったのが女子シングルス。まず前回大会女王で、団体優勝の立て役者となったリー・ジャオ(オランダ)が、シングルスとリュウ・ジャ(オーストリア)と組む予定だったダブルスを棄権。棄権の理由は「過労」だ。ヨーロッパチャンピオンズリーグにブンデスリーガ、そしてこのヨーロッパ選手権というタイトなスケジュール、ベテランのリー・ジャオには相当キツいに違いない。
 そして本戦のシングルス2回戦では、第3シードの呉佳多(ドイツ)がミハイロワ(ロシア)に3-4で敗れ、リー・ジエ(オランダ)も同じロシアのプロホロワに敗れた。ロシア勢、地元開催でかなり気合いが入っているのか。第2シードのリュウ・ジャはニルセン(ノルウェー)を、第4シードのボロス(クロアチア)は北京パラリンピック金メダリストのパルティカ(ポーランド)を、ともにストレートで退けた。

 男子シングルスには、現在のところ目立った波乱はなし。2回戦でフランスのマテネがスミルノフを破っている!と思ったら、こちらはエストニアのアレクサンダー・スミルノフ。ロシアの本家(?)のほうはアレクセイ・スミルノフなので、何とも紛らわしい。その他にもルーマニアにルチアンとアンドレイのふたりのフィリモンがいたり、スウェーデンから若手のヨン・パーソンが出ていたり、ダブルスでトキッチ(スロベニア)とトシッチ(クロアチア)がペアを組んでいたりと、なかなか紛らわしい。
 もっとも、さらに紛らわしいのが女子の帰化選手たち。リュウ・ジャ、リー・チェン、リー・ビン、リー・ジャオ、リー・ジエ、シュー・ジエ…とカタカナで書くともう何がなんだかわからない。「名前はフルネーム、協会名をしっかり確認」が原則です。

Photo:35歳のリー・ジャオ。バテました…
 北京五輪で5度目の五輪出場を果たしたシーラがその五輪を最後に現役を引退していたことがわかった。早速、現在行われているヨーロッパ選手権ではユーロスポーツフランスの解説者として活躍している。

 シーラは、1989年ドルトムント大会で世界選手権デビューを果たすと、2008年広州大会まで、フランスの主軸として活躍。ヨーロッパ選手権では1994・98年に団体優勝、2000年にはダブルスで優勝している。また、シドニー五輪ではガシアンと組んだダブルスで銅メダルを獲得するなど、フランス卓球界に大きな足跡を残した。

 また、シーラとともにフランスを支えてきたエロワは、今回のヨーロッパ選手権には不参加。フランスチームはベテラン・レグーは健在だが、2005年ヨーロッパジュニアを制したルベッソン、サリフー、マテネの3人が入り、大幅な若返りを図った。
 ヨーロッパ選手権期間中の5日、ETTU理事会が行われ、2011年ヨーロッパ選手権の開催地がポーランドの首都ワルシャワに決定した。

 ポーランドは面積が32.3平方キロメートル(日本の約4/5)、人口約3810万人の国。卓球クラブは1200以上、プレーヤー1万2000人以上を数える。最近ではさらに卓球人気が上がっているようで、ホビープレーヤーも10万人以上いるとみられている。

 ポーランドでは過去に、ヨーロッパユース選手権(1980年)が開催されたことがあるが、このようなビッグイベントの開催は初となる。また、ポーランド国営放送で、ヨーロッパ選手権が放送されることが決まっており、ポーランドでは卓球人気が過熱しそうだ。
 オランダ代表として長く活躍してきたケーンが、今月4~12日まで行われるヨーロッパ選手権を最後に国際舞台から退くと発表した。

 ケーンは1989年世界選手権ドルトムント大会で代表デビュー。以来、2007年ザグレブ大会まで、通算12回の世界選手権出場。五輪も、96年アトランタ五輪、2000年シドニー五輪、04年アテネ五輪と、3回出場を果たしている。大きな個人タイトルはなく、プロツアーでの優勝も1999年イングランドオープンでダブルスのみだが、オランダの顔として長く世界で活躍、記憶に残る選手だ。
 また、現在はドイツ・ブンデスリーガ1部のブレーメンに所属。日本の岸川のチームメイトとしてもおなじみだ。

 今後は、オランダアスリート委員会、オランダオリンピック委員会の一員として選手をサポートする側にまわる。完全に卓球を引退するわけではないが、ブンデスリーガ参戦も今季限りの予定だ。

 ケーンが現役最後の大舞台に選んだヨーロッパ選手権では、シングルスとダブルスに出場。ダブルスでは03年世界チャンピオンのシュラガー(オーストリア)とコンビを組む。
 ドイツ・ブンデスリーガ、9月28日の試合には梅村礼(ホルスターハオゼン/文化シヤッター)も登場。アウェイで、ベーブリンゲンと対戦した。

 エースで起用された梅村は2番で世界的にはほぼ無名のスコフ(デンマーク)に敗れるも、4番で昨季27勝4敗という好成績を収めているゴッチェ(ドイツ)を何とか下し、ラストへつなげた。ラストではバーテル/ミュールバッハ組がゲームオールで勝利し、ホルスターハオゼンは今季2勝目を挙げた。この試合は、0-2からの逆転勝ち。しかも3番バーテルからラストのダブルスまで、すべてがゲームオールの接戦を制してのもの。この勝利で勢いに乗って、上位争いに加わりたいところだ。

梅村礼(ホルスターハオゼン)
vs.ベーブリンゲン
 梅村 -6、-6、9、-8 スコフ○
○梅村 8、7、-17、-9、5 ゴッチェ
通算:単4勝2敗
   複1敗
 9月28日に行われた、ドイツ・ブンデスリーガのグレンツァオvs.ブレーメンの試合で、岸川がエースとして起用されるも2敗を喫し、チームも敗れた。

 前回のフリッケンハオゼン・ヴュルツブルグ戦でもエースとして起用されながら、期待に応えることができなかった岸川。今回は名誉を挽回したいところだったが、2番ではパベルカ(チェコ)に1-3、4番ではフェイヤー-コナート(ドイツ)に2-3で敗れ、2敗。チームも、3番でヒールシャー(ドイツ)がブラシュチック(ポーランド)を破った1点だけにとどまり、1-3で敗北。ブレーメンは2連敗となった。

岸川聖也(ブレーメン)
vs.グレンツァオ
 岸川 4、-5、-7、-7 パベルカ○
 岸川 8、9、-8、-8、-7 フェイヤー-コナート○
通算:3勝4敗