スマホ版に
戻る

速報・現地リポート

トップニュース速報・現地リポート

第4回世界ジュニア選手権大会

第2シードの高木和が中国の徐克に敗れた。団体戦に続いての敗戦だ。ラリー戦になれば高木和は五分五分だが、サービス、レシーブの差があり、要所でうまいブロックをされた。
団体戦でエネルギーを相当注いだ様子で、個人戦では精彩を欠いた部分もある。今後はメンタルタフネスを含めた向上が望まれる。しかし、今大会、特に団体戦での高木和はすばらしい試合を見せ、関係者にその名を印象づけた。すでにシニアのプロツアーでも実績を積み、世界ランキングも急上昇。今回の敗戦を今後に生かして欲しい。
16日の夕方。男女ダブルスの準々決勝が行われ、日本は大矢/松平賢二、照井/石垣の2ペアが準決勝に進出し、メダルを決めた。さらに輝くメダルを狙い、最終日を戦う。
シングルスでは高木和が中国のエース、14歳の徐克に団体戦に続き苦杯を喫した。一方、大矢は勢いが止まらず、イングランドのドゥリンコホールを一蹴し、この大会でもっとも光っている。元気いっぱいのプレーだが、相手を威嚇するようなガッツポーズに首をかしげる人もいる。次の徐との対戦が楽しみだ。一気に優勝を狙う。
15歳の健太は試合ごとに強くなっている様子だ。ここに来て彼の天分が一気に開花している感じだ。準々決勝では中国の3番手、姜海洋を完璧に封じた。ペン表速攻の姜海洋に対し先手を取る場面と打たせて盛り返す戦術をうまく使い分け、速攻もすばらしい。会場をうならせている。

●女子ダブルス準々決勝
石垣/照井(日本) 11-7, 11-6, 11-7, 5-11, 11-5 鄭怡静/ 熊乃儀(チャイニーズ・タイペイ)
●男子ダブルス準々決勝
大矢/松平賢二(日本) 7-11, 11-5, 11-4, 11-8, 11-8 韓知敏/イ・サンス(韓国)
16日夕方からの記録
●女子シングルス3回戦
武楊(中国) 8-11, 11-3, 11-6, 11-5, 11-8 ソリア(ドイツ)
石垣(日本) 11-8, 11-6, 11-6, 11-6 ゴロタ(ポーランド)
パク・ヨンスク(韓国) 11-8, 11-1, 11-9, 11-5 マツケ(ドイツ) 
馮亜ラン(中国) 11-9, 11-3, 4-11, 11-2, 11-9サマラ(ルーマニア)
分佳(中国) 11-7, 9-11, 8-11, 11-7, 11-6, 11-3 鄭怡静(チャイニーズ・タイペイ)
チャン・モ(カナダ) 11-7, 11-9, 11-54-11, 11-6 リ・ビン(ハンガリー)
木子(中国) 11-5, 4-11, 11-5, 11-5, 11-7 石川(日本)
ドデアン(ルーマニア) 8-11,12-10, 11-9, 8-11, 11-9, 8-11 パルティカ(ポーランド)

●男子シングルス3回戦
オフチャロフ(ドイツ) 11-9, 11-6, 11-5, 11-5 マリキ(ポーランド)
チェン・チェンアン(チャイニーズ・タイペイ) 11-7, 9-11, 11-9, 14-12, 6-11, 11-8 レベソン(フランス)
松平健太(日本) 11-, 8-11, 11-9, 11-8, 11-7 ツムデンコ(ウクライナ)
姜海洋(中国) 11-7, 11-5, 11-5, 13-11 サリフォ(フランス)
大矢(日本) 11-5, 5-11, 12-10, 7-11, 11-8, 12-10 江宏傑(チャイニーズ・タイペイ)
ドゥリンコホール(イングランド) 11-5, 11-3, 11-0, 7-11, 11-6 パイコフ(ロシア)
徐克(中国) 11-8, 11-9, 11-2, 11-4 デービス(オーストラリア)
高木和(日本) 11-5, 11-4, 11-4, 11-2 ボベ(フランス)
混合ダブルスでは大矢・宇土組が中国ペアに敗れ、メダル獲得はならなかった。ダブルスでは男女で3ペアが準々決勝に勝ち進み、シングルスでは5人がベスト16に進んだ。松平賢二がポーランドの選手にゲームオールのジュースの惜しい試合で敗れ、照井はチャイニーズ・タイペイの選手に不覚を取った。シングルスで松平健太がドイツのカットマン、フィルスから見事な逆手勝ちを収めた。過去の対戦では0勝2敗ということだったが、果敢に攻め、成長ぶりを示した。
16日の記録(午後まで)
●男子シングルス2回戦
マリキ(ポーランド) 7-11, 11-7, 11-8, 9-11, 11-9, 5-11, 17-15 松平賢二
松平健太  11-6, 4-11, 9-11, 11-9, 11-9, 11-5  フィルス(ドイツ)
大矢    11-7, 11-4, 11-5, 11-8   韓知敏(韓国)
高木和         12-10, 11-8, 11-3, 11-3      セ・ヒュンデク(韓国)
●女子シングルス2回戦
石垣           11-7, 11-5, 11-4, 11-4         イー・ホチン(韓国)
鄭怡静(チャイニーズ・タイペイ)11-9, 11-4, 6-11, 11-9, 6-11, 12-10 照井
石川   7-11, 11-4, 9-11, 11-6, 9-11, 11-6, 11-3 トロシュネワ(ロシア)
●混合ダブルス3回戦
大矢/宇土   11-9, 11-9, 11-7  フレイタス/ドデアン(ポルトガル/ルーマニア)
コラレク/パウコビッチ(クロアチア) 11-6, 13-11, 11-6 松平健/石川
●混合ダブルス準々決勝
姜海洋/文佳(中国) 10-12, 12-10, 11-6, 11-6, 11-9 大矢/宇土
●女子ダブルス3回戦
宇土/石川  11-8, 11-6, 9-11, 11-8    ヤン/チャン(カナダ)
石垣/照井  11-9, 11-5, 11-6       フェハー/モルナー(スロベニア)
●男子ダブルス3回戦
バク/マリキ(ポーランド) 11-6, 11-6, 10-12, 11-9 高木和/松平健
大矢/松平賢    11-3, 10-12, 11-3, 11-7  カーター/デービス(オーストラリア)
大会は残すところあと2日。世界ジュニア選手権は単にタイトルの争奪戦ではなく、ITTFが記すように、Where the future begin まさに世界の卓球界の将来が始まるところなのだ。将来の卓球界を背負う若者が集う場所。日本の福原、水谷のようにまだ資格がありながら出場しない選手も多い。これはタイトルが重要なのではないことを物語っている。彼らはすでにジュニアではなく、シニアレベルに到達しているからだ。もちろん今回の男子団体決勝のようにそこでプレーすること、勝利することの経験、負けることの悔しさと経験を積むことは非常に重要だ。今大会の選手を見て、将来、王励勤、ボル、王楠のようになるダイヤモンドの原石はいない。しかし、いずれ世界のトップクラスに名を連ねるかも、という素質のある選手はいる。そういう選手を探すのも楽しいものだ。
写真は混合ダブルスでベスト16に入った最年少ペアの松平健太/石川組。強豪クロアチアのパウコビッチを破った照井、第2ステージの初戦で敗れた宇土。
15日の試合が終わり、混合ダブルスで松平健太と石川の組がベスト16に進んだ。「1セット目は受け身になったけど、2セット目から攻撃的にやるようにした。石川さんと組むのは初めてだけど組みやすい」(松平健太)。「松平さんのサービスは相手によく効いて浮いてくるので狙っていきます。でも少し変化がついて返ってくるので注意が必要」(石川)。15歳と13歳という最年少ペアは注目されている。女子シングルスではインターハイチャンピオンの宇土がタイペイの熊に敗れた。照井はクロアチアのパウコビッチを下した。団体戦では中国の文佳に勝ち、ヨーロッパのトップジュニアのパウコビッチも下した照井にITTFのマーシャル記者も注目。「1セット目は自分の攻撃が空回りした。相手のバックハンドは回転も強いけど、ゆっくりくるので注意した。アジアの持ち味はフットワークだからしっかり動いて攻撃していくこと。彼女とは3回目だけど、1勝1敗だった」と照井。

混合ダブルス1回戦
大矢/宇土  11-6, 11-8, 11-5  ルニアン/レベスク(アメリカ/カナダ)
松平賢/石垣 11-4, 11-5, 11-5  ショーマン/エル-ショーバリ(エジプト)
松平健/石川 11-9, 13-11, 11-8 オマール/パパダキ(UAE/ギリシャ)
2回戦
大矢/宇土  11-4, 11-4, 9-11, 11-9 イ・サンス/ジン・ダイレ(韓国)
呉ハオ/馮亜ラン 11-9, 11-6, 11-7 松平賢/石垣
松平健/石川 7-11, 11-7, 11-7 11-6 メンゲ/ホザ(トルコ/ルーマニア)
女子ダブルス2回戦
宇土/石川 11-4, 7-11, 12-10, 11-5 ホウ・ユーリン/コン・シャオファン(チャイニーズ・タイペイ)
石垣/照井 11-6, 11-8, 11-9   バラゾワ/ラザルチコワ(スロバキア)

男子ダブルス2回戦
高木和/松平健太 3-11, 11-2, 7-11, 11-4, 11-8 セオ・ヒュンデク/セオ・ミュンドク(韓国)
大矢/松平賢二  11-2, 11-5, 6-11, 11-8  エバンス/ヤーナル(イングランド)

女子シングルス1回戦
熊乃儀(チャイニーズ・タイペイ) 7-11, 9-11, 10-12, 4-11, 11-7, 11-9  宇土
照井  11-13, 11-5, 11-7, 11-6, 11-9     パウコビッチ(クロアチア)
男女のグループリーグは各グループ3名ずつで上位2名がトーナメント(第2ステージ)に進む。日本女子の照井は中国の馮に競り負けた。しかし、中国代表に互角の勝負をした
男女予選リーグ
高木和 9-11, 11-5, 11-2, 8-11, 11-9  シュリシュター(ドイツ)
松平賢二 12-10, 11-4, 9-11, 11-13, 11-5 シェン(カナダ)
松平健太 11-4, 9-11, 11-8, 11-6  エリクソン(スウェーデン)
大矢   11-6, 11-6, 11-6     バルトゥルスカ(ベラルーシ)

石垣   11-3, 11-1, 11-5      サブリ(エジプト)
馮亜ラン  15-13, 6-11, 11-7, 12-10  照井
石川   11-6, 11-5, 11-3  ボウガドウム(アルジェリア)
男子シングルス予選リーグ
高木和  11-9, 11-8, 22-20     オベスロ(チェコ)
松平健太 11-8, 11-9, 11-6     メンゲ(トルコ)
松平賢二 11-2, 11-6, 11-13, 13-11 レビス(チリ)
大矢   11-6, 11-2, 13-11     カーター(オーストラリア)
女子シングルス予選リーグ
石垣   11-3, 13-11, 11-9     メドリコワ(スロバキア)
照井   11-6, 11-6, 9-11, 11-5   オーウェン(ウェールズ)
石川   11-5, 11-6, 11-4      エゼディン(ベネズエラ)
宇土  9-11, 11-3, 11-0, 11-9 シビタクス(ハンガリー)
石川  11-3, 12-10, 9-11, 11-2   バク(ポーランド)
石垣  11-8, 11-7, 13-11      パパダキ(ギリシャ)
照井  3-11, 11-8, 11-9, 9-11, 11-9 ホウ・ユリング(チャイニーズ・タイペイ)
グルツ(ドイツ) 11-5, 4-11, 11-8, 11-9  宇土

 今日午前中は日本勢が全勝。シングルスの予選リーグが進んでいる。松平賢二も登場して3-1で切り抜けた。彼は団体戦では黒子に徹し、チームを支えた。高木和はムードメーカーであり、エース、大矢も元気いっぱいな選手、そして賢二は練習相手や応援で獅子奮迅の働きをした。こういう選手がいるからチームの雰囲気も素晴らしかった。
 今朝、アメズィッチコーチと話をした。昨夜は悔しくて寝れなかったという彼の目は充血していた。「ラリー戦では勝っていた。サービス、レシーブでやられた。中国選手は確かに強い。まるでミクロの穴を通すような卓球だよ。でもみんなが同じスタイルじゃないか。日本選手の方が個性的で素晴らしくないか。昨夜は本当にクロスゲームだった。中国とは少しだけの差だ。日本は素晴らしいジュニア選手がいる。健太の下にも有望な選手がいる。彼らを育てれば5年後、そして10年、15年日本は世界でやれるはずだ」と彼は語った。
写真は松平賢二、そして昨夜の決勝で敗れた後に、高木和に語りかけるアメズィッチ。「タク、君は素晴らしい試合をしたんだぞ。すごく良かった。でも相手の中国も良かった。ただそれだけだぞ」と話しかけていた。
 高木和卓はエースとして素晴らしい試合を見せた。試合の流れのつかみ方、競り合いでの技術不足などがあるが、1年前と比べたら比較にならないほど成長している。何より気持ちのこもったプレーは見る人を感動させる。「中国のサービスがいいので、それでプレッシャーになって弱気になった面がリードした時にあった。レシーブ力も向こうが上だった。でもラリー戦では互角だった。自分がリードした時は自分では気を抜いていないが簡単に失点をすることがあり、1本の大切さを今回経験した。競った時に凡ミスも出た。レシーブからの戻りが速くなっているのでそれがカウンターの向上につながっている。エースとして勝たなくてはいけないし、チームを盛り上げなくてはいけなかったから、そう心がけた。チームの雰囲気は良かった。自分の力不足だった。もっと強くならないといけない。シングルス優勝するつもりで頑張ります」。
 大矢英俊は自分の世界を持った選手だ。非常に繊細な面と豪放な面の両面を持ち、卓球も独特だ。これからはいかに得意のフォアハンドに結びつけるか、台上技、フットワーク、戦術を磨いて欲しい。「世界ジュニアに選ばれた時点で、ぼくは3番に出ると何ヶ月も前から準備していた。団体戦では3番がすごく大事、だから絶対に勝つ気持ちを持った。きょうは1セット目は相手は下回転系を出してきたのが、2セット目から上回転系を出してきてそれが結構わからなかった。3セット目からはストップしないでフリックしてラリー戦に持って行こうと思った。最後は一か八かかけて自分が思ったようにやろうと。みんなで試合前に元気よくやろうと、挑戦しようと声をかけた。ぼくらに足りなかったのは・・中国のサービスに負けた。ぼくは2年前からベンチを外され悔しい思いをしてきたので、このチャンスに絶対勝つぞと思った」。
 15歳の松平健太は世界という舞台での団体戦の独特の雰囲気を味わった。来年は高木和のあとのエースとしてチームを牽引する役目になる。「1-1の3セット目にジュースになって、相手のサービスを1本も返せなかった。もっと1本1本考えてレシーブしなければいけなかった。トップで出て緊張はなかったけど、勝たなければいけないという気持ちが強かった。いい勝負だったけど競った時に得点できなかった。相手のサービスは球種はわかっていたけど、予想以上に切れていた。みんなの力を合わせてやれた団体戦だった。団体戦はもっと負けていても声を出してやらなくてはいけない」