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全日本卓球選手権大会

 全日本特集号は来月21日発売の4月号。10周年から、また新たな一歩です。
 スタッフ一同気合いの入った、カラー50ページの詳報にご期待ください! 
 今年の全日本選手権も無事閉幕した。この大会に向け、正月返上で練習してきた選手たちも、ようやくひと息というところだろう。
 今年は世界選手権(個人戦)が5月21~27日まで、クロアチア・ザグレブで行われる。男女とも昨年末に選考会が行われ、男子で韓陽、女子で平野早矢香が優勝してすでに代表権を得ていた。女子では福原愛も世界ランク最上位ということで、すでに代表権を獲得している。そして今回の全日本選手権で、男子では優勝した水谷隼、そして女子は選考会優勝の平野が優勝したため、自動的に選考会2位の樋浦令子が代表に選ばれた。男子2名、女子3名の代表が決定したことになる。
 シングルスの代表枠は5つ。残りは強化本部推薦で選ばれる。男子は今回準優勝の吉田は選ばれそうだ。女子準優勝の藤井はどうか? また、松平健太・石川佳純の選出はあるのか? 興味が持たれるところだ。

 男子シングルスで優勝した水谷はこの1年で筋力がアップし、線の細い印象だったのがグッと力強くなった。柔らかいボールタッチはそのままに、テクニックだけでなくパワーでも一般クラスになってきている。正直、優勝するにはまだ早いかと思っていたが、今大会で見せた強さは間違いなく本物だ。
 女子シングルス優勝の平野も安定した強さを見せた。昨シーズンはやや低迷した感があったが、今季は全日本社会人に続いて全日本も制した。向上心のある選手だけに、これからも技術を改革・改良して、独自の両ハンドスタイルを磨いていくだろう。
 
 優勝の最年少記録を更新した水谷を筆頭に、準決勝で吉田海偉に迫った大矢英俊、昨年に続いてベスト16入りした松平健太、そして女子で衝撃のベスト4入りを果たし、決勝進出まであと一歩だった中学2年生の石川佳純。彼らはミスを恐れない。そして一般やジュニアというカテゴリーも関係ない。どの選手にも真っ向から勝負を挑み、そして打ち破っていった。

 日本卓球界が芽吹きの時を迎えようとしている。しかもその芽は太く、たくましい。卓球というスポーツを、もっと明るく、もっと楽しい方向へ、導いてくれるような気がしている。
 男女シングルスの決勝戦の前には、歴代の全日本チャンピオンたちの写真とプレーがスクリーンで流され、会場のマニアたちを(?)喜ばせた。荻村伊智朗さん、河野満さんのプレーも流れて、ちょっとビックリ。
 また、下写真のように、決勝戦では選手の入場の時に場内の照明を落とし、スモークを焚き、まるで格闘技のようなライトアップ。少しずつではあるが、「見せる大会」への改革も進んでいるのだ。
「前回は負けていたので、向かっていくだけだなと思ってましたが、相手のほうが勝負どころではいいボールが出てましたし、自分がいいボールだと思っても、それ以上のボールが返ってきた。相手のフォアがイヤだったので、バックに持ってったのですが、やはり要所、要所でもっとフォアとかミドルを狙えば良かったと思います。
前回の全日本の決勝では、気持ち的にホントに勝ちたいという気持ちが薄かった。決勝に初めて行けて、その時は初ランクだったので、その時点で満足していた自分がいました。しかし、今回は気持ちの面で充実していましたし、競った場面でも思い切ってプレーすることができたので、悔いがないということはないですが、まぁやれることはやったと思います」と試合後に述べた藤井。
3年前のリベンジに燃えたが、今回も敗れた。バランスの良いオールラウンダーだが、一発の攻撃力、フォアハンドでの積極性、またラリーでの安定性において、平野に若干劣っていたように見えた。しかし、2度目の決勝進出を果たし、その高い実力を証明したのも確かだろう。努力を惜しまない彼女ならば、三度決勝の舞台に立ち、笑顔で表彰台のてっぺんに登るのも夢ではない。この悔しさをバネにして、さらなるステップアップをしていくことを期待したい。
女子シングルス決勝は、3年前と同じカードとなった。
前回は6ゲーム目で藤井がマッチポイントを握りながら逆転され、平野が4-3で勝利を収めている。

試合はバック対バックの展開が多くなったが、安定感で勝る平野がラリーの主導権を握った。藤井は少し無理をしないと点を取れず、無理をすればミスも多くなる。藤井にとっては苦しい試合展開となった。
さらに平野はフォア前を中心に、バックロングへのスピードあるサービスを効果的に使い、藤井にレシーブの的を絞らせず、サービス時の得点率も高かった。逆に藤井は、点を取れるパターンがバックドライブをストレートに打った時以外にほとんどなく、その点でも平野が優位に立っていた。

藤井も懸命に粘り、5ゲーム目は6-7から5本連取するなど見せ場は作ったが、2ゲームを取るのが精一杯。最後は藤井のボールがネットにかかり、平野の2年ぶり3回目の優勝が決まった。

「1、2回目とはまた違う嬉しさがあります。一試合目から厳しい試合だったので、どの選手とも厳しい試合だったと思います。作戦以上にやはり3年前もここで藤井選手と決勝ができたので、今回ももう一度この舞台で戦えることがすごく嬉しくて、思い切って試合をしようと思いました。この一年なかなか自分が思うようにいかなかった時期が多かったので、そういう時に支えてくれた大嶋先生をはじめ、ミキハウス関係者の方々にすごく感謝しています。まだまだ足りない部分が多いので、もっともっとレベルをあげていきたいと思っています。 世界のトップクラスと五分に戦えるくらいに自分もレベルを上げて、もっともっと挑戦していきたいと思います。応援ありがとうございました」
と平野は涙を浮かべながら優勝インタビューに答えていた。
第6ゲーム 
平野 11-6 藤井

平野早矢香 4-2 藤井寛子
平野が2年ぶり3度目の優勝!!
第5ゲーム
平野 7-11 藤井
第4ゲームは11-8で平野。

これで平野3-1藤井となった
平野早矢香(ミキハウス)対藤井寛子(日本生命)
の決勝戦が行われています。

平野 11-9  藤井
    8-11
   11-3 

第三ゲームが終わって平野が2-1とリード

 決勝で吉田海偉を下し、初優勝を決めたジュンこと水谷隼。長谷川信彦の持つ18歳9ヶ月という最年少優勝記録を更新し、17歳7ヶ月で優勝。男子ジュニア・男子ダブルス・そして男子シングルスの3冠王となった。
 決勝では水谷のサービスが序盤から威力を発揮した。インパクト後にラケットを引き上げるようなフォロースルーが特徴だ。YG(逆横回転系)サービスも巧みで、吉田はたびたびレシーブを浮かせ、水谷に3球目攻撃を決められていた。打つ直前に一瞬のタメがある水谷のフォアドライブは、相手の対応が一瞬遅れるようだ。
 そして、台上処理のタッチも非常に柔らかい。吉田の弱点である台上をストップで徹底的に突いた。第4ゲームではゲームポイントで、ストップ対ストップから吉田のストップが浮いたところを飛び込みざまの台上強打で決めた。
 今大会は集中力が途切れることもなく、チャンスボールに対しては迷わず強打を打つ。吉田のバックフィッシュからの反撃も、バックに曲げるカーブドライブで封じた。パワードライブに対しても、臆することなくカウンターで打ち返していた。

★水谷・優勝者インタビュー
「吉田選手はすごい勢いのある選手なので、その勢いに負けないように自分も声を出して全力でぶつかっていきました。自分のサーブが予想以上に効いていたので、そこをうまく利用しました。今回優勝したことで世界選手権に出られることになって、また来年には北京オリンピックもあるので、北京オリンピックに出場できるようにこれから練習していきたいです」