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世界選手権ザグレブ大会(個人戦)

 4ゲーム終了するまで李暁霞が郭躍のフォアサイドへ大きく回し、リターンされたドライブを李暁霞は両ハンドで速いドライブで応戦した。この展開に郭躍はタイミングが合わず、フットワーク、スイング、両方とも筋肉が硬く、スムーズさに欠けていたが、5ゲーム目から郭躍の調子が上がり、最初のポイントは台上バックハンドが鋭く入り出した。台上攻撃が決まり出すと、手首の切れが良くなり、前半の堅さがウソのように両ハンドとも本来の郭躍の鋭いドライブが戻ってきた。
 郭躍はサービス、レシーブから3球目攻撃までの展開も最終ゲームに入ってから、その鋭さが増し、5ポイント連取して、優勝の流れをつかんだ。
 一方、李暁霞は長身を生かしたバックハンドの強さ、大きく振りかぶったフォアドライブの強さは男子選手のトップクラスと比較しても劣らないほどの強さがあった。
●女子シングルス決勝
郭躍(中国) 4(8-11,11-7,4-11,2-11,11-5,11-2,11-8)3 李暁霞(中国)
 若手とベテランの戦い。若手の勢い、ラリー戦でのフットワークの強さをハオは見せたが、王励勤の豪快な両ハンドのドライブ攻撃、特にサイドを切ったクロスボールはハオにしても及ばなかった。戦術のバリエーションも王励勤は前陣ではフォアストレート、バックストレートを巧みに使いこなし、最後は大きな両ハンドドライブに引き込んでしまう。やはりせかいの第一人者としての風格をこの一戦で見せた。
 ボルは柳承敏のフォアからのドライブをカウンターショートで柳承敏のバックに送り、その後のボールをフォアハンドドライブで打つといった、「後の先」戦術を選択した。見方によれば、正攻法の戦いに見えるが、世界の準々決勝では柳承敏のフォアハンドのフルスイングのドライブは簡単にはバックで止められなかった。
 この作戦が、結果的にボルの消極的なプレー、中途半端なプレーとなり、ボル自身のパフォーマンスが上がっていかない戦い方に終始してしまった。かたや、柳承敏は前半ボルがフットワークを使ってフォアドライブで攻めてくると予想していたが、甘いボールが多く、徹底的に台との距離を合わせ、フォアハンド一発で攻め込む作戦に切り替えた。ほとんどラリー戦に持ち込むこともなくポイントが決まってしまった
 3-0となり、土壇場に来たボルは8-10とマッチポイントを取られてから初めてラリー戦で両ハンドでのパワードライブを打ち込んだ。この一球で流れが変わろうとして、連続ドライブ攻撃でボルはジュースに持ち込み、ジュースの時点でもボルは3球目ドライブを落ち着いてスイングし、ゲームポイントを握るまで追いあげたが、最後は柳承敏の素晴らしいフォアハンドドライブがボルの上向いた調子を押さえ込んだ。
●男子シングルス準々決勝
王励勤(中国) 4(11-7,11-5,11-8,11-8)0 ハオ帥(中国)
●男子シングルス準々決勝
柳承敏(韓国) 4(11-9,11-7,11-3,14-12)0 ボル(ドイツ)
 まだ準々決勝2試合を残しながらも、高島解説者は早くも優勝を予言。急遽できた新コーナー、「高島規郎がズバリ言うわよ!」。王皓が優勝とのこと。ちなみに編集部では、高橋発行人は「王皓(便乗ではない!と本人)」。トモはティモ・ボル。今野は王励勤(希望は柳承敏)。この予言は外れた時点で削除します、あしからず、ごめんなさい。
 王皓は中国本来のカット攻略法を絵に描いたような速攻攻撃を見せた。ドライブ、ドライブで粘って強打する戦法を使わず、ショートサービスを出し朱世赫にツッツキレシーブをさせ、徹底した3球目のミドル攻撃と、フォアサイドを切ったドライブ攻撃を織り交ぜた展開で試合を進めた。かつ、長いラリー展開に持ち込まず、カットマンが一番苦しいプレーに追い込んだ。朱世赫もドライブに対して中陣からカウンタードライブを厳しいコースに攻撃するが、ブロック、またはカウンタードライブで封じられた。または、バックのツッツキに対して朱世赫はドライブ攻撃の体勢を作るが相手をよく見た王皓は裏面ドライブに切り替え、朱世赫を圧倒した。
 ラリー戦でサムソノフ有利と見られたが、今回の馬琳の台上フォアハンド攻撃の鋭さは、以前より、切れ、威力とも増し、すべてのポイントと言えるほど、馬琳の先手速攻が光った。台上攻撃でもコート全面をカバーするフォアハンドと、時折見せる台上でのバックハンドショートプッシュ、バック裏面での横回転ドライブを織り交ぜた台上のバリエーションは完全にサムソノフのプレーを封じ込めた。サービスを持ったときには、徹底的にサムソノフのバックミドル前に小さく、やや斜め下回転サービスを集め、サムソノフのストップレシーブを誘い、次を自分の台上攻撃に結びつけた。
 サムソノフもラリーに持ち込み粘ったが、やはり先手先手とラリーに持ち込んだ馬琳に対して優位に立てなかった。このゲームの勝因は馬琳の見事な台上攻撃の進歩だった。
 長身から繰り出す李暁霞の両ハンドドライブで、ゲームを優勢に進める。特にフォアクロス、バックストレートのフォアハンドドライブの威力が郭炎のカウンター攻撃を封じた。李暁霞の両ハンド攻撃の切り替えのスムーズさ、特にバックハンドドライブによる先手攻撃に結びつけた連続両ハンドドライブは世界の一級品と思われる。郭炎の両ハンド攻撃に対して、李暁霞が完璧なカウンター攻撃で対応した試合運びであった。