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フォルクスワーゲンオープン

●女子シングルス準決勝
張怡寧(中国) 8、6、9、-6、8 郭炎(中国)

 やはり同士討ち、静かな中で進行した準決勝第1試合は張怡寧が完勝。張怡寧のライジングのバックドライブに比べると、郭炎のバックドライブは打球点がどうしても遅くなり、郭炎がせっかくラリーで押し込んでも、張怡寧のバックドライブ一発でラリー展開が不利になってしまう。もっとフォアドライブを多用してほしかったが、張怡寧のバックハンドで振り回されることを考えると、安易には回り込めないのだろう。

 「チョーッ!」を連発していた頃の郭炎は、06年荻村杯決勝(vs.王越古)の大逆転負けでもわかるように、メンタルのコントロールを失う場面もあった。今は冷静に試合を進めるようになったが、あの「チョーッ!」が少し懐かしい気もする。
 例年より期間が1日延長された荻村杯も、いよいよ最終日。男女シングルス準決勝の対戦カードは以下のとおり。

★女子シングルス準決勝
10:30~ 張怡寧(中国) vs. 郭炎(中国)
11:05~ 李暁霞(中国) vs. 郭躍(中国)

★男子シングルス準決勝
11:40~ 王皓(中国) vs. 馬龍(中国) 
12:15~ 王励勤(中国) vs. 馬琳(中国)

 女子シングルス準決勝の第1試合、張怡寧vs.郭炎は05年世界選手権上海大会、第2試合の郭躍vs.李暁霞は07年世界選手権ザグレブ大会の決勝と同じカードだ。この中では、05・06・07年といずれも決勝で涙を飲んでいる郭炎に注目したい。今大会は馮天薇(シンガポール)、帖雅娜(中国香港)をストレートで下すなど好調だ。
 男子シングルスはやはり王励勤vs.馬琳の準決勝第2試合が楽しみ。05・07年世界選手権決勝で対戦しているふたりは、中国男子チームの永遠のライバル。この荻村杯の前に行われたフォルクスワーゲンオープン中国大会準決勝では王励勤が4-3で勝利しているが、今回は果たして?
 
 さあ、残りの気力を振り絞ってお伝えしましょう!
(速報では毎回こんなことを言ってますが、実際にそのとおりなんです…)
 トップ:王励勤vs.譚瑞午
 現世界チャンピオンと対戦した譚瑞午は、広東省の仙頭(スワトウ)卓球学校の出身で、2番に出場した馬琳や、現在は国家男子チームのコーチである劉国正と同門だ。運動能力が高く、俊敏な動きからフォア強打を連発、準決勝・韓国戦ではトップで柳承敏を沈めたが、王励勤には通用せず。王励勤の完璧なバックブロックの前に、どうしても強引な攻撃に出るを得ず、それがまたブロックにつかまる展開。
 譚瑞午は下回転サービスでたびたびサービスエースを奪い、パワードライブを必死でブロックしたが、王励勤には油断はなかった。第3ゲーム、譚瑞午が4-10から8-10まで追いすがったが、決死のフォアフリックがオーバーミスして勝負あり。

2番:馬琳vs.プリモラッツ
 第1ゲーム、プリモラッツは積極的なフォア攻撃で馬琳のフォアサイドを打ち抜くなど、往年の切れのあるプレーが復活。馬琳から11-8で第1ゲームを奪う。しかし、第2ゲーム3-5から馬琳が8本連取すると、それからは終始馬琳のペース。プリモラッツは中陣に下げられる展開が目立ち、善戦むなしく敗退。

ダブルス:王皓/馬琳vs.譚瑞午/ガチーナ
 サービス、レシーブで完全に若手のガチーナが翻弄されたこの試合。ソフトなレシーブは痛打され、大きくなったサービスは一発で打ち抜かれる。王皓の横回転の変化の激しいフリックは驚異で、第1ゲーム7-0、第2ゲーム5-0と一気にリードを広げ、盛り上がりを欠く展開に。第3ゲームも10-6から譚瑞午のバックハンドがネットミスして、あっけなく終戦。クロアチア、決勝進出は大健闘だったが、中国に一矢を報いることはできなかった。
 トップ:郭躍vs.リ・ジャウェイ
 08世界団体戦・広州大会、女子決勝トップの再現となったこの一戦。中国女子チームの首脳陣は、この対戦になることを予想して郭躍をトップに配したのだろう。郭躍は首脳陣の与えた試練に対して、ひとつの返答を出すことができた。結果的にこのトップだけが、決勝戦で唯一盛り上がった試合だった。
 前陣を死守してブロックし、郭躍を左右に振ろうとするリ・ジャウェイに対し、郭躍は無理に強打を連発しようとせず、落ち着いて両ハンドドライブで攻略にかかる。第4ゲームに3度のマッチポイントを奪いながら、レシーブが慎重になって落としたが、最終ゲームの10-8では得意の3球目シュートドライブをバッククロスに決めた。

 2番:王楠vs.馮天薇
 世界ランクを一気に9位まで上げてきた馮天薇。今大会のダークホースとしての活躍に期待したが、シングルス2回戦では郭炎(中国)にストレート負け。この決勝でも今ひとつ調子に乗れなかった。王楠の伸びのある安定したバックハンドに比べると、馮天薇のバックハンドはまだ未完成。王楠の得意と馮天薇の不得意がカッチリはまってしまったような試合だった。王楠、ストレート勝ちで一気に勝利を引き寄せる。

 3番ダブルス:郭躍/張怡寧vs.リ・ジャウェイ/王越古
 この試合も張怡寧/王楠のダブルスを崩して、郭躍/張怡寧のダブルスを起用した中国女子チーム。五輪本番でも今回のように王楠を2点起用するのか。緊急事態に備えた予行演習のようにも思える。
 試合はリ・ジャウェイ/王越古ペアのコンビネーションが今ひとつ。特に王越古のバックハンドにミスが目立ち、中国ペアにプレッシャーを与えられない。シンガポールペアは最後まで気合いを入れるでもなく、そのまま敗れ去った。シンガポールの鬼門はダブルスなのか。北京五輪に不安を残す形で、そして中国女子チームの予想どおりの完勝という結果を残して、女子団体は幕を閉じた。  
●男子団体決勝

 中国 3-0 クロアチア
○王励勤 7、8、8 譚瑞午
○馬琳 -8、5、5、5 プリモラッツ
○馬琳/王皓 3、4、6 譚瑞午/ガチーナ
●女子団体決勝

 中国 3-0 シンガポール
○郭躍 -9、11、6、-12、8 リ・ジャウェイ
○王楠 7、9、6 馮天薇
○張怡寧/郭躍 6、6、-8、9 リ・ジャウェイ/王越古

 女子団体は中国が制覇!
●男子シングルス準々決勝
王皓(中国) -7、11、-6、10、4、7 陳杞(中国)
馬龍(中国) 9、-9、-5、-9、10、7、9 朱世赫(韓国)
王励勤(中国) 7、5、7、3 蒋澎龍(チャイニーズ・タイペイ)
馬琳(中国) -9、3、9、1、9 張ユク(中国香港)
●男子シングルス準々決勝
王励勤(中国) 7、5、7、3 蒋澎龍(チャイニーズタイペイ)

 張怡寧が強ければ、王励勤も強い。05年世界選手権男女シングルスを制した2人が、今大会敵ナシの強さを見せて勝ち進んでいる。
 先ほどお伝えした張怡寧同様、王励勤もスキのない攻守で、蒋澎龍を圧倒した。快速プッシュと、ペンドライブ型ならではの豪快なフォアドライブが武器の蒋澎龍だが、サービス・レシーブで翻弄され、手も足も出ない状態。2回戦で中国の張継科に勝って進んできたが、同じ中国選手といっても、さすがに世界選手権2連覇の偉業を成し遂げた王励勤は一枚も二枚も上だった。

 王励勤、蒋澎龍は01年世界選手権大阪大会で、それぞれ優勝、3位という実績があるが、王励勤は世界チャンピオンになったあとも進化を続け、年々打点が早くなっているが、蒋澎龍のスタイルは01年世界選手権大阪大会当時のまま。また、年齢的にはプレーヤーとしてのピークを過ぎた感のある両者だが、王励勤の体つきは今なおアスリートのそれであり、相当なトレーニングを積んでいることが伺える。一方、蒋澎龍の体つきはトップ選手というにはやや物足りない。歩みをとめないチャンピオンが、その差を大きく広げた結果が現れた試合だった。
●男子シングルス準々決勝
馬龍(中国) 9、-9、-5、-9、10、7、9 朱世赫(韓国)

 朱世赫、残念。男子シングルス準々決勝で、第5ゲーム10-9と馬龍からマッチポイントを奪い、ベスト4進出まであと一本としながら、馬龍の渾身のカット打ちに押し切られた。
 しかし、現在も進化を続けるフィジカルの強さに加え、カーブロングからカットではなく、前に出てドライブ連打を仕掛ける積極性を見せた。バックのブツ切りカットからスーッと前陣に出て、強烈な攻撃を見せる朱のプレーは、やはり大会の華。超満員の観客を大いに魅了する準々決勝屈指の好ゲームとなった。
●女子シングルス準々決勝
張怡寧(中国) 6、6、4、8 王越古(シンガポール)
郭炎(中国) 4、4、4、6 帖雅娜(中国香港)
李暁霞(中国) 2、8、6、8 姜華君(中国香港)
郭躍(中国) -9、-8、4、11、4、-7、7 曹臻(中国)

下写真:曹臻のバックハンドでのミドル攻めに苦しみながら、ゲームオールで振り切った世界チャンプ郭躍。準決勝ではダブルスを組む李暁霞と対戦する。