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フォルクスワーゲンオープン

●女子シングルス準々決勝
張怡寧(中国) 6、6、4、8 王越古(シンガポール)

 とにかく強い張怡寧だった。しかし、一体どこが強いのだろうか。「完全無欠の両ハンドドライブ」と書いてみたところで、それは彼女の強さを表現しているとは言えない。王越古の快速強打でさえ、まるで問題にせず楽々と返球してしまう。決定打が決定打でなくなる。
 それなりにミスもするのだが、対戦相手がそこに勝機を見出せるとは思えない。バックドライブからフォアドライブへの切り替え、回り込みは完璧。あえて言うならば、フォアへの2度攻めでやや体勢を崩すことがある。しかし、そこからの立て直しも驚くほど早い。
 顔色ひとつ変えずに繰り出す完璧な逆モーションドライブ。試合後の涼しい表情。五輪女王が、いよいよ目の色を変えてきたようだ。
●男子シングルス・ベスト8決定戦
王皓(中国) -6、4、-9、1、9、7 李静(中国香港)
陳杞(中国) 5、7、-7、11、7 韓陽(東京アート)
朱世赫(韓国) -9、10、6、9、9 シュラガー(オーストリア)
馬龍(中国) 6、3、9、4 モンテイロ(ポルトガル)
王励勤(中国) 3、2、9、11 唐鵬(中国香港)
蒋澎龍(チャイニーズタイペイ) -8、5、6、-10、7、10 張継科(中国)
張ユク(中国香港) 6、6、6、7 梁柱恩(中国香港)
馬琳(中国) 5、11、-8、6、5 メイス(デンマーク)

 男子シングルスのベスト8が出揃った。ベスト16に3名残っていたヨーロッパ選手はここで全て姿を消した。
●男子シングルス2回戦
張ユク(中国香港) 6、6、6、7 梁柱恩(中国香港)

 張ユクvs.梁柱恩の試合は、「まさに同士打ち」といった印象。梁柱恩が全く攻撃する気配を見せず、ショート、ショートの繰り返し。トップ選手によるハイレベルな試合を楽しみにして、会場を訪れたファンにとっては残念な試合となった。
 先ほどの女子シングルスのシンガポール勢の同士打ち、王越古vs.スン・ベイベイは両者気を抜かないゲームが展開され、お互い手の内を知り尽くしているだけに接戦となり、好ゲームとなった。確かに同士討ちはやりにくい面もあるが、観客がいる大会、ましてや国際大会においてはこのような気の抜けたような試合は見せて欲しくないものだ。
 男子シングルス第2ステージ2回戦、03年世界選手権パリ大会の再現となったシュラガー(オーストリア)vs.朱世赫(韓国)。試合前、シュラガーは塩野真人をスパーリングパートナーにして、バックドライブによるカット打ちの練習などをしていた。男子のカットマンは朱世赫以外では彼だけなのだ。

 試合はさすがに両者、手の内を知り尽くした攻防。朱世赫の強烈なカットからの反撃も、シュラガーはやや台から距離をとってがっちりブロック。一発では抜けない。そして両ハンドで伸びのあるカット打ちを見せ、1ゲーム先取する。
 しかし、朱世赫も第2ゲーム以降はドライブを多用。ブロックで止められてもシュラガーに安心してカット打ちをさせず、次第にペースを掴む。3ゲームを連取し、競り合いとなった第5ゲームも10-9のマッチポイントから、フォアクロスにパワードライブを決めた朱世赫が勝利。
 パリ大会から今大会までにも幾度となく対戦しているが、やはりパリ大会を思い出させるふたりの対戦だった。

●男子シングルス第2ステージ2回戦
朱世赫(韓国) -9、10、6、9、9 シュラガー(オーストリア)
●男子シングルス第2ステージ2回戦
陳杞(中国) 5、7、-7、11、7 韓陽(東京アート)

 勝てばベスト8進出となるこの試合、日本勢最後のひとりとなった韓陽は、中国ナショナルチームの後輩である陳杞と対戦。年齢は韓陽のほうが6歳年上、テクニックの韓陽と強打の陳杞の対決となった。

 試合は序盤から、韓陽のショートを陳杞がキレのあるドライブで打ち抜く。前後への動きも良く、サービスが甘くなればレシーブドライブで一発で決めてしまう。陳杞2ゲーム連取。しかし、韓陽も第3ゲームからサウスポー陳杞のフォアをドライブでうまく攻め、反撃。1ゲームを取り返して第4ゲームも10-7とするが、ここで決めきれず。このゲームが勝負の最大の分かれ目だった。結局1-4で陳杞に敗れた韓陽、日本男女は良く健闘したが、ここで全員が姿を消した。

★韓陽、試合後の記者会見
「試合の準備はしっかりできていたし、結果としては負けたけど、内容には満足している。4ゲーム目をとって2-2にできれば良かったけど、そこを取られたのが痛かった。北京五輪まで80日を切ったので、特に体力面のトレーニングをやっていきたい。このあとの韓国オープン、シンガポールオープンのあとでしっかり時間をとってやりたい。五輪での目標はシングルスのベスト8です」

下写真右:記者会見で通訳を務めたのは、偉関晴光さんの奥さんである絹子さん
●女子シングルス第2ステージ2回戦(ベスト8決定戦)
張怡寧(中国) 5、6、8、11 ポータ(ハンガリー)
王越古(シンガポール) 13、-11、-10、3、1、5 スン・ベイベイ(シンガポール)
郭炎(中国) 6、6、9、5 馮天薇(シンガポール)
帖雅娜(中国香港) 8、12、8、-2、8 唐イェ序(韓国)
李暁霞(中国) -12、8、11、12、7 金キョン娥(韓国)
姜華君(中国香港) 9、9、7、10 福原愛(ANA) 
曹臻(中国) -7、-6、7、1、7、8 リ・ジャウェイ(シンガポール)
郭躍(中国) 7、3、8、-8、3 柳絮飛(中国香港)

 中国5人衆、同士討ちになるまでは一度も負けないのか。中国5人、中国香港2人、シンガポール1人、いずれも中国人選手。予想できた結果ではあるが、準々決勝でもガチンコ勝負を見せて欲しいところ。
 今年2月の広州大会・女子団体決勝トップで郭躍をストレートで破り、今大会も中国の上位独占に割って入るかと思われていたリ・ジャウェイが曹臻(ツァオ・ヂェン)にゲームカウント2-0から逆転負け。ベスト8進出を阻まれた。

 日本ではあまり馴染みのない曹臻だが、これまでにプロツアー4大会で優勝している実力者。小柄だが馬力のあるバック表ソフトのシェーク攻撃型だ。リ・ジャウェイに勝った一戦では、フォア表ソフトのリ・ジャウェイに対し、フォアサイド深くにボールを送り、やや甘く返ってきたボールをライジング攻撃、リを台から下げて主導権を握った。フォア表選手の泣き所を突き、見事に攻略した。

●女子シングルス第2ステージ2回戦
曹臻(中国) -7、-6、7、1、7、8 リ・ジャウェイ(シンガポール)
 女子シングルス第2ステージ2回戦、福原愛(ANA)は姜華君(中国香港)にストレートで敗れた。満員の場内からはそのプレーに大きな拍手が送られたが、姜の前陣攻守は崩せなかった。

 福原は第1ゲームからやや両ハンドの精度が低く、調子に乗りきれない状態。試合後の会見で「朝イチの試合に弱いので、それを克服したい」と語ったが、確かに課題のひとつかもしれない。それでも、第1ゲーム3-8、第2ゲーム0-7のビハインドからよく挽回し、スピードのあるバックハンドを決めたが、ともに9本で落とす。
 第3ゲームもバックハンドにネットミスが多く、福原苦しい表情。7-11で落とす。第4ゲーム、はじめて6-2と中盤でリード。6-3からレシーブドライブを決めて7-3。会場は大いに沸く。しかし、ここから8-7まで追い上げられ、ここでタイムアウト。流れをこのまま変えることができず10-11からバッククロスへの3球目強打がオーバーして試合終了。ベスト16で進撃はストップした。

☆福原愛、試合後の記者会見
「姜華君とは今まで2回やったことがあって、そのことは気にしないようにしたけど、前回も同じような感じで負けました。五輪前なので、最低でもベスト8に入ることが目標でした。達成できなくて悔しいです。今はチームランキングを上げるのも大きな目標なので、それができないのも悔しい。大会全体を通しての試合内容は良かったと思います。あとは朝イチの試合に弱いので、そこを克服していきたい。相手に自分の心理を読まれないように、もっとポーカーフェイスでいきたい」

下写真右は姜華君が時折見せたバックカット。これがクセ球で、低くて良く切れていた
 場内は前売り券が完売、当日券もほとんどソールドアウト。なんと立見券が発売されている荻村杯の大会第4日目。「立っても見たい」大会なのだ。
 今日は10時からスタートする女子シングルス第2ステージ2回戦に、福原愛(ANA)が早くも登場。対戦相手は姜華君(中国香港)。世界トップクラスの異質速攻型対決だ。11時30分スタートの男子シングルス第2ステージ2回戦では、韓陽(東京アート)と陳杞(中国)の対決も楽しみ。
 ベスト8決定戦となる第2ステージ2回戦の組み合わせはこちら。

☆女子シングルス・ベスト8決定戦
張怡寧(中国) vs. ポータ(ハンガリー)
スン・ベイベイ(シンガポール) vs. 王越古(シンガポール)
郭炎(中国) vs. 馮天薇(シンガポール)
帖雅娜(中国香港) vs. 唐イェ序(韓国)
李暁霞(中国) vs. 金キョン娥(韓国)
福原愛(ANA) vs. 姜華君(中国香港)
リ・ジャウェイ(シンガポール) vs. 曹臻(中国)
郭躍(中国) vs. 柳絮飛(中国香港)

★男子シングルス・ベスト8決定戦
王皓(中国) vs. 李静(中国香港)
韓陽(東京アート) vs. 陳杞(中国)
朱世赫(韓国) vs. シュラガー(オーストリア)
馬龍(中国) vs. モンテイロ(ポルトガル)
王励勤(中国) vs. 唐鵬(中国香港)
張継科(中国) vs. 蒋澎龍(チャイニーズタイペイ)
張ユク(中国香港) vs. 梁柱恩(中国香港)
馬琳(中国) vs. 馬琳(中国)

 そして今日は女子団体決勝が18時から、男子団体決勝が20時から行われる。場内は選手から「エアコンは風が舞ってボールが揺れる」というクレームが出たため、空調を切っての運営。満員の場内と合わせてかなり蒸し暑いが、速報班はまだまだ元気。本日もご期待下さい!

下写真は場外のチケット売り場の様子です。
●男子シングルス第2ステージ1回戦の主な結果
モンテイロ(ポルトガル) 3、-4、9、5、7 ヤン・ツー(シンガポール)
張継科(中国) -3、4、3、-6、6、3 プリモラッツ(クロアチア)
張ユク(中国香港) 11、9、6、9 柳承敏(韓国)
梁柱恩(中国香港) 8、-6、5、-4、9、5 荘智淵(チャイニーズタイペイ)

 韓国のツインエースが早くも姿を消した。韓国男子で残ったのは朱世赫のみ。ポルトガルから単身参戦したモンテイロ(下写真)は、ハングリーな戦いぶりでヤン・ツーを下してベスト16入り。フォアドライブのスイングは決してシャープではないが、根性のドライブ連打でヤン・ツーを押し切った。