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世界選手権ロッテルダム大会(個人戦)

 先ほど、メインアリーナの照明が突然落ちてしまった。試合ももちろん中断、選手たちはジャージを羽織り、体を冷やさないようにコートを歩き回っている。

 第2会場に登場したのはルーマニアのフィリモン。08年世界団体選手権で王励勤(中国)をノックアウトした怪腕だが、相手が格下ということもあってか少々おとなしいプレー。ベンチに座る背中は、あれやこれやの筋肉がこぶのように盛り上がっていた以前に比べると、ちょっと小さくなった感あり。
 練習会場では日本代表をはじめ、各国の選手たちが汗を流している。色とりどりのウェアの花が咲き、人種と国籍とプレースタイルの展示場。日本代表も相当気合いが入ってきた。
 大会第2日目のロッテルダム。朝方はすっきりと晴れていたが、いつの間にか雲が広がり、あいにくの雨模様。肌寒い風が吹き抜けて、昨日よりもずいぶん気温が下がったようだ。
 今日は19時45分から、混合ダブルス1回戦がスタート。メダルが期待される日本の3ペアが出場する。組み合わせは以下のとおり。

●混合ダブルス1回戦
松平健/石川 vs. ワンシリ/ムアンスク(タイ)
岸川/福原 vs. クレプルヤ/トドロビッチ(セルビア)
松平賢/若宮 vs. イドウ/ハン・シン(コンゴ共和国)

下写真:男子シングルスの予選トーナメントに出場したアラミヤン兄弟の弟、ニマ・アラミヤン。08年世界ジュニア選手権で松平健太を破って名を馳せた、兄のノシャドに比べ、弟はやや長身で細身、そして右利き。ベンチにはWSA(ウェルナー・シュラガー・アカデミー)で指導に当たるプラオゼ(元ドイツ男子チーム監督)が入った。
 「WASURENAI3.11」のワッペンを胸につけ、東日本大震災の被災地を勇気づけるプレーを誓う日本代表チーム。そのムーブメントに賛同した世界5カ国の選手たちが、日本と同じように「WASURENAI3.11」のワッペンとともに世界選手権を戦ってくれる。大会初日の19時から、日本を合わせた6カ国の選手たちが集結し、会見と撮影を行った。

 日本チームは今日は試合がなかったが、日本の代表として残ってくれていた平野早矢香は、「仙台は中学と高校の6年間を過ごした街。すごく良い街だったので、とても悲しい気持ちですが、その被災地の仙台からも応援のメッセージをたくさんいただきました。自分も卓球できる幸せを感じてプレーしていたい」とコメント。また、長くヨーロッパ女子のトップで活躍するハンガリーのクリスティーナ・トートは、「日本での大震災は個人的にも非常に悲しいできごとだった。テレビで毎日その様子を見て、本当に悲しかった。ハンガリーチームとして、このワッペンを胸にプレーしてきたい」と話してくれた。

 アジアの日本、ヨーロッパのハンガリー、アフリカのエジプト、オセアニアのニュージーランド、そして北米のカナダと南米のコロンビア。「WASURENAI3.11」のワッペンとともに、被災者への哀悼の思いが世界の6大陸へと広がった。日本以外の5カ国の活躍も、速報ページでお伝えしていきたいと思います!
メインアリーナの第1コートに入ったのは、地元オランダ男子のエースであるバリー・ヴィジャース。観客も大声援で後押しし、5月8日のベストゲームと言える盛り上がりだった。

対戦相手はアメリカのファン・イヨン。90年代初頭に中国ナショナルチームで活躍した名選手で、全中国選手権3位の実績を持つ。試合はヴィジャースが2ゲームを先取しながら、ファンが3ゲームを連取し、第6ゲームに3回のマッチポイントをつかんだが、ヴィジャースが逆転。最終ゲームもその勢いに乗って10-8から実に5回のマッチポイントを取った。

しかし、ヴィジャースは勝利を意識して硬さが見え、あと一本が取れない。最後はファン・イヨンがドライブ対ドライブの引き合いの安定感で上回り、14-13と逆にマッチポイントを取って「Very good!」と叫ぶ。観客の大声援も届かず、ファンがこの大激戦を制した。
 各国の選手、コーチ、マスコミの人と、久しぶりに会うと、口々に「日本は大丈夫か、東京は大丈夫だったか」と聞かれる。その度に、日本の今の現状を説明する。昨日の開会式でも国際卓球連盟のシャララ会長は「日本の卓球ファミリーを心配していた。日本チームが参加してくれてうれしい。我々はすべてこの世界選手権の場に来る必要がある。なぜならここは我々卓球ファミリーの第二の故郷なのだから」とスピーチ。
 日本は大丈夫です。卓球だけでなく、日本全体が一緒に頑張ります。
 2014年に東京開催が決まろうとしている。これは日本が世界に発信する、何より力強いメッセージになるだろう。
 1989年の世界選手権ドルトムント大会から、世界選手権に出場しているメキシコのギレルモ・ムノス。なんと世界選手権は今大会で14回目の出場。出場している選手の中で、連続出場記録の最高は20回のJ.セイブ(ベルギー)だが、このムノスの14回もトップ10に入る記録だ。シングルスで予選を突破できたのは91年千葉大会だけなのだが、元気に出場を続けている。ボールタッチも身のこなしも柔らかく、前陣をころころと動き回りながら、コースの読みにくい両ハンドドライブを放つ。

写真を見てわかるとおり、一度見たら忘れられない風貌。別に工場のひとつやふたつは経営していそうな貫禄だ。前回の横浜大会では豚インフルエンザが拡大の様相を見せ、感染源のひとつだったメキシコの選手たちも検査を受けたりと災難だったが、今大会は存分に戦ってほしいものだ。
会場の中に、一般のお客さんも卓球を楽しめるコーナーを発見! 普通の卓球台の他、卓球TVゲームコーナー、卓球マシンコーナー、的当て、扇型の台などなど、子どもたちが楽しめるようなものが盛りだくさん。中でも目を引いたのが、ストローボール落とし(写真中央)。これはもはや卓球ではない気がするが……。なんにしても、多くの子どもたちが、いろいろの遊びを楽しんでおり、すばらしい! 日本で開催する時もこういったイベントをぜひやってもらいたいですね。
 東京都出身で、東山高、早稲田大学卓球部の佐藤大輔さんが家族連れで会場を訪れた。佐藤さんは大学卒業後、海外青年協力隊で海外へ赴任し、その後、外務省勤務となり、現在はベルギー大使館で勤務とのこと。『日本へ帰ったら東山の今井良春先生によろしくお伝えください』と言葉を残した。
ちなみに大輔さんのお兄さんは、フジテレビの佐藤修さんです。
 こちらは現地時間の午前11時前、いよいよ競技がスタート。最寄りの地下鉄のZuidplein駅から、色取りどりのウェアに身を包んだ選手たちが、アホイ・ロッテルダムを目指して歩いていく。風は爽やかだが、かなり日差しが強いのでみんな短パンで移動してる。見たことのある顔は少ないが、どの選手も世界代表に変わりはない。

 メインアリーナでは混合ダブルスの予選トーナメントが進行中。観客の入りはさすがに少ないが、日曜日ということもあって家族連れや子どもたちが目立っている。