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アジア競技大会・卓球競技

 いよいよ明日から開幕する第17回アジア競技大会・卓球競技。王国取材班は無事、大会が行われる韓国・水原市に到着。大会そのものは仁川(インチョン)大会と呼ばれ、メディアセンターなどの施設も仁川市にあるが、卓球競技の会場は仁川から車で40分ほど離れた水原(スウォン)市だ。

 まず東京・羽田空港から韓国の金浦空港へ飛んだ王国取材班。卓球王国や、韓国の卓球雑誌『マンスリー・テーブルテニス』に素晴らしい写真を提供してくれているプロカメラマンのアン・ソンホさんが車で迎えに来てくれた。アンさんの車で向かったメディアプレスセンターは驚くほど立派な建物。メディア用のラウンジなども充実していて、「節約」や「節電」の文字が躍る日本でのアジア競技大会のイメージとはかなり異なる。情報を発信するメディアの拠点になるだけあって、かなり気合いを入れて作った感じだ。日本語や中国語を話せるスタッフも常駐している。
  • 「MPC」の文字が目を引くメディアプレスセンター

  • 左からバラメ、チュムロ、ビチュオン。大会マスコットのゴマフアザラシちゃん

  • プレスのワークルームは広い、広い!

  • 大会の公式タイムキーパーであるスイスの「TISSOT」のブース

 世界選手権と同じく、団体・個人合わせて7種目が開催されるアジア競技大会。個人戦5種目にエントリーされるのは、シングルスは各協会2名、ダブルスは2ペアのみ。出場することさえ難しい、狭き門だ。では、まず男子シングルスに出場する有力選手をチェックしておこう。

★男子シングルスに出場する有力選手
水谷隼/丹羽孝希(日本)
許シン/樊振東(中国)
朱世爀/金珉鉐(韓国)
荘智淵/陳建安(チャイニーズタイペイ)
江天一/唐鵬(香港)
ガオ・ニン/李虎(シンガポール)
アチャンタ(インド)
No.アラミヤン(イラン)

・中国は馬龍と張継科がシングルスに出場せず、許シンと樊振東がエントリー。リオデジャネイロ五輪の3番目の代表を争う「オーディション」の、最終選考の場になっている。
 前回3位の水谷は香港勢やシンガポール勢には分が良く、中国勢以外で怖いのは朱世爀と荘智淵くらいか。今の水谷の強さと安定感を考えれば、準決勝までは確実に勝ち上がる、と見る。ただし、中国のふたりがシングルスの第1・2シードに入るとすると、準決勝でどちらかに勝たなければ決勝進出はない。特に同じ左腕の許シンは、水谷にとって相性の良くない相手だが、どこに突破口を見出すか……?

☆女子シングルスに出場する有力選手
石川佳純/福原愛(日本)
劉詩ウェン/朱雨玲(中国)
馮天薇/ユ・モンユ
徐孝元/梁夏銀(韓国)
李皓晴/呉穎嵐(香港)
リ・ミョンスン/リ・ミギョン(北朝鮮)
鄭怡静/李依真(チャイニーズタイペイ)
コムウォン(タイ)

・中国は女子シングルスでも、劉詩ウェンと朱雨玲のふたりにリオ五輪代表の3番手の座を競わせようとしている。今中国では、劉詩ウェンが所属する広東省チームと、朱雨玲が所属する四川省チームが、首脳陣へのアピールや根回しで火花を散らしている、とも聞く。李暁霞や丁寧が出場しないことで、日本の石川と福原にもチャンスが広がったように思えるが、中国のふたりの気合いの入り方は尋常ではないだろう。
 中国勢以外で怖いのはシンガポールの馮天薇だが、石川と福原がマークすべきは徐孝元とリ・ミョンスンという、ふたりのカット主戦型。ともにバックカットの安定性は驚異的で、フォアの攻撃力もある。また、ハイレベルな戦いとなる女子シングルスは、ドローでの組み合わせが大きなカギを握りそうだ。
  • アジアの強豪を速さで制するか、丹羽孝希

  • テクニックを呑み込む恐るべき豪打、許シン

  • 劉詩ウェン、タイトル獲得への悲壮な戦い

 今回のアジア競技大会は、9月27~30日までの前半4日間で主に団体戦、10月1~4日の後半4日間で個人戦が行われる。まず大会前半の団体戦の見どころからチェックしよう。

 男子団体で、日本の最大の強敵となるのはやはり中国。馬龍・張継科・許シン・樊振東・周雨というベストメンバーを団体戦にぶつけてきた。チームの主軸となる最強トリオ、馬龍・張継科・許シンから3点を奪うのは至難の業。日本としては、ここのところ国際大会で調子を落としているが、対中国では実績のある松平健太の復活を望みたい。
 一方、地元・韓国はJA全農世界卓球の代表から、代表選考会によって鄭栄植と趙彦来が脱落し、朱世爀・金ミン鉐・李廷佑・金東賢・丁祥恩というエントリー。これが最後のアジア競技大会となるであろう朱世爀を、金ミン鉐や李廷佑がどこまでアシストできるか。次代のエースと言われてきた金ミン鉐は、団体戦のプレッシャーに弱いのが不安材料だ。その他には、荘智淵・陳建安の両輪が強力なチャイニーズタイペイ、女子と同様に若手の成長が著しい香港、そしてエースのアチャンタがドイツ・ブンデスリーガで活躍するインドもダークホースに挙げられる。

 女子団体は、中国の他にシンガポール・韓国・香港・北朝鮮・チャイニーズタイペイという強豪がひしめく。日本女子が過去2大会連続でベスト8に終わっているのも、そのレベルの高さゆえだ。
 今大会、中国女子はエース李暁霞が大会を欠場。女子団体は丁寧・劉詩ウェンを両輪に、若手の朱雨玲と陳夢、そしてカットの武楊という陣容。李暁霞の欠場は全身に抱える故障が主な理由だが、丁寧と劉詩ウェンに対し、「李暁霞抜きで勝ってみせろ」という首脳陣からの課題でもある。ふたりは相当気合いが入るだろう。
 そして、中国への挑戦権を得る前に、日本にとって怖い存在なのは韓国と北朝鮮。韓国はエースの「美人チョッパー」徐孝元に、長身の右シェークドライブ型・梁夏銀、中国から帰化したサウスポーの田志希という顔ぶれ。北朝鮮はなんといっても、2013年世界ベスト8のカット主戦型・リ・ミョンスンが怖い。両チームともエースはカット主戦型なので、「カットキラー」平野早矢香の存在は頼もしい。

 ちなみに今回のアジア競技大会は、セルロイドボールでの開催となる。すでにベラルーシオープンやチェコオープンといったITTFワールドツアーがプラスチックボールで開催。男子のエース・水谷はECL(ヨーロッパチャンピオンズリーグ)などもプラスチックボールで戦っている。代表選手たちも、2種類のボールでの調整を迫られてひと苦労だが、大きな国際大会では、このアジア競技大会がセルロイドボールを使用する最後の大会になりそうだ。
  • 対中国の切り札、松平の復調が待たれる

  • バックハンドの攻撃力がさらに向上している石川

  • 団体戦で中国男子の大黒柱となる馬龍

  • 地元ファンの期待を集めるチョッパー・徐孝元

 9月27日~10月4日に韓国で行われる第17回アジア競技大会・卓球競技。4年に1回開催される「アジアのビッグゲーム」がいよいよ開幕する。アジア競技大会全体では仁川(インチョン)大会と銘打たれているが、卓球競技が行われるのは水原(スウォン)市の水原体育館。王国取材班は26日にまず金浦(キンポ)空港に跳び、仁川に移動してメディアセンターで撮影者用のビブスを受け取った後、その足で水原へ移動。なかなか慌ただしいスケジュールなのだ。
 大会の見どころをチェックする前に、まず日本選手団の各種目へのエントリーを確認しておこう。

★アジア競技大会のエントリー
[男子団体]水谷隼、丹羽孝希、松平健太、岸川聖也、村松雄斗
[女子団体]石川佳純、福原愛、平野早矢香、若宮三紗子、平野美宇
[男子シングルス]水谷隼、丹羽孝希
[女子シングルス]福原愛、石川佳純
[男子ダブルス]水谷隼/岸川聖也、丹羽孝希/松平健太
[女子ダブルス]福原愛/若宮三紗子、石川佳純/平野早矢香
[混合ダブルス]岸川聖也/福原愛、丹羽孝希/平野早矢香

 各国からのエントリーは男女とも最大5名まで。日本男子は団体の5番手として、倉嶋洋介監督も将来性を高く評価するカットマン・村松をエントリー。出場種目は団体のみで、準々決勝以降での起用は難しい面もあるが、対カットに不安があるチャイニーズタイペイ戦などでは抜擢される可能性もある。
 一方、女子では代表候補選考会で優勝した若宮が代表入りを果たし、ジャパンオープン、チェコオープンを制した福原とのダブルスでも上位進出が期待される。選手団の最年少は14歳の平野美宇。エントリーは村松と同じく団体戦のみだが、予選リーグで少しでも経験を積んでほしい。
  • 前回3位の水谷、アジアの頂点を狙う

  • チェコオープンで準優勝。故障から復帰し、復調しつつある福原

  • 団体予選リーグでの起用が予想される村松

  • 14歳の平野美宇にとって、今大会は貴重な経験になる