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世界卓球 蘇州でスマング! 速報
※スマッシュと見せかけてロビングする高度で無意味な技術

悲劇の痕跡

2015/05/03

100年以上の歴史のある世界卓球選手権で、一度だけ女子シングルスの優勝者が2人いる大会がある。1937年バーデン大会だ。

この前年、1点取るのに1時間以上もかかるという、あまりにもラリーが続きすぎる問題があったため、この年は「試合が始まってから1時間45分以上たっても勝者が決まらなければ両者失格」という乱暴なルールが適用された。この見せしめのようなルールにすればさすがに早く決めに行くだろうという読みだ。

ところが女子シングルスの決勝、アメリカのアーロンズとオーストリアのプリッツィは意地になって粘り切り、本当に両者失格となってしまった。アーロンズは前年のチャンピオンだがこの判定にショックを受けて卓球界を去ってしまった。一方、プリッツィは翌年チャンピオンとなった。

このようないきさつで、卓球史においては長い間、1937年の女子シングルスは「優勝者なし」だったのだ。それから64年後の2001年に国際卓球連盟は、この判断が間違っていたことを認め、両者をチャンピオンとして名誉を回復した。アーロンズはすでに亡くなっていた(プリッツィは不明)。

2人の世界チャンピオンの記録は、その悲劇の痕跡なのである。

神々の刻印

2015/05/03

再びITTF博物館に行ってきた。

世界選手権の全種目のトロフィーが飾ってあるのだが、よく見るとちゃんと歴代チャンピオンの名前が刻まれているのであった。

まさに「神々の刻印」である。

これだけで感動できる私は幸せ者だ。

警備員

2015/05/03

ニッタクのブースで伊藤美誠のサイン会があったらしいのだが、なんと警備員までもが写真撮影をしていた。取材記者も含めてこういうことはこの国では当たり前のようだ。

写真提供はニッタクさん。
世界選手権に毎回取材に来る有名なイタリア人カメラマンがいるのだが、何で有名なのかというと、変態で有名なのである。

取材歴は古く、もう20年以上のキャリアを誇るベテランなのだが、徹底的にアジア人女性にしか興味がなく、いつもカバンにチョコレートを忍ばせ、取材の合間に機をみては好みの選手にプレゼントをするという、日本女子の間でも有名な変態さんなのである(本当に変態かどうかはわからないが、少なくともその地位は確立してしまっている。いや、これだけで十分だろう)。

噂によれば、彼の自宅の部屋は壁一面がアジア人女性卓球選手の写真で埋め尽くされているという。また、イタリア人なのになぜか中国国内の大会にまで毎年姿を現し撮影をするという。卓球をしているアジア人女性が好きな彼にしてみれば、そこは天国だろう。

今大会の中盤の2日ほど、彼は私の隣の席にいたのだが、なぜか試合にはほとんど関心を示さず原稿書きだけをしてるだけだった。ところが、ショータイムになって、ヘソを出した若い女性たちが踊り始めるや急にカメラを構え、「シャカシャカシャカシャカ」ともの凄い連写。踊っている数分というもの、ほとんど撮影しっぱなしなのであった。なんたる変態ぶり。

今大会、彼がカメラを出したのを見たのはこのときだけだった。

そのとき踊った女性たちは恐らくは卓球とは関係のない人たちだ。そういうのを撮影したかったら、何も卓球の世界選手権に来なくても展示会でもモーターショーでももっと適した場所がいくらでもありそうなものだが、なぜか「世界卓球選手権大会」でそれをやりたいのだ。計り知れない心理だ。

実は私は2年前のパリ大会のときから彼には注目していて、その変態さんぶりを味わおうと話しかけ、いろいろと探りを入れたのだが、そのときの彼の答えは「日本には良い選手がいる。水谷とか丹羽とか」などというどうでもよい話をされてすっかりかかわされ、意気消沈したのであった。

それが今回はいきなり「シャカシャカシャカシャカ」である。・・・やっぱりド変態じゃないかよ。
  • 彼が突如、関心をもよおした女性たち

朝のダフ屋

2015/05/03

ホテルから会場に行く途中にはいつもダフ屋が何人も立っている。

チケットの値段を聞くと、日本円で3万円相当だった。高い。
しかも半日の入れ替え制だ。
昨夜も一昨日の夜と同じ韓国料理店に入ったが、店に入るなり頼みもしないのに正体不明の女性が席にやってきて勝手に座った。写真では伝わらないがちょっと丁寧に似た人だった。筆談によって、どうやら韓国語を話す中国人であることはわかったが、酒をくれと言うので飲ませてやるとどんどん酔っぱらって酒をこぼしたりグラスを倒したりで、なんだかめちゃくちゃな感じであった。

昨夜から怪しい店だとは思ったが、昨夜が人手不足なのであって、実際はその印象通りの店なのであった。

丁寧が優勝した夜に現れた丁寧似の酔っ払い女性。

何か因縁めいたものを感じたが、もちろん何の意味もないことであろう。蘇州の夜はとりとめもなく更けていくのであった。
  • ソーセージに生ニンニクのスライスが挟まっていて辛くて美味しい

  • 丁寧似の酔っ払い女性 服装からして怪しい

個人戦は中国勢が上位を独占するので、国と国の戦いの興奮という点では団体戦に及ばない。

しかし、丁寧vs劉詩ウェンあるいは男子ダブルス決勝のようなラリーは、中国どうしの対戦だからこそ見ることができるまさに「超人たちの宴」だった。いやーひどいラリーだ。

だいたい樊振東なんか、中陣どうしのラリーからいきなり台の近くに来て、大きなフォームでなおかつ頂点前でカウンタードライブを叩きこんだりするのだ。あの打球点であのスイングサイズって、そもそも見たことがない光景だ。

卓球はどこまで進化するのだろう。いやはやひどい卓球だ。恐ろしい。

ゲームカウント

許シン/張継科 4-2 樊振東/周雨

いやー凄すぎて来週から卓球をするのが嫌になる。
超人的ラリーとはこのことだ。

これにくらべれば丁寧vs劉詩ウェンはまだ人間の試合だった。

見たこともないラリーが繰り広げられている。

台から何メートルも離れてるのに、許シンは床上30センチほどの打球点でサイドラインの真ん中あたりに鋭角に入るドライブを入れ、樊振東がさらに張継科のバックサイドを切るドライブをすると張継科はあろうことかバックハンドでネットの外から頂点のないドライブ。

なんだこれは。これが卓球か?
そしてこのラリーを会場のモニター画面で見ると、残念ながらその凄さが全然伝わらない。まったく伝わらない。カメラ位置が高いからだ。なんともったいないことだろう。ときどき出てくるフロアカメラのスロー再生ではアップでボールを追っているので、肝心なところが映っていなかったり見にくすぎて凄さが伝わらない。

もう一度書く。なんともったいないことだろう。
丁寧が勝ってしまった。

劉詩ウェン、あまりに可愛そう。信じられない結末。

試合中断の間、絶対に丁寧の方を見ないで精神を集中していた劉詩ウェンだったが、明らかに再開後、プレーが変わっていた。

こんな試合があるのか。なんて試合だ。この状況で人生で最初で最後かもしれない世界チャンピオンになるチャンスを失った彼女の絶望たるや、想像もつかない。

こんなに苦しいならいっそもっと早く負けた方がどれだけ楽だったか、ぐらいに思っているかもしれない。
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※上記リンクは2015年4月時点のものです。