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平成30年度全日本選手権速報

【平成30年度全日本卓球選手権・最終結果】

★男子シングルス
優勝:水谷隼(木下グループ)
2位:大島祐哉(木下グループ)
3位:張本智和(JOCエリートアカデミー)
3位:木造勇人(愛知工業大)

☆女子シングルス
優勝:伊藤美誠(スターツSC)
2位:木原美悠(JOCエリートアカデミー)
3位:早田ひな(日本生命)
3位:森さくら(日本生命)

★男子ダブルス
優勝:木造勇人/張本智和(愛知工業大/JOCエリートアカデミー)
2位:松山祐季/高見真己(愛知工業大)
3位:水谷隼/大島祐哉(木下グループ)
3位:松下海輝/藤村友也(日鉄住金物流)

☆女子ダブルス
優勝:早田ひな/伊藤美誠(日本生命/スターツSC)
2位:芝田沙季/大藤沙月(ミキハウス/ミキハウスJSC)
3位:佐藤瞳/橋本帆乃香(ミキハウス)
3位:平侑里香/松本優希(サンリツ)

★混合ダブルス
優勝:森薗政崇/伊藤美誠(岡山リベッツ/スターツSC)
2位:張本智和/長崎美柚(JOCエリートアカデミー/JOCエリートアカデミー/大原学園)
3位:田添健汰/浜本由維(木下グループ)
3位:上村慶哉/阿部愛莉(シチズン時計/早稲田大)

★ジュニア男子シングルス
優勝:戸上隼輔(野田学園高)
2位:宇田幸矢(JOCエリートアカデミー/大原学園)
3位:横谷晟(愛工大名電高)
3位:谷垣佑真(愛工大名電中)

☆ジュニア女子シングルス
優勝:出澤杏佳(大成女子高)
2位:大藤沙月(ミキハウスJSC)
3位:長崎美柚(JOCエリートアカデミー/大原学園)
3位:木原美悠(JOCエリートアカデミー)

「平成最後」の平成30年度全日本卓球選手権、各種目のメダリストは上記のとおり。
詳細な報道は卓球王国4月号(2月21日発売号)に掲載します。1月発売の3月号の締め切りが終わるとすぐに大阪に移動した王国取材班。丸善インテックアリーナの、記者席とミックスゾーンを隔てる37段の階段を駆け下り、駆け上がること数知れず。大会報道のみならず、舞台裏から用具まで、総力取材の4月号にご期待ください!

全日本選手権速報をご覧いただき、ありがとうございました!
  • 大会終盤の週末は大行列ができた丸善インテックアリーナ

 男子シングルス通算10回目の優勝を達成し、その興奮冷めやらぬ会場での優勝インタビューで「今回10度目の優勝を達成したので、最後の全日本にしたい」と衝撃的な発言をした水谷隼。優勝会見の主な内容は下記のとおり。

 「まだ自分が優勝したという実感がないですね。張本には勝てないんじゃないかという不安もあったし、彼が決勝に上がってこなかったのは自分にとってはラッキーでした。今までも本当に苦しい全日本選手権だったんですけど、今年もめちゃくちゃ苦しかったです。最初に優勝したのが12年前で、当時のことはそんなに覚えていないんですけど、1回優勝するだけでもこんなに大変なのに、よく今まで9回優勝してきたなと思います。

 一番大事なのは気持ちですね。絶対誰にも負けないという強い気持ちを持って臨めたことです。自分の中では、他の大会に比べて全日本選手権への思いがすごく強くて、他の選手には絶対負けないという気持ちがありました。確かにこの1年苦しかったですけど、これからもこの苦しさは続いていくと思います。

 この全日本選手権が始まる前から、10回優勝したらもう自分の中で満足というか、2年前に9回目の優勝を達成して、記録を更新してからなかなか全日本への思いが強く持てなかった。周りは優勝をすごく期待するので、そのプレッシャーに勝てないというか、自分がもう日本でラケットを振るのは無理なんじゃないかという気持ちです。

 日本代表としてプレーするのも来年が最後だと思うので、今回V10を達成できて、引き際としては悪くないんじゃないかなと思います。これから年齢を重ねていくとパフォーマンスも落ちてくると思いますし、今までの全日本選手権のように強い気持ちで臨むことが難しくなっている。そのぶん、今大会に懸ける思いというのはものすごく強く、その思いがあったから優勝できた。今回優勝したことによって、何か自分の中での全日本への思いというものがプツンと切れました。来年いよいよ東京五輪があるので、まずは東京五輪に出場する権利を勝ち取りたい」(水谷)

 「最後の全日本」という発言について、会見後の囲み取材で水谷は「今のところは、ですよ」と笑った。引き際として悪くない、という感情は理解できるが、これまでどれほど苦しくても、頂点を目指して全日本の舞台に立ち続けてきた男だ。来年もまた全日本の季節がやって来たら……、「10 Times Champion」はどのような決断を下すだろうか。
  • 決勝後に会場で優勝インタビューに答える水谷

  • 両手で「10」の文字を作り、V10を自ら祝福

 女子では初の2年連続3冠を達成した伊藤美誠。決勝は1ゲーム目8ー10のピンチを、巻き込みのロングサービスを連発して脱し、その後は「さすが伊藤美誠」というプレー。バック表ソフトの多彩なテクニックは、対戦した木原のベンチに入った劉楽コーチをして「手首が本当に強い。バック表ソフトの技術では世界一だし、木原もあの技術力を目指してほしい」と言わしめるほど。
 4ゲーム目に9ー3から逆転されるひと幕もあったが、次の5ゲーム目も6ー1ときっちりリードを奪って勝利した。優勝後の会見の主な内容は下記のとおり。
 
「3冠はすごくうれしいですし、シングルスで優勝できてホッとしたという感じです。混合と女子ダブルスを優勝してから三冠、三冠とたくさん言われて、でもそれはプレッシャーというより、『もうちょっとで三冠かあ』という感じでした。私の中では目の前の一試合一試合をやりきることしか意識していなかったし、目の前の試合に集中できた。さらに去年よりも良かったかなと思っています。

 決勝はめちゃめちゃ楽しかったです。今の年齢だと、なかなか決勝の舞台で年下の選手と対戦することがない。改めて今の日本女子の層の厚さを感じると同時に、年下の選手には絶対負けたくないと思いました。タイトルを獲られたくないという強い気持ちがあったので、目の前のポイントを取ることをしっかり考えて、勝つことができて良かった。

 去年三冠を取ったことで、私の中でもすごく自信はありましたし、自分の実力を出せれば絶対大丈夫と信じてやってきた。自分を信じて良かったと思います。どの選手が私を倒しにきても、それ以上に私は楽しめたことが一番だったかなと思います。もちろん勝ちたい気持ちはあるんですけど、『勝つ勝つ』というよりは楽しんだほうが勝てると思っている。自分のプレーをして楽しもうと思っていたら、こうやって三冠を獲れました」

 伊藤の後に優勝会見を行った水谷隼は、伊藤のプレーを「ぼくは一試合一試合がいっぱいいっぱい。一試合勝つのも苦しいのに、彼女はすごく試合を楽しんでいるし、本当に見習いたいことが多いです」と評した。全日本10回優勝の水谷にそう言わしめる、驚異のメンタル。2年連続3冠という偉業も、まだ彼女の競技人生の序章に過ぎないのかもしれない。
●男子シングルス決勝
水谷隼(木下グループ) -11、6、7、6、-9、5 大島祐哉(木下グループ)

 水谷隼、前人未到のV10、男子シングルス10度目の優勝を達成!

 1ゲーム目、大島がスタートダッシュをかけ、6-2といきなりリード。打ち合いになると大島が強さを発揮。水谷としては台上に引き寄せ、カウンターで攻めたいところ。8-4から9-7、9-8で大島がサービスミスで9-9。次を水谷が3球目で決めて、10-9とゲームポイントを握るが、水谷の攻撃ミスで、10-10。11-11から水谷のドライブミス、最後は大島のチキータが決まり、13-11で大島がゲームを先取した。

 2ゲーム目、水谷が6-4、9-5とリードを奪い、11-6と取り返す。要所でサービスを効かせていった。3ゲーム目は4-4、5-5と一進一退。水谷の動きも良くなり、カウンターも決まり、7-6、8-6、9-6と差を広げていく。10-7から回り込んでの強打が決まり、11-7とゲームを連取した。

 4ゲーム目、水谷はサービスに変化をつけ、3球目で攻めていき、4-2。そして9-2と引き離す。最後はエッジボールが入り、11-6で、水谷が取り、優勝に王手をかけた。

 5ゲーム目、1-5と大島にリードを許す水谷。大島が強烈なドライブを放ち、4-8にする。しかし、そこから水谷が7-8と詰めたところで、大島がタイムアウト。結局11-9で大島が取り返し、勝負は6ゲーム目へ。

 6ゲーム目、水谷がスタートから攻勢をかけ、4-0。台から下がらず、ブロックで対抗する水谷。6-1からは台上をナックルフリックで7-1。水谷の多彩な技だ。8-2にして優勝へ近づく水谷。9-3から9-5になったところで水谷はすかさずタイムアウトを取る。次を台上からの展開で水谷が取り、10-5のマッチポイント、最後は大島のネットプレーがオーバーミスをして、10度目の優勝を飾った。

 優勝を決めた後に、応援席に飛び込んだ水谷はともに喜びを分かち合い、ユニフォームを投げ込んでファンにプレゼントした。

★水谷隼の優勝インタビュー
 「去年決勝で負けてしまって、多くの人に次は勝ってくれと言われ、優勝を目指して頑張ってきてそれが達成できた。10回の優勝は信じられない。1回の優勝だけでも大変なのに……自分を褒めたいです。大島とはダブルスも組み、年末年始も一緒に練習してきた。リラックスして、良い試合ができた。今回も会場に入って、自分が絶対強いと信じてやってきた。
 若手が育っている中で、これからも若手の壁になりたい。今回10度目の優勝を達成したので、最後の全日本にしたい。勝ってこの場を去りたかった」
●女子シングルス決勝
伊藤美誠(スターツSC)11、9、6、-9、5  木原美悠(JOCエリートアカデミー)

 1ゲーム目は木原がリードしていたが、最後に伊藤が逆転して、ゲームを先取。その後は伊藤ペースで進んでいく。4ゲーム目、9-3とリードして、そのまま優勝に思えたが、そこから木原が逆転。5ゲーム目は、伊藤は再び「試合に入り」、木原を押し切り、女子では史上初の2年連続の三冠王を達成した。2年連続の三冠王は昭和57・58年(1982・1983年)の齋藤清以来、35年ぶりの快挙である。
 試合直後は逆転で落とした4ゲームに不満だったのか笑顔を見せなかった伊藤だが、次第にその表情に笑みが戻った。

★伊藤美誠の優勝インタビュー
「うれしい気持ちはあるけどホッとしています。勝った時はうれしかったけど、4−0で勝てた試合で、9−3から挽回されたのでちょっと……。でも、最後はしっかり勝てたので、自分自身の成長に拍手したい。去年の優勝からすごく自信がついて、中国選手にも勝つことができた。自分の中でレベルが上がっていると感じています。全日本で三冠王が取ることができたのは、強くなったということなんだと思います。
 2年連続で三冠王を獲れると思ってなかったので、驚いています。木原さんは向かってくると思っていたけど、私自身も挑戦者の気持ちでやりました。
 オリンピックに出場する目標があるので、しっかりとこのシーズンを楽しくやり遂げたい。もっとレベルアップして、オリンピックに出場できるように頑張っていきたいです」
  • 伊藤、女子では初の2大会連続3冠

  • 皇后杯は伊藤の手に

  • 敗れるも決勝進出の最年少記録を更新した木原

●男子シングルス準決勝
水谷隼(木下グループ) −5、8、9、6、6  木造(愛知工業大)

 場内は張本が敗れた後の余韻で、ざわつきが収まらない。そんな中で登場したのは優勝回数9回を誇る元王者の水谷と、前日、張本と組んだ男子ダブルスで優勝した木造。
 1ゲーム目、木造のカウンターがことごとく決まり、水谷はなすすべなし。
 2ゲーム目にようやくエンジンが掛かり始めた水谷が、7−1とリードし、11−8で取り返した。
 3ゲーム目、9−9。お互いが勝負を早めにかけ、あまりラリーにはならない展開へ。10−9から水谷が3、5球目攻撃で得点を決め、11−9で取り、2−1とゲームをリードした。

 4ゲーム目、5−2と水谷がジリジリとリードする。YGサービスを多用し、11−6で3ゲーム連取し、勝利まであと1ゲームとした。一方で木造は1ゲーム目ほどの積極性が影を潜め、やや受けに回っている。
 5ゲーム目、出足から水谷はギア全開。バックのカウンターで木造のフォアを打ち抜き、4−2としたところで木造のベンチがタイムアウトを取ったが、水谷のプレーにブレーキをかけられなかった。木造のフォアの手が届かない「点」を狙い、水谷のバックハンドが突き刺さる。「それが入るか!?」というバックハンドを3連続。一気にマッチポイントを握った。

10−2から10−5になったところで、水谷は大事を取って自らタイムアウト。結局、11−6で水谷は13年連続の決勝進出を決め、10度目の優勝に王手をかけた。

準決勝後、水谷のコメント
「途中からチキータが効いてきて、バックハンドも良くて、ストレートにいけました。フォアの調子があまり良くなくて、その代わりバックハンドが良かったです。やはりぼくがいることで、若手は乗り越えようとしてくれる。まだ若手の壁としていたい。決勝はぼくが勝っても彼(大島)が勝っても、どちらが勝ってもうれしいので、いい戦いができるようにしたい」
  • 13年連続の決勝進出を決めた水谷、V10まであと1勝

  • 「バックハンドが良かった」と水谷

  • 木造は1ゲームを奪うにとどまる

  • 敗れたが初の表彰台を決めた

●男子シングルス準決勝
大島祐哉(木下グループ) 8、4、-1、8、-8、-4、9 張本智和(JOCエリートアカデミー)

 男子シングルス準決勝第1試合は前回王者の張本が敗れる。フルゲーム9本の手に汗握る大熱戦を制した大島が、昨年度大会のリベンジを果たし、決勝へと駒を進めた。

 昨年度大会の準々決勝でも対戦し、好ゲームを繰り広げた両者。第1ゲームは終盤まで点差が離れずに8-8。ここからサービスがエッジで入るなど、ラッキーなポイントもあり大島が3本連取でこのゲームを奪う。2ゲーム目、フォア前にボールを集める大島に対し、張本はなかなかチキータで先手が奪えない。凡ミスも出だした張本3-4から6本連取を許し、2ゲーム目も大島が奪った。

 ここまでなかなかペースを握れずにいた張本だったが、3ゲーム目に入り、徐々にチキータで狙い打つ展開が増え、3ゲーム目は1点で奪い返す。これで目が覚めたか、4ゲームも序盤は張本ペース。前陣で大島の攻撃を跳ね返し、5-1とリード。だが、大島もじわじわと追い上げ、張本は8-7でタイムアウト。しかし、流れは変わらず、大島が4-8からの7本連取で第4ゲームを奪取。王者を土俵際に追い詰めた。
 だが追い詰められた張本も簡単には倒れない。大島に攻められる展開が続きながらも、執念のブロックで対応。終盤の5本連取で第5ゲームを奪い返すと、第6ゲームも勝負所でチキータが決まり、張本が奪取。勝負の行方は最終ゲームへともつれ込んだ。

 会場から大きな拍手が送られる中スタートした第7ゲーム。台上の厳しい攻防から試合が進み、両者なかなか点差が離れず9-9まで一進一退の緊迫したゲームが続いたが、最後は大島が3球目を得意のフォアドライブで得点、そしてロングサービスを張本がネットにかけ、大島が王者・張本を撃破。魂の咆哮とともに大ジャンプで喜びを表現した。

 大熱戦を制し、決勝進出を決めた大島。台上では厳しいストップとバック深くへ押し込むようなボールで攻めを封じ、ラリーになってもフォアで動き回り最後まで攻め抜いて奪った金星だった。
「3-1になって少し意識してしまい、追いつかれたけど、1球ずつ取っていこうと思っていた。ロングサービスでしか点が取れる気がしなかったので、最後は全部長く出した。決勝も家族が応援に来てくれているので頑張りたい」(大島)

 一方、連覇を逃した張本。「苦しい大会だった」と今大会を振り返った。
「あとひとつ勝てば決勝というところで、少し相手より守りに入ってしまった。逆に相手は自分より動き回って、武器であるフォアドライブで攻めてきた。シングルスが始まってからずっと苦しい全日本でしたし、毎日相手が向かってきたし、今日も今まで以上にフォアで攻められた。今日は大事なところで点数が取れなかった。連覇の期待も自分に対してしていたし、その分プレッシャーも今まで以上にあった。苦しい戦いになると思っていたけど、自分が想像していた以上に苦しい全日本。こんなに去年と違う大会になってしまったのかと、全日本の怖さを改めて知りました。負けてしまったのは悔しいですけど、ポジティブに考えれば世界ランキングには関係のない大会。3月のカタールオープンに向けて死ぬ気で練習したい。」(張本)
  • 最後までフォアで動いて攻めきった大島

  • フルゲームまで追いつき、意地を見せたが敗戦

  • 王者を下した大島、歓喜のジャンプ!

  • 敗戦後「苦しい大会だった」と語った張本

 鮮やかな速攻で決勝進出を決めた木原美悠。試合後、ミックスゾーンでのショートインタビューに対し、次のようにコメントした。

 「決勝進出は信じられないくらいうれしいです。平野美宇選手に勝ったことが自信になって、勝ち上がることができました。伊藤選手は強いので、今の試合のように思い切って自分らしいプレーをして、優勝したいです」(木原)

 ともにバック面の表ソフトから、多彩な回転を繰り出すシェーク異質型同士の対戦。伊藤対木原の決勝が楽しみだ。
  • 木原、伊藤との決勝を控える

●女子シングルス準決勝
木原美悠(JOCエリートアカデミー) ー6、4、12、6、ー5、7 森さくら(日本生命)

女子シングルス準決勝の第2試合、14歳の木原美悠が森に4ー2で勝利。昨年の張本智和の記録を塗り替え、史上最年少での決勝進出!

木原のバック表ソフトのボールを苦にしない森が、快調に1ゲームを先取。経験と実績にまさる森が有利かと思われたが、木原に動揺や緊張の色は全く見られず。ツッツキにはしっかりバックドライブで回転をかけ、バック対バックでは深く速いバックハンドで押し込んで、森がたまらずコースを変更すると鮮やかなカウンターを見舞う。特にフォアストレートへのカウンターは抜群の切れ味だった。

昨年12月の世界ジュニアで、カットの相馬とダブルスを組んでいた木原。相馬のカットを相手選手がパワードライブで攻めてきても、ブロック・強打・横回転ショートとバック表ソフトの多彩な回転で返球し、そのボールセンスに驚嘆した。この準決勝でも、そのセンスを随所に見せていた。エリートアカデミーに入学してからフットワークの強化にも取り組み、イージーミスもなくなった。

森としては1ー8のビハインドからジュースに追いついた3ゲーム目を取りたかったが、このゲームを木原が取ったのがひとつのポイントだったか。それにしても木原、見事な戦いぶり。決勝で伊藤とのシェーク異質対決が実現した。
  • バック表を操り試合を有利に進めた木原

  • 決勝進出を決め笑顔をみせた木原

  • 森は2ゲームを奪うにとどまった

  • 5年ぶりの決勝進出ならず

準決勝の試合を終え、伊藤が試合を振り返った。
「苦しい試合でした。1本取ることに集中して、先を見ずに目の前の1本を取ろうと考えていました。
私らしい、自分らしいプレーを全部だそうと思ってやりきりました」(伊藤)

先に決勝へ駒を進めた伊藤。2年連続3冠に向けて、微塵の隙きもない。

敗れた早田のベンチに入った石田大輔コーチは「勝負どころでのミスが相手のほうが圧倒的に少ない。ひなが勝負できるところはフォア。それを打たせてもらえなかったし、フォアミドルを徹底的に狙われた。もちろん相手が強いのでフォアを打たせてもらえないのでしょうが、今日は『いれなきゃ』という思いからか、ミスが多かったですね。

サービスも巻き込みを狙い打たれていましたが、3球目で1本入ってしまうから、効いているかもと思ってしまう。でも次は少しでも遅れるとミスしてしまう。なかなか巻き込みを捨てられずに最後まで使ってしまった。

こちらが2点リードできた時でも相手のレシーブで2点取られてリセットされる。レシーブでの展開を変えたかった」とコメント。
ダイナミックなフォアを振らせてもらえず、チャンスメイクのボールも少なかった早田。サービス、レシーブの迷いが大砲の照準を鈍らせてしまった。
  • 試合を冷静に振り返った石田大輔コーチ(左)