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平成30年度全日本選手権速報

 この恐るべき15歳は、昨年度チャンピオンだからといって守りに入る気はさらさらないようだ。開会式後の記者会見で、「2連覇を目指すためには2連覇を考えない。今年初優勝を目指すつもりで、去年と同じフレッシュな気持ちで狙うことが一番の鍵だと思います」と語った。そのメンタルコントロールは、まるで百戦錬磨のベテラン選手のようだ。以下は会見でのコメント。

 「2019年になっていい緊張感の中で練習できて、調子はよくもなく悪くもなく、自分の中ではいい状態なので、この試合で練習した物を発揮するだけだなと思います。開会式でも天皇杯を返還して、「もう全日本チャンピオンではない」そう思ってまた一から挑戦者のつもりでタイトルを取りに行きたいです。

 自分はこの全日本選手権シングルスで優勝してオリンピック代表レースを引っ張って行く。そしてオリンピックも自分が引っ張って行くということを示すためにも、この大会は大事な大会だと思います。2連覇を目指すためには2連覇を考えない。今年初優勝を目指すつもりで、去年と同じフレッシュな気持ちで狙うことが一番の鍵だと思います。(技術面で大会前に強化してきたところは?)基本的なサーブだったりドライブ、ブロックというのは、基本が大事なので、そこをしっかりやって試合でそれを出せれば問題ないかなと思います」(張本)

 一方、こちらも2連覇を目指す伊藤は「1月に入ってだんだんと1日ずつ、すごく調子が上がって来てますし、自分のプレーがだんだん出せて来ていると思うので、試合するのが楽しみです。早く試合がしたい」とコメント。こちらもやはり、並のメンタルではない。大会前の強化のポイントとしては「サービスレシーブが卓球の中で一番大事だと思ってるので試合前は欠かさずやっています。今回はすごい練習してきたので試合でどう出せるか楽しみです」と語った。今大会でもまた、会場を驚かせる新技術を披露してくれるかもしれない。
  • 藤重会長に天皇杯を返還した張本。すでに彼の心は挑戦者だ

 1月14日の午前10時から、会場である大阪・丸善インテックアリーナで開会式が行われ、平成30年度全日本卓球選手権がいよいよスタートした!

 天皇杯&皇后杯の返還、そして選手宣誓を行ったのは、昨年度チャンピオンの張本智和(JOCエリートアカデミー)&伊藤美誠(スターツSC)。ともに初の選手宣誓、少々の緊張感を漂わせながら、「私たちは、歴史ある全日本卓球選手権の舞台に立てることを誇りに思い、努力の成果を発揮するとともに、支えてくださった方々への感謝の心を忘れず、一球一球心を込めてプレーすることを誓います」と無事に宣誓の大役を果たした。

 今日はジュニア男子1回戦、ジュニア女子1・2回戦、そして混合ダブルス1・2回戦が行われる。混合ダブルス2回戦では、森薗政崇/伊藤美誠、吉村真晴/石川佳純、吉田雅己/加藤美優、張本智和/長崎美柚といった、シングルスでも優勝候補となるトップ選手たちが続々登場。大会初日から、会場は早くもヒートアップの予感だ。
  • 若きふたりのチャンピオン、選手宣誓を無事に終えた

 前回女王の伊藤美誠に、優勝経験のある石川佳純と平野美宇を加えた「3強」を軸に、国際大会でも結果を残す早田ひな、芝田沙季、加藤美優らが第2集団を形成。カットの佐藤瞳や橋本帆乃香、独創的な異質速攻の安藤みなみなども加わり、今大会の女子シングルスは超ハイレベル。「中国のトップ選手が出ても、簡単には勝ち抜けないのでは?」と思わせるほどレベルが高い。

 伊藤は昨年12月のITTFワールドツアー・グランドファイナルでは初戦敗退を喫したものの、5月の世界選手権団体戦では8戦全勝でMVP獲得、6月のジャパンオープンでは中国勢を連破して優勝するなど、充実の1年となった。フォアストレートにも打てるスマッシュは鋭さを増し、バック面の表ソフトの攻守は変幻自在。今や中国が最も恐れる選手となった。今年の全日本でも新たな一面を見せてくれそうだ。

 女子の優勝戦線を占ううえで、ポイントになるのは今年スタートしたTリーグの存在だ。男子は優勝候補の選手たちがほとんどTリーグに参戦しており、条件は同じだが、女子は伊藤やミキハウス勢の芝田・佐藤・橋本はTリーグに参戦せず。Tリーグ勢でも、フル参戦に近い形で戦ってきた石川に比べ、平野や加藤は出場試合数が少なかった。

 そう考えると、全日本と同じ使用球(ニッタク)で、Tリーグでガンガン実戦経験を積んだ石川の充実ぶりはやはり光る。木下グループの練習場では木下マイスター東京の男子選手と充実した練習を積み、より攻撃的なスイングへのモデルチェンジにも取り組んできた。木下グループの総監督である戦術のスペシャリスト、邱建新氏の指導でライバルの対策練習が積めるのも大きな強みだ。一方、前々回優勝・前回2位の平野も、11月のTリーグでは石川に勝利。カットや異質にも強く、確実に上位に勝ち上がってくるだろう。

 女子スーパーシードの組み合わせを見ると、Bグループの組み合わせが非常に厳しく、順当に勝ち上がれば石川と早田が6回戦で当たる。巻き込みサービスからの両ハンドの豪打が冴える早田は、Tリーグで快刀乱麻の活躍を見せている。さらにその勝者は準々決勝で芝田と当たる組み合わせで、準決勝で待ち受けるのは女王・伊藤。石川にとっては試練のドローとも言える。

 異質型の選手が多く、思わぬ番狂わせが起こる可能性もある女子シングルス。前回3位の左の豪腕・永尾尭子、全日本社会人を圧巻の強さで制した平侑里香など日本リーグ勢にも実力者が揃う。例年にも増して、今大会の女子シングルスからは目が離せない。
  • 前回初Vの伊藤美誠。この1年の成長を再び証明するか?

  • 3大会連続で決勝に進んでいる平野美宇。安定感は抜群だ

  • やはり強い石川佳純。5回目の優勝をはっきり視界にとらえている

  • 初の表彰台、そして一気に頂点を狙う早田ひな

 今年も全日本選手権の季節がやってきた。1月14~20日、熱戦の舞台は大阪・丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)。例年、全日本の会場となっていた東京体育館が東京五輪に向けた改修工事に入ったため、初の大阪開催となった。まさに大阪・冬の陣だ。

 男子シングルスでは、昨年14歳6カ月という恐るべき史上最年少の優勝記録を作った張本智和が、連覇に挑戦する。12月のITTFワールドツアー・グランドファイナルでの優勝で、世界ランキングを日本男子で過去最高の3位(19年1月発表)まで上げた張本。2018年は樊振東、馬龍、張継科、林高遠という中国選手からの歴史的な勝利だけでなく、5月の世界選手権団体戦や8月のユース五輪決勝では痛恨の敗戦も経験。心身ともに鍛えられてきた。グランドファイナルでは安定した守備も披露し、「勢い」だけではない強さを身につけつつある。

 スーパーシード32名の組み合わせも、張本に味方している。Tリーグやワールドツアーで張本を破っている吉村和弘、上田仁、松平健太という選手たちは、決勝まで張本とは当たらない。丹羽孝希と水谷隼も同様だ。「打倒・張本」を目指す選手たちは、まず決勝まで勝ち上がるというハードなミッションをクリアしなくてはならない。張本にわずかな不安材料を探すとすれば、猛烈に負けず嫌いであるがゆえに、試合運びがうまくいかない時にいら立ちを隠せず、プレーが崩れることがある点か。連覇へのカギはやはりメンタルだ。

 ラバーを変えて心機一転、グランドファイナルで梁靖崑(中国)を破って3位に入った水谷隼は、前人未到の10回目の優勝に挑む。昨年は決勝で敗れ、「張本が出てくる前にたくさん優勝しておいてよかった」とやや自嘲気味にコメントしたが、若き王者を打ち破っての「V10」となればその価値は大きい。水谷のフォアをえぐる張本の高速バックハンドに、どのように対抗するか。戦術マスターの意地を見せたい。

 高校3年での全日本優勝から6年が経った丹羽孝希は、そろそろ2回目の天皇杯を手にしたいところ。19年1月発表の世界ランキングで、4月の世界選手権個人戦の出場権を獲得していることが、リラックスして戦える心理的なアドバンテージとなるか、あるいは逆に集中力が低下してしまうか。集中力100%なら優勝する力は十分にある。

 さらに優勝候補としては松平健太、上田仁、大島祐哉、吉村真晴といった強豪が顔を揃える。張本、丹羽、水谷の3人がリードする東京五輪への選考レースにおいて、第二集団から追いつくためには4月の世界選手権個人戦への出場は絶対に外せない。全日本王者という称号はもちろん、東京五輪への希望の扉を開くためには、全日本での優勝によって自力で世界選手権個人戦への切符を手にしてほしい。
 
 そしてスーパーシードではないものの、ワールドツアーやTリーグで存在感を見せつけている吉村和弘は、いわば「最強のノーシード」。国際大会では林高遠(中国)らをノックアウトし、Tリーグのビクトリーマッチで二度も張本を破った。全日本に嵐を呼ぶとしたら、この男だ。
  • この1年でさらにプレーのスケールを増した張本智和

  • 水谷隼、前人未到のV10に再び挑戦する

  • 集中した時の強さはピカイチの丹羽孝希

  • 前回3位の松平健太も優勝候補のひとり

  • 前回は4回戦で敗れた吉村和弘。大阪で大爆発なるか