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平成30年度全日本選手権速報

●女子シングルス準決勝
伊藤美誠(スターツSC)7、9、7、9 早田ひな(日本生命)

女子シングルス準決勝の第1試合は、伊藤美誠がストレートで早田を破る!

 準々決勝までは豪打爆発、石川を破り、抜群の強さで勝ち進んできた早田。その進撃は、ダブルスパートナーの伊藤に完璧に止められた。昨日の女子ダブルスの優勝会見で、「今回は改めて、私は伊藤選手のレシーブや競った場面での思い切りの良さにたくさん学ばせてもらった部分があります」と語っていた早田。どうしても「サービス・レシーブでは分が悪い」という苦手意識があったのではないか。

 1ゲーム目の出足、これまであまり出さなかったシンプルな縦回転サービスから入った早田だが、出足は得意なサービスからスタートするのが鉄則か。2ゲーム目、伊藤が10ー9でゲームポイントを握った場面で、早田の縦回転サービスに伊藤のストップが大きく浮いたが、早田のフリックは大きくオーバー。待ちのシステムが起動していなかった。

 一方、伊藤は2本のサービスの中で、同じ回転・コース・トスの高さのサービスは出さない。早田が待ちを絞りきれず、確実にレシーブしてきたところを狙い打った。3ゲーム目の10ー7のゲームポイントでは、レシーブから思い切りフォアスマッシュを振り抜き、会場をどよめかせる。

 早田も4ゲーム目にフォアストレートへのパワードライブを決め、6ー4とリードを奪ったが、ここでも早田が縦回転系のサービスに切り替えてから流れが変わり、伊藤が連続得点で10ー7と逆転。10ー9の3回目のマッチポイントで、早田の飛びついてのフォアドライブがオーバーし、伊藤の決勝進出が決まった!
  • 伊藤の逆チキータは随所にみられた

  • 伊藤、2年連続の3冠まであと1勝

  • 早田は持ち味を出せずに敗れた

  • 早田、敗れたものの初の表彰台を決めた

 全日本選手権の6日目、14歳の木原美悠(JOCエリートアカデミー)が女子シングルス準々決勝で佐藤瞳(ミキハウス)をファイナルゲームで破り、初のベスト4入りを決めた。
 勝負を分けたのは卓球独特の「促進ルール」だった。
佐藤は「カットマン」という守備を主体とするスタイルだ。まだ14歳で球威の劣る木原にとって、これほどやっかいな相手もいない。攻撃しても攻撃しても返されるのだから当然だ。一見すると、カットマンは卓球台から離れているので、ネット際に落とせば(卓球ではこれを「ストップ」と言う)
 得点できそうなものだが、そうではない。
ネット際に落としたとしても、弾んだ後に台から出てしまうと、そのボールが床に着くまでに打てばよいので、ほとんど間に合ってしまうのだ。もちろん、台上で2バウンドするストップができれば、かなりの確率で得点できるが、それは極めて難しい。優れたカットマンは、それを防ぐために相手コートいっぱいに深いボールを送っているからだ。

 卓球にはボレーがないから、深く送られたボールは必ず遠くから打たなくてはならない。
 遠くから打ったボールは2バウンドせずに台から出てしまう。台に弾んでからの飛距離は、弾むまでの飛距離で決まる。
 台の端からネットを超すように長い距離を飛ばしておいて、台に弾んでから短く弾ませるなどできない相談なのだ。
カットマンが、相手のストップを苦もなく返すことができるのは、競技領域内に卓球台と床という高さの異なる二つの平面が存在することと、ボレーがないという競技条件のためであり、これがカットマンという特異なスタイルを存在せしめている。
 優れたカットマンは攻撃もする。実際、木原は佐藤の要所での攻撃に苦しめられた。
そんなに攻撃ができるなら最初から全部攻撃すればよさそうなものだが、実はカットマンの攻撃には秘密がある。カットマンには、普通の攻撃選手には来ないような甘いボールが来ているのだ。
カットマンと試合をする選手は特別な戦い方を強いられる。攻撃されることを前提に台から離れて構えているカットマンに対して、1球や2球攻撃したところで得点にはならない。
 得点できる見込みの少ない攻撃にリスクは冒せない。1発で得点できるなら、成功率80%の攻撃でもする価値はあろう。しかし、5球も6球も返し続けてくる相手に成功率が80%しかない攻撃を続けたらあっという間に負けてしまう。成功率80%の攻撃が5球連続で入る確率は30%しかないのだ。だからカットマンと試合をする者は、決定的なチャンスが来るまでは、成功率が100%に近い安全な打法を採用しなくてはならない。
それはつまり、遅くて高いボールを送ることだ。そのボールをカットマンは狙い打つ。
それを狙い打てるだけの必要最小限の攻撃力を備えているのがカットマンなのだ。

 今回、木原は前半で佐藤の術中にはまり、ゲームカウント1−3と追い詰められた。
後がなくなった木原は、ここから自ら持久戦を徹底する作戦に出た。「促進ルール」に持ち込んだのだ。
 促進ルールとは、試合が長引くことを防ぐためのルールで、ラリーが13往復続いたら自動的にレシーブ側の得点になるシステムだ。
ゲームの開始から10分経過してもそのゲームが終わらない場合(正確には両者の得点の合計が18点に満たない場合)、そこから試合が終わるまでこのルールが適用される。
守備が全盛だった1936年の世界選手権で、1点取るのに2時間12分かかったことから制定されたルールだ。
 サービスを持った側は、13往復以内に得点しなくてはいけないので、攻撃力がある方が有利だ。
 カットマン同士の試合では促進ルールに入ることは珍しくないため、カットマンは促進ルールも折り込み済で訓練を積んでいる。しかし、片方が攻撃選手である場合、促進ルールが適用されることは稀だ。
 攻撃選手が得意の攻撃を封印し、粘ることが得意なカットマン相手に10分間も粘り通すことは難しい。失敗すれば、得意技を使わずに試合が終わってしまう、よほどの覚悟がないとできない。
 今回、木原は背水の陣となった第5ゲームでこれを実行した。結果、見事に促進ルールが適用され、そこから3ゲームを連取して、4−3でこのカットマン地獄から抜け出した。
 卓球のトーナメントで勝ち進むためには、トーナメントに潜むカットマンをも攻略できる全面性を兼ね備えていなくてはならない。まだ14歳の木原は見事にそれを示した。
  • 石川以来の中学2年生の準決勝進出となった木原

大会も最終日を迎えた今年度の全日本選手権。本日男女シングルスの王者が決まる。ここまで混合ダブルスと女子ダブルスで2冠を獲得している伊藤美誠。女子シングルスではダブルスのパートナー・早田ひなとの対戦となる。もうひとつの準決勝は準々決勝でカットの佐藤をゲームオールの末くだした中学2年の木原美悠と平成25年度準優勝の森さくらの一戦。今年度は誰が決勝進出の切符を手にするのか? 女子シングルスは10時から伊藤と早田の一戦からスタート。

昨日ダブルスで優勝し、シングルスでは2連覇と2冠がかかる張本智和は、大島祐哉との対戦。大島の後陣からのパワーと張本の速攻がぶつかり合う。張本・大島戦は12時からスタート。13時からは水谷隼と木造勇人の一戦。昨日、丹羽孝希との左腕対決を制した水谷。2試合連続の左腕対決となる木造戦はどんな戦いを見せてくれるのか?こちらも楽しみなカードとなった。


本日のスケジュールは以下のとおり。


10:00~ ●女子シングルス準決勝 伊藤美誠(スターツSC)vs.早田ひな(日本生命)
11:00~ ●女子シングルス準決勝 森(日本生命)vs.木原美悠(JOCエリートアカデミー)

12:00~ ●男子シングルス準決勝 張本智和(JOCエリートアカデミー)vs.大島祐哉(木下グループ)
13:00~ ●男子シングルス準決勝 水谷隼(木下グループ)vs.木造勇人(愛知工業大)

15:00~ ●女子シングルス決勝 
14:35~ ●男子シングルス決勝
  • 2連覇、2冠を狙う張本

  • 水谷は王座奪還なるか?

 男子ダブルス決勝、互いにマッチポイントを取り合うジュースの連続の中で、タイトルをつかみ取った木造勇人/張本智和。
 勝利の瞬間、張本が木造に飛びつき、木造がよろめくほど。「正直、昨日の夜から優勝した時のパフォーマンスは考えていました。自分が飛び乗るか、余裕があれば木造さんを持ち上げたいと思っていたけど、あんなに厳しい試合とは思っていなかった。次は木造さんを持ち上げたい」と笑顔でコメントした張本。4歳年上の木造にも、ポンポンものを言う姿を普段から目撃しているが、ふたりの信頼関係は強い。以下は優勝会見でのコメント。

「最後、ジュースになって何回もマッチポイントを握られて、自分たちもマッチポイントを取りきれなかったけど、木造さんが思い切ってチキータしてくれて勝つことができました。(最終ゲーム、ジュースの場面のタイムアウトで)相手も落ち着いて考えてくる中で、チキータにいきたいけどロングサービスにも注意しながらラリーをつなげようと話をしました。
 今回は初めて全日本前に集中的に練習して、今まで練習しない中でも良い結果を出せた時もあった。木造さんはチキータもうまいし、ラリーでも簡単にミスをしないので本当にダブルスがうまい選手。最後は木造さんを信じてすべて任せました。今回は全日本優勝と世界代表を目指していたので、世界代表の可能性は高くなったし、目標は世界選手権の金メダルです」(張本)

 「最後は技術ではなく、気持ちの面や運でぼくらが一本取れたんじゃないかと思う。弱気になったら絶対負けてしまうので、自分から攻めるということを忘れずにプレーしました。
 最後、ロングサービスを思い切ってフォアで打ってくれた張本選手が心強かった。シングルスでは世界3位のトップ選手なので、自分はとにかく台に入れていくことを心がけた。そういう信じ合うところがあるし、最後は張本選手が『自分を信じろ』とずっと言っていて、「ずっと信じてるよ」と思ってました。ここで負けていたらダメだし、世界選手権を目指して全日本に臨んだので、ひとつ上の段階に行けたと思います」(木造)。

 明日は張本が大島、木造が水谷との対戦。張本は今日の試合を振り返り、「昨日の2試合があまりよくなくて、今日は自信を持ってバックでゆっくりプレーしたいと思った。まだまだこの状態では優勝は遠いので、明日はしっかりプレーしたい。まずは去年も対戦した大島選手ですけど、自分が100%以上の力を出せば勝てると思う」とコメント。

 一方の木造は「今日はこれから水谷選手の対策をしっかりして、良いイメージをつくって明日に臨みたい。そして明日決勝で張本選手とやれたらいいかなと思います」と語った。さあ、いよいよ明日は大会最終日。天皇杯は……誰の手に?
  • 笑顔の木造(左)/張本ペア。愛を感じます

 2年連続で表彰台の一番上に立った後、会見室で優勝会見に臨んだ早田/伊藤ペア。以下はふたりのコメント。

 「素直にうれしいというひと言が一番合うかなと思うんですけど、本当に去年の優勝からたくさんのワールドツアーに出させてもらって、たくさんの経験をして、レベルアップした自分たちを見てもらえたかなと思います。全日本という大舞台で優勝できてとても自信になりました。自分たちの持ち味はサービス・レシーブや台上プレー。そこでいつも勝っていますし、そこを上げていくことが大事。全日本前の練習は2日でしたが、去年たくさん試合に出させてもらったので、経験も自信もついて試合に臨めた大会。安定した状態、安定した気持ちで初戦から戦えました。
 (強さの理由について)たくさんダブルスを組んでいるというのが一番ですが、あとは個々の強さ、実力が上がったこと。だからまだまだ強くなるチャンスはあるし、レベルアップできるし、今後がすごく楽しみです。今のダブルスでの大舞台は世界選手権。組ませてもらえたら世界選手権で優勝したい。2年前は銅メダルを獲ったので、次はさらに上を目指したい。もっともっと上の目標を立てて、ひとつずつクリアしていきたい」(伊藤)

 「昨年優勝して、二連覇のプレッシャーの中で、その緊張に負けないくらいお互いに明るく、良いところを出して試合を進めることができたのが一番良かったかなと思います。今年は美誠の混合ダブルスの影響で、女子ダブルスは練習なしで初戦に入って、自分も全日本の初戦で結構緊張があったんですけど、美誠に台の弾みなどをしっかり聞いて、1回戦から思い切ってプレーできたのが良かった。追われている立場でもチャレンジャーの気持ちを忘れなかったのが良かったと思います。
 いつもはワールドツアーで外国選手のペアや中国選手ペアと対戦していて、日本選手のペアと対戦する機会は少ないけど、日本選手ペアにもしっかり勝てるところを見せられた。外国選手ペアと日本選手ペアのプレーは全然違うので、対応力が上がったと思います」(早田)

 明日の準決勝で対戦する伊藤と早田。今日のパートナーは明日のライバル。コメントを求められ、「全日本という大舞台で戦えるのはすごくうれしいことでもあります。最終日なので、盛り上がる試合ができたらいいと思いますし、お互いの良さ、実力をとことん出して、良い試合ができるようにしたい」と伊藤は語った。

 一方、早田は「初めての1コートだけでの試合。今日以上にお客さんも見に来ると思うし、その中でお客さんが『伊藤選手と早田選手の試合は本当に楽しかった』と言ってもらえるような試合がしたいと思います」とコメント。勝っても負けても、恨みっこなしの一本勝負。この試合、盛り上がること間違いなしだ。
  • 優勝会見に臨んだ早田(右)/伊藤

  • 明日はライバルだが、素晴らしいゲームを見せてくれることだろう

●男子ダブルス決勝
木造勇人/張本智和(愛知工業大/JOCエリートアカデミー) ー9、7、ー5、5、14 松山祐季/高見真己(愛知工業大)

 最終ゲームはジュースの連続、松山/高見に二度のマッチポイントを奪われながらしのぎ切った木造/張本が、歓喜の初優勝!

 これが男子ダブルスの「最新形態」なのか。両ペアともチキータからバックハンドの高速ラリーを展開し、圧倒的にフォアハンドよりも手数が多かったこの決勝。松山の強烈なチキータでのレシーブ、ラリーでの高見の叩きつけるようなバック強打で愛工大ペアが2ー1とリードしたが、張本/木造がゲームオールに持ち込み、最終ゲームはジュースの連続。両ペアとも「チキータ封じ」のロングサービスをガンガン出し合う光景は、一種異様ですらあった。
 
 松山/高見も二度のマッチポイントを握りながら決めきれず、15ー14で迎えた木造/張本の4回目のマッチポイントで木造が決死のチキータ。これが決まった瞬間、張本が歓喜を爆発させ、木造に飛びついた!!

★木造/張本ペアの優勝インタビュー
張本「何回負けかけたかもしれない試合で、木造さんに助けてもらいました。最後はレシーブをどうするか意見が分かれた。ぼくはストップでいってほしいと言ったけど、木造さんはチキータでいくと。シングルスの決勝は木造さんが上がってくると思うので、木造さんとやりたい」
木造「苦しい場面を乗り越えられた。最後はストップに自信がなかっただけで、だからチキータでいきました。決勝は愛知工業大同士、複雑な気持ちもありましたけど、思い切りやれました」

★松山/髙見コメント
松山「最初は勝ちも意識していないし、相手が格上だったので思い切ってやるだけやって、あと一歩だったので本当に悔しい。マッチポイントの場面で、今までと少し違うサービスを出したつもりだったけど、そこで少し置きにいってしまった。そこで思い切って出せれば、と今でも後悔している。張本のほうが場慣れしているのもあるし、勝ってても『何かあるんじゃないか』と怖かった。そういう迷いがあってはダメだったのかなと思います」

髙見「張本に対して思い切っていかないと勝負にならないと思ったので、ラリーで優位にできるように戦術を組んでやってきた。最後、自分の中では優勝を意識したつもりはないけど、そこで凡ミスが出るということは心の弱さがあったと思う。(最終ゲーム13-12でのタイムアウトは)なかなか決めきれないところだったので、ちょっと落ち着こうと思っていた。
  • 土俵際で踏ん張った木造/張本が初V

  • 優勝まであと1点。松山/髙見は表彰式後も悔しさをにじませた

  • 喜びを爆発させた張本が木造に抱きつく

●女子ダブルス決勝
早田ひな/伊藤美誠(日本生命/スターツSC) 3、9、ー12、6 芝田沙季/大藤沙月(ミキハウス/ミキハウスJSC)

女子ダブルスは早田ひな/伊藤美誠が2連覇を達成!

1ゲーム目、いきなり8ー0とスタートダッシュをかけた早田/伊藤。伊藤のカウンタースマッシュから、早田がフォアストレートへ連続カウンターを見舞うなど、好プレーを見せて11ー3で先取。2ゲーム目も11ー9で連取する。
芝田/大藤も8ー10から計4回のマッチポイントを握られた3ゲーム目を逆転で取り返して意地を見せたが、4ゲーム目も早田/伊藤が4ー0、8ー4、9ー5とリードを保ち、流れは変わらず。最後は伊藤のバック表ソフトのストップに、芝田のフォアツッツキがオーバーミス。サービス・レシーブで常に優位を保った早田/伊藤が優勝を決めた。

中陣から回転量の多いパワードライブを打ち込む早田と、前陣でカウンターとスマッシュを突き刺す伊藤。ふたりのコンビネーションは抜群で、サービス・レシーブも非常にうまい。まさに球史に残る強さと言えるだろう。

★早田ひな/伊藤美誠の優勝インタビュー
早田「プレッシャーの中での試合でしたが、2連覇を達成できてほっとしました。いろいろな人に対策されても2連覇できたのは良かった。世界選手権の代表に選んでもらったら、世界一を目指して頑張りたい。(明日の準決勝では)パートナーからライバルになりますが、お互いに100%の力を出せればいいかなと思います」

伊藤「3ゲーム目を取られましたが、気持ちを入れ替えて勝つことができて良かったです。去年のように良い流れができているので、明日が楽しみです。(早田は)強いので向かっていくだけ。100%の力を出せればいいと思っているし、3冠については全く考えていません。明日は実力を出せればいい。今の自分だったら大丈夫を自分に言い聞かせています」

★芝田沙季コメント
「初めての対戦でしたが、ボールの威力、台上の質の高さ、すべてで向こうのほうが上でした。こちらは右利き同士のペアで動く量も多くて、相手の左右ペアの速さについていけなかった」
  • 多彩なレシーブテクニックで、攻めを封じた

  • 動き回った芝田/大藤だが終始押される展開に

  • 強さまざまざ、堂々の2連覇達成だ

 日本卓球協会の粋な計らい。
 女子ダブルス決勝の前に、長年、卓球界に貢献し、日本代表として五輪のメダル獲得にも尽力した福原愛さんに、日本卓球協会から特別功労賞が贈呈、功労金として500万円も贈られた。
「今まで卓球ファンの方々に支えていただきました。引退試合ができなく、皆さんにお礼を言えませんでした。本当にありがとうございました」と挨拶し、会場からは温かい大きな拍手が贈られた。
  • 会場の卓球ファンに挨拶する福原愛さん

●男子ダブルス準決勝
木造勇人/張本智和(愛知工業大/JOCエリートアカデミー) 13、9、ー5、10 水谷隼/大島祐哉(木下グループ)
松山祐季/高見真己(愛知工業大) ー9、ー6、9、11、8 松下海輝/藤村友也(日鉄住金物流)


 前回王者の水谷/大島と張本/木造のカードは、4人全員がシングルスベスト4進出という、まさに最高峰同士の対戦。今日はシングルスで勝利してダブルスに臨んでおり、少し気が楽になったか、序盤から華々しいラリー戦が展開された。その中で、先手を奪ったのは張本/木造。ストレートへのボールを有効に使い、1、2ゲーム目ともに競り合いを制した。3ゲーム目はようやく対応できるようになった水谷/大島が5本で奪ったが、4ゲーム目も試合は張本/木造ペース。10-7とマッチポイントを握る。しかし、ここから水谷/大島が粘りを見せ、10-10。逆転かと思われたが、張本/木造が崩れずに2本連取で決勝進出を決めた。この試合、シングルスの勢いそのままに、会心のプレーを見せたのが木造。台上でうまく先手を取り、ラリーになっても中陣からの粘り、前陣でのコースを突いたカウンターと大当たりを見せた。
 連覇を逃した水谷は「1、2ゲーム目を競り合いで落として、だいぶ厳しいかなと思った。相手にうまくストレートを突かれて、その対応に遅れてしまった」と振り返った。

 準決勝もうひと試合は愛知工業大ペアがゲームカウント0-2からの大逆転勝利。ロングサービスも混ぜながら松山/髙見のチキータを封じ、ラリーでも台を広く使って攻めた松下/藤村が、1、2ゲーム目を奪う。気合いに満ちたプレーで決勝進出に王手をかけたが、松山/髙見が接戦をものにし、3、4ゲームを奪い返し、勝負の行方は第5ゲームへ。スタートダッシュをかけた松下/藤村が6-1とリードを広げるが、諦めない松山/髙見も追い上げを見せて8-8。ここから2本連続レシーブで強気のチキータを見せた松山/髙見が逆転。最後は松下のバックハンドがオーバーし、愛知工業大ペアが大逆転での決勝進出を決めた。
  • 水谷/大島の2連覇にストップをかけた張本/木造

  • 木造/張本、初優勝まであと1つ

  • 3位に終わった水谷/大島

  • 大逆転で決勝進出を決めた松山/高見

●女子ダブルス準決勝
早田ひな/伊藤美誠(日本生命/スターツSC) 5、6、12 佐藤瞳/橋本帆乃香(ミキハウス)
芝田沙季/大藤沙月(ミキハウス/ミキハウスJSC) 5、10、-4、-9、8 平侑里香/松本優希(サンリツ)

 同時にスタートした女子ダブルスの準決勝、先に決勝行きを決めたのは2連覇を目指す早田/伊藤。カットキラー2人のペアが、万全のカット打ちで佐藤/橋本に快勝。つなぐ、揺さぶる、決める、と隙のない連係を見せた。佐藤/橋本はロングサービスや攻撃などの奇襲で3ゲーム目こそジュースに持ち込んだが、最後は早田/伊藤に跳ね返された。
 佐藤は試合後「本当に強いペアで隙がなかった」と脱帽。「リードしていても点差をなかなか離せないし、最後までどうやって点を取れば良いのかわからなかった」と完敗を認めた。

 そしてもう1試合はフルゲームまでもつれる接戦。1、2ゲーム目は芝田/大藤の巻き込みサービスが面白いように効き、ミキハウスペアが一気に王手をかける。しかし、日本リーグ屈指の実力派ペア、平/松本も意地を見せる。コンビネーション抜群のプレーで、厳しいコースへの連打が決まり出すと、ミキハウスペアにもミスが出だし、3、4ゲーム目はサンリツペアが奪取。最終ゲームは終盤まで競り合ったが、サンリツペアの連続攻撃に馬力で食らいついたミキハウスペアが決勝進出を決めた。
  • 2連覇に王手をかけた早田/伊藤

  • 佐藤/橋本は2年連続の3位

  • 決勝で早田/伊藤に挑む芝田/大藤