速報・現地リポート

トップニュース速報・現地リポート

平成28年度全日本選手権速報

 一昨年度大会で第一線を退いた坪口道和が、2年ぶりに全日本の舞台に帰ってきた。地元長崎で鎮西学院高教員を務める坪口。長崎国体の強化メンバーとして、小学6年の時から坪口の指導を受けていたという吉野が、男子ダブルスのパートナーとして坪口に打診し、師弟ペアが実現した。

 その初戦、男子ダブルス1回戦を3-0で快勝。「3ゲームしか持たないです(笑)」という坪口だが、教え子である吉野の鋭いドライブにも引っ張られ、随所で持ち味のドライブ速攻を見せた。

●男子ダブルス1回戦
坪口道和/吉野彪功(鎮西学院高教員/中京学院大)9,3,7大森拓也/駒木智行(東洋大/山梨学院大)
 大学生、高校生が目立つ初日、2日目の中で、大学院生も全日本に挑む。昨年春に早稲田大を卒業し、現在日本大学芸術学部の大学院に通う藤原康明(KKSC)が倉林奈保(ミズノスポーツサービス)とのペアで昨日混合ダブルス1回戦を突破。本日行われた2回戦で昨年度ベスト8の加藤由行/中畑夏海(フジ/愛知工業大)と対戦した。

 昨日は高校生ペアの勢いをうまくかわして勝利を収めたが、今日の試合は「最後は自分たちの試合ができたけど、相手が強くて驚きました(笑)」(藤原)とストレートで敗れた。それでも3ゲーム目は終盤に追い上げ、意地を見せた。

 大学院で藤原が学ぶのは「哲学」。早稲田大在学中から興味があり勉学を重ねているという。
 「哲学は生き方とか、考え方とか、ものごとの本質について考えるものなので、人間の行動の原点だと思います。それを深く追求していくのが面白い。多角的にものごとを見るという意味では卓球にもつながっていると思う。今は練習は週1回くらいだけど、毎日練習していた頃とは違った(卓球の)楽しみがありますね」(藤原)

 惜しくも大会を去ることになったが、試合後には清々しい笑顔を見せた藤原。忙しい勉学の合間の全日本をエンジョイした様子だった。

●混合ダブルス2回戦
加藤/中畑(フジ/愛知工業大) 9、2、10 藤原/倉林(KKSC/ミズノスポーツサービス)
●ジュニア男子2回戦
戸上(野田学園中) 3ー1 櫻井(実践学園高)

野田学園中3年の戸上隼輔がジュニア男子2回戦に登場。第3ゲームを落としたものの、順当に初戦を突破した。「野田学園にない台だったので、最初はちょっと緊張した。感触などを確かめながらプレーしましたが、良い感じで自分にフィットして、良い初戦だったと思います」と試合を振り返った。

まだ中学3年生とはいえ、戸上のスイングスピードの速さは国内でもトップクラスだ。両ハンドのカウンタードライブは目を見張るほど速い。プラスチックボールの中でも硬めの『Gボール40+』(バタフライ/今大会の統一球)は、戸上のような強打者にマッチするだろう。野田学園は普段の練習でもGボールを使用しており、戸上自身も「Gボールは得意なボールです」と語る。また、戸上は小学生時代から体幹トレーニングに力を入れており、スイングスピードを上げるコツは「スイングの時に体幹を意識すること」だという。

「去年木造選手に負けたので、今年こそ木造選手に勝ちたい。全中でも張本に負けたので、今回は勝ちたいと思います。自分の持ち味はフットワークとスイングスピードですが、台上プレーがまだ弱い部分があるので、そこを強化してきました」(戸上)。昨年の全日本団体では、JNT(ジュニアナショナルチーム)の一員として、実業団のトップ選手とも互角以上に戦った。ジュニア男子でも間違いなく優勝候補の一角だ。
 千葉県ジュニア女子ではトップクラスの実力をほこる柴田(幕張総合高)が、2回戦を突破。就実高のカットマン・山口といずれもジュースにもつれ込みながら、勝負強さを見せてストレートでの勝利となった。粘り強いカットを見せた山口だったが、柴田が競った場面でもパワフルなフォアドライブを連発し、逃げ切った。

柴田「1ゲーム目をとった時、これで負けたら後悔するなと思い、競っても頑張ることができた。大会前の練習では、(今大会使用球の)バタフライのボールでのカット打ちがうまく合わず不安がありましたが、実際の試合では感覚があって、力が出し切れました。自分の武器はフォアドライブで回転をかけて押していくことで、今のところ、普段の練習通りのプレーができていると思います」

 今大会の目標は?との問いには、はにかんで少し悩んだ後、「1戦1戦頑張りたい」とのこと。持ち味という回転量のあるフォアドライブがこの調子で連発できれば初出場となる全日本ジュニアで勝ち進む可能性は十分だ。

●ジュニア女子2回戦
柴田あかね(幕張総合高) 12,16,12 山口真由(就実高)
 卓球王国2016年5〜8月号にて連載されていた「マシン練習のトリセツ」でモデルを務めてくれた福原明雄(埼玉栄高)がジュニア男子1回戦に登場。老松(愛工大名電高)にストレートで勝利し、2回戦進出を決めた。福原のベンチには企画を監修した渡辺貴史コーチが入り、勝利をアシスト。「マシン練習コンビ」で勝利を掴んだ。
 現在高校1年生の福原はプレーも体も伸び盛り。身長は現在180センチだが、まだ伸び続けているという。体の線はまだ細いが、スピード感のある両ハンドは威力抜群。今大会はジュニア男子のほか、男子シングルスにも出場する。

 試合後には「全日本ジュニアは去年が初出場で、今年が2回目の出場。去年は2回戦で負けたけど、今年は3回戦まで行けば張本(JOCエリートアカデミー)と当たるので、そこまで行きたい」と抱負を語った。ベンチの渡辺コーチは「今年はそこまで練習を見ていないけど、高校に入ってラリーのミスが減った。でも何より精神面が成長した。気持ちを前面に出して試合をするようになっていて、勝ちたい気持ちが強くなったと思う」と教え子の成長に目を細めた。

 福原は今日のジュニア男子2回戦で景山(境港市立第一中)と対戦。勝利し3回戦へ駒を進めれば、張本との対戦が予想される。

●ジュニア男子1回戦
福原(埼玉栄高) 6、13、7 老松(愛工大名電高)
  • ジュニア1回戦突破した福原

  • 勝利後、渡辺コーチと握手

混合ダブルス2回戦
及川/安藤(専修大) 3-0 西垣/枝松(TEAM押忍/山陽女子高) 

 全国ホープスなどで常に上位を賑わす岡山の強豪チーム・TCマルカワのコーチである西垣と同クラブ出身で全中3位の実績を持つ枝松のペアが混合ダブルス2回戦に登場。及川/安藤ペアにストレートで敗れた。
 西垣は今後地元に戻り家業を継ぐため「今回が最後の全日本」。「枝松に連れてきてもらいました」と謙虚に語り、枝松は「(コーチとダブルスを組めて)楽しかったです」とふたりとも清々しい笑顔を見せコートを去った。
 本日2日目は混合ダブルス2回戦が行われ吉村真晴/石川佳純(名古屋ダイハツ/全農)のリオ五輪メダリストペアが登場する。シングルスでも頂点を目指す両者にとっての初戦となる試合に注目したい。本日、混合ダブルスは2、3回戦が行われ、吉村/石川は2年ぶり2回目の優勝を狙う。
 また、昨年の世界ジュニア選手権で最年少チャンピオンとなった13歳の張本智和(JOCエリートアカデミー)も登場。昨日の記者会見で「出場する3種目すべてで優勝したい」と語った張本の初戦は宇田幸矢(JOCエリートアカデミー)との男子ダブルス1回戦。その後ジュニア男子シングルス3回戦と続く。会場でも注目の試合となるだろう。

 ジュニア男女の3回戦ではシード選手が登場。男子では昨年優勝の第1シードの木造勇人(愛工大名電高)が2回目の優勝を目指す。伊藤美誠(スターツSC)、平野美宇(JOCエリートアカデミー/大原学園)が不参加のジュニア女子では世界ジュニアシングルス3位の加藤美優(吉祥寺卓球倶楽部)が2度目の優勝、昨年のグランドファイナルU21で優勝の早田ひな(希望が丘高)が初優勝を目指す。

本日はこのあとジュニア男子シングルス1回戦の後半戦からスタート。
大会2日目の試合は以下のとおり。

●男子ダブルス(1~2回戦)
●女子ダブルス(1~2回戦)
●ジュニア男子(1~3回戦)
●混合ダブルス(2~3回戦)
●ジュニア女子(2~3回戦)
  • 昨日の記者会見での張本

 昨年の全日本カデット13歳以下3位、12歳の徳田幹太(伊予つばさJr)が今大会の男子最年少プレーヤー。体つきはまだまだ細いが、そのセンスは抜群。相手のストップをフワリとバッククロスに流す台上のボールタッチ、あまいループドライブをピシャッとストレートに弾き返すバックハンド、キレのあるフォアのカウンタードライブを見せた。

 YGサービスも変化が大きく、高校生の野崎(杜若高)を相手に、試合の序盤はサービスエースをどんどん取っていた。中盤からサービスに慣れられ、ゲームオール6ー6から6ー10と最後に離されて敗れたが、さらなる成長が楽しみだ。
  • 徳田選手、フォアドライブは豪快なスイング

女子の高1トリオ「みう・みま・ひな」と一緒に会見に臨んだ張本選手、会見後の撮影タイムでなかなか3人との距離を詰められず、「ちょっと避けすぎでしょ〜」とツッコまれていた。4人で手を合わせてのポーズも、ちょっと遠慮がち?

しかし、大会への意気込みは「出場する3種目すべてで優勝したい」と力強かった。「世界ジュニアでは(今大会の使用球である)『バタフライ スリースターGボール40+』で成績を残して自信になったし、全日本でもそれ以上の成績を残したい。でも試合の結果についてはボールのせいにはせず、すべては自分の実力だと考えて戦いたいです」(張本)。この年末年始には、中国・四川省で1週間の合宿を行い、四川長虹佑康のメンバーとして中国スーパーリーグを戦う選手たちとも練習。実力の差を痛感したというが、その成果が今大会で見られるか。
  • 今にもフレームアウトしそうな智和くん

  • ひな姉さんのダメ出しで、やっと近寄りました

  • この4人が、今大会に旋風を巻き起こすのか?

 混合複に続き、ジュニア女子の1回戦が行われている。

 熊本県・関新高のペンドラ・石崎は、1回戦で競りながらも惜敗、初の全日本ジュニア出場で、初白星はならず、悔し涙を見せた。

 日本式ペンホルダーラケットの片面に裏ソフトを貼る、ジュニア世代では希少なスタイルの石崎。敗れはしたものの、流れるような切り替えと、柔らかいタッチのプッシュ気味のバックショートが光り、シェークの岡本(富田高)と互角の両ハンドのラリーを展開した。

 「初出場で、目標はベスト32でしたが、実力が全然足りなかった。ペンの選手は少ないけど、全日本ではペンで強い人がたくさんいる。そのような選手を目指したい」という石崎。熊本のペンドラの今後の活躍に期待したい。

●ジュニア女子1回戦
岡本彩里(富田高・岐阜)3-2石崎瑞貴(開新高・熊本)