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 今大会、卓球界初のビデオ判定が導入されることが大会前に発表された。審判の判定に対して選手は2回まで、ビデオ判定による「チャレンジ」を要求することができ、成功すれば回数は減らない。

 大会を通じて、選手がチャレンジを行った回数は決して多くはない。女子シングルス準々決勝の劉詩ウェン対陳夢戦でエッジかサイドかのチャレンジが一度あったが、その他はほとんどがサービスへの判定に対するもの。トスの高さが16cm上がっていない、トスが斜めに上がっている、頭や腕でボールを隠しているなどの理由でてフォールトを取られた時だ。

 ちなみに馬龍は「頭でサービスを隠している」として2回フォールトを取られ、そのたびにチャレンジして2回とも「UNSUCCESSFUL」(チャレンジ失敗)の判定。厳密に言うと、多くの選手がフォールトに該当するのかもしれないが、馬龍は特に頭から突っ込むようにサービスを出すフォームなので、フォールトを取られやすいのだろう。

 今大会はビデオ判定は試験的な導入。大会前半のコートが2台の時は、第1コートにしかビデオ判定の設備がないため、公平ではなかった部分もあるが、歓迎されるべき試みだ。
●女子シングルス決勝
陳夢(中国) 9、6、6、−9、6 王曼昱(中国)

女子シングルス優勝は陳夢!
17年アスタナ大会、18年仁川大会に続く3連覇を達成。劉詩ウェン(11〜13年大会)に並ぶ連続優勝のタイ記録だ。

 準決勝の伊藤戦でも、バック対バックでの多彩なバックハンド技術が光っていた陳夢。バックが強い王曼昱にもバック対バックでチャンスを作ると、長身の王曼昱のフォアを突くストレートへのバックハンド、そして電光石火の回り込みドライブがノータッチで抜ける。台上に浮いたボールに対するバック強打にも迷いがなかった。1ゲーム目3−7のリードから9−9に追いつかれたが、11−9で振り切り、2ゲーム目も7−1、9−3とリードを広げて11−6で奪取。3ゲーム目も台上からのバックハンドが冴え、5−6から6点連取で優勝に王手をかける。

 王曼昱も4ゲーム目、バックドライブの弧線に変化をつけて弧線の高いボールを送るなど、陳夢を揺さぶる。陳夢も優勝を意識したか、やや受け身になってこのゲームを落としたが、5ゲーム目は中盤で突き放して11−6でゲームセット。歓喜のガッツポーズの後、指で3連覇を表す「3」を作って自らを祝福した。以下は試合後の会見での陳夢と王曼昱のコメント。

 「三大会連続の優勝はうれしい。今大会は大きな自信になったし、2020年も良いスタートを切ることができると思う。今年の後半は成績が不安定でしたが、いろいろな困難に直面するのは当然だし、まだ最高のパフォーマンスはできていない。東京五輪までの1試合1試合で全力を尽くしたい。
 今年の大会で一番印象深いのは負けた試合。メンタルも技術も多くの課題がありますが、それは伸びしろもあるということ。その部分を伸ばして東京五輪を目指していきたい」(陳夢)

 「今大会は全体的にプレーが良かったし、この半年くらいで初めて決勝に進出することができた。一番パフォーマンスが良かったと思います。この1年、1試合1試合が私にとっては宝物。若い選手は多くのことを経験していかなければならないし、成績がすべてではありませんから」(王曼昱)
●男子ダブルス優勝
樊振東/許シン(中国) 7、6、−11、3 寥振ティン/林昀儒(チャイニーズタイペイ)

 男子ダブルスは樊振東/許シンが初優勝!
 3ゲーム目に11−10のマッチポイントを決め切れなかったが、4ゲーム目は7−0でスタートダッシュ。許シンのフリックと樊振東のチキータから、ラリー戦を確実に制した。タイペイペアも許シンのフリックを何本もカウンターで打ち抜き、ラリー戦でも引けを取らなかったが、台上でも多彩なテクニックを見せた中国ペアに軍配が上がった。

 優勝後の会見で許シンは「東京五輪ではドイツや韓国、日本などがライバルになるし、五輪団体戦では1番がダブルスなのでとても重要になる。ぼくらはとても良いペアだと思うし、もっとプレーを良くしていきたい」とコメント。樊振東も「最大の目標は東京五輪。五輪の(団体戦の)ダブルスはもっとタフな戦いになるでしょう」と語り、団体戦でのふたりのペアリングはすでに既定路線か。馬龍のシングルス2点に樊振東と許シンの単複。……スキのない布陣だ。
 グランドファイナルの大会最終日、午後の部と夜の部で2試合ずつの入れ替え制だが、午後の部も観客はよく入っている。会場の鄭州オリンピックセンター体育館の前には、入場待ちの行列ができた。

 少し外を歩いていると、何度も「ダフ屋」から「チケットある?」「チケット買うよ!」と声を掛けられた。ダフ屋の数はざっと見ても30人以上はいたでしょうか。チケットを値切ろうと、集団でダフ屋を取り囲む馬龍ファンの姿も。さすがにたくましい……。
 ITTF(国際卓球連盟)が主催するワールドツアーのグランドチャンピオンを決める、ITTFワールドツアー・グランドファイナル。もちろん、生粋の国際大会なのだが、今大会の雰囲気はまるで中国の国内大会。全中国運動会か何かのようだ。

 海外からわざわざ中国まで応援に来るのは、日本の一部の熱心なファンだけだし、会場の雰囲気が圧倒的に中国びいきになるのは致し方ない。しかし、中国選手と海外選手の対戦になると、ゲーム間にアナウンサーが中国語で中国選手の応援をあおり、会場は中国語の大声援に包まれる。さすがにこれは、両方の選手にエールを送ることができないものか。中国選手のサポーターが作った横断幕が四方を埋め尽くし、中国選手のサービスがフォルトを取られると悲鳴やブーイングが起きる。

 大会の人気No.1は、圧倒的に馬龍。アナウンサーがゲームの合間に会場のファンにインタビューすると、例外なく好きな選手は「馬龍」。男性ファンまで「我愛ニィ、馬龍!(愛してます、馬龍)」と言ったほど。また、会場でのクイズで「歴代のグランドファイナル最多優勝選手は?」という問題に対して、「馬龍!」と答えた女性ファンは優勝年度から開催地までスラスラ答えて、観客をたじろがせたほど。ホテルには馬龍をひと目見ようと、女性ファンが大挙して詰めかけている。

 ちなみにメディアシートにも、例によって、どこから潜り込んだのかという馬龍の女性ファンが一番良い席を取っている。メディアどころか、ホームページにスコアを入れるスタッフでさえ、馬龍が1点取るたびに大きな拍手を送るほど。記者席の他の中国メディアも、7割くらいはどうも仕事をしているように見えないのは、いつものことだが……。
●男子シングルス準決勝
樊振東(中国) 7、−11、3、3、−9、3 林高遠(中国)
馬龍(中国) 7、14、7、−4、−4、6 許シン(中国)

 中国が4強を独占した男子シングルス、ファイナリストは樊振東と馬龍!

 林高遠を4−2で下した樊振東は、バックドライブでフォアサイドを攻められた時の対応に進化を見せた。林高遠の高速バックドライブを、前陣ですばやく飛びついてクロスに打ち返し、余裕があればストレートへのカウンターも狙う。以前はフォアサイドを突かれた時の対応や、そこからの戻りが遅れて台から下げられるシーンもあったが、この前陣でのフォアの飛びつきは見事だった。

 そして大会第3日目のラストマッチは、馬龍対許シン。圧倒的な数のファンが会場に詰めかけた馬龍、10−7からジュースにもつれた2ゲーム目を16−14で競り勝って、一気に3ゲーム連取。許シンもお互い手の内を知り尽くした馬龍に対し、不用意に中陣に下がっては不利になると、前陣でのフォアドライブと裏面ドライブの連打で応戦する。昨日の張本戦では満身創痍の状態だった許シンだが、同士討ちのシングルスでも集中したプレーを見せ、2ゲームを取り返す。

 好ラリーの連続に、時計の針が23時を回った会場にはまだほとんどの観客が残り、大声援を送った。結果は4−2で馬龍の勝利。馬龍は最多記録を更新する6回目の優勝まであとひとつとした。
●女子シングルス準決勝
陳夢(中国) −10、8、5、11、11 伊藤美誠
王曼昱(中国) 9、3、8、3 王芸迪(中国)

女子シングルス準決勝、伊藤美誠は陳夢に対し、1ゲーム目1−9から大逆転で奪うも、1−4で敗れて3位で大会を終えた。

激戦の混合ダブルス決勝から、休憩時間は2時間ほど。「体力は以前よりもついてきているし、疲れはない」という伊藤だが、試合中に腰に痛みを感じたという。「骨が痛いか、筋肉が痛いかわからないんですけど、試合中に痛みを感じて、今は歩くだけでも痛い。3ゲーム目の5−10くらいのところで痛いと思った」(伊藤)。

1ゲーム目の1−9からの大逆転は、バック表の変化で相手のミスを誘い、11−10からロングサービスでのサービスエースで得点。強打・強打での逆転ではなく、最後まで冷静にプレーしてゲームをひっくり返すあたりは、さすがの「強心臓」だった。しかし、6−3とリードした2ゲーム目に6点連取で逆転され、一気に試合の流れを引き寄せられなかったのは惜しまれる。「2ゲーム目を取り切れなかったのが(試合を)離せなかったポイント。1ゲーム目を取った後の2ゲーム目は大事だなと思いました」と試合後に語った。

4ゲーム目以降もスコアは競り合ったが、レシーブからの多彩なテクニックを見せることができず、陳夢の得意とするバック対バックの展開からミスが出るシーンが多かった。これまで大きな故障がなかった伊藤だが、これだけプレーのレベルが上がれば、身体への負担も相当大きなものになる。東京五輪に向け、身体のケアも今まで以上に重要になる。

「この1年、自分の中ではすごく成長できた年です。実力が上がったなと感じる大会もあった。来年の1月に五輪代表が発表になりますけど、東京五輪の前に目の前の1試合1試合をやりきること。ワールドツアーも大事ですし、目の前の1試合を勝ちきって五輪につなげていきたい。どんな状態でも勝てるように、たとえばすごくヘトヘトの状態でも。そして実力を上げることが最優先です」(伊藤)

 女子シングルス準決勝のもうひと試合は、ワンサイドゲームで王曼昱が勝利。ともに国家チームでは、張継科の担当コーチとして有名だった肖戦コーチの指導をうけるふたり。ここまで対戦相手をバック対バックで押し込んできた王芸迪だが、バックの回転量とコース取りでは王曼昱が一枚上。さらに王曼昱は、王芸迪のお株を奪う思い切った回り込みドライブを連発し、あっという間に勝負を決めた。同年代の孫穎莎に差をつけられた感のある王曼昱だが、今大会のプレーは気迫に満ちあふれている。
●混合ダブルス決勝
許シン/劉詩ウェン(中国) −9、−6、3、8、9 水谷隼/伊藤美誠

 混合ダブルス決勝、2ゲームを先取した水谷/伊藤は、そこから3ゲームを連取されて無念の逆転負け。昨日、「今年、何度もミックスの決勝で負けているので、そのリベンジがしたい」と語っていた水谷だが、激しいシーソーゲームに屈した。

 1ゲーム目を7−9からの4点連取で奪った水谷/伊藤。水谷が思い切り良く回り込んでフォアドライブを決め、許シンの強打にも伊藤がよく反応する。逆に中国ペアはらしからぬイージーミスが多く、水谷/伊藤が5−1、9−3とリードを広げて11−6で連取した。

 しかし3ゲーム目、伊藤の巻き込みサービスを許シンがレシーブドライブして、水谷がバックブロックをオーバーミス。ここから8点連取を喫して、3−11であっさり落とす。昨日、張本との熱戦で疲れているはずの許シンだが、下がった時は大きく曲がるカーブドライブで日本ペアにプレッシャーをかけ、本来のリズムを取り戻してゲームカウント2−2のタイとなる。

 最終ゲームもスコアは離れず、5−7となったところで水谷/伊藤がタイムアウト。5−8から8−8と追いつくが、許シン/劉詩ウェンが8−10でチャンピオンシップポイントを奪う。水谷/伊藤は1点を返すが、またもあと1点及ばなかった。「最初の2ゲームは良い形で取れて、3・4ゲーム目は中国ペアのパフォーマンスも上がってきた。最終ゲームは負けましたが、お互いとても良いプレーができたので非常に自信になりました」と会見でコメントした水谷。リベンジの舞台は……東京五輪で訪れるのか?
●男子シングルス準々決勝
馬龍(中国) −9、8、−7、4、−8、9、8 梁靖崑(中国)
樊振東(中国) 10、5、7、−5、9 カルデラノ(中国)

 大会第3日目の12月14日は、男子シングルス準々決勝の残り2試合からスタート。初戦の馬龍対梁靖崑戦は全く互角の大熱戦。両選手ともよく似たスタイルで、安定したバックドライブでチャンスを作り、すかさずフォアでカウンター。両者とも1ゲーム目から声を出すほど気合いが入っていた。

 最後にフォアクロスへのフォアのカウンタードライブを決めた馬龍は大きく1回転してガッツポーズ。「世代交代はまだ許さない」と言わんばかりのガッツを見せた。

 その試合を、コートに一番近い関係者席から見守っていたのが中国卓球協会の劉国梁会長。その横にいる、帽子を目深にかぶった黒ずくめの男は……、かつての馬龍のライバル・張継科だった。そろそろ去就をハッキリしなさい。

 続く樊振東対カルデラノは、1ゲーム目からカルデラノのストレートへの豪打が全開。7−2、9−5とリードを奪い、勝利した前回大会の再現なるかと思われたが、ここから樊振東が6点連取で大逆転。カルデラノは「樊振東! 4比0!」とストレート勝ちを期待する観衆の前で、4ゲーム目を返したが、得意とする両ハンドのストレート攻撃が冴えた樊振東が勝利した。これで中国は男子シングルスの4強を独占。準決勝は今夜行われ、馬龍対許シン、樊振東対林高遠という対戦カードだ。
 今まで勝ったことのない、許シンからの白星を逃した張本智和。試合後に戻ってきたベンチに、何度も拳を打ちつけた。以下は試合後のミックスゾーンでのコメント。

 「笑うしかないですね。涙を通り越して笑うしかないです。試合中はずっと冷静に戦えていたので、今でも冷静なんですけど、何が足りなかったのかよくわからない。男子ワールドカップから調子が良くて、誰とやっても競れる自信はあった。2ゲーム目を競って取って、今日はいけるかもしれないと思いました。7ゲームを通じて自分が押していたところもあると思う。それでも最後勝ちきれなかったのは、自分も悪くなかったけど、相手も良かった。もっと良いプレーをしないといけない。自分が悪くなかったからといって甘えずに次に生かしたい。

 許シン選手からマッチポイントは取りましたけど、『あと1点が取れない』という感じはありました。6ゲーム目の10−9で少し急いでサービスを出してしまって、7ゲーム目も10−8で相手のサービスで、最後のゲームはレシーブで全然取れていなかった。中国選手とは十分競ってきて、十分戦ってきたのに、勝てなかった。追い詰めたというよりは、また勝てなかったという気持ちのほうが大きいです。自分が練習して、やってきている方向は悪くないと思えるので、最後の気持ちや決断が足りない。もっと自分の限界を超えないと勝てないのかなと思います。

 今年1年、なかなか大事なところで勝ちきれずに、最後の1試合までこういう結果になってしまったので、今までで一番悔しい1年だった。来年は二度と後悔しないよう、すぐ練習を始めたいと思います。この負けが東京五輪の勝ちにつながればいいと思いますけど、自分はオリンピックより目の前の試合に勝つことがうれしい。今はただただ悔しいです」(張本)