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 3月9日、2月28日で締め切られたJA全農世界卓球・東京大会のエントリーリストがITTF(国際卓球連盟)から発表された。中国の男女5名のエントリーについては先にお伝えしたが、次はお隣の韓国の代表メンバーをチェックしてみよう。

 韓国の男女5名のエントリーは、男子が朱世爀・金珉鉐・鄭栄植・李廷佑・趙彦来、女子が徐孝元・石賀浄・梁夏銀・朴英淑・李恩姫。しかし、エントリーを済ませたといいながら、この5人のうち確定しているのは男女とも3名のみ。男子は世界ランキング18位の朱世爀、19位の金珉鉐、23位の趙彦来、そして女子は9位の徐孝元、18位の石賀浄、19位の梁夏銀がいずれも世界ランキング推薦で代表権を獲得している。
 男子で2回目の世界選手権団体メンバーに選ばれた趙彦来は、カタールオープンで樊振東(中国)らを破って3位入賞と大活躍。世界ランキングを44位から23位に上げ、ランキング推薦を勝ち取った。04年世界ジュニア選手権決勝で、馬龍(中国)と優勝を争ったのはもう10年前だ。丸っこい筋肉質の体型はまさに韓国卓球界のジャイアン。腰を割った(落とした)低い体勢から、両ハンドのパワードライブでブイブイ攻め、後陣に下がってもなかなか粘り強い。

 そして、残る男女2名の代表は10日から12日まで泰陵(テルン)選手村で行われている代表最終選考会で正式に決定する。男子ではエントリーリストに入っている鄭栄植・李廷佑の他、昨年12月の世界ジュニア選手権を制した張禹珍、「若手三銃士」のひとりである左腕の徐賢徳、ワールドツアー2大会で優勝経験のある李尚洙らが代表入りを狙う。女子では、中国からの帰化選手である田志希(世界ランキング18位)は出場資格がなく、エントリーリストの朴英淑・李恩姫に13年世界選手権で福原愛を破った朴晟恵らが加わり、2枚の代表切符を争う。李恩姫は女子では限りなく少なくなったペン表ソフトの選手だ。
  • パリ大会は出場辞退の朱世爀。恐い男が戻ってきた

  • 趙彦来は少しスリムになったかも…

 ITTF(国際卓球連盟)のアダム・シャララ会長の3月1日のロングインタビューの掲載2回目。ITTFのホームページから。

――会長に就任してからの15年間でITTFがどのように発展して来たのか簡単に説明してもらえますか?

シャララ会長●主に考え方の変化です。我々はそれまでとは違った方向に動き始めました。私はITTFを伝統的な国際連盟としてではなくビジネススタイルに変更しました。最初の業務はITTFを会社形態に変換することでした。そのために適切なスタッフ、専門的な人員の各部署への配置、そしてマーケティングに力を入れました。人々は私たちが多くのルールを改訂したと言います。しかし、ただルールを変えただけではなく、商品を変えたのです。マーケティングの観点から言うと、卓球は商品で私たちはそれを販売しないといけないのです。もし、それが売れなければどうやって変えていけるのでしょうか?
チョコレートで考えてみてください。甘さは十分なのだろうか? 味が良くないと売れませんよね。
 就任直後から、ビジネスとしての活動はトーナメントをパッケージとし、ツアーとして売ることでした。テレビ局に接触し、色や規定を変更。試合をスポンサーにとって魅力的なものに変えました。基本的に私たちは考え方を変え、伝統的な組織から現代のビジネスに変えてきたのです。 

――ITTFの15年後はどうなっていると思いますか? どの部分にさらなる改善が必要だと思いますか?

シャララ会長●15年後に私がITTFの仕事に携わっていないとしても、私は卓球を世界のベスト5のスポーツにしたいと思っています。最近同じことを何度も繰り返し言っていることはわかっていますが、私たちにはそれができると思っています。15年前は不可能だったことでも今はそう遠くない位置にいます。
 五輪で卓球は真ん中くらいに位置しているのがわかりました。26のスポーツの中で、12番目くらいです。最終段階はとても難しいですが、15年の間にできると思います。これを実行するための弱点がプロモーション(宣伝)です。私たちが行っていることの十分なプロモーションができていません。イベントや大会の十分な宣伝活動がされていないのです。これは卓球人の人柄に関係していると思います。内向的な性格が多く、自身のことに重点をおき、内気な人が多いです。外交的な人はほんの一握りです。プロモーションを改善しないといけませんし、この分野では専門的な助けが必要です。

――ITTFの親しい支持者に対してひとつ言えることは、この1年間でウェブを通しての促進は明らかに向上したと言えると思います。

シャララ氏●それを行うためにマシュー・パウンドを雇いました。また、TMS(ITTFのマネージメント会社)のために働くキンバリーがいます。彼女はシンガポールの事務所にいてツィッターやフェイスブックなどのソーシャルネットワークの手伝いをしてくれています。マシューは現在かなりの仕事をこなし、私たちが遅れをとっていた部分を補ってくれています。私たちは世界の中でも早い段階でホームページを持った連盟のひとつですが、残念なことに同じものを未だに使用しています。テクノロジーを最初に始めたのはいいが、同じことを何年も続けているのです。変える時期です。見た目を変え、一新し、若者が興味を持ってくれるページに変える必要があります。また、YouTubeやフェイスブックを前面に出しています。そうすることで広いエリアをカバーできます。
 また、私たちはテレビとかなり良い関係になってきました。今年、ユーロスポーツでワールドツアーが初めて放送されることになりました。カタールとクウェートオープンの視聴率がとても高く喜ばしいことでしたが、まだ十分ではありません。私たちが活動している全ての分野で卓球をベスト5のスポーツとすること、それが今の目標です。
 どうやって達成するかはとても難しい。正気でない考えかもしれませんが、全ての考えを集結させ、どう目標に到達するかの計画を練って行きます。会長を辞めたとしても、卓球をベスト5にすることが私の夢なので、いつまでも援助していきたいと思います。 <続く>

  • ITTFのシャララ会長

 ITTF(国際卓球連盟)は、JA全農世界卓球東京大会の出場予定の国と地域を発表した。男子は120、女子は100のエントリーで、これは世界選手権史上、過去最大のエントリー協会となる。
 3月15日(土)には公式抽選(ドロー)がテレビ東京のスタジオで行われ、世界選手権史上初めて、テレビ中継とITTFの公式ホームページでのライブ映像が配信される。

 注目の上位24チームのチャンピオンシップ・ディビジョンは以下の通り。
●男子 
中国、ドイツ、日本、韓国、チャイニーズタイペイ、ポルトガル、香港、オーストリア、クロアチア、ロシア、フランス、スウェーデン、ベラルーシ、ギリシャ、シンガポール、ブラジル、デンマーク、ポーランド、スペイン、ルーマニア、ハンガリー、北朝鮮、ウクライナ、セルビア

●女子
中国、日本、韓国、香港、シンガポール、ドイツ、チャイニーズタイペイ、北朝鮮、ルーマニア、ハンガリー、ウクライナ、ロシア、チェコ、オランダ、ポーランド、ベラルーシ、アメリカ、スロバキア、セルビア、フランス、クロアチア、ルクセンブルグ、オーストラリア、オーストリア
 3月1日のスロベニア・リュブリャナで行われたITTF(国際卓球連盟)のEC会議(役員会)でのITTFシャララ会長へのインタビュー。シャララ会長が過去、現在、そして未来ついて語った。以下はITTFのホームページから。(長いために何回かに分けて掲載する)

――カナダのナショナルチームに所属していた選手がITTF会長になるには何が必要でしたか? やる気になった理由は? 会長になることは常に頭にあったのですか、それとも流れに身をまかせたのですか?  


シャララ会長●カナダ人であることは全く関係ありません。1989年にITTFのメンバーに大陸副会長という立場で加わりました。4年間でITTFがどう機能しているのか、どんな問題点に立ち向かっているのか等、学びました。
 ただし改善できることがいくつかありました。例えば、当時世界ランキングを手計算でやっていましたが、どんどん試合数が増えている中で今後どうやっていくのだろうかと不思議でした。なので、ランキング計算のコンピューター化を提案。また、女子選手に希望を与えるため、男女での大会賞金額を同一にするようにも提案しました。

 つまり(ITTFは)昔ながらの組織でした。私がそこに加わることが最善の方法だと思いました。自分がそこに入れば中から変えていけるのです。大陸副会長という立場の4年間で少なくともランキング計算のコンピューター化について組織を納得させることに成功。ベストな方法ではなかったとしても正しい方向に進んだことは確かです。私はまたIOC(国際オリンピック委員会)を通して五輪の男女出場人数を同じにするよう申請しました。

 中からいろんなことができることがわかったので、1995年のITTF会長選に立候補することを決めました。1989年から1993年の間に私がやって来たことをわかっている人たちの多くが立候補を後押ししてくれました。当時、会長である荻村伊智朗氏が病気のため代わりの人員を探していたのです。その当時、アジアとヨーロッパは対立しており、別な大陸からの会長が望ましかった。しかし、ローロ・ハマランド氏(スウェーデン)が会長に就任します。私はITTFの中に尊重するべきしきたりのようなものがあることに気付きました。荻村氏が亡くなった後には、長年に渡り会長代行を努めてきたハマランド氏が会長に就任するということです。
 彼はすでに60歳で私は40歳でした。そのことに気付いた私は会長への立候補を取りやめ、副会長に立候補しました。1995年にITTFの副会長に選出。悲しいことにハマランド氏はその1年後に他界。中国の徐寅生氏が会長に就きました。

 私は1999年に会長に就任。これは計画的なことではなく、一連の状況の変化でした。執行委員会に長くいたことで、会長は数多くのことを変更できる立場にあることがわかりました。また、影響力があり、説得することができ、援助もできるのです。中国、ドイツ、フランスなどの大きな協会は影響力を持っていますが、他の立場、特にカナダ卓球協会からなどは大きな影響は及ぼせません。
 もし変えたいなら自分がやるしかなかったのです。その時私にはいろいろな考えがあり、年齢も若かった。しかし、始めた頃、周りの反応は好意的ではありませんでした。「誰かカナダの人が会長になった」というだけでした。しかし、追々、彼らはそれが利点だと気付いていくのです。
 私が提案したことのすべてに対して、「それはカナダのためだ」とは誰も言えませんでした。なぜならカナダは世界のトップを争うレベルではなかったから。私が実行していること全て卓球界のためでした。残念なことにこれは後に変わっていきます。ITTFからの提案は全て対中国と解釈されて行くのです。しかし、これは自然なことです。彼らは卓球界の中心にいるのですから彼らに最も影響が及びます。<続く>
  • 右から2人目がITTFシャララ会長、その左は前ITTF副会長の木村興治氏

 掲載3回目。
 ITTF(国際卓球連盟)EC会議(役員会)で、2011年より選手会会長を務めるサムソノフ(ベラルーシ)へのインタビューが行われた。以下はITTFのホームページから。

●あとどのくらいの期間トップレベルでプレーできると思っていますか? 引退するまでに目指すゴールはありますか?
【サムソノフ】現在は2016年のリオ五輪に出ることを目指しています。もちろんメダルを狙います。リオ五輪以降は何も考えていませんが、現役を続けるかどうかは、自分がどのくらいレベルをキープできるか、そして健康状態によります。卓球は大好きで未だに楽しいと思いますが、負けが多くなってきたらやめることを考えないといけない。でもできる限り現役を続けたいですね。

●引退した後はどうしますか? 卓球界の歴史の中でも多くの貢献をした選手のひとりだと思いますが、卓球に関わると考えて良いですか?
【サムソノフ】自分自身コーチに向いているとは思いませんので、別な形で卓球界に残りたいと思っています。長くこの世界にいますし、知り合いもたくさんいます。みんなとこの世界に関わっていけたら楽しいでしょうね。

<サムソノフ個人に対する質問>
●最大のライバルは?
【サムソノフ】1990年代のワルドナー(スウェーデン)とボル
●卓球界での親友は?
【サムソノフ】同じチームのオフチャロフ(ドイツ)、スミルノフ(ロシア)、クズミン(ロシア)。多くの時間一緒にいます。
●苦手な相手は?
【サムソノフ】ガルドス(オーストリア)
●選手として最も誇らしかった時は?
【サムソノフ】1998年のアイントホーヘンでのヨーロッパ選手権で初めて男子シングルスで優勝した時。プロツアーファイナルで優勝した時には自分が世界で1番になるのだとわかっていました。また、2009年のモスクワでのワールドカップでオフチャロフ、馬龍、陳杞を破った時もそうですね。
●もし、可能であればどの敗戦試合をもう一度やり直したいですか?
【サムソノフ】2000年シドニー五輪の準々決勝で2-0(22-20、21-18、14-21、17-21、19-21)でリードしていながら、ワルドナーに敗れた試合です。それか、1996年のアトランタ五輪で2-0(21-16、21-16、10-21、15-21、15-21)でリードしていながら、王涛(中国)に負けた試合。1997年マンチェスターの世界選手権決勝でワルドナーに敗れた試合もですね。でも、あの時ワルドナーはとても好調でしたので、やり直しても勝てるかはわからないですね。
●選手として最高のプレーをしたと思えるのはいつ頃ですか?
【サムソノフ】1990年の終わりです。1997年はとても好調でした。
●世界で一番お気に入りの場所は?
【サムソノフ】スペインのフォルメンテラ島
●一番心配なことは?
【サムソノフ】家族の幸せ
●車は何を乗ってますか?
【サムソノフ】ホンダ
●今まで対戦した選手の中でのベストプレーヤーは誰ですか?
【サムソノフ】ワルドナー
●お気に入りの本、映画、歌、食べ物は?
【サムソノフ】今はわからないですね。昔好きでも、今は変わってきていますから。食べ物ではクレープ、お寿司、イタリアンが好きです。
●もし、完璧な選手を作れるとしたら誰を使いますか?
【サムソノフ】サービスはワルドナー、レシーブは馬琳、フォアハンドも馬琳、バックハンドは張継科、フットワークは王励勤、集中力はワルドナー、そして闘争心はセイブですかね。
<終わり>
 本日3月7日に味の素ナショナルトレーニングセンターで、公式ウエアの発表と日本代表の公開練習が行われた。
 3月6日発表の世界チームランキングで、日本の男子は中国とドイツの後、3位につけ、4位が韓国、5位がチャイニーズタイペイ、6位がポルトガルとなり、16チームが4グループに分かれるチャンピオンズ・ディビジョンで、日本のグループにはタイペイかポルトガルが2番目のチームとして入ってくる。公式ドローは3月15日に行われる。

 全日本男子の倉嶋洋介監督のコメントは以下の通り。
「全日本の疲れが中東でのツアーに出てしまったが、ジャパントップ12では代表がベスト4を占めたので、戻りつつある。世界卓球の予選リーグでは日本の下にチャイニーズタイペイか、ポルトガルとなったので、比較的戦いやすい相手となった。
 世界選手権の未経験者だが、塩野の使い方が鍵になる。塩野はここまで急成長するとは思っていなかった。 水谷は絶対的なエースとして使っていくのは間違いない。日本チームは層が厚くなった。バラエティーに富んだ戦型でみんな個性があるのでうまく使っていきたい。グループリーグの初戦とグループの2番目に入ってくるチームをマークして、そこを乗り越えてメダルに向かっていきたい」
  • 日本男子のキープレーヤーになるか!? カットの塩野真人選手

  • 近年では最強のメンバーをそろえた日本男子。写真は倉嶋洋介監督

 日本代表の公開練習が行われた。
 女子は中国1位の後、日本はチームランキングを2位につけた。3位は韓国で、4位が香港で、日本のグループに入るのは7位のチャイニーズタイペイか、8位の北朝鮮。厳しい戦いが予想される。福原欠場の代わりの代表はまだ発表されていない。

 全日本女子の村上恭和監督のコメントは以下の通り。
「福原の欠場は仕方ないので、石川には2点取ることを期待しています。15日のドローを楽しみにしています。5人全員で戦います。5人目はこの1年間での国際大会での活躍を重視、もしくは若手を選ぶという選択肢もあります。石川は今の世界ランキングを考えれば、対中国以外では2点取ることを期待しています。相手によっては、平野は常に2番手とは言えない。3番手かもしれないし、カットがいる相手ならエースかもしれない。
 (初出場の森選手については?) 合宿中にガッツポーズの研究もした。みんなが応援したくなるガッツポーズや、風格というものも必要。過去の素晴らしいシーンの映像も見せたりした。
 97年のマンチェスターから団体戦に入っていて、04年のドーハ以外はベンチにいるけど、全体的にはチーム力が弱いかもしれないけど、石川の強さを考えれば、日本は決勝に行く力はあると思ってます。石川はオリンピックのシングルスでメダルを狙う選手だから、このプレッシャーを跳ね返すと思っています」
  • 石川とともに日本女子の鍵を握るのは平野早矢香選手か

  • 報道陣に囲まれ、世界選手権への意気込みを語る村上恭和監督

 JA全農世界卓球東京大会で日本代表が着用するオフィシャルユニフォームの発表会が、NTC(味の素ナショナルトレーニングセンター)で開催され、ロシア&ドイツリーグ参戦中の水谷・丹羽を除く男子3名、女子4名の代表選手が出席した。

 東京大会のオフィシャルユニフォームは、レッド・パープル・ブルーの3色展開。日本古来の戦闘服である武士の甲冑(かっちゅう)を模したデザインで、さらに袖部分には伝統衣装である十二単(じゅうにひとえ)の着こなしを表現しているという。和のテイストは、カラーリングにも盛り込まれている。レッドは日本代表伝統のカラーだが、これは「情熱」と日本国旗の日の丸をイメージ。代表ウェアでは初となるパープルは江戸紫、鮮やかなブルーは隅田川の水をイメージしたもの。

 松平健太選手は新しいユニフォームについて、「とても軽いのが第一印象です。スムーズに動ける感じがしますね」と語った。従来品から7gの軽量化を実現しているそうだ。平野早矢香選手と岸川聖也選手はともに「紫は新鮮で、着てプレーするのが楽しみ」とコメント。代表選手たちの勝負服、大一番ではどのカラーで登場するのか、注目してみよう!
  • ブルーのウェアを爽やかに着こなした松平選手

  • 「赤は勝負の色という感じです」と石川選手

  • 新作ユニフォームに袖を通した代表選手たち

 掲載2回目。
 3月1日にスロベニアのリュブリャナで行われたITTF(国際卓球連盟)EC会議(役員会)で、2011年より選手会会長を務めるサムソノフ(ベラルーシ)へのインタビューが行われた。以下はITTFのホームページから。

●あなたが1994年に世界で戦うようになってから卓球界はどのように発展してきましたか? 今日、チャンピオンになるためには何が必要だと思いますか?
【サムソノフ】世界のトップに立つにはかなりがんばらないといけない。中国に住んだり、近くに良いクラブがあれば、ラッキーですね。良いコーチに恵まれることも重要です。しかし、最終的には選手自身によります。
 最近1993年の試合を見て、現在の試合とあまりにも違うので驚きました。今よりとても速いですね。でも今の卓球のほうが良いと思います。1990年代や1980年代など、見て楽しい試合もありました。アペルグレン(スウェーデン)やセクレタン(フランス)など台からかなり下がる試合は楽しかったです。今は水谷隼やボル(ドイツ)や新しく出てきたカットマン・塩野真人の試合が好きです。観客は長いラリーが好きなので、期待に応えられるように可能なことはすべて実行していきたいと思っています。

●今後どのように試合は発展していくと思いますか? 選手はどんどん力強くなってきていると以前に言っていましたが、もっと感覚やコントロールを重視しないといけないと思いますか?
【サムソノフ】多くのことが新しいボールによって変わっていくでしょう。個人的にはボールの品質によるコントロールに困っています。同じ動きをしてもボールがネットにかかったり、台からオーバーしたりします。上回転でのラリーはボールコントロールが楽ですが、エラーの誤差も大きい。そして、パワーが必要ですので、数年前に比べて選手は力強くなってきました。
 プラスチックボールは本当に卓球界の今後を方向づけるものです。硬くなり、弾みが増し、安定するためコントロールがしやすくなる一方で、試合の速度が少しゆっくりになるので、守備型の選手には有利になるかもしれません。すぐにスピードが落ちる(減速)ので、ラリー中に今までより時間に余裕ができると思います。

●どうして中国選手はあんなに優れているのでしょうか? ヨーロッパの反撃はあるのでしょうか? どのくらい長く中国の支配は続くと思いますか?
【サムソノフ】卓球は常に中国にとって特別なスポーツで、伝統があり、専門分野です。多くの素晴らしいコーチもいるし、競技人口もかなり多いです。加えて現在は財政的にも余裕があるので、そういう中国を破ることはとても難しいです。トレーニング環境も完璧です。1990年代、何人かの中国選手はヨーロッパでプレーしていましたが、現在の中国超級リーグはとても強い。用具面でも以前に比べ数段良いものを使用しています。
 卓球はヨーロッパであまり人気がなくなって来たようです。強化を始めるにはたくさんの子どもたちを集めないといけない。その中から何人かが突出しても成功するのはその中のほんの一握りです。少ない人数で始めてもトップ選手が育つ可能性は低く、大勢が卓球に集中している中国のようにはいかないでしょう。しかし、ヨーロッパはもう一度アジアや中国に対抗する必要があります。それは卓球界にとって必要なことです。
 ヨーロッパにも多くの才能ある若者がいるはずです。しかし、彼らには的確な強化計画が必要なのです。ETTU(ヨーロッパ卓球連盟)はこの才能ある若者たちが上達できる環境作りに力を注がないといけない。しかし、実行するのはとても難しいことで、残念ながら私にはその方法がわかりません。どうやったら中国を倒すことができるかはわかりません。中国は卓球をこんなにハイレベルに引き上げました。豊富な選手層、ベストなコーチ陣、そして最高の環境。このレベルに近づくのはとにかく簡単なことではありません。
<続く>
  • パリ大会でのサムソノフ

 3月1日にスロベニアのリュブリャナで行われたITTF(国際卓球連盟)のEC会議(役員会)で、2011年より選手会会長を務めるサムソノフ(ベラルーシ)へのインタビューが行われた。以下はITTFのホームページから。

●選手会会長としての責任は感じますか? ITTFは選手の意見を聞き入れ、改善してくれていますか? 
【サムソノフ】私は選手の代表として総会に出席しないといけません。選手会会長として選手たちと連絡を取り、その問題を総会で討議します。例えば、大会の賞金やラケットコントロールについては常に議題に上がります。 
 変更可能なルールはいくつかありますので、かなり忙しいです。いつでも改善に取り組んでいます。例えば大会の状態だったり、組織のレベルだったり。私たちの仕事は意見を述べることであり、ITTFはそれを実行してくれる側ですが、思う通りにいかない時や、時間がかかることもあります。ITTFもまた、他の協会や外部の意見に耳を傾けないといけないと思います。とても複雑な過程ですが、どの組織も卓球というスポーツの改善に努めているのです。

●新しいプラスチックボールについて。もう打ってみましたか? また、この変更をどう思いますか? 卓球界にとってプラスでしょうか?
【サムソノフ】2011年から試打用にサンプルをいくつか受け取っています。新しいボールは卓球界にかなり大きな変化をもたらすと思います。たぶん、回転が減少するはずです。ITTFの認可が下りたボールをまだ受け取っていませんが、実際に触れるまでもう少し待たないといけません。試合のスピードが遅くなると聞いています。

●長年に渡り多くのルール変更に関わってきたと思いますが、今までで一番影響の大きかった変更は何ですか? ITTFが試合スピードを遅くしたい理由はわかりますか?
【サムソノフ】試合スピードを遅くすることは、観客やテレビの視聴者のためには良いことです。40mmボールの導入は大きな変更でした。その時の問題はボールの重さを同じにしないといけないということでしたが、できあがったボールは、38mmと変わらず良い品質に仕上がっていました。
 卓球というスポーツはスピードがとても速く、対戦相手との距離がとても近いので、完全な球でないボールや、軟らかい部分と硬い部分があるようなボールがあるとイレギュラーし、反応するのがとても難しいです。品質の低いボールが原因でのミスはたくさん起こっていると思います。新しいプラスティックボールが今までの問題点を改善し、選手が100%の力を出すことができるようになればうれしいですね。
<続く>

  • ITTFの選手会会長のサムソノフ