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フォルクスワーゲンオープン

 女子シングルス予選トーナメント、昨年の本大会で上位ランカーの姜華君を破った田勢美貴江が登場。相手はカット王国・ロシアの長身カットマン・ヴォロノワ。
 田勢は落ち着いたカット打ちで優位に試合を進めたが、勝利に王手をかけた第6ゲームに左肩を負傷するアクシデント。肩が外れたような状態になり、日本チームの田仲マッサーに応急処置を受けてコートへ戻った。利き手の右肩でないとはいえ、試合への影響が心配されたが、必死の形相でこの試合を乗り切った。
●女子シングルス予選トーナメント
藤井(日本生命) 6、4、-9、8、10 マ・ミンルー(シンガポール)
藤沼(ミキハウス) -13、8、-10、3、4、6 シャビリナ(ロシア)
若宮(尽誠学園高) 4-3 シルベライセン(ドイツ)
田勢(十六銀行) 4-2 ヴォロノワ(ロシア)
伊藤(筑波大) 4-2 コチヒナ(ロシア)
山崎(青山学院大) 4-2 コムウォン(タイ)

 日本女子は今のところ全勝街道をばく進中! シルベライセンに勝利した若宮、実力者・コムウォンを破った山崎の健闘が光る。
 上位進出が期待される全日本チャンピオンの水谷隼(青森山田高)、初戦は今大会に大選手団を送り込んできたインドのアルプタラジと対戦。身体能力の高さを感じるアルプタラジのプレーに1ゲームを落としたが、相手の逆を突く心憎いコース取りで勝利。レシーブからバックドライブを連発して孫文偉(チャイニーズ・タイペイ)を圧倒した岸川とともに初戦突破。

●男子シングルス予選リーグ
水谷(青森山田高) -8、7、1、6、9 アルプタラジ(インド)
岸川(スヴェンソン) 3、6、7、-9、5 孫文偉(チャイニーズ・タイペイ)
松平健(青森山田高) 8、4、-7、-10、9、7 王若霖(チャイニーズ・タイペイ)

 写真は予選トーナメント初戦を突破したドイツのオフチャロフ。昨年アンダー21で準優勝した時は、まだあどけなさが残っていたが、ヨーロッパ選手権で3位に入った自信なのだろうか、軍人を思わせる精悍な顔つきに変わっていた。青年にとって、1年は決して短い時間ではない。
●男子シングルス予選リーグ
吉田(日産自動車) 4-2 パイコフ(ロシア)
高木和卓(東京アート) 4-0 キッテンバーガー・ヒロシ(オーストリア)
レグー(フランス) 4-1 松平賢(青森山田高)
ルンクイスト(スウェーデン) 4-0 大矢(青森大)

 高木和がオーストリアから出場したキッテンバーガー・ヒロシにストレート勝ち。キッテンバーガーは日本名・木村寛。実践学園高から青山学院大に進み、全日本選手権にも出場した異色の大型選手だ。
 大矢はルンクイストに挑戦したが、サービスが長くなるところをレシーブからバックにドライブされて守勢に回り、完敗を喫した。

Photo:高木和、キッテンバーガーの強烈な両ハンドをシャットアウト
 まだまだ真新しい千葉ポートアリーナでいよいよ開幕したフォルクスワーゲンオープン荻村杯。
 パソコンのディスプレイ越しに見える試合は、第3コートの大矢英俊vsルンクイスト(スウェーデン)。日本のブンブン丸は朝の第一試合ということもあり、まだ本調子とはいかない様子。ベンチの宮崎監督が見守る中、ただいまゲームカウント0-2の6オール。
 隣の第3コートでは、ドイツのズースが重そうなドライブを連発している。
 6月21~24日まで、千葉・ポートアリーナで開催されるフォルクスワーゲンオープン荻村杯。
 今年は10年ぶりの千葉での開催となる。ちなみに10年前のチャンピオンは男子がワルドナー(スウェーデン)、女子が先月のザグレブ大会でベスト8に入った王晨(アメリカ/当時は中国)。

 今年のITTFプロツアーは、来年8月の北京五輪に向けて、どの選手も非常に気合いが入っている。プロツアーで好成績を挙げることが、来年1月発表の自動出場枠の獲得に直結してくるからだ。そのプロツアーの中でも荻村杯はもっともレベルが高く、中国チームがわざわざ超級リーグを中断して参戦してくるほど。

◆男子は中国vs.韓国、そしてヨーロッパの王者・ボル 水谷の活躍は?

 男子の有力な優勝候補は、ザグレブ大会でも確実にベスト4入りした中国の最強スリートップ、王励勤・馬琳・王皓の3人。オリンピックの中国代表3名も、すでにこの3人で確定した感がある。この3人の優勝争いになれば、やはり現世界チャンピオンの王励勤が安定感で上回りそうだ。中国は陳杞・馬龍・ハオ帥の若手3人にも優勝のチャンスがあり、特に馬龍は超級リーグで開幕からシングルス6連勝と好調。不調だったザグレブ大会の名誉挽回を期す。
 中国の対抗馬となるのは、やはり韓国か。ザグレブ大会準決勝で王励勤と大会随一の激戦を演じた柳承敏は、王皓や馬琳に対しては分が悪いものの、大当たりすれば中国選手とも互角の勝負ができる。もうひとりのエース・呉尚垠は集中力次第という部分もあるが、最近は成績も安定してきている。カット主戦オールラウンド型の朱世?も中国選手にとっては嫌な相手だ。
 対するヨーロッパ勢は、世代交代が進まず、ボル(ドイツ)ひとりに頼る状況が続いている。ヨーロッパで優勝候補と呼べるのはボルだけだろう。しかし、プリモラッツ(クロアチア)、コルベル(チェコ)、シュラガー(オーストリア)といったベテランも、トーナメントを勝ち進むのは苦しいが、1試合あるいは2試合なら、往年の実力を発揮できるはず。総力戦でアジアの壁に挑むことになりそうだ。
 日本選手では、水谷隼・松平健太(ともに青森山田高)のプレーが楽しみ。ザグレブ大会での活躍で、久々に卓球ファンの目を男子種目に向けさせた感がある。中国選手に対する苦手意識もないはずだ。ベスト8以上を狙いたい。

◇女子は中国の厚い厚い壁。日本は風穴を空けられるか?

 女子は世界ランク1位の張怡寧、2位の王楠、3位の郭躍、4位の郭炎、5位の李暁霞と、トップ5を独占する中国が圧倒的な強さ。しかし、6月9日に開幕した超級リーグでは、張怡寧・郭躍・郭炎が格下の選手に敗れており、まだザグレブ大会の疲れが残っているようだ。パワーとスタミナがある李暁霞にも優勝のチャンスがあるだろう。
 女子種目はこの最強・中国を相手に、誰が番狂わせを演じるのかが最大の焦点になる。ヨーロッパは、現時点では残念ながらノーチャンス。アジアでも、世界ランク7位のリ・ジャウェイ(シンガポール)、同9位の金キュン娥(韓国)は中国相手だとかなり苦しい。日本以外で中国を苦しめられるのは、昨年度優勝の王越古(シンガポール)、そしてダークホースとして、韓国の若手・李恩姫を推したい。李恩姫は貴重なペン表速攻型で、ザグレブ大会ではボロス(クロアチア)とリ・ジャウェイを連破。バックハンドにも威力がある選手だ。
 日本女子はザグレブ大会で予想外の不振だったが、福原愛(ANA)を筆頭に、北京五輪の団体戦でも、有力なメダル候補であることに変わりはない。福原や福岡春菜(中国電力)は中国のトップ選手を破った実績もある。まずは中国選手と当たるまで、取りこぼしをしないことが大事。期待の14歳・石川佳純(ミキハウスJSC)は昨年も見事に決勝トーナメントに進出している。ひとつでも多く試合をこなして、貴重な国際舞台での経験を積んでもらいたい。