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フォルクスワーゲンオープン

 男子シングルス1回戦、世界選手権ザグレブ大会の再現となった松平健太vsコルベル(チェコ)の一戦は、ゲームオール9本でコルベルが勝利。今回も健太がゲームを先行する形で試合が進んだが、コルベルも中陣からの粘りでゲームオールに。
 最終ゲーム8-8から、コルベルはストップからのバックドライブと、強気の3球目強打で10-8とマッチポイント。健太も10-9に追いすがる。本部席の隅で試合を見つめる吉田安夫・青森山田学園総監督が「開き直れ、健太」と呟く。ここで健太は思い切って攻め、コルベルを中陣に下げるが、コルベルがバックドライブで反撃。健太のラケットが空を切り、コルベルが雪辱を果たした。

●男子シングルス1回戦
コルベル(チェコ) -7、8、-7、9、-8、3、9 松平健

Photo左:「借りは返す」と最終ゲームは気合いの入ったプレーを見せたコルベル
Photo右:健太、悔しさの残る敗戦に…
●女子シングルス1回戦・残りの結果
伊藤(筑波大)  5、3、-4、4、9 金キュン娥(韓国)
金沢(日本生命) -10、9、1、-7、9、5 ユー・モンユ(シンガポール)
朴美英(韓国) 9、-5、9、8、8 石垣(秀光中等教育)
平野(ミキハウス)  -6、9、6、7、-5、-3、7 鄭怡静(チャイニーズ・タイペイ)
張瑞(中国香港) 10、-9、13、-9、8、9 藤井(日本生命)
田勢(十六銀行) -8、9、-6、-3、10、9、7 ワン・チェン(アメリカ) 
リュウ・ジャ(オーストリア) 5、9、-7、9、-9、5 若宮(尽誠学園高)
福原(ANA) 9、6、-5、6、5 黄怡樺(チャイニーズ・タイペイ)
姚彦(中国) -9、4、6、13、10 福岡(中国電力)

 福原はチャイニーズ・タイペイの黄怡樺に完勝し、まずは問題なく1回戦を突破。田勢がキレのあるドライブ攻撃で世界選手権ザグレブ大会ベスト8のワン・チェンに逆転勝ちをおさめた。また、敗れたとはいえ、若宮が元ヨーロッパチャンピオンのリュウ・ジャと互角のラリー戦を展開、非常に惜しい試合内容だった。
 筑波大4年の伊藤みどりが、韓国のエース、金キュン娥を巧みなカット打ちで撃破!
 決して無理をせず、金が打てそうで打てない緩いボールで粘り、チャンスボールをフルスイング。金キュン娥の反撃に対しても、決して慌てることなく、フォアブロックで跳ね返す。壁のような金キュン娥のカットの前に、逆に壁のように立ちふさがった。

 小学生時代にトムジュニア(東京)のエースとして全国ホープス優勝。恵まれた体格から放つパワードライブで大器と賞賛された伊藤だが、ここ数年はなかなか結果が残せないでいた。久々にその存在感を示す勝利だった。これで世界ランキングも大きくアップするだろう。


●女子シングルス1回戦
伊藤(筑波大) 5、3、-4、4、9 金キュン娥(韓国)
●女子シングルス(一部)
スン・ベイベイ(シンガポール) 9、ー7、7、9、9 照井(早稲田大)
藤沼(ミキハウス) ー11、5、11、ー9、ー9、6、6 ボロス(クロアチア)
王越古(シンガポール) 1、2、5、10 山崎(青山学院大)
陸雲鳳(チャイニーズ・タイペイ)ー6、ー4,8、3、9、9 樋浦(ミキハウス)
柳絮飛(中国香港) ー4、6、4、ー11、7、11 石川(ミキハウスJSC) 
●女子シングルス1回戦
柳絮飛(中国香港) -4、6、4、-4、7、11 石川(ミキハウスJSC)

 出足の第1ゲーム、第2ゲームを取り合った両選手。第3ゲームから柳絮飛がチェンジペース、よく切れた下回転サービスを混ぜ、回転のかかった深いボールで石川のミスを誘う。柳絮飛の連打に、ラリー戦になると石川に先にミスが出る展開に。第4ゲームは石川も戦術転換、逆に粘り強いラリー展開に持ち込み、3球目攻撃で得点を稼ぐ。8-4と大きくリードを奪うと一気にこのゲームを奪取。2-2に持ち込む。
 第5ゲームは最初に3球目攻撃を決めた石川が6-4とペースを掴むが、柳絮飛も粘って7-6に逆転。ここでベンチの近藤監督がタイムアウトを取る。名将・近藤監督、すばやい決断だ。ここから10-7となり、石川のミドルへのスマッシュを柳がよく拾って柳がゲームカウント3-2とリード。
 第6ゲームは石川が6-1とスタートダッシュを見せ、8-4とリード。9-7から攻めのミスが2度続き、一度は9-10とマッチポイントを握られるが、石川はここでも攻め手をゆるめない。強烈な3球目スマッシュを連発し、2度のマッチポイントをしのぐ。しかし、最後は惜しくも石川のフォアドライブがオーバー。観客からは石川の健闘をたたえる大きな拍手がわき起こった。

 結果的には敗れたものの、一気に流れを持って行かれてもおかしくなかった第4ゲームで見せた、石川の戦術転換は見事だった。また、第6ゲームの勝負どころでは、結果的にはミスが重なったものの、ただ入れるだけのプレーをしなかったことが、かえってその将来性を感じさせた。

 女子シングルス1回戦、昨日の好調を持ち込んだようなプレーを見せる石川佳純。柳絮飛得意のハイトスサービスをまったく苦にせず、レシーブからバックフリック、フォアドライブで先手を取る。柳絮飛のフォアに鋭く曲がり、ノータッチで抜くサービスエースもあり、快調に第1ゲームを先取! ただいま第2ゲームの6-9。
 会場の千葉ポートアリーナには、試合会場となるメインアリーナの他にサブアリーナがあり、選手たちの練習会場になっている。ここは観客の立ち入りは禁止なのだが、メインアリーナでも試合開始前や試合の合間に、トップ選手たちの練習を見ることができるのだ。
 試合がエキサイティングなのはもちろんだが、実はこの練習も十分に見応えがある。トップ選手たちがいかに高い基礎技術を持っているか、つぶさに見ることができるからだ。中国選手のドライブ対ブロックはまるで精密機械のようだし、ヨーロッパの若手の練習はファンタジーにあふれている。
「僕は試合だけじゃなくて、練習を見に来たんだ。韓国選手の練習はすごいね。本当に真剣だし、すごい迫力がある」。昨日会場を訪れていた仲村渠(なかんだかれ)功さん(最新号8月号のMY OPINIONに登場)は言う。選手たちが日頃から、どれだけ激しい練習をこなして、このステージに立っているのか。少し早起きをしてでも、皆さん、練習には一見の価値があります。

Photo:練習量では世界でもトップクラス、韓国の呉尚垠/李政三
 大会第2日目は男女シングルス、ダブルスとも決勝トーナメントがスタートし、見どころ盛りだくさんな一日。男女シングルス1回戦、日本選手の対戦カードは以下の通りだ。

●男子シングルス1回戦
高木和健(東京アート) 馬琳(中国) 
松下(グランプリ) 江天一(中国香港)
松平健(青森山田高) コルベル(チェコ)
岸川(スヴェンソン) ケーン(オランダ)
吉田(日産自動車) 高礼澤(中国香港) 
大矢(靑森大) 李静(中国香港) 
韓陽(東京アート) グルイッチ(セルビア)
水谷(青森山田高) スミルノフ(ロシア)
坂本(協和発酵) 唐鵬(中国香港) 
高木和卓(東京アート) 柳承敏(韓国) 
松平賢(青森山田高) 荘智淵(チャイニーズ・タイペイ) 
時吉(早稲田大) プリモラッツ(クロアチア)

●女子シングルス1回戦
照井(早稲田大) スン・ベイベイ(シンガポール) 
藤沼(ミキハウス) ボロス(クロアチア)
山崎(青山学院大) 王越古(シンガポール) 
樋浦(ミキハウス) 陸雲鳳(チャイニーズ・タイペイ)
石川(ミキハウスJSC) 柳絮飛(中国香港) 
伊藤(筑波大) 金キュン娥(韓国) 
金沢(日本生命) ユー・モンユ(シンガポール)
石垣(秀光中等教育) 朴美英(韓国) 
平野(ミキハウス) 鄭怡静(チャイニーズ・タイペイ)
藤井(日本生命) 張瑞(中国香港) 
田勢(十六銀行) ワン・チェン(アメリカ) 
若宮(尽誠学園高) リュウ・ジャ(オーストリア) 
福原(ANA) 黄怡樺(チャイニーズ・タイペイ)
福岡(中国電力) 姚彦(中国) 

 さすがにハードな対戦カードが続く。男子で世界選手権の再戦となる松平健太vsコルベルの一戦が興味を引く。コルベルもリベンジに燃えているはずだ。女子の石川佳純は十六銀行で活躍した柳絮飛(中国香港)との対戦だ。ハイトスサービスの応酬になるが、レシーブの出来が勝敗を分けるだろう。

●男子ダブルス予選トーナメント3回戦(進出決定戦)
エロワ/レグー(フランス) -14、6、5、6 韓陽/松平健
●女子ダブルス予選トーナメント2回戦(進出決定戦)
福岡/田勢 -4、5、3、-10、10 郭炎/姚彦(中国)
金沢/藤井 9、4、9 シルベライセン/シュトゥンパー(ドイツ)
ガニナ/コチヒナ(ロシア) -9、9、8、-7、5 石垣/若宮
バーテル/シュトルーゼ(ドイツ) -11、7、-7、7、9 樋浦/照井

 日本選手はよく健闘したが、予選トーナメントを突破したのは、福岡/田勢ペアと金沢/藤井ペア。明日の決勝トーナメントには、男子ダブルスで岸川/水谷、女子ダブルスで福原/藤沼、平野/石川がシードとして登場する。

 下写真は健闘が光った石垣/若宮。守備範囲の広いチョッパー石垣とサウスポー前陣速攻の若宮の異色コンビ。若宮が前陣でしっかり動いて、ループドライブとバック表ソフトのストップで粘り、石垣の安定したカットが相手のミスを誘った。決勝トーナメント進出まであと一歩だった。
●女子ダブルス予選トーナメント2回戦
福岡/田勢 -4、5、3、-10、10 郭炎/姚彦(中国)

 第4ゲーム、終始リードを奪いながら逆転され、最終ゲームは10-6から10-10に追いつかれる苦しい展開だったが、ここで福岡が強気のフォア強打でレシーブエースを奪い、中国ペアを振り切った。福岡の前後の攻めと、田勢のコースの厳しいフォアドライブが抜群にうまく噛み合っていた。中国ペアは若手の姚彦が福岡の変化球を打ちあぐんだ。
「中国ペアは今回初めて組んだと聞いていたけど、私たちは今までに何回か組んでいたので、戦術を変えていく時にもこちらのほうがうまく対応できました。1回戦はあまり調子が良くなかったので、逆に2回戦は思い切っていけた(福岡)」
「第2ゲームから、私ではなく福岡さんがサービスのサインを出したり、指示を出すようにしました。福岡さんの変化と攻撃がよく効きました。強い人に勝つと、他のチームメイトに対しても刺激になるので、チーム“ジャパン”としてのチームワークも良くなると思う(田勢)。

 また、田勢はシングルス予選リーグで左肩を負傷し、その状態が心配されたが、「左肩が抜けるのはよくあることなので、焦らずに、どちら側に抜けているのか、しっかり確認してから処置してもらった」ということ。明日の試合も出場は問題ないようだ。

Photo:福岡/田勢、笑顔、笑顔のハイタッチ!