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フォルクスワーゲンオープン

●男子シングルス決勝
王皓(中国) 8、8、10、-9、6 馬龍(中国)

 バックに来た球は全て裏面で振るという新しい裏面打法の旗手として登場してきた王皓も、今や王励勤・馬琳に次ぐ選手として地位を築いている。それだけにここで若手に飲まれるわけにはいかない。
準決勝の王励勤戦では積極的に回り込んでいた王皓だが、決勝では裏面のテクニックをまざまざと見せつけた。王皓が放つ裏面からの球は打点・スピードともにシェークハンドである馬龍のバックハンドを圧倒していた。たまらなくなった馬龍がフォアへ回しても、そこに待ち受けるは裏面よりも強力なフォア強打。
 鮮やかかつパワフルな両ハンド攻撃が止まらなかった王皓が若手の挑戦をひねり飛ばした。
 世界ランク2位の王楠と、世界ランク4位の郭炎の対決となった女子シングルス決勝。
 序盤、打球点の早い速攻で早期決着を図る王楠に対し、郭炎は中陣で一度、二度とブロックしてから、ドライブで優位なラリーに持ち込んでいく展開。王楠のフォアに出すフォアサービスはブッツリ切れていて、王楠がドライブしても持ち上がらないほど。郭炎、2ゲームを先行。
 第3ゲームからは王楠が戦い方を変え、速攻戦から緩急をつけたラリー戦に持ち込む。要所ではレシーブからの速攻、郭炎のフォアサイドを切る王楠独特のバックハンドを見せ、ゲームカウント2-2。
 2003年の韓国オープン優勝以来、プロツアーで5度の準優勝となかなか優勝に手が届かない郭炎。次第に焦りの色が見えてくる。一方、五輪の自動出場枠を獲得したい王楠にとっても、のどから手が出るほど欲しい優勝だが、さすがに経験豊富な王楠、淡々とラリーを作っていく。第6ゲームの9-9では、郭炎のストップを思い切り良く3球目攻撃。これがネットをかすめて決まり、王楠がそのまま決着をつけた。2001年大会以来6年ぶり、通算4度目の優勝は男女を通じて新記録となった。昨年の決勝での大逆転負けから決勝まで勝ち上がってきた郭炎は、またも勝利へのプレッシャーからかその豪打が陰を潜め、やや手打ちになる場面が多かったのは残念だった。

●女子シングルス決勝
王楠(中国) -9、-6、8、7、8、9 郭炎(中国)
●男子ダブルス決勝
王励勤/陳杞(中国) 8、-6、10、8、9 馬琳/王皓(中国)
 男子ダブルス決勝は中国ペア同士の対戦とあって、ハイレベルなプレーの応酬を期待していたが、これが同士討ちの弊害か、と思わせるような淡々とした試合に。
 王皓はシングルス準決勝で勝利した勢いからか、積極的に強打を放つが、やや雑な印象すら受ける。台上や、台上から台外へと展開する中でのミスが互いのペアに目立ったのが残念だった。
 優勝したのは王励勤/陳杞ペア。シェーク同士の組み合わせだが、ストップとツッツキをうまく使い分け、ペンホルダーペアの距離感を狂わせた。

Photo:表彰でもなごやかムードの中国4人衆
 女子ダブルス決勝は韓国のカットペアを強打で崩し、反撃をカウンターで打ち抜いた郭躍/李暁霞組が制した。
 中国ペアは李暁霞が回転量の多いドライブでチャンスを作り、郭躍が切れ味鋭い強打で打ち抜く作戦。郭躍の強打にややミスが目立ったが、李暁霞のカット打ちにミスがなく、韓国ペアを寄せ付けない。3ゲーム目を落としたものの、終始優勢を保って優勝を決めた。
 韓国ペアは攻撃する場面がほとんど見られず、数少ない反撃の機会やカーブロングをことごとく中国ペアにカウンターされた。もう少し早いタイミングで切れたツッツキを送り、有利なラリー展開に持ち込むべきではなかったか。強打の中国ペア相手にカットオンリーでは、さすがに勝機が見いだせなかった。

 超級リーグでは山東省の山東魯能に所属する李暁霞だが、もともとは遼寧省の出身で、郭躍ともダブルスを組んでいた。郭躍が先に頭角を現し、牛剣鋒とのペアリングでアテネ五輪で銅メダルを獲得した。その後、李暁霞の急成長でこのペアが復活。今後、中国女子チームのエースダブルスはこのペアになっていくだろう。

●女子ダブルス決勝
郭躍/李暁霞(中国) 5、2、-9、7、8 金キュン娥/朴美英(韓国) 
●男子シングルス準決勝
王皓(中国) -4、9、-4、12、11、4 王励勤(中国)

 今大会、安定した勝ち上がりを見せていた現世界チャンピオン・王励勤がチームメイトの王皓に敗れた。王皓は得意の裏面打法だけでは優位に立てないと、中盤から思い切って回り込み、パワードライブで攻めた。
 ゲームカウント1-1の第3ゲーム、王励勤は9-4のリードから得意の回り込みパワードライブをバックストレートに打ち抜き、10-4からは打球点の早いバックドライブで王皓のバックをつぶして2-1とリード。第4ゲームもリードして、王励勤9-7のリードから9-9に追いつかれたところで王励勤が予想外のタイムアウト。このゲームは14-12で王皓が制す。
 勝負の分かれ目となる第5ゲーム、王皓はよりフォアドライブの手数を増やす。王皓6-5から王励勤のフォアをカーブドライブで打ち抜き王皓が9-5とリード。王励勤もお返しとばかりに6-9から王皓のバックへシュートドライブ。このゲームもデュースにもつれ、11-11。ここで審判が「レット」と判定した王励勤のサービスを、王励勤が自分の左手に当たったと自己申告してカウントを12-11に訂正した。会場がやや騒然とする中で、王皓は次のボールを3球目パワードライブで決めた。
 このゲームが決め手となり、次のゲームは王励勤が集中力を欠いた。王皓が1-3から9-3と8本連取で決勝進出を決めた。

Photo左:積極的なフォア攻撃で王皓が王励勤を制す
Photo右:王励勤、ほぼ互角の内容ながら惜敗。準決勝で敗れた郭躍に続き、世界チャンプは2人とも姿を消した
 男子シングルス準決勝。中国の若手のホープ、馬龍は韓国のパワードライブマン・呉尚垠と対戦。一見何気ないのだが、呉尚垠が首をかしげるほどの変化サービスと、どちらが若手か分からないほど巧みな台上処理を見せ、呉尚垠の豪打を完封した。呉尚垠は台上で先手が取れず、フォアのパワードライブを打つ機会を与えてもらえなかった。
 馬龍はまだ18歳という年齢ながら、体格もガッチリとたくましくなっている。ストレート勝ち、文句のない試合内容。しかし、試合後の会場の外では、直立不動の馬龍と、厳しい口調で馬龍にアドバイスを与える劉国梁監督の姿があった。世界選手権ザグレブ大会では、韓国の朱世赫に白星を献上した馬龍。中国首脳陣としては「油断は決して許さない」ということなのか。

●男子シングルス準決勝
馬龍(中国) 9、8、7、9 呉尚垠(韓国)
 新世界チャンピオンと旧世界チャンピオンの対決となった準決勝。遼寧省の先輩後輩でもある王楠と郭躍。接戦が予想されたが、ふたを開けてみれば、旧女王がストレートでザグレブを制した郭躍を破り、決勝進出を決めた。世界ランキング的には2位の王楠と3位の郭躍。北京五輪をかけた激しい中国の内部対決。お互いが負けたくない状況で、ベテランの王楠が緩急をつけた攻撃で郭躍を下した。
●女子シングルス準決勝
王楠(中国)  8,11、6、3   郭躍(中国)
 女子シングルス準決勝。昨年の本大会決勝で7度のマッチポイントを逃し、王越古(シンガポール)に大逆転負けを喫した郭炎が、3回戦で張怡寧を下した姜華君に完勝し、決勝進出を決めた。
 バック面表ソフトの、威力と安定性を備えたミート打ち連打を軸に、前陣での打ち合いには抜群に強い姜華君に対し、郭炎は台から少し距離を取り、安定感のある両ハンドドライブで攻める。かつては一球取るごとに「チョー!」を連発していた郭炎だが、昨年くらいから静かな戦いぶりに変わり、要所だけ声を出すようになった。
 第1ゲーム、10-9から郭炎がループ気味に打ったバックドライブがエッジになり、このゲームを取ったのが大きく、郭炎が3ゲーム連取。フォアクロスを切る厳しいコースのドライブで姜を泳がせて、そこを警戒すれば今度はフォアミドルへドライブと、巧みなコース取りを見せた。姜華君もラリー展開ではほぼ互角、第4ゲームを取り返したが、第5ゲームは0-5、3-9と離され、快進撃はここでストップした。

●女子シングルス準決勝
郭炎(中国) 9、7、9、-9、6 姜華君(中国香港)

Photo左:郭炎、勝負どころでの気合いは健在
Photo右:姜華君、敗れたとはいえ今大会の快進撃は見事
★大会第4日目のタイムスケジュール
10:00~ 女子シングルス準決勝
     [姜華君(中国香港) vs. 郭炎(中国)]
     [郭躍(中国) vs. 王楠(中国)] 
11:30~ 男子シングルス準決勝
     [馬龍(中国) vs. 呉尚垠(韓国)]
     [王皓(中国) vs. 王励勤(中国)]
14:00~ 女子ダブルス決勝
     [郭躍/李暁霞(中国) vs. 金キュン娥/朴美英(韓国)]
14:45~ 男子ダブルス決勝
     [王励勤/陳杞(中国) vs. 馬琳/王皓(中国)]
15:30~ 女子シングルス決勝
16:15~ 男子シングルス決勝

 男女シングルスとも、世界選手権ザグレブ大会のチャンピオンが準決勝に残っている。男子の王励勤の戦いぶりは貫禄十分、ビッグゲームの後で集中力の低い中国選手もいる中で、1回戦から決して気を緩めないプレーを見せている。優勝するならやはり、この男か。一方、女子チャンピオンの郭躍はやや疲労の色が濃い。昨日の3回戦でもベテラン高軍(アメリカ)に大苦戦するなど、プレーに本来のキレが見られない。遼寧省の大先輩・王楠との対戦は厳しいものになりそう。

 男女ダブルスは決勝が行われる。女子ダブルスで決勝まで勝ち残った韓国のカットペアが会場を沸かせてくれそうだ。

Photo:昨日の観客席でのひとコマ。全日本男子チーム、なにか面白い話題があったのかな
●男子ダブルス準決勝
王励勤/陳杞(中国) 6、-10、8、5、9 呉尚垠/李政三(韓国)
馬琳/王皓(中国) 9、8、9、-6、-3、-6、5 ガオ・ニン/ヤン・ツー(シンガポール)

 アジア勢が独占した男子ダブルスのベスト4。そして決勝はやはり中国勢同士の対戦となった。ペアリングが決定していないという中国男子だが、それでもその実力は圧倒的だ。