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全日本卓球選手権大会

 昨年の準々決勝でダブルスパートナーの樋浦令子と対戦し、ゲームオールで下してベスト4に躍進した石川佳純。今年はひとつ上のステージ、準決勝で再び樋浦と対戦したが、樋浦の積極的な攻めの前にリベンジを喫した。
 
 「昨年の二の舞はまっぴら」とばかりに、第1ゲーム8-0とスタートダッシュをかけた樋浦。第1・2ゲームともに5点で石川を圧倒し、ワンサイドかと思われたこのゲーム。石川がゲーム終盤での勝負勘鋭く、第3・4ゲームを取り返したが、第5ゲームを11-9で制した樋浦が第6ゲームは3-0、5-2の出足から6本連取で一気に勝負をつけた。石川のバックサイドを厳しく突いて、石川の回り込み攻撃を封じた。

 石川、敗れたとはいえ今年も中学生が2年連続ベスト4というのは驚異のひと言。「今年は上位進出は難しいのでは」と正直思っていたが、昨年のベスト4はやはりフロックではなかった。第5ゲーム終盤での強気のフリックがミスになったが、相手のミスを狙うのではなく、自分から決めにいく彼女のプレースタイルは魅力いっぱい。このまま伸びていってほしい大器だ。
藤沼を大逆転で下し、準々決勝は小西に完勝して勢いのあった照井が、昨年敗れた平野に再度挑戦した準決勝。しかし、平野のミドルから両サイドに大きく揺さぶられ、先手を取ることができず、ストレートで敗れた。
「(平野戦は)抜くことができず、それがプレッシャーだった。こちらが良いボールを打って得点した時も、次には返ってきそうな気がした。ダブルス優勝、シングルスベスト4は、無欲でプレーしたのが良かったかもしれない」(照井)
●女子シングルス 準決勝結果
平野早矢香(ミキハウス) 8、4、6、10  照井萌美(早稲田大学)
樋浦令子(ミキハウス)5、5、-9、-11、9、2 石川佳純(ミキハウスJSC)
 昨年の準決勝と同じ対戦カードとなった吉田海偉vs大矢英俊。ともにやや慎重なプレーで、互いの持ち味である3球目パワードライブが見られる場面は少なかったが、ゲーム終盤でひたすらフォアドライブに徹した吉田に対し、大矢はバックで守りに入ってしまった。
 バックでの前陣ブロックがうまくなっている大矢だが、一度守勢に回ると当てるだけのブロックになってしまうウイークポイントが、昨年の準決勝でも目についた。守備から攻撃への転換が今後の課題か。吉田は大矢の心理状態を冷静に見抜き、無理をせずに回転のかかったドライブを大矢のバックに集めた。

「フォアに飛ばしてからバックを突いて、バックを振らせる展開だったけど、相手のフットワークが予想以上に速くてビックリした。吉田さんにはオーラがあった。今大会で世界ランキング17位の韓陽さんや、60位台の岸川さんに勝てたので自信になりました。パフォーマンスはお客さんが喜ぶので…、自然に出ちゃいますね(大矢)」
 今大会絶好調の田勢を、準決勝でうまくかわした水谷。フォアの強打で打ち抜くシーンは少なかったが、絶妙のプレスメントと緩急の変化で相手のミスを誘うプレーを見せた。ゲームカウント0-2とされた第3ゲーム、10-8のゲームポイントからデュースとされながら、14-12で辛くも取ったことが試合の流れを変えた。
 試合後、「3ゲーム目を取ることで自分は楽になったし、相手にミスが出てくるようになった。2ゲームを連取されたので作戦を変えて、それがうまくいった。審判からサービスに対する注意を受けて、最初はとまどったけど、それでサービスを変えて、5・7球目の連打で決めるようにした。今大会、競った中でも勝てているので、そういう点では良い感じです」とコメント。決勝では再び吉田海偉の挑戦を受ける。

 一方、敗れたとはいえ田勢のプレーも見事だった。ドライブからスマッシュへの流れが抜群で、連続スマッシュにもミスが出なかった。
「3ゲーム目の11-10のあとの1本が勝負だった。あそこで迷いが出た。そこで取っていれば3-0でリードできたから。ペン表ソフトだから動いて打っていって勝負するしかない。ショートしていては駄目だと思ってプレーした。ベスト4というのは勢いで、これから本当の力を付けていきたい」と試合後のコメント。
 混合ダブルス優勝、男子ダブルス準優勝、男子シングルス3位。出場したすべての種目で好成績を残し、充実の全日本選手権となった。
●男子シングルス準決勝 結果
吉田海偉(日産自動車)9、8、-7、7、-5、8 大矢英俊(青森大学)
水谷隼(青森山田高) -9、-8、12、6、10、1 1 田勢邦史(協和発酵)
●女子シングルス準々決勝 結果
平野(ミキハウス) -7、5、6、7、12 田勢(十六銀行)
照井(早稲田大) 5、7、7、11 小西(アスモ)
石川(ミキハウスJSC) 6、6、11、9 河村(日立化成)
樋浦(ミキハウス) 5、7、3、5 若宮(尽誠学園高)

照井はストレートで小西を下す!
 全日本社会人選手権優勝の田勢が女王・平野に挑戦。1ゲーム目を先取するも、平野はジリジリと自分のペースに持ち込み、5ゲーム目をジュースで奪い、準決勝進出を決めた。

「全日本選手権で平野さんと対戦するのは初めてだったし、今まで一方的に負けることもなかったから試合前から楽しみにしてました。いつもの彼女との試合の中では狙っていける球があるけど、そういうボールが少なく、ちょっとタイミングも取れなかった。丁寧なプレーが今までよりもすごく良くなっているし、それが彼女の強くなっている部分でしょう。それに異質攻撃に対する攻め方もうまくなっている。
 平野さんに負けたのは納得しています。彼女は年下だけど、卓球に対する態度も尊敬できるし、礼儀もあるし、納得してます(田勢)」
 女子シングルス準々決勝、今年も最終日の舞台に登場した中学3年生の石川佳純(ミキハウスJSC)は、河村茉依(日立化成)と対戦。
 出足、河村は最終日の雰囲気に飲まれたか、かなり動きが固い。一方の石川は伸び伸びとしたプレー。河村の中陣からの両ハンドドライブを前陣での固いバックブロックで軽くさばく。バック対バックのラリーで河村をバックサイドに釘付けにして、機を見て回り込み、広角にフォア強打を打ち分ける。デュースになった第3ゲームを河村のロビング打ちミスとネットインで奪うと、最終ゲームも10-9から豪快な回り込み強打でバックストレートに決め、ストレート勝ち。
 今年もベスト4進出を決めた石川。準決勝では昨年の準々決勝に続き、樋浦令子(ミキハウス)と対戦する。

●女子シングルス準々決勝
石川(ミキハウスJSC) 6、6、11、9 河村(日立化成)
●女子シングルス準々決勝
樋浦(ミキハウス) 4-0 若宮(尽誠学園高)

 樋浦のサービス・レシーブに苦しんだ若宮、快進撃もベスト8でストップ。
「サービス・レシーブがすべて。レシーブのことが頭にありすぎてパニックになってしまった。自分から攻めた時はまともなラリーができたけど、レシーブが悪くて攻めさせてもらえなかった。それを課題に来年はまずベスト4、表彰台を目標に頑張ります(若宮)」