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速報・現地リポート

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全日本選手権大会

●男子シングルス6回戦
時吉(時吉スクール) 9、-6、-9、11、6、-8、7 岸川(スヴェンソン)

女子シングルス決勝の余韻さめやらぬ会場。しかし、男子シングルス6回戦に異変が起きた。ロンドン五輪の推薦出場枠を獲得した岸川聖也が、時吉佑一との大ラリー戦に敗れた。明日の準々決勝での水谷隼(明治大)との対戦を待たずして、岸川が男子シングルスの舞台を下りた。

試合後、「向かっていくだけだった。今までは無理に打ちにいくことが多かったけど、今回は慎重にいって、つなぐところはつなぐ、勝負するところは勝負する、それがうまくできた」と語った時吉。前陣カウンターの抜群の切れ味、その打球センスは誰もが認めるところだが、なかなか安定して成績を残せないでいた。ひと皮むけた大人のプレーで、大金星をもぎ取ってみせた。前陣で相手のフォアサイドを抜くバックハンド、フォアクロスへ放つフォアのカウンタードライブはすばらしかった。

敗れた岸川は「相手を褒めるしかなかったですね。ぼくがどうこうじゃなくて。すごいボールがいっぱい入ってきて、あれだけやられたら、勝つのは難しい。やってて弱点がなかった。サービスも効かなかったし、向こうのサービスも良かった」とコメント。試合巧者の岸川をもってしても止められないほど、時吉の勢いがすごかったようだ。
●女子シングルス決勝
福原愛(ANA) 7、7、7、-3、5 石川佳純(全農) 

 福原愛がついに皇后杯を胸に抱いた。全日本選手権女子シングルス、初優勝!

 昨年は準決勝で石川に完敗した福原だが、決勝でのプレーは「充実」のひと言。これまで対戦相手を苦しめてきた石川のサービスを、バック表ソフトのフリック、そして台から出ればすかさずループドライブで狙い打つ。そして下回転とナックルを混ぜて出すサービスで、石川に的を絞らせなかった。フォアドライブの連打でも、一発で打ち抜くのではなく、二球目、三球目と徐々に打球点とコースが厳しくなっていく。

第4ゲームにやや勝ちを急ぎ、強打のミスが連続して落としたが、第5ゲームはしっかり立て直した。3-4から5点連取で逆転し、ここでもレシーブから積極的にフォアドライブで攻め、一気に試合を決めた。長かったタイトルへの挑戦。ベンチの張コーチと抱き合う福原をねぎらうように、会場を埋めた観客から万雷の拍手が鳴り響いた。

 優勝後のインタビューでは「まだ夢なんじゃないかと思います」と語った福原。オリンピックイヤーは最高の幕開けとなった。
 敗れた石川は、決勝までは危なげない勝ち上がりだったが、決勝は福原のプレーがとにかく良かった。「今日の愛ちゃんのプレーは素晴らしかったです。出足から積極的に攻めてきた。まだまだ実力が足りないなと感じました。サービスの変化がわからず、思い切ってレシーブできなかった」と決勝を振り返った。2連覇はならなかったが、確実に決勝まで勝ち上がったことは実力の証明だろう。

★福原愛の優勝会見
「これだけ国際大会を経験しても、全日本で勝てなくて肩身の狭い思いだった。やっと優勝することができました。全日本は私にとって特別な大会で、どんな大会よりも緊張する。やっと壁を乗り越えられてうれしいです。ロンドン五輪までまだ大きな大会(アジア選手権・世界団体選手権)があるので、一試合ずつ成長していきたい」
水谷隼/岸川聖也(明治大・スヴェンソン) 4、5、6 共田準吾/加藤由行(愛工大名電高)

 男子ダブルス決勝は、試合時間30分足らずで決着。共田/加藤ペアはこの全日本の決勝の舞台で緊張があったせいか、最初から最後まで水谷/岸川ペアのサービスに苦しめられた。水谷/岸川ペアは中陣に下がってもミスが出ず、高校生ペアの攻撃を余裕を持ってしのいだ。
「朝一の準々決勝、0-2でリードされた苦しい試合を勝つことができて、それをきっかけにいい流れができて、そのまま優勝することができた。丹羽・松平ペアとやっていないので、優勝して当然というか、ぼくたちが優勝しなければいけないなと思いました」と優勝会見での水谷。「経験の差が違う」という二人の言葉どおり、実力差を見せつけた決勝となった。

一方、左シェークドライブ型の共田、右ペンドライブ型の加藤のナイスコンビ。さすがに元世界3位の壁は厚かったが、松平健/丹羽ペアを破っての決勝進出は見事。青森山田の現役・OBが全日本の上位で活躍する中で、高校卓球界の名門・愛工大名電の存在を改めて卓球ファンに印象づけた。
●男子ダブルス準決勝
共田準吾・加藤由行(愛工大名電高) -5、9、9、16 松平健太・丹羽孝希(早稲田大・青森山田高)
水谷隼・岸川聖也(明治大・スヴェンソン) -9、2、7、8 高木和卓・大矢英俊(東京アート)

左シェークドライブ型の共田と、右中国式ペンドライブ型の加藤の名電ペアが大仕事。フットワークを生かしたドライブ攻撃でラリー戦を次々に制し、松平・丹羽のテクニックを上回った。第4ゲームは何度もマッチポイントをつかみながら、なかなか決めきれなかったが、観客席の名電応援団の大声援をバックに勝利を収めた。
●女子シングルス準決勝
石川佳純(全農) 3、13、8、9 田代早紀(日本生命)
福原愛(ANA) 9、6、7、7 平野早矢香(ミキハウス)

女子シングルス準決勝はいずれもストレートで決着!

ロンドン五輪の推薦出場枠を獲得している石川と福原、五輪イヤーもまだ年頭だが、その仕上がりの良さは他の選手を一歩も二歩もリードしている。

石川は田代をサービス力の差で上回った。試合後、田代は「3年くらい前に選考会で当たったことがあるけど、その時とは回転、長短、コース取り、すべてが違っていた。最初から最後までサービスに対応できなくて、そこがダメだったから良い流れが作れなかった」と試合を振り返った。第2ゲーム、10-8と田代がゲームポイントを奪った場面でも、石川は2本連続でサービスで得点し、田代に流れを渡さなかった。
全日本社会人2位の田代は、初のベスト4入りにも「練習の成果が出せなかった。全然満足していないし、悔しいです」とコメント。レシーブから果敢な攻撃を仕掛けるアタッカーは、まだまだ伸びしろを残している。

平野を完封した福原のプレーも、ここ数年の全日本選手権ではもっとも良い。ずば抜けて良いと言ってもいいくらいだ。競った場面で無理な強打をする場面はほとんどなく、バック表ソフトの軽打で粘り強くラリーをコントロールし、フォアドライブの緩急で得点を重ねる。早いラリー展開には強い平野が、福原のループにブロックミスを連発した。第2ゲームを3-6から8点連取して奪った時点で、試合の流れは完全に福原へ傾いた。

福原愛と石川佳純、ついに決勝でこのふたりが対戦する!
男子シングルス5回戦が終了。全結果は以下のとおり。

●男子シングルス5回戦(ランク決定戦)
水谷隼(明治大) 8、4、9、4 町飛鳥(青森山田高)
森田侑樹(シチズン) -9、-6、12、-8、9、8、6  韓陽(東京アート)
時吉佑一(時吉スクール) 9、-9、9、10、12 横山友一(協和発酵キリン)
岸川聖也(スヴェンソン) 8、12、7、13 松原公家(青森大)
松平賢二(青森大) 4、4、6、-9、5 御内健太郎(早稲田大)
小野竜也(協和発酵キリン)-3、9、7、-8、-7、8、10  軽部隆介(シチズン)
伊積健太(中央大) -8、7、10、-8、-9、6、9 坂本竜介(協和発酵キリン)  
高木和卓(東京アート) -9、12、-9、10、-8、11、6 吉田雅己(青森山田高)
吉田海偉(OVER LIGHT) -7、4、7、5、5 田中満雄(シチズン)
松平健太(早稲田大) 8、-10、8、15、9 上田仁(青森大)  
大矢英俊(東京アート) -8、-7、8、-6、7、9、5 田勢邦史(協和発酵キリン) 
丹羽孝希(青森山田高) -9、9、6、-9、9、6 平屋広大(埼玉工業大)  
塩野真人(東京アート) 10、3、5、3 三部航平(青森山田中)
森本耕平(愛知工業大) 4、-10、8、-8、8、7 池田忠功(青森山田高)  
久保田隆三(シチズン)-2、7、10、8、-11、5 下山隆敬(協和発酵キリン)
吉村真晴(野田学園高)9、8、11、-10、11  張一博(東京アート)
 昨日、笠原(早稲田大)とのフルゲームの接戦を制したカデット14歳以下王者の三部は塩野のカットを打ち抜けず5回戦で敗退した。
 全日本社会人ベスト8の塩野は、意外にもこれが初ランク。勝利を決めてフーッと息をついた。「いや、うれしいです。素直にうれしい。笠原が相手だと思っていたけど、その笠原に勝ってきたんだから、強い相手だと思って戦いました」とコメントした。

●男子シングルス5回戦(ランク決定戦)
塩野真人(東京アート) 10、3、5、3 三部航平(青森山田中)
 今大会、並木(シチズン)、神(明大)を倒し、好調の平屋(埼玉工大)。丹羽(青森山田高)戦でもぶつ切りカットと反撃が冴え渡っていた。1ゲーム目を9本で取る。丹羽はカットマンに対しては得意とは言えない。一発で抜けるボールがないために、持久戦に持って行くしかない。ループドライブで粘りつつ、ストップ、ツッツキを巧みに散らして、ゲームを2-1と逆転。しかし、平屋のファインプレーもあり、2-2とゲームタイにするも、最後は丹羽の台上からの攻め、前後の揺さぶりに軍配が上がった。
 「ラリーならチャンスはあったが、台上とサービスとレシーブで差が出たし、勝負所での相手のミスもなかった。サービスは最後まで何種類あるかわからなかった」

丹羽孝希(青森山田高) -9、9、6、-9、9、6 平屋広大(埼玉工業大) 
●男子シングルス5回戦(ランク決定戦)
水谷隼(明治大) 8、4、9、4 町飛鳥(青森山田高)
岸川聖也(スヴェンソン) 8、12、7、13 松原公家(青森大)
●女子シングルス準々決勝
石川佳純(全農)  8、6、6、8 藤井優子(日本生命)
福原愛(ANA)  7、-10、5、7、8 若宮三沙子(日本生命)
平野早矢香(ミキハウス) 7、5、3、5  石垣優香(淑徳大)
田代早紀(日本生命)-3、6、9、-9、11、-9、9 森薗美咲(日立化成)