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全日本選手権大会

 会場では男女ジュニア1回戦が始まり、各県の有力校の選手たちが続々とコートに入っていく。その中で目を引いたのが群馬の古豪・沼田高の粕川絢平選手。独特の間合いから出す変化の激しいバックサービスで、サービスエースを何本も取っていた。

 昨年夏、沼田高の近くにある沼田中に取材に行った速報担当。冬は雪が多いため、かつては養蚕に使っていた小屋に卓球台を置き、子どもたちが卓球を楽しんでいた時代もあるという。卓球の盛んな土地柄なのだ。このバックサービスのフォーム、まさに一球入魂という感じだ。
 昨年は夕方5時から出場選手の行進も行われた開会式だが、今年は午前11時スタートで、出席は昨年の上位選手のみ。「ドルトムントの世界団体選手権、そしてロンドン五輪に向けて大いに卓球界を盛り上げ、そして東北の被災地の方々へのエールとしていただきたい」という日本卓球協会の大林剛郎会長の挨拶の後で、選手宣誓は現女王の石川佳純。

 「私たち選手一同は、この大会が開催されることへの感謝の気持ちを忘れず、志を高く持ち、この伝統ある全日本選手権での頂点を目指して一戦一戦、全力でプレーすることを誓います!」

 この後、試合開始は12時半から。すべての試合を観ることはできないが、24あるコートの一試合一試合が、出場する選手にとってはかけがえのないものだ。
 9時40分に東京・新宿区四谷にある王国編集部を出発し、車であっという間に東京体育館へ到着した王国取材班。10分とかからない距離なのだ。

 大会第1日目は午前11時から開会式。続いて男女ジュニア1回戦と、混合ダブルス1~3回戦が行われる。男子ジュニアでは、ペン両面ドライブ型の松下大星(愛工大附属中)、水谷・丹羽に次ぐ天才サウスポーと評される木造勇人(美崎クラブ)、ブンデスリーガ2部で活躍中の小澤吉大(大阪桐蔭高)と注目株が登場。女子ジュニアは小学5年生で全日本カデット13歳以下を制した平野美宇(ミキハウスJSC山梨)が、やはり最大の注目選手だ。
 混合ダブルスには現全日本女王・石川佳純(全農)が吉村真晴(野田学園高)とのペアで登場!
 昨年、石川佳純(全農)が初優勝した女子シングルス。「石川時代」の到来を感じさせたが、その石川も昨年は国体や世界ジュニアで予想外の敗戦を喫するなど、好不調の波が激しかった。石川が有力な優勝候補であることは間違いないが、その王座はまだ安定していない。

 石川とともに優勝戦線の第一集団にいるのは、福原愛(ANA)、平野早矢香(ミキハウス)、藤井寛子(日本生命)の3人。福原は一般初出場の99年大会から、今年で13回目の一般シングルス出場となるが、最高戦績は3位。長く世界のトップランカーに定着している福原だが、それでも簡単には優勝できないのが全日本だ。重要な場面で強打での得点にこだわりすぎる部分があるが、相手の返球を読み切る「後の先」のプレーができれば、必ず結果は出るはずだ。
 国際大会での成績が伸び悩んでいる平野は、全日本6回目の優勝で復調のきっかけをつかみたい。藤井は昨年の全日本社会人、世界団体選手権・女子選考会と苦しみながらも優勝。決勝に3回進みながら、果たせなかった悲願の初優勝に挑む。平野と藤井は順当に勝ち上がれば準々決勝で対戦する。

 社会人・学生では、全日本社会人で準優勝の田代早紀(日本生命)、同大会3位の森薗美咲(日立化成)、藤井優子(日本生命)という若い世代に注目。台上バックドライブで積極的に攻める田代、フットワークを活かしたフォアドライブ連打が武器の森薗、回転量の多い重い両ハンドドライブが武器の藤井と三者三様だが、ベスト4に入る力は十分備えている。世界団体選手権・女子選考会で藤井寛子を破り、優勝まであと一歩だった松澤茉里奈(淑徳大)のパワフルなフォア攻撃も見逃せない。

 男女ダブルス・混合ダブルス・男女ジュニアとその他にも見どころは多い。男子ダブルスでは、昨年連覇が「4」でストップした水谷/岸川ペアの復権なるか。女子ダブルスに出場する福原愛/石川佳純ペアは、ロンドン五輪に向け、きっちり優勝という結果を残したい。

 王国取材班は6日間フル参戦の全日本選手権。大会の様子をつぶさにお伝えします!

photo:昨年の全日本選手権より、石川佳純、福原愛、平野早矢香
 平成23年度全日本卓球選手権(一般・ジュニアの部)が、1月17日に東京・千駄ヶ谷の東京体育館で開幕する。1月の全日本選手権がある限り、トップ選手たちにのんびり過ごせる正月はない。若手の成長により、男女シングルスともに戦いは激しさを増している。

 まず、男子シングルス。92~97年大会(女子)の小山ちれに並ぶ6連覇を目指す水谷隼(明治大)は、準々決勝で岸川聖也(スヴェンソン)と対戦する組み合わせ。昨年7月のジャパンオープン荻村杯では、完璧な両ハンドの攻守を見せた岸川が水谷の堅陣を崩し、勝利を収めている。ドイツでの修行時代から水谷の兄貴分だった岸川、精神面でも優位に戦えるはずだが、どこまで勝負にこだわって戦えるかがカギだ。
 昨年の全日本で水谷に完敗した丹羽孝希(青森山田高)は、その敗戦をバネにインターハイと世界ジュニア選手権を制し、世界代表選考会でも優勝。充実の2011年だった。相手の待ちを外すフォアストレートへのカウンターは切れ味抜群だが、水谷を破るにはもう一段上の決定力が必要。全日本で「水谷攻略法」を見いだせるか?

 水谷、岸川、丹羽の3人を第一集団とすれば、第二集団には社会人・学生の強豪がひしめき合う。社会人では、全日本社会人2連覇の張一博(東京アート)、2位の軽部隆介(シチズン)、3位の高木和卓(東京アート)らが優勝戦線を賑わせそう。大舞台に強い協和発酵キリンの木方慎之介、田勢邦史らも上位をうかがう。学生では、2011年に急成長を遂げた全日学チャンプ・神巧也(明治大)、昨年ベスト8の笠原弘光(早稲田大)、世界選手権複ベスト8の松平賢二(青森大)と実力派のシェークドライブ型が顔を揃える。選考会を欠場した吉田海偉(OVER LIGHT)の仕上がりも気になるところだ。

 ジュニアクラスでも、アジアジュニア選手権を制した吉村真晴(野田学園高)、丹羽と同世代でしのぎを削る青森山田高の吉田雅己・町飛鳥、運動能力の高いペンドライブ型・加藤由行(愛工大名電高)など選手層は厚い。 
 
 「あえて敵を作って、刺激を与えてもらえれば、さらにぼくは成長できる」。昨年の大会後のインタビューでの水谷のコメントだ。遊びのボールがなくなり、より強さと集中力を増した印象があったチャンピオン。誰が進撃を止められるのか?

Photo:昨年度の全日本選手権より、水谷、岸川、丹羽