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全中国運動会・速報2013

男子シングルス決勝の素晴らしい戦いに酔いしれた速報担当。この熱戦の模様は、10月21日発売の卓球王国12月号であますところなくお伝えします。速報で詳しく伝えられなかった部分もいろいろありますよ。

ただいま現地時間の24時を回らんとするところ。速報担当にはこれから、地元の組織委員会の皆さんとの打ち上げという大仕事(?)が待っております。皆さん、タフです…。

全中国運動会の速報ページをご覧いただき、ありがとうございました!
第1ゲーム、さすがの樊振東にも堅さが見え、6-0と大きく馬龍がリードした男子シングルス決勝。
両者とも台上バックドライブからの攻めを警戒して、ロングサービスを多く使った。かつてのフォア主体のレシーブの時代とは違う、バック深くへ切る、あるいはナックルで低く速く送るロングサービスが、全中国運動会の男子では頻繁に見られるようになっている。

台上バックドライブの多彩な打ち分けと回転量では樊振東、バック対バックのピッチの早さ、フォアの攻撃力では馬龍。新時代のプレースタイルである樊振東と、中国伝統のスタイルを受け継いだ馬龍の対決でもあった。

試合の中盤、馬龍は攻めがやや遅くなって樊振東のブロックにつかまり、バックサービスを何度か出して展開の打開を試みていた。「そうじゃないだろ、馬龍」と言いたくなった。ゲームカウント2-3、8-9でリードされた馬龍。会場からは地元の英雄に「馬龍!」の声援があちこちから送られた。
ここをカウンターの3球目バックドライブなどでしのぎ切った馬龍は、最終ゲームの中盤で思い切って樊振東のフォアへパワードライブを連発。4-2、6-3とリードを広げ、樊振東に追いすがられても攻めのプレーに徹した。

優勝を決め、大きくガッツポーズを決めた後、ベンチの張雷監督に抱きかかえられた馬龍。アジア競技大会、ワールドツアー・グランドファイナル、アジア選手権にアジアカップ。今までに手にしたどのタイトルよりも、この全中国運動会での優勝は自信になるはずだ。おめでとう、馬龍!
  • 馬龍、豪腕唸る初優勝!

  • 樊振東、優勝まであと2点…

  • 張雷監督が馬龍を抱き上げた!

  • 表彰台の真ん中に立った馬龍

決勝まで1ゲームしか落とさず、圧倒的な強さで勝ち上がってきた李暁霞。その1ゲームも朝一番の武楊との試合、第1ゲームをジュースで落としただけだった。

しかし、決勝は同じ山東のチームメイト、陳夢。同士討ちの場合、攻撃的な打ち合いよりも、いかにリスクを減らし、相手の待ちを外すかということに主眼が置かれる。李暁霞も決勝では、フルスイングの攻撃はほとんどなく、バックの懐が深い陳夢のバックサイドを警戒していた。
実際に、陳夢のバックの安定感は素晴らしかった。2-2の第6ゲーム、7-1とリードした時には「このままいくのか?」と思わせたが、最後は李暁霞の両ハンドドライブの回転量がものを言った。「彼女のボールは見た目よりずっと回転がかかっている」と対戦した選手は言う。最終ゲームは5-3でのチェンジコートから、大きくリードを広げて振り切った。

握手の後で、李暁霞が「よく頑張ったじゃない」と言いたげに、陳夢の頭をポンポンと叩いたのが印象的だった。地元・遼寧省チームに入ることができず、活躍の場を求めて山東省へ移籍した李暁霞。多くの挫折を乗り越え、故郷・鞍山に錦を飾った。
  • 女子としては規格外のパワー、李暁霞

  • 敗れたとはいえ大健闘の陳夢

  • 世はまさに李暁霞時代か

●女子シングルス決勝
李暁霞(山東省) -5、7、5、-9、7、-6、6 陳夢(山東省)

●男子シングルス決勝
馬龍(北京市) 7、-9、7、-9、-7、9、6 樊振東(解放軍)

地元・鞍山出身のふたりがシングルス初優勝。
会場は沸きに沸いた。特に男子シングルス決勝は稀に見る好ゲームだった!

詳細は後ほど!
 午後4時半頃に会場に到着した速報担当。行きのシャトルバスの中で一緒になった瀋陽晩報の記者さんから、長い長い取材を受けました。「日本は中国よりサッカーが強いですが、日本の卓球も、日本のサッカーの強化に学ぶべきだと思いますか?」。……サッカー好きの記者さんだったようですが、「世界の中でのランキングでは、日本はサッカーより卓球のほうが上ですよ」と言ってやりましたとも。

 まもなく19時から、男女シングルスの3位決定戦がスタートします。通信環境の問題で、決勝の試合終了の時間次第では、今日は取り急ぎ速報だけのアップになるかもしれません。できる限り頑張ります!
19時スタートの男女シングルス決勝に向け、16時頃には会場に移動する予定の速報担当。昼食後に地元の星巴克(スターバックス)でエスプレッソを飲んできました。決勝が始まるまで、今しばし全中国写真館でお楽しみください…。 

上段の写真2枚は、大会スタッフの皆さんの少々奔放(ほんぽう)な行動。左は郭炎にサインをねだる警備のスタッフ。右はミックスゾーンでの王励勤のインタビュー中、入れ替わり王励勤の横で写真を撮っていく組織委員会の皆さん。王励勤は記念撮影の人形じゃないんですよ。
取材陣やボランティアスタッフが選手にサインや写真を求めるのは、日本ではNG。でも、いかにも「みんなのスター」という感じだ。

中段写真左は、これまた記念撮影の1ショット。会場を歩いていた周シントンが、お母さんに呼び止められて子どもとパチリ。彼女も有名になってきたかと思いきや、撮影後にお母さんが「あれなんて言う選手なの?」と周りの人たちに聞いてました(笑)。

中段写真右は、3位決定戦で勝利した後、対戦相手の遼寧ペアの地元応援団にガッツポーズを決めたハオ帥/李平。遼寧応援団からは大ブーイング! 李平はベンチに戻ってからも遼寧応援団にガッツポーズを見せつけ、ハオ帥に制止されてました。ヒール(悪役)の素質がありますね。

下段写真の2枚は鞍山の街並み。左の写真はかつて多くの日本人が住んでいた台町。今も当時の建物が保存され、実際に人が住んでいる。余談ですが、速報担当の祖母の弟さんも、この鞍山に住んでました。右のヨーロッパ風の建築は、ロシアが建てたものだそうです。
  • とにかくみんなサインを欲しがります

  • 入れ替わり、立ち替わり…

  • ウチの息子と写真を撮ってください

  • まさかの挑発行動に出た天津ペア

  • サザエさんの家のような台町の街並み

  • こちらはヨーロピアンな建物

下写真はゲーム間に選手にアドバイスするコーチの表情。穏やかな口調のコーチもいれば、立て板に水のごとく喋りまくるコーチもいるが、どのコーチも選手たちの眼から視線をそらさない。選手たちも常にマジメに聞いているわけではない。しかし、コーチたちからも「百回言ってわからないなら千回言うぞ」というくらいの気迫を感じる。

昨日の男子シングルス準決勝。樊振東対許シン戦が終わった後、ベンチに戻ってきた樊振東に対し、王涛総監督が厳しい表情でひたすらお説教(写真二段目右)。第4ゲームに1回マッチポイントを逃しているとはいえ、全中国で決勝に進んだ16歳が、ベンチではこんなふうに迎えられるのだ。
ただし、王涛も試合中は努めて冷静。ベンチコーチではネガティブな表情を見せず、静かな口調でアドバイスをしていた。

写真一番下は、試合中に熱が入りすぎて審判から「紅牌(レッドカード)」を出された北京市男子チームの張雷監督。フロアから去る途中、また選手たちに声援を送り、副審判長に「まあアンタ早く退場しなさい」とうながされていた。レッドカードを出されるコーチは時々いるのだが、いつもどこからともなく副審判長が現れ、ニコニコしながらフロアの外へ連れていきます。
  • ホラホラ、いいから早く…

いよいよ大会も最終日。本日のタイムテーブルは、午前中に男女シングルスの順位決定戦、そして男女シングルス決勝は夜の19時45分からスタート。……ずいぶん引っ張りますねえ。

昨日は樊振東/周雨が男子ダブルスで優勝し、樊振東が男子シングルスで決勝進出。新たなスター誕生を予感させた一日だった。ふたりとも観客やマスコミ、地元のボランティアの子に結構人気がある。「周雨は中国の人の目から見ても、格好良いんですか?」と日本語に堪能な鐘一鳴さんに聞いたら、「ウーン、『大人の』格好良いではないかもしれません。ええと、蘿莉じゃなくて、正太ですか。男の子の、かわいい感じですよね。日本から来た言葉ですよ」とのこと。
ちなみに「蘿莉(ルオリィ)」はロリ、「正太(ジョンタイ)」はショタのことでした。…説明は長くなるので書きませんが、鐘さんはサブカルにも強いようです。周雨はもう21歳なんですけどね。

体格もルックスも対照的で、面白いコンビです。
  • こらこら、もっと離れなさい

  • あっちでもこっちでも記念写真攻め

  • ふたりでCCTVの取材も受けていた

●男子シングルス準決勝
樊振東(解放軍) 7、9、9、-10、-5、9 許シン(上海市)

なんと16歳の樊振東が、準々決勝の張継科に続き、許シンを破って決勝進出!

許シンは万全の状態ではなかった。第2ゲーム終了後に、テーピングをしていた右ひざにサポーターをはめ、さらにゲームカウント0-3となった第3ゲーム終了後に治療のタイムを取り、包帯で右ひざの上をガッチリ巻き付けていた。それでも、第4ゲーム9-10で奪われたマッチポイントをしのぎ、そこから2ゲームを返したのはさすが許シンだ。

しかし、許シンの状態がどうであろうと、樊振東が見せた才気あふれるプレーにかわりはない。時に剛であり、時に柔である。バックハンドのライジングのカウンターは、バッククロスにもバックストレートにも打つことができる。そうかと思えば、相手の中陣からのパワードライブを、横回転を入れたバックブロックで前に落とし、次球をカウンターで狙い打つ。まさに「卓球を知っている」という感じだ。

明日の決勝は馬龍対樊振東。樊振東が勝てば3冠達成となるが…、果たして?
  • 顔まで怖い樊振東のバックドライブ

  • 許シン、満身創痍のプレーだった

●男子シングルス準決勝
馬龍(北京市) -10、4、-11、7、9、7 王皓(解放軍)

馬龍が鬼門となる王皓戦に勝利!ついに王皓越えを果たした!

序盤は台上の駆け引きで、ストップ対ストップからのバックフリックを王皓に裏面ドライブで狙われ、失点するケースが多かった馬龍。しかし、ゲームカウント1-2とリードされた第4ゲームの10-7、そして第5ゲームの10-9で、豪快なバッククロスへの3球目パワードライブを決め、ゲームカウント3-2と逆転。
世界選手権では3大会連続で準決勝で敗れ、前回の全中国の決勝でも敗れた王皓に対し、フォア前のボールも何度も飛び込みざまに叩いた馬龍。「もう同じ負け方はしない」という決意が感じられた。

地元・鞍山市出身ということもあり、会場のあちこちから「馬龍、加油(がんばれ)!」の声援が飛んだ。その声援に、試合後は笑顔で応えていた。
  • 馬龍、王皓を破る!!

  • 王皓は大会2連覇ならず

  • 観客の声援に応える馬龍