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全中国運動会・速報2013

 速報をご覧の皆様、現地の通信環境により、速報のアップが遅れがちで申し訳ありません。ただいま会場では女子シングルス3回戦が進行中。午前中に男女シングルスでベスト8が出揃います。

 下写真は昨日の女子シングルス2回戦で異彩を放っていたふたり。タカラヅカ系になっていた馮亜蘭(左写真/前回ベスト16)と、キンパツで登場した饒静文(前回ベスト8)。ちょっと違うところに精力を注いでしまったためか(?)、ふたりとも残念ながら2回戦で敗退。
男女シングルス2回戦、現五輪金メダリストの張継科と李暁霞は、ともにゲームオールでの辛勝だった。

張継科の対戦相手は、北京の石銘禹。台上でのチキータから打球点の早いフォアのカウンタードライブというスタイルで、それほど一発の威力があるわけではなく、くみしやすい相手だったはず。しかし、張継科は団体戦に続いて元気のないプレーで2ゲームを落とし、ゲームカウント2-2の第5ゲームも、最後は13-14から石銘禹のフォアクロスへのドライブに対し、力ないフォアブロックがオーバー。会場はどよめきに包まれた。
勝利を意識した石銘禹のミスが増えたこともあり、そこからなんとか逆転したものの、本調子にはほど遠い張継科。もっとも、この男はいつスイッチが入るかわからない。

李暁霞は、木子(ムゥ・ズ)のバック表ソフトの連打、そしてバックストレートに一発で打ち抜くパワードライブに苦しめられた。第5ゲームから、レシーブを深く切ったツッツキ主体に切り替え、ラリー戦では木子のフォアをうまく攻めて逆転勝ちを収めたが、ゲームカウント1-3になった時はヒヤリとした。

張継科や李暁霞だけでなく、世界選手権パリ大会の代表組も、ストレートで勝った選手は少ない。改めて全中国運動会のレベルの高さを感じた。
  • 張継科を追い詰めた石銘禹

●女子シングルス2回戦
丁寧(北京市) 5、−7、5、2、2 蘭㬢(雲南省)
胡麗梅(河北省) 5、−7、8、−6、11、12 朱雨玲(四川省)
陳夢(山東省) 6、−11、−4、11、12、11 李暁丹(山西省)
文佳(遼寧省) 8、−7、9、11、9 馮亜蘭(湖北省)
熊欣芸(広西壮族自治区) 9、7、−6、−9、−6、4、5 范瑛(江蘇省)
車暁曦(黒龍江省) キケン 郭躍(遼寧省)
劉斐(江蘇省) −5、7、7、3、3 楊揚(解放軍)
周シントン(解放軍) −9、7、12、7、7 李皓晴(香港)
李暁霞(山東省) 6、−9、−7、−8、3、5、2 木子(解放軍)
劉詩ウェン(広東省) 5、−3、7、9、3 張薔(江蘇省)
武楊(山西省) 2、7、5、4 李天一(北京市)
郭炎(北京市) 9、8、1、8 李佳イ(遼寧省)
薛絲雨(上海市) 10、5、8、−3、7 姜華君(香港)
趙岩(江蘇省) 7、−3、9、−9、5、6 聶維(四川省)
顧玉ティン(山東省) 10、7、−7、−10、6、8 曹臻(解放軍)
顧若辰(雲南省) 9、6、−8、11、11 饒静文(湖北省)

 女子シングルスも2回戦が終了。女子団体の予選リーグで首を傷めた郭躍は、やはり個人戦への出場はならず、残念ながら棄権となった。
 2回戦で最大の波乱は、私事ながら、速報担当がCCTV(中国中央電視台)のインタビューで優勝候補に推した朱雨玲の敗戦。カットの胡麗梅との世界代表対決に敗れ、ここで姿を消した。非常に安定したカット打ちを誇る朱雨玲に対し、胡麗梅は鉄壁のカットに威力ある連続フォアドライブを織り交ぜ、要所では3球目攻撃も決めて朱のペースを崩した。

 朱は第6ゲーム、1−5の劣勢から逆転し、10−9で先にゲームポイントも握ったが、ここからジュースに持ち込まれ、最後は胡麗梅にネットインでフォア強打をねじ込まれた。

 試合後、CCTVの李武軍さんと顔を見合わせ、少々気まずい空気に。「彼女はまだ対カットが甘いね」と言われ、「団体戦では武楊に勝ってたんですけどね…」と口ごもるしかない速報担当でした。悔いはありませんが、「日本の卓球雑誌の記者は分かってねーなー」と思った中国のファンもいた…でしょうね(恥)。
●男子シングルス2回戦
馬龍(北京市) 6、8、10、5 鄭培峰(福建省)
王皓(解放軍) 6、9、−7、7、2 侯英超(北京市)
王励勤(上海市) 8、1、5、6 周啓豪(広東省)
馬琳(広東省) −5、5、9、−10、6、7 介建偉(雲南省)
梁靖崑(河北省) −6、7、−3、5、−9、9、9 劉亜楠(天津市)
陳杞(解放軍) 9、3、5、−13、4 尹嘉旭(新疆ウイグル自治区)
崔慶磊(河北省) −7、5、9、3、9 尚坤(上海市)
程靖チィ(河北省) 10、3、10 キケン 方博(山東省)
許シン(上海市) 5、−6、−8、8、10、7 林高遠(広東省)
張継科(山東省) −7、−13、3、5、−13、5、10 石銘禹(北京市)
樊振東(解放軍) 10、9、8、9 陳㬢(福建省)
閻安(北京市) 9、5、8、5 張ユク(香港)
張超(広東省) 10、6、10、3 頼佳新(四川省)
劉イ(河北省) 6、7、−9、4、−4、8 徐晨皓(新疆ウイグル自治区)
周雨(解放軍) 5、10、−9、−6、6、9 ジャイ超(河北省)
ハオ帥(天津市) 9、2、−5、4、4 胡彬(黒龍江省)

男子シングルス2回戦が終了。ここで早くもベスト16が出揃った。解放軍から4人、河北省から4人がベスト16入りを決めている。

下写真左はストレート勝ちでベスト16入りを決めた張超。この人のハンマーを振り回すような両ハンドドライブもすごい威力。一見強引なスイングなのに、ボールの弧線は非常に安定している。
下写真右は、ジャパンオープン決勝の塩野戦で、カット打ちの未熟さを露呈してしまった徐晨皓クン。またしてもカット主戦型に当たってしまった。劉イ(火が4つ)のミスのないカットに対して、必死の抵抗を見せたが、いかんせんカットに対する連続ドライブのオーバーミスが多すぎた。

 ガックリと落胆する徐晨皓クンに、「馬琳も王皓も、若い頃はカット打ちが苦手だった。カット打ちは後からでも上達する。小さくまとまらず、器の大きい選手に…」と(心の中で)言っておきました。
 男子シングルス2回戦、馬琳(広東省)があわや、というところまで追い詰められた。対戦相手は雲南省の介建偉(ジエ・ジェンイ/下写真右)だ。

 写真を見てのとおり、ぷっくり体型の右ペンホルダー表ソフト攻撃型。もちろん裏面ドライブもこなすが、表ソフト面でのショートがなかなかいやらしく、フォアスマッシュも安定感がある。裏ソフトのボールに対しては、自在なボールコントロールを見せる馬琳も、さすがにこのオジサマには手こずった。

 4−2で何とか振り切って、ビックリするくらい大きいガッツポーズを決めた馬琳。全中国運動会への出場はこれが最後と言われるだけに、ここで負けたくはなかったでしょう…。
 混合ダブルスに続いて行われた男女シングルス1回戦。ペンドライブ型の選手をふたり発見しました。

 下写真左は、打球中なぜかいつも泣き顔になっている「嘆きのペンドラ」、江蘇省女子チームの張薔(チャン・チアン)。ハイトスサービスからのフォアドライブが武器だが、一見不器用な裏面ドライブもなかなかうまい。女子団体準々決勝では、3球目裏面ドライブで丁寧から何度も得点を挙げていた。

 下写真右は、カットの馬特に完勝した鄭培峰(ジョン・ペイフォン/福建省)。11年世界ジュニアベスト8で、81・83年世界選手権優勝の郭躍華(福建省チーム総監督)の秘蔵っ子だった。小さい頃から父親に厳しく鍛えられたという点では張継科と同じ。もう少し攻めの早さと多彩なコース取りが欲しいところ。
 現在、会場では混合ダブルスの1・2回戦が行われている。ちょっと信じられないかもしれませんが、見ていてとにかく面白い。全部で16ペアしか出場できないので、出場している時点で中国でもトップクラスのペアばかりなのだが、とにかくプレーに一切の手抜きなし。中国選手たちが、インターハイ並みの「熱さ」でプレーしている様子を想像してみてほしい。

 見て面白い理由は他にもある。まず、団体戦では数少なかったペンホルダーが多く出場していること。上段写真左の陳文龍/馮亜蘭は、右ペン表ソフトの陳のスマッシュが何度も決まった。一見して、混合ダブルスか男子ダブルスか、わからなくなってますが…。

 そして、女子のレベルの高さも見逃せない。日本では、男子選手がパワードライブを一発打ったら、それでラリーが終わることが多い。しかし、上段写真右の馬琳/徐潔ペアの徐潔は、馬龍/丁寧戦で馬龍のパワードライブをきっちりブロックし、果敢にスマッシュで狙い打っていた。もちろん、馬龍に全力で打たせない馬琳の台上テクニックもさすがだった。

 下段写真はベスト4入りを決めた陳杞/周シントンペア。山東の孔令軒/楊艶梅戦で、「アイツのドライブ、マジで曲がるよ〜!」と孔令軒に毒づいていた。それはアナタも一緒でしょうが…。
 今日は大会第6日目の9月6日。今日から個人戦がスタート。混合ダブルス1回戦・準々決勝、女子シングルス1・2回戦、男子シングルス1回戦が行われる。

 昨日の男子団体決勝、2番で許シンに完勝した周雨。5月の世界選手権パリ大会で、男子ダブルスのプレーを見た時は、パートナーの王励勤に気を遣っていたのか、あまり迫力を感じなかった。しかし、今大会でのプレーはものすごい迫力だ。彼のプレーに比べると、かつて「殺神」と称されたサウスポーの先輩、陳杞でさえかわいらしく見えてくる。

 とにかく周雨はスイングスピードが速い。そして、周雨のスイングの速さを肌で感じたのはカメラ越しだった。プレー中を撮影する時は、基本的にボールも一緒におさまるように撮るが、なかなかボールが写真の中に入ってくれない。「このスイングだとこのあたりにボールがあるはず…」と思って写真を確認してみたら、ボールは画面のどこにもない。もちろん撮影技術の未熟さもありますが、恐るべきスイングスピード、そしてボールスピード…。

 それにしても、周雨という名前と彼の破壊的なプレーは、ちょっとイメージが合わない感じですね。
●男子団体決勝
〈解放軍 3−1 上海市〉
○王皓 −9、7、−10、10、13 尚坤
○周雨 9、9、9 許シン
 樊振東 10、−7、8、−9、−9 王励勤○
○王皓 7、5、6 許シン

 上海が尚坤のトップ起用という、思い切ったオーダーを組んできた男子団体決勝。
 「解放軍に対しては3番がカギになる」という上海市・席敏杰監督の読みは悪くなかった。トップ尚坤は敗れたとはいえ、王皓に対して最終ゲーム11−10でマッチポイントを奪い、全く互角の勝負を繰り広げた。そして3番では、必勝を期して登場した王励勤が、緩急をつけながらコースを突く巧みなバックドライブ、そして要所で水平にたたき込むパワードライブで、競り合いながらもキッチリ樊振東を下した。上海市に反撃のムードはあった。

 しかし、決勝をひと言で表現すると、許シンのプレーがあまりに悪すぎた。2番では周雨に対し、イージーなレシーブのミス、ラリー戦でのオーバーミスが連続。4番では攻めが遅くなったところを、王皓にカウンターをフォアに集められ、いいようにやられていた。
 王皓、「新婚ボケ」も少々心配されたが、試合を重ねるごとに試合勘が戻ってきた感じだ。シングルス2連覇への道のりは険しいが、やはり優勝戦線を賑わす存在になりそうだ。

 優勝を決めた王皓に駆け寄り、メンバー全員で抱き合った解放軍。この3大会の成績は2位、優勝、優勝。若手の育成力でも、他のチームを一歩リードしている。周雨、樊振東はシングルスでのプレーも楽しみだ。
  • 決勝で2勝、さすが王皓!

  • 2番で勝利した直後、周雨はベンチとハイタッチ

  • 樊振東を下した王励勤

  • 解放軍チーム、歓喜の抱擁!

  • 解放軍の軍旗と一緒に記念撮影

 報道陣向けの食堂で夕食を取り、20時スタートの男子団体決勝に備えている速報担当。2日前にCCTV(中国中央電視台)からインタビューを受けましたが、今日は地元・鞍山の新聞記者、中国のポータルサイトである騰訊の記者さんなど、3人の報道関係の方から取材を受けました。

 皆さん、中国の国内大会にわざわざ取材に来たのが、少々不思議な様子。そして「日本にも全中国運動会のような大会はあるの?」と必ず聞かれます。国民体育大会があることを答えておきますが、大会の規模は全中国のほうがかなり大きいですね。

 ちなみに地元の組織委員会の方々には、「あの日本人は酒が強い」という評判が出回っているようで、地元の鞍山ビールで乾杯攻めにあいます。うれし恥ずかしです。