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全中国運動会・速報2013

 中国男子チームの主力が張継科・馬龍・許シンの3人に移りつつある中、王励勤・馬琳・王皓の3人は、全中国運動会に出場するのも今回が最後だろう。

 男子団体準々決勝の解放軍対広東省戦、4番で実現した馬琳vs.王皓。言い方は悪いが、あまり新鮮味のないカード、という感じがした。
 しかし、やはりこのふたりは凄かった。自分のやりたいプレーではなく、相手の力を封じるプレー、相手が嫌がるプレーを展開していく両者。特に台上でのせめぎ合いは見応えがあり、王皓が裏面フリックと見せかけてストップでチャンスを作り、パワードライブを決めたかと思えば、馬琳が十八番である飛び込みざまのフォアフリック強打で得点。王皓のバックストレートへ鮮やかに抜き去る裏面ブロックの後で、馬琳のフォアミドルへのパワードライブが決まる…。

 最後は馬琳の裏面ドライブがエッジという、少々あっけない幕切れだったが、今このふたりがこれほどの真剣勝負を演じてくれるのは、全中国運動会しかないだろう。一時代を築いたペンホルダーの英雄ふたりの勇姿を、いつまでも見ていたくなりました。
  • 豪快と繊細が交錯したペンドラ対決

  • 王皓、エッジでの幕切れにガックリ

  • ペンホルダーが泣いて喜びそうな、馬琳の美しいショート

●男子団体準々決勝
〈北京市 3−0 四川省〉
○侯英超 9、−4、5、−9、6 許鋭鋒
○馬龍 −9、3、8、5 邱貽可
○閻安 12、−9、9、4 王建軍

〈解放軍 3−2 広東省〉
○周雨 −9、8、5、6 馬琳
 王皓 −7、−9、−7 林高遠○
○樊振東 9、−9、4、−12、7 張超
 王皓 −9、−9、1、10、−12 馬琳○
○周雨 6、6、8 林高遠

〈天津市 3−1 河北省〉
○李平 9、6、9 崔慶磊
○ハオ帥 9、9、7 劉イ
 劉亜楠 −4、−6、−7 ジャイ超○
○ハオ帥 5、12、6 崔慶磊

〈上海市 3−1 山東省〉
○王励勤 6、9、5 張継科
 許シン −10、−8、−7 呉顥○
○尚坤 −6、−8、3、4、2 孔令軒
○許シン 3、2、−4、1 張継科

 男子団体準々決勝は、張継科、許シン、王皓、馬琳と各チームのエースが軒並み敗れる波乱の展開。
 準々決勝で最大の注目カード、上海対山東は上海が勝利。王励勤と許シンに完敗した張継科は、完全に「スイッチOFF」だった。勝負どころでの抜群の集中力もなく、躍動的なフットワークもなく、相手を呑み込むような気迫もない。前回、解放軍チームで団体優勝を経験した張継科、本来の所属である山東省でのタイトル獲得は、彼のチャレンジャー・スピリットを刺激しないのか。許シン戦の第4ゲームでの集中力が切れたプレーは、国家チームから処罰されてもおかしくない。…かえって個人戦での活躍を予感させる雰囲気もあるのだが。

 上海のエース許シンも、06年世界ジュニアの男子ダブルスで優勝してから全く名前を聞かない呉顥(ウ・ハオ)に完敗。こちらも持ち前の連続フォアドライブが完全に影を潜めていた。
 王皓と馬琳はそれぞれ林高遠と周雨に敗れたものの、4番で素晴らしいゲームを展開して会場を大いに沸かせた。王皓がゲームカウント0−2から2−2に追いつき、10−7から3回のマッチポイント、さらに11−10で4回目のマッチポイントを奪ったが決め切れず、最後は馬琳の裏面ドライブがエッジとなって馬琳が14−12で勝利。
  • プレーに全く覇気がなかった張継科

  • 許シンに完勝した左の強打者・呉顥

  • 王皓の2失点をカバーし、勝利に貢献した周雨

  • 北京の「闘魂チョッパー」侯英超

 女子団体準々決勝の終了後、中国中央電視台のスポーツチャンネルのリポーターである李武軍さんから、なぜかインタビューを受けた速報担当。その場で男女団体と男女シングルスの優勝者予想をしたんですが、そこで「女子シングルスで優勝する!」とブチ上げたのがこの人、朱雨玲。

 今大会で体つきを見て、一気に体幹が太くなったのを感じた。ガッチリした腰回りから、何とも言えないオーラを発散するようになっている(別に変な意味ではありません)。この「急に体幹が太くなったな」という感覚、どこかで覚えがあると思ったら、2010年の世界団体選手権で、張継科を見た時と同じだ。張継科はそこから一気に強くなっていった。

 第1ゲームはスコアが競ったり、落としたりしても、収集した対戦相手のデータに基づき、第2ゲームあたりから一気にペースを上げ、最後は完勝。結局、試合の主導権を握っているのは常に彼女、という感じだ。今大会での優勝はさすがに難しいかもしれないが、この大会が大きなターニングポイントになる予感がする。
●女子団体準々決勝
〈北京市 3-1 江蘇省〉
○郭炎 8、−13、9、8 趙岩
○丁寧 4、10、5 張薔
 盛丹丹 −7、10、−11、−4 范瑛○
○丁寧 −11、10、5、5 趙岩

〈山西省 3-2 遼寧省〉
○李暁丹 9、9、−5、10 常晨晨
 武楊 8、−4、6、−8、−9 文佳○
 楊飛飛 −6、−4、−13 李佳イ○
○武楊 −3、7、5、1 常晨晨
○李暁丹 2、4、7 文佳

〈山東省 3-0 解放軍〉
○陳夢 6、−10、6、−6、11 曹臻
○李暁霞 −9、9、8、9 木子
○顧玉ティン 4、−9、3、3 劉㬢

〈四川省 3-2 河南省〉
○朱雨玲 9、4、5 袁雪嬌
 聶維 6、−8、−7、−13 鄭詩暢○
 李茜 5、−8、−9、9、−7 姚俊羽○
○朱雨玲 −9、5、7、3 鄭詩暢
○聶維 7、−8、4、8 袁雪嬌

 速報が滞っていて、申し訳ありません!速報担当、いろいろ苦戦中です。
 まずは手短に女子団体準々決勝の速報から! 

 北京市と江蘇省は、3番で江蘇省の范瑛が1点を返したものの、北京市が貫禄勝ち。しかし、北京市のエース丁寧はあまり状態が良くない。郭炎が円熟のプレーでチームを支えているが、準決勝以降は少々不安。左ひざの故障の状態が気になる。

 山西省はラスト李暁丹が文佳に完勝し、観客席に陣取った遼寧応援団を沈黙させた。両ストレートへのコース取りをうまく使い、序盤から大量リードを奪う展開。郭躍の不在により、エースという重責を担うことになった文佳は、試合後にベンチで落胆の表情。

 山東省はトップ陳夢が曹臻、2番李暁霞が木子を苦しみながらも下し、3番で顧玉ティンがきっちり締めた。李暁霞もまた調子が良くないが、技術力と気力でカバーしている印象。陳夢がどこまでカバーできるか。

 そして四川省対河南省は、四川のエース朱雨玲が2勝を挙げながらも、ラストまでもつれた。ラストは四川が右シェークバック表の聶維、河南がヨーロッパスタイルの両ハンドドライブを操る袁雪嬌。聶維が地力の差を見せ、バック表ソフトのブロックとカウンターで袁雪嬌を下した。歓喜の四川ベンチの中で、「最後は手が震えてサービスが出せなかったわヨ〜」と笑顔の聶維。ベンチの明るさはこの四川が一番だ。
  • 不調ながらも江蘇戦で2勝を挙げた丁寧

  • 殊勲者の聶維を笑顔で迎える四川ベンチ

  • 遼寧戦ラストで文佳を圧倒した李暁丹

  • 文佳はベンチでガックリ…

☆女子団体・準々決勝の組み合わせ
遼寧省 vs. 山西省
河南省 vs. 四川省
解放軍 vs. 山東省
江蘇省 vs. 北京市

 女子団体・準々決勝の組み合わせは上記のとおり。エース郭躍を欠いた遼寧省は、武楊・李暁丹の山西省と対戦する。エース朱雨玲が予選リーグ全勝の四川省は、カットの鄭詩暢が好調の河南省と対戦。
 優勝候補の山東省は、予選リーグで四川省に次ぐ2位。最終戦の黒龍江省戦で李暁霞が欠場し、1−3で敗れた。李暁霞は「例假(生理)」による体調不良が伝えられている。五輪女王であっても、こればかりはいかんともしがたい。準々決勝は試練の一戦になるだろう。

●女子団体予選リーグの結果
A:1. 遼寧省(3勝0敗) 2. 江蘇省(2勝1敗) 3. 河北省(1勝2敗) 4. 広西壮族自治区(0勝3敗)
B:1. 北京市(3勝0敗) 2. 河南省(2勝1敗) 3. 雲南省(1勝2敗) 4. 香港(0勝3敗)
C:1. 四川省(2勝1敗) 2. 山東省(2勝1敗) 3. 黒龍江省(2勝1敗) 4. 陝西省(0勝3敗)
D:1. 解放軍(3勝0敗) 2. 山西省(2勝1敗) 3. 浙江省(1勝2敗) 4. 湖北省(0勝3敗)

★男子団体・準々決勝の組み合わせ
北京市 vs. 四川省
広東省 vs. 解放軍
河北省 vs. 天津市
山東省 vs. 上海市

 昨日、男子団体の予選リーグが終了。準々決勝の組み合わせが決定した。
 準々決勝では、いきなり山東省と上海市という、優勝候補同士の対決が実現。予選リーグDで山東省が解放軍に敗れたためだ。ラストで樊振東がゲームオール16−14で方博を下している。
 馬琳・張超の広東省と、王皓・周雨・樊振東の解放軍の対戦も白熱の展開になりそうだ。男子団体予選リーグの結果は下記のとおり。

●男子団体・予選リーグの結果
A:1. 北京市(3勝0敗) 2. 天津市(2勝1敗) 3. 江蘇省(1勝2敗) 4. 浙江省(0勝3敗)
B:1. 上海市(3勝0敗) 2. 広東省(2勝1敗) 3. 新疆ウイグル自治区(1勝2敗) 4. 河南省(0勝3敗)
C:1. 河北省(3勝0敗) 2. 四川省(2勝1敗) 3. 福建省(1勝2敗) 4. 遼寧省(0勝3敗)
D:1. 解放軍(3勝0敗) 2. 山東省(2勝1敗) 3. 黒龍江省(1勝2敗) 4. 寧夏回族自治区(0勝3敗)
 昨日行われた女子予選リーグ。Aグループ第3戦の遼寧対広西戦のトップで、遼寧のエース郭躍が途中棄権した。2ゲームを先取し、第3ゲームも10-7でマッチポイントを奪いながら、打球時に首を傷め、プレーを続行できなかった。

 速報担当は昨日夕方に現地に到着。この予選リーグ第3戦は取材することができなかった。映像で確認する限り、郭躍は首を傷めてしばらくしてからコートに倒れ込み、自分で体を動かすことができない状態。それでも宋良コーチに何度も棄権を勧められても納得しなかったという。

 ようやく説得に応じて棄権を決断し、救急車で病院へ搬送された郭躍。首の故障は古傷で、今年2月の世界選手権パリ大会の国内予選でも途中棄権を余儀なくされている。団体戦の出場はもちろん、個人戦への出場も現時点では難しそうだ。地元で迎える記念すべき大会で、郭躍に残酷な運命が待っていた。
 今夜はホテルで夕食。鞍山の組織委員会で対外折衝に当たっているという富国城さんや、大学時代に日本語を学んだという才媛・鐘一鳴さんたちと食卓を囲みました。今、この辺りでは辛い川菜(四川料理)が人気だそうです。いや辛い辛い。

 ビールで中国流の「乾杯(杯を乾す)」をカパカパ繰り返しているうち、アルコール度数が40度以上の白酒での乾杯に突入。速報班もそこそこ健闘したつもりでしたが、富国城さんの眼がキラリと光りました。「親戚の家で白酒(蒸留酒)を作っているよ。60度以上じゃないと物足りないんだ」。冗談でしょ、明日の仕事に差し支えます。御年37歳の酒豪・富さんに完敗を認め、白酒の小瓶を一本で勘弁してもらいました。

 もちろん、速報班は仕事も忘れたわけではありません。細かいところは鐘一鳴さんの翻訳にゆだねつつ、なぜ「鞍山からこんなに卓球選手が多く輩出されるのか」と聞いてみました。鞍山といえば、馬龍・張超・郭躍・李暁霞・王越古・石賀浄と、ビックリするくらい多くの名選手を輩出している、中国卓球界の「虎の穴」ですから。

 富国城さん曰く、「卓球やバドミントンは、サッカーとかに比べて場所を取らない。だから工業都市の鞍山では、卓球が人気になったんじゃない?」とのこと。なるほど。
 そして、地元新聞の女性記者・賀さんが、幼なじみの卓球選手に、わざわざ携帯電話で聞いてくれました。「今から30年くらい前、当時の市長だった馬艶麗さんという人が、卓球の強化に熱心で、数百万元を投じて卓球のトレーニングセンターを作ったそうです。それから、鞍鋼(製鉄会社)にいた劉さんという人も、同時期に卓球の強化に尽力したと聞いています」とのこと。ふたりの卓球好きの存在だけでは、なかなか語り尽くせない虎の穴・鞍山。これからもその謎を追跡します!
  • 夕立の後、虹が出た鞍山の街です

 王国速報班が9月11日のチェックアウトまで、長期の滞在地に定めた「格林東方酒店」。格林と聞けば、卓球好きなら格林卡(クレアンガ/ギリシャ)を連想しそうですが、こちらのホテルの英訳によるとグリーンツリー・イースタンホテルだそうです。基本的に中国の国内大会なのですから、海外からの取材班に親切に対応してくれるのは、ありがたいことですね。

 ホテルの部屋は29階建ての28階、内装は下写真のとおり。クラシックということにしておきましょう…。窓際の長椅子に、どんなタイミングで座ればいいやら…。
 王国速報班、全中国運動会・卓球競技の開催地、鞍山に無事到着しました!

 まず、ひと言お詫びと訂正を。先日アップした男子団体戦の見どころの中で、徐晨皓選手を解放軍からの出場としておりましたが、今大会は新疆ウイグル自治区からの出場であること、読者の方からご指摘がありました。大変失礼致しました。すでに訂正しておりますが、今後は引き締めて参りたいと思います…。

 鞍山まで、成田空港から瀋陽行きの飛行機で4時間半。瀋陽の桃仙国際空港から、瀋陽南駅のバスターミナルまで1時間、さらにバスで鞍山駅まで2時間。地元の組織委員会の方々が、この頼りない30代男性を、空港からバスターミナル、さらに鞍山駅からホテルまで、優しくリレーして下さいました。非常謝謝。

 鞍山は鋼都と言われる鉄鋼の街。工場マニアの方々が喜びそうな、重厚な街並みが広がっております(下写真)。先ほど、ものすごい雷雨が通り過ぎていきました。
 卓球競技の会場まではシャトルバスで20分ほどかかります。申し訳ありませんが、速報は明日よりスタートします!