速報・現地リポート

トップニュース速報・現地リポート

ITTFワールドツアー2013
グランドファイナル速報

グランドファイナル結果

●男子シングルス
優勝:許シン(中国)
準優勝:馬龍(中国)
3位:樊振東(中国)、金珉鉐(韓国)

●女子シングルス
優勝:劉詩ウェン(中国)
準優勝:丁寧(中国)
3位:李暁霞(中国)、Vi.パブロビッチ(ベラルーシ)

●男子ダブルス
優勝:ガオ・ニン/李虎(中国)
江宏傑/黄聖盛(チャイニーズタイペイ)

●女子ダブルス
優勝:丁寧/李暁霞(中国)
鄭怡静/黄怡樺(チャイニーズタイペイ)

●男子シングルスU21
優勝:ゴズィ(フランス)
準優勝:フランチスカ(ドイツ)
3位:森薗政崇、チェン・フォン(シンガポール)

●女子シングルスU21
優勝:リン・イエ(シンガポール)
準優勝:呉穎嵐(香港)
3位:浜本由惟、梁夏銀(韓国)

これでグランドファイナルの速報を終了します。
報道ページは卓球王国4月号(2月21日発売)に掲載予定です。
この号は全日本選手権も掲載予定なので、合わせてお楽しみください。
馬龍、樊振東ともに台上のボールに強く、チキータや台上バックドライブで狙っていくスタイルだが、今大会、特に許シンのストップレシーブに対し、どの選手も反応が遅れているように見えた。

その理由は許シンの台上技術の進化と言っていいだろう。

許シンの台上は今まで裏面ドライブとストップを使っていたが、ふたつの体勢は一目瞭然で、どちらで打つのかがすぐにわかった。
しかし、今大会、許シンは裏面ドライブの体勢からストップをするなど、フェイント技術を入れていた。

裏面ドライブがくると判断した相手は台から少し距離を取ってしまう。
許シンはそこからストップに切りかえすことで、相手の反応を遅らせていた。しかもコースはほとんどがフォア前だ。右利きの相手から一番遠いところにボールを落としていたのだ。

このフェイントを使い、若手の樊振東の台上バックドライブを封じ、馬龍からも先手を取った。
ペンドラのさらなる進化を見せてくれた許シン。

一発強打につなげる細かい技術の向上が優勝の秘訣だろう。
  • 一見、裏面ドライブにいくような体勢から

  • 一転してストップへ切り替えていく

● 男子シングルス決勝
許シン(中国) 8、-10、6、-8、5、-4、5 馬龍(中国) 

最強のペン対最強のシェークとなった決勝戦。
まず許シンが先手を取る。まだエンジンがかかっていない馬龍を序盤で引き離し、1ゲーム目、そして2ゲーム目もリード。
少々眠っていた馬龍だが、2ゲーム目後半から徐々に覚醒していく。フォアの打ち合いを制し、第2ゲームを逆転で取り返した。しかし、3ゲーム目はまたも許シンの攻撃を防げずに落としてしまう。

ゲームが動いたのは4ゲーム目だ。4-4で馬龍がロビング打ちをミスし、次のボールもイージーミス。6-4となったところで馬龍がタイムアウトを取った。
動揺した心を落ち着けるためのタイムだろう。
そしてカウントは7-5となったところで、昨日の張継科戦で流れを変えた投げ上げサービスを使用した。
ラケットをボールの下をがっつり擦る下回転だ。このサービスからの展開で2本取り、カウントは7-7。
さらに9-8とリードした場面で投げ上げロングサービスを許シンのフォアに出し、エースと奪った。ゲームを取り返し、勝負はここから!という感じがした。

お互いにゲームを取り、最終ゲームに入る。
会場のボルテージは最高潮に達し、スーパーラリーを連発。
許シンがそれをことごとく制し、そのままマッチポイントを握った。

最後は観念した馬龍がわざとロビングし、許シンが打ち込み、ふたりが台を回って入れ替わるというおきまりの見せプレーでゲーム終了。

許シンはグランドファイナル2連覇を達成した。

次のターゲットは世界のタイトルか。
  • 許シン、見事な2連覇

  • 弾丸のようなフォアドライブ

  • 裏面ドライブの安定力も抜群だった

  • 敗れてもその強さは脅威の馬龍

●女子ダブルス準決勝
丁寧/李暁霞(中国) 8、2、1、7 鄭怡静/黄怡樺(チャイニーズタイペイ)

タイペイペアがどんなに良いボールを送っても、中国ペアがはじき返す。それはまさに「倍返し」だ!
攻撃力に定評のあるタイペイペアだが、スーパープレーを見せても、それ以上のスーパープレーで打ち返される。
技術的にも精神的にも潰されてしまい、途中からあきらめたような表情を浮かべた。

ロンドン五輪金銀ペア、まさに最強ダブルスだった。
  • ただただ、強かった中国ペア

  • 強大な力の前に立ち尽くすしかなかったタイペイペア

準決勝の許シンvs樊振東を見ていて気づいたことがある。

許シンの背中にヒラヒラしたものが・・・。
これは中国のお酒の名前「五糧液」(ウーリャンイエ)のロゴだ。

普通ならばウェアに印刷されているのだが、このロゴが入ったのは13年パリの世界選手権から。なぜ許シンのウェアには印刷されていなかったのか?

推測するに、これは12年ロンドン五輪〜13年パリ大会までの間に渡されたものではないか。
そもそも現在中国チームが来ているウェアは12年ロンドン五輪用に作られたデザインだ。
日本では12年ロンドン五輪モデル、13年パリ大会モデルなど、ビッグゲームのたびの新しいウェアをデザインし、プロモーションしているが、中国はビッグゲームをまたぐことも多く、新デザインのウェアに変えなくなっているのだ。

そしてロンドン五輪からパリ大会で若干デザイン変更はあったのだが、正面は同じなので気がつかなかったのだろう。

つまり、許シンはパリ大会時のものではなく、それ以前のウェアを持ってきてしまっていたのだろう。
正面から見たら同じウェアだが、実は背中のデザインが若干違う。そしてスポンサーロゴの有無を確認せず持ってきてしまったというオチだ。
  • 龍の鱗のようなデザインのあるロンドンモデル。ロゴはピンでとめてます

  • こちらがパリモデル。背中がすっきりして、ロゴが印刷してあります

●男子シングルス準決勝
馬龍(中国)5、6、5、6 金珉鉐(韓国)
許シン(中国) 7、8、-10、8、10 樊振東(中国)

馬龍に全くのノーチャンスだった金珉鉐。
前陣でも台上でもラリーでも、すべてで力の差を見せつけられた。

馬龍は執拗に金珉鉐のフォア前にサービスを送る。金珉鉐はクロスへのフリックかストップをせざるを得ない。馬龍は、フリックはカウンターで狙い、ストップはバックへ長くツッツキし、相手に持ち上げさせてラリーに持っていく。
ラリーに持ち込めば馬龍のパワーにかなう相手はいない。終始馬龍の展開で圧倒した。

そして注目の許シンvs樊振東は、許シンが勝利し、決勝へ駒を進めた。
この試合のポイントはサービス&レシーブだった。
許シンは左横回転系のサービスを樊振東のフォア前に出していく。台上バックドライブで攻めたい樊振東にバックでのレシーブを限定させる作戦だ。
それでいて、ミドル前、バックにナックル系のサービスを出し、レシーブを迷わせていく。昨日までミスの少なかった樊振東の台上にぽろぽろとミスが出てくる。

一方、樊振東はヤマをはって台上バックドライブで打ち抜きにいくか、一発で決まるカウンターとバックドライブを打ち込むかを強いられる。しかし、樊振東のカウンターも許シンのフォアドライブに対して常に決まるほど完璧なものではない。
何本かは入るが、ミスも多く、試合の全体を許シンがうまくコントロールしていた。

得意のYGサービスも許シンにはピタっとストップで止められてしまい、裏面チキータでも打ち込まれてしまった。

サービスがきかない、バックレシーブができないと厳しい、先に攻められるときついという弱点を露呈した樊振東。
試合の組み立てでは先輩許シンが一歩上だった。
  • 力強いフォアハンドで金珉鉐を一蹴した馬龍

  • 許シンはストップと裏面ドライブで台上を支配

  • 3球目攻撃では主にバックサイドを狙われた樊振東。ここが穴か?

●女子ダブルス準決勝
丁寧/李暁霞(中国) 9、4、4、11 朴英淑/梁夏銀(韓国)
鄭怡静/黄怡樺(チャイニーズタイペイ) 8、-7、7、10、4 バーテル/シャン・シャオナー(ドイツ) 

中国ペアが順当に決勝へ進出し、反対の山からはタイペイペアが勝ち上がった。
表ソフトのペアのバーテル/シャン・シャオナーも競って惜しい試合だったが、鄭怡静/黄怡樺のラリー能力に決め球を作れなかった。
  • ドイツの表&表の速攻ペア。惜しくも決勝進出ならず

最終日タイムテーブル
11時〜(日本時間16時) 女子ダブルス準決勝①
丁寧/李暁霞(中国) vs 朴英淑/梁夏銀(韓国)

11時半〜(日本時間16時半) 男子シングルス準決勝①
馬龍(中国) vs 金珉鉐(韓国)

12時〜(日本時間17時) 女子ダブルス準決勝②
バーテル/シャン・シャオナー(ドイツ) vs 鄭怡静/黄怡樺(チャイニーズタイペイ)

12時半〜(日本時間17時半) 男子シングルス準決勝②
許シン(中国) vs 樊振東(中国)

16時〜(日本時間21時) 女子ダブルス決勝
16時半〜(日本時間21時半) 男子シングルス決勝

グランドファイナルもいよいよ最終日となり、男子シングルスと女子ダブルスの優勝者が決定する。
男子シングルスの準決勝は馬龍vs金珉鉐だ。順当にいけば馬龍が決勝へ進むと思われるが、金珉鉐もオフチャロフ(ドイツ)と塩野をフルゲームで倒してきている。
プレーが精神的に左右され、崩れることも多いが、ノリに乗った時のプレーは迫力満点。
馬龍相手に受けにならないように、当たって砕けろ作戦で臨みたい。

もうひとつの準決勝は許シンvs樊振東だ。
成長著しい樊振東は、昨日の試合で王皓にも完勝。
シニアのタイトルは目の前だが、もうひとりのペンドライブ許シンが立ちはだかる。大きなラリーになることは間違いない。熱戦を期待しよう。
  • 許シン相手に台上で先手を取っていきたい樊振東

  • 金珉鉐はパワーで馬龍とガチンコ勝負

馬龍のタオル

2014/01/12

しばしば中国選手が真っ白のタオルを使っている。
リニンがスポンサーなのだから、ロゴタオルくらいあるのだろう、と思いながらもいつも無地のタオルを使っているので、

「ホテルのタオルじゃないのか?」という疑惑が聞こえてくる。

今回もバカでかいタオルで重そうに顔を拭く馬龍。

あのでかさ、見たことがある!と思ったのも、それは昨夜のこと。

オフィシャルホテルのムービンピック。風呂に入って、タオルを取ると、「うわ、でかいなー」と思ったことが、急に頭をよぎった。

あれは間違いなくホテルのタオルだ。
理由はなんだろう。

1タオルの持ち運びが面倒
2タオルはウェアに比べて乾きにくいのでホテルのなら問題ない
3洗濯しなくても毎日新しいタオルが用意される

あれ?意外と便利かも。
  • でかいタオルが重そうな馬龍

  • 王皓!おまえもか! 風呂上がりのようだ

  • 広げるとこんなに大きい。A4サイズのクリアファイルを置いてみました

現世界チャンピオン、そして五輪王者の張継科は、馬龍との大接戦に敗れた。
バック対バックで優位に立ったのは張継科だ。
張継科のバックハンドは打球点もスピードも速く、馬龍を振り回す。
1、2ゲーム目はバックで点数をリードしたら、回り込んで積極的にフォアカウンターを狙いにいく。馬龍の調子のあがらないうちに、勝負をかける作戦だろう。

どうにか流れを変えたい3ゲーム目、馬龍は投げ上げサービスでタイミングを狂わせていく。縦回転系の投げ上げサービスを使うことで、張継科のチキータにリスクを負わせた。強いチキータは打てない張継科は、緩いチキータとストップを使い分けて対応するが、徐々に打ち合いの展開となり、馬龍に攻められていく。

5ゲーム目からはバック対バックでも両者互角で、ゲームを取り合ったが、最終ゲームは張継科のミスが目立ち、馬龍の逆転勝ちとなった。

いつもの張継科ならば、競ったゲームこそ、無類の強さを発揮する。
それがビッグゲームであればあるほど、漫画の主人公のように覚醒するのだが、グランドファイナルでは天敵馬龍に押し切られる形になった。

張継科が手にしていないグランドファイナルのタイトル。
張継科にとって喉から手が出るほどほしいタイトルではないのか?
大満貫(世界選手権、五輪、ワールドカップ)のタイトルでしか燃えないのか?


そして、ベテランの王皓が樊振東に力なく敗れた。
成長著しい樊振東の両ハンドは強烈だが、それにしても無抵抗で、しぶとく勝とうという粘りがなかった。
09年の世界選手権で優勝、3度の五輪銀メダルをとり、選手生命の終盤を迎えている王皓。
若手の壁として、もう少し力のあるプレーが見たかった。
「樊振東よ、おれを越えて見せろ!」というような気迫がほしかった。

王皓が最後に目指す場所はどこなのか?
  • 本気モードの張継科は今回は影を潜めた

  • 大舞台での試合はもう数少ないだろう。王皓、もっと気合いを見せてくれ