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ジャパンオープン・荻村杯2016

 昨年優勝の陳夢がエントリーから外れたものの、丁寧・李暁霞・劉詩ウェンというリオ五輪代表メンバー、そして五輪団体戦のPカード(補欠)に選ばれた朱雨玲が来日する中国女子。四川省成都市で長期の集合訓練中で、トレーニングセンターはフロアマットから三英の卓球台に至るまで、完璧に五輪仕様だ。

 日本女子はリオ五輪代表の石川佳純、福原愛、伊藤美誠を中心に、最強軍団を迎え撃つ。ただし、リオ五輪を見据えて今大会を語るとすれば、必ずしも求められるのは結果ではない。ここ数大会のワールドツアーでも、日本の若手選手が次々に活躍する一方、3選手は予想外の敗戦もあった。しかし、勝負の本番はあくまでもリオ五輪。むしろ敗戦のほうが学ぶところは大きいのではないか。「ジャパンオープンと韓国オープンという目の前の試合を全力で戦って、その先のリオにつながっていけばいい」と福原は語る。

 五輪代表以外の女子の若手選手にも、ぜひ注目してもらいたい。日本女子の若手の充実は、ひょっとしたら中国以上。平野美宇、佐藤瞳、加藤美優、早田ひな、浜本由惟、橋本帆乃香と10代の活躍ぶりは目覚ましく、プレースタイルが多彩なのも強み。互いに刺激し合って、世界ランキングをグングン上げている。平野はヨーロッパ勢に強く、下位への取りこぼしが少ないし、カットの佐藤と橋本はカット打ちをやや苦手とする馮天薇や香港勢を破るチャンスは大きい。

 海外勢で気になるのはやはりドイツか。若きエースのゾルヤは来日しないが、カットのハン・インのプレーは注目したい。田志希、徐孝元、梁夏銀という韓国勢は、対日本になると相当頑張るので注意が必要。来週の韓国オープンを前に気合いも入っているだろう。韓国では左の剛腕、中国から帰化したチェ・ヒョジュと、かつての「ジャパンキラー」であるカットの金キョン娥も出場する。
  • 五輪単出場を逃した劉詩ウェンだが世界ランキング1位。今大会も優勝候筆頭だ

  • 昨年大会ではU21で優勝した佐藤瞳。今年は一般での上位進出を狙う

  • ロンドン五輪後に引退も先頃復帰した金キョン娥。再び日本の前に立ちはだかるのか!?

 世界のトップクラスが集結するジャパンオープン。本当に世界のトップ10くらいになると、目立った弱点のないオールラウンダーばかり。しかし、中堅や少々マイナーな選手のほうが、技術やプレースタイルを参考にするうえでは適しているかもしれない。……ということで、女子の見どころに行く前に、このコーナー。「この選手に、この技術を学べ!」。


◎ユージーン・ワン(カナダ):攻守一体、最強のおっさん型シェーク
・中国・河北省出身。ぽっちゃり体型であまり強そうに見えないが、両ハンド攻撃のセンスと戦術眼は相当なもの。相手に決定打まで打たせてから、バックハンドのカウンターで抜き去るプレーを見せる

◎シェルベリ(スウェーデン):必殺の巻き込みサービス、欧州の注目株
・大きなスイングの巻き込みサービスはとにかく変化が大きい。彼のサービスについては卓球王国の7月発売号で特集します。ジャパンオープンでぜひ予習してください!

◎ウラソフ(ロシア):大汗をかく中陣シェークドライブ
・シバエフやスミルノフが前・中陣でキレのあるボールを放つのに対し、ウラソフはとにかくすぐ下がる。町のオープン大会にいそうなタイプ。ロビングも大好き。

◎ワン・シ(ドイツ):攻撃力は抜群、ブンデス最強チョッパー
・ドイツ・ブンデスリーガで「最強チョッパー」の名を欲しいままにしたカットマンが、中国からドイツに国籍を移した。フォアカットはまったく使わない超攻撃的スタイル。フォアストレートへの攻撃と、カウンターブロックの使い方に注目

◎マツモト(ブラジル):日ペン魂の継承者
・言わずと知れた、ブラジルのペンドライブ型。サウスポーということもあり、エースボールはほとんどがシュート回転。特に台上で打つシュートドライブはキレがありますね。

◎ユ・フ(ポルトガル):投げ上げサービスと鉄壁ショート
中国・河北省出身の女子選手。投げ上げサービスから変化のあるフォアドライブ、横回転を入れるバックショートとプッシュ、まさに往年の中国式ペンドライブ。今年で38歳になりますが、まだまだ頑張ります。
  • センス系ぽっちゃり王子、ユージーン・ワン

  • 最近、注目度上昇中のシェルベリ

  • 地球の裏側に息づいた、マツモトの日ペン攻守に涙するべし

  • こちらも中国に今はなき正統派ペンドラ、ユ・フ

  • 勤勉な労働者のイメージ、粘り強いウラソフ

 6月15〜19日、東京・千駄ヶ谷の東京体育館で開催される「ITTFワールドツアー・Laoxジャパンオープン」。今年は決して見逃せない大会になりそうだ。
 男子シングルスで、決勝トーナメント1回戦から登場する第16シードの選手はアポローニャ(ポルトガル)。世界ランキングは20位なので、世界ランキングのトップ20のうち16人が今大会に出場するということ。「超」がつくほどハイレベルだ。世界ランキング21位以下の選手は、日本選手も含めて15〜16日の予選トーナメントに続々登場。大会序盤から世界トップクラスのプレーを堪能できる。

 日本男子は、チームのエースである水谷隼が、リオ五輪前の「正念場」を迎える。現在世界ランキング6位の水谷は、このままいけばリオ五輪の男子シングルスでは第4シード。ランキング上位の中国勢とは準決勝まで当たらず、メダルのチャンスが広がる。
 6月発表の世界ランキングでは7位の荘智淵(チャイニーズタイペイ)とはわずか4ポイント差。ここから突き放すべく、クロアチア、スロベニア、オーストラリアとワールドツアーを転戦し、スロベニアとオーストラリアでは優勝した水谷。ジャパンオープンでさらにランキングポイントを稼ぎ、決定的なリードを奪いたい。連戦に次ぐ連戦は体力的にも相当ハードだが……。

 もうひとりのリオ五輪シングルス代表、丹羽孝希は4月のポーランドオープンで世界ランキング98位のツムデンコ(ウクライナ)に苦杯。前回のロンドン五輪では団体戦で勝利に貢献できず、4年後のリベンジを誓った丹羽。リオ五輪を直前に控え、ここで調子を落とすわけにはいかない。強豪を破って自信をつけてもらいたい。前回の神戸大会で準優勝の吉村真晴は、右肩の故障はすでに問題ない状態。「サービスだけという周りの固定観念を壊したい」と語り、より多彩で安定性のあるプレーへと進化している。また、リオ五輪団体戦で起用されるであろう丹羽と吉村のダブルスは、世界の強豪ペアと対戦できるまたとない機会。中国の馬龍/許シン、樊振東/張継科との対戦が楽しみだ。

 他の日本選手も、地元開催でヒーロー誕生の予感あり。単複ともに活躍が期待される大島祐哉と森薗政崇、ドイツ・ブンデスリーガ参戦を控える村松雄斗、よりパワーを増している天才左腕・木造勇人、そしてスロベニアオープンで何鈞傑(香港)を破った「怪物」張本智和。東京の地で、世界の強豪相手に腕試しだ。

 海外男子では、オフチャロフ(ドイツ)と朱世爀(韓国)の欠場は残念だが、福建省厦門市で集合訓練中の中国男子が合宿を中断し、フルメンバーで日本に乗り込んでくる。昨年は世界選手権後で「物見遊山」の印象もあった中国だが、今年はかなり仕上がった状態で大会に臨むだろう。馬龍・張継科・許シン・樊振東という「ビッグ4」の中で、やはり注目は馬龍と張継科。ワールドツアーなどでは張継科がやる気を出さず、イマイチ盛り上がらないこともしばしばだが、今回はどうなるか?

 黃鎮廷(香港)、鄭栄植(韓国)、そして荘智淵(チャイニーズタイペイ)というアジアの強豪たちのプレーも楽しみだが、今大会はヨーロッパなどからの参戦も例年になく多い。ボールが吸いつくような抜群のボールタッチを誇るフレイタス(ポルトガル)、両ハンドドライブの一発の威力は凄まじいシバエフ(ロシア)、中陣で粘りに粘るイェレル(スウェーデン)など、個性派のスターたちをぜひチェックしてほしい。
  • リオ五輪でのメダル獲得へ近づきたい水谷

  • 丹羽、地元大会で完全復活なるか?

  • 強さと安定感が際立つ馬龍、優勝候補の筆頭だ

  • ポルトガルが誇る天才・フレイタス