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平成29年度全日本選手権速報

●ジュニア男子2回戦
徳村優汰(宮崎商業高) -7、-5、8、7、2 西原聖真(大阪桐蔭高)

 現在、男女ジュニアの2回戦が進行中だが、中にはかつて全日本で活躍した選手のご子息の姿もチラホラ見られる。そんな中、協和発酵キリンで活躍し、平成10年度全日本選手権男子シングルス準優勝の徳村智彦さんの息子・優汰(宮崎商業高)がジュニア男子2回戦に登場。「最初は相手のボールに合わなかったけど、3ゲーム目から慣れてきた」(優汰)と逆転勝ちで3回戦進出を決めた。
 
 父・智彦さんのプレースタイルは右シェークの両ハンドドライブ型。当時の日本選手では珍しく自在にバックドライブが振れるヨーロッパスタイルの選手だった。小学2年生から智彦さんの指導で卓球を始めたという優汰は、コースを突いた堅実なバックハンドと軽快なフットワークから放つ鋭いフォアドライブが武器の左シェークドライブ型。プレースタイルこそ違うものの、顔つきはそっくり。智彦さんの現役時代を知る編集部員からも「後ろ姿はそっくり」との声があがった。

 現在は名門・宮崎商業高で元ジュニアナショナルチーム監督の丸田哲生監督の指導を受けているが、高校入学までは智彦さんと親子で腕を磨いてきた。智彦さんからは技術面だけでなく、生活面でも様々なアドバイスをもらっているという。今大会の目標は「まずベスト8入り」と語った優汰。偉大な父に続き、全日本の歴史に名を残せるか。
●混合ダブルス2回戦
張本/平野(JOCエリートアカデミー/JOCエリートアカデミー・大原学園) 9、8、3 二木/後藤(駒澤大/中央大)
大島/早田(木下グループ/日本生命) 9、7、7 小林/小村(松徳学院高/東京富士大)
森薗/伊藤(明治大/スターツSC) 5、5、4 近藤/小島(明豊高)
田添健/前田(専修大/日本生命) 9、3、9 千葉/木村(埼玉工業大/正智深谷高)
吉村/石川(名古屋ダイハツ/全農) 4、7、10 中尾/三和(JR北海道)

世界代表クラスの選手たちが続々と登場した混合ダブルス2回戦。強豪ペアはいずれも実力の差を見せ、完勝で3回戦に進んだ。
マスコミから最も注目された張本/平野は、ともに今大会の初戦。1ゲーム目こそ競り合ったものの、徐々に調子を上げた。「競ってもゲームをしっかり取れたことは大きかったと思うので、次も頑張りたい。練習と試合は違うなと思いましたけど、練習より良いプレーができたと思います」と試合後の平野。一方の張本は、「どんなスコアであれ初戦はしっかり勝てれば良かったので、それが3ー0で最後のゲームはすごく良いプレーができたので、良い初戦だったと思います。優勝が100点だとしたらまだまだ50点、60点だと思いますけど、優勝できる可能性があるので、次の試合も頑張りたい」と語った。

張本/平野と同じく強化本部推薦の大島/早田、森薗/伊藤も快勝。森薗/伊藤は、ダブルスのスペシャリスト・森薗が1ゲーム目から声を出し、抜群の集中力を見せていた。試合前のウォーミングアップと出足の集中力という点では、森薗はお手本と言える選手だ。前回優勝の田添健/前田、前回準優勝で世界選手権混合複優勝ペアの吉村/石川も順当に勝利をおさめた。
  • マスコミも注目の張本/平野

  • 吉村/石川もストレートで勝利

 今大会、ジュニア男子の沖縄県代表は、いずれも宮古高校の選手だ。これまでは沖縄本島の普天間高やコザ高が強さを見せてきたが、今は宮古高がメキメキと実力を伸ばしている。島内では小学生のクラブチームも含め、卓球が非常に盛んになっている。

 写真左は、キレのあるフォアドライブ連打を披露した伊沢拓郎選手。右は対カットでセンスの良さを見せた兼島竜平選手。ともに試合は競り合いながらストレートで敗れたものの、随所に好プレーを見せた。試合後、兼島選手に話を聞いた。

「自分の長所が出せなくて、悔しい思いをしたんですけど、またイチから頑張ってこの舞台に戻ってきて、今度は勝ち進めるように頑張りたいです。カットマンは沖縄県内には少なくて、慣れていないタイプでした。対策はしてきたんですけど、やっぱり厳しかった。
 卓球は小学5年生から始めて、祖父の家で練習していました。ぼくが卓球を始めた頃に祖父がラージボールで日本一になって、身近に日本一がいたので、ぼくも頑張ってみようと思って卓球を始めました。中学は平良中で、ぼくらが平良中卓球部の最初の代。それからチームもどんどん強くなっています。将来的には沖縄県の人たちから応援してもらえるような選手になって、頑張って日本一になりたいです」(兼島選手)
 全日本の会場で、プレゼントキャンペーンが実施されている。
大会プログラムを購入すると選手のサイン入りポスターや卓球用品が当たる抽選券をもらえ、毎日16時に当選番号が大型スクリーンに発表。また、会場で撮った写真を投稿してお米をゲット出来たりとうれしいキャンペーンだ。
 
 プレゼントは大会最終日の21日(日)まで、毎日実施。
ぜひ、東京・千駄ヶ谷の東京体育館に足を運んでみよう。

プレゼントキャンペーンの詳細は全日本卓球HPをご覧ください。
http://www.japantabletennis.com/zennihon2018/present
 大会第2日目の1月16日は、朝一番のジュニア男子1回戦の残り試合からスタート。続いて行われる混合ダブルス2回戦では、過去3回優勝の田添健汰/前田美優(専修大/日本生命)、17年世界混合複優勝の吉村真晴/石川佳純(名古屋ダイハツ/全農)をはじめ、強化本部推薦で出場する森薗政崇/伊藤美誠(明治大/スターツSC)、大島祐哉/早田ひな(木下グループ/日本生命)、張本智和/平野美宇(JOCエリートアカデミー/JOCエリートアカデミー・大原学園など、強豪ペアが続々と登場する。

 やはりマスコミの注目が集まるのは張本/平野ペア。平野曰く、大会前の練習は「1日1時間で、6日くらい」とのこと。16年世界ジュニアでペアを組んだ時はコンビネーションがもうひとつで、特に台から下げられた時の展開に課題を残したが、その当時と比べると張本のフォアの攻撃力、平野の両ハンド速攻は格段にレベルアップしている。出足となる2回戦でのプレーが楽しみだ。混合ダブルスは15時スタートの3回戦でベスト16が出揃う。

 ジュニアは男女とも3回戦まで進行し、3回戦でスーパーシードの選手が登場。ジュニア男子は張本智和、田中佑汰(愛工大名電高)、戸上隼輔(野田学園高)という優勝候補がコートに立つ。ジュニア女子は昨年の世界ジュニア代表であるJOCエリートアカデミーの長﨑美柚、木原美悠が優勝候補の双璧。待ったをかけるのは塩見真希(四天王寺高)、昨年の全日本カデット14歳以下優勝の菅澤柚花里(ミキハウスJSC)か。

 男女ダブルスは1・2回戦が行われる。ベテラン選手から中学生まで、多士済々の顔ぶれ。できるだけ多くの選手の声を集めていきます!
●ジュニア男子1回戦
藤原(関西高) -9、5、9、5 溜(卓桜会栃木卓球センター)
松野(れいめい高) 9、8、5 三木(岸田クラブ)

 大会第1日目の終盤、ジュニア男子1回戦の残り試合も少なくなってきたフロアで、奮闘する小学生選手がいた。
 上写真は、高校生を相手に1ゲーム目を奪い、大いに奮闘した溜大河。弊誌の最新号(3月号)「新・ゼロから始めて強くなる!」で特集する、卓桜会栃木卓球センターで腕を磨いてきた選手。対戦相手の緩急に苦しみながらも、正確なフットワーク、安定性の高いフォアドライブとバックハンドを武器に全力で戦い抜いた。その名のとおり、小さな川の流れを集める大河のように、着実に経験を積み、大きく成長してもらいたい。

 「3ゲーム目にチャンスボールをミスしてしまって、それで流れが変わってしまった。あまり緊張はなくて、結構良いプレーができましたけど、最後は負けてしまった。
 大会前はドライブのミスを減らす練習をやってきました。周りはみんな声を出していて、自分はまだあまり声が出ていなかったので、もっと元気よくやりたい。高校生のうちに全日本ジュニアで優勝できるように頑張りたい。好きな選手は水谷隼選手です」(溜)。

 下写真は今大会の男子最年少プレーヤー、三木隼選手(岸田クラブ)。全日本バンビで3位に入り、早くから全国区で活躍してきたサウスポー。ストレートで敗れたものの、1・2ゲーム目は接戦。小学生とは思えない、完成度の高い両ハンドプレーを見せた。
  • 大舞台で高校生から1ゲームを奪った溜(たまり)

  • 昨年の全日本ホープスでもベスト8に入った三木

 卓球王国2017年9〜11月号で連載した「卓球でメシを食う!」のプロコーチ編で取材させていただいた京都府の綾部紫遊クラブ。京都駅から特急で1時間30分ほどの場所にある山間の街・綾部市のクラブだが、このクラブからも中学3年生の大槻琴音がジュニア女子に出場。今回が全日本初出場となる大槻だが、相手のプレーをうまく封じて各ゲームとも競り合いながらもストレートで勝利し、2回戦進出を決めた。

 彼女のプレースタイルは今や少数派となったペン表速攻型。卓球一家で育ち、祖母がペン表だった影響で、この戦型を選んだのだという。ベンチに入ったのは小学生時代から大槻を指導する綾部紫遊クラブの岩田巧代表。以前取材に伺った際に大槻の大物エピソードを聞いていたのだが、今大会に向けての取り組みについて聞いたところ「(大槻は)自分のペースでやりたい子なので、練習に関しては本人に任せている。今回も僕の方が不安になるくらい、ガッツリ正月は休んでました(笑)」(岩田代表)とのこと。コーチのそんな心配をよそに、しっかり結果を残すあたりは、やはり大物・・・・・・?

 現在中学3年生の大槻だが、実力は京都府のジュニアではトップクラス。昨年の国体近畿ブロック大会では、インターハイ女王の梅村優香(四天王寺高)を下すなど、高いポテンシャルを持っている。春からは府外の強豪校へ進学するという大槻。綾部を離れて腕を磨くことになるが、故郷の誇りを胸に、大きく羽ばたいていってほしい。

〈ジュニア女子1回戦〉
大槻琴音(綾部紫遊クラブ) 9、8、9 吉田みさと(木更津総合高)

★大槻琴音・勝利後コメント
 「序盤から攻めていけて、相手のプレーに持ち込ませずに勝ち切れて良かった。(明日の2回戦は)スタートから思い切ったプレーができれば、調子は上がっていくと思うので、受け身にならんとやってきたことを出したい。3回戦の木原(美悠・JOCエリートアカデミー)さんと当たるところまで行きたい」
 ジュニア女子1回戦に今大会最年少出場者の11歳・篠原夢空(松山卓球教室)が登場。全日本ジュニアには初出場となった小学5年生の篠原だが、落ち着いた試合態度は貫禄十分。高校2年の中村(普天間高)相手に得意のバックドライブを随所に決めてストレートで勝利、明日の2回戦へと駒を進めた。
 勝利後のミックスゾーンでは試合中の凛々しい表情とはうって変わって11歳らしい笑顔を見せた篠原。明日の2回戦では桑原穂実(正智深谷高)と対戦するが、「桑原さんは強いけど勝ちたい」と抱負を語った。

〈ジュニア女子1回戦〉
篠原夢空(松山卓球教室) 3、9、7 中村陽菜(普天間高)

★篠原夢空・試合後コメント
 「少し緊張しました。いつもは焦って打ってしまうけど、今日は焦らず平常心でやれた。あこがれの選手は平野美宇さん。大事な場面でもしっかりプレーできるところがすごい。練習は一日3時間くらい。お兄ちゃんとお姉ちゃんが卓球をやっていて卓球を始めた。(今大会の目標は)次の桑原さんに勝って3回戦までいきたい」
 男子チャンピオンの水谷とともに記者会見に臨んだ平野美宇。「1カ月くらいこの全日本に向けて調整してきました。技術面ではフォアの強化をしたいと思っていて、その練習が多かった。コンディションとしては、特に故障などはないので、良い状態じゃないかなと思います」とコメントを残した。「優勝者として大会に臨むのは初めてなので、また違った感覚があると思うんですけど、それも優勝した選手にしか味わえないことだと思う。向かってくる相手に勝てるように気合いを入れて頑張りたい」(平野)。

 毎年、会見では何かひとつ「美宇語録」を残してくれる平野だが、今年の目標を聞かれて「タイトルをたくさん獲ることと、情熱大陸さんに特集してもらうために頑張ることです」と語って会見場を沸かせた。出演したい理由についてさらに突っ込まれると、「人生の目標のひとつが情熱大陸に出ることで、去年は出られなかったので、今年は何とかお願いしたいです。情熱大陸に出られると「一流」と認められた気がするので……、本当に頑張るのでお願いします」とコメント。番組関係者の耳に入ったら、オファーが来るかも?!
  • 「情熱大陸」出演への思いを語る美宇ちゃん。笑いの渦に包まれました

 開会式での天皇杯返還の時から、王者の顔には余裕と自信があふれていた。今大会で史上最多記録を更新する、10回目の優勝を狙う水谷隼。

 開会式後の会見では「いつもどおり、しっかり練習できたんじゃないかなと思います。今年に入ってから2週間くらい、川崎にある新しい木下グループの卓球場で練習してきて、本当に良い練習ができたし、ケガもなく最高の状態でこの全日本を迎えられたと思います」とコメント。「去年は1年間、なかなか良い成績が残せない中で、試合の数もすごく多かった。ただ、去年はその中で一年間、自分の中でパワーを溜めていたという感覚があって、今年はそのパワーを爆発させたい。「爆発」を今年のテーマにしたいと思います」と抱負を述べた。

 大会前にはやや不安視されていた大会使用球への対応については、次のようにコメントを残している。
「今回の全日本選手権は、初めてニッタク製のボールが試合球になりましたけど、これまで数回ニッタクのボールで試合をする機会があって、どれも良い成績を残せなかった。苦手意識がすごくあったんですけど、今回はみっちり練習をしてきて、用具も調整して、このボールのために頑張ってきた。今は苦手意識はないし、逆に勝つ自信があります。ラケットは今までよりも飛ばないラケットにして、ラバーも少し軟らかくしました。それから見ればすぐわかると思うんですけど、グリップテープを巻いています。そこも少し注目してほしいですね」(水谷)。

 「これまでの全日本の中でも、一、二を争うくらい自信がある」と語る水谷。やはり天皇杯はこの男のものなのか。それとも並みいる強豪たちがストップをかけるか。
  • 表情からも充実ぶりがうかがえる水谷