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中国リポート

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★★★ 08超級聯賽男子組 第8節 ★★★

[浙商銀行 3-2 八一工商銀行]
○馬琳 6、7、2 徐克
 水谷 6、-8、8、-5、-3 王皓○
○張超/水谷 9、6、8 徐克/楊暁夫
 馬琳 9、-3、-9、-7 王皓○
○張超 7、8、9 楊暁夫

[魯能中超電纜 3-1 海寧皮革城鵬翔]
 張継科 8、-8、7、-9、-12 李平○
○唐鵬 6、8、11 陳剣
○柳洋/唐鵬 8、4、8 李平/沙陳武
○張継科 6、-10、7、7 陳剣

[上海冠生園 3-0 江蘇江南電纜]
○王励勤 10、-7、6、8 陳杞
○高礼澤 6、-6、6、-11、7 朱江
○許シン/張洋 9、9、5 陳杞/單明杰

[寧波北侖海天 3-0 四川全興]
○馬龍 7、-9、3、8 ハオ帥
○呉尚垠 -9、-6、8、6、7 邱貽可
○呉尚垠/呉ハオ 8、-9、9、-6、9 ハオ帥/李静

 いよいよ超級リーグも大詰め。少し遅くなってしまったが、11月5日に終了した超級リーグ男子第8節の結果は上記のとおり。

 第2ステージ準決勝に進出できる4位以内を目指し、苦しい戦いが続く水谷隼(明治大・スヴェンソン)の浙商銀行は八一工商銀行との「銀行対決」。会社の規模で言えば、世界最大級の銀行である中国工商銀行と浙商銀行ではかなり差があるが、試合は浙商銀行が競り勝った。
 中国中央テレビ局のチャンネル5(スポーツチャンネル)でも生中継されたこの試合、水谷は2番で世界ランキング1位の王皓と対戦。この2人の対戦というと、まだ16歳の水谷が王皓を破る大金星を挙げた05年アジア選手権を思い出してしまうが、この試合もゲームオールの接戦。水谷のエンドラインぎりぎりに入るロビングからの逆襲など、華々しいラリー戦の連続で観衆は沸きに沸いた。チームに優勝の望みがない王皓、やや集中力を欠いたプレーが目立ったが、最後は台上からの早い攻めで王皓が勝利。しかし、水谷も続くダブルスでストレート勝ちを収め、パートナーの張超のラストでの勝利を演出した。浙商銀行は最終第9節の寧波北侖海天戦に勝てば、第2ステージ準決勝進出が決まる。

 その他の試合では、上海冠生園と魯能中超電纜が5勝目を挙げ、第2ステージ準決勝進出がほぼ確定。魯能中超電纜はここまで若きエース張継科が10勝4敗の好成績でチームを引っ張っている。筆者は「中国リポート2008/09/22『08超級リーグの登録メンバー発表3』」で、魯能中超電纜に対して「降格に最も近いチームであることに変わりはない」と書いてしまったが、これは謝罪の必要がありそうだ…。ただ、このチームは昨シーズンも前半戦を6勝3敗で折り返しながら、後半戦で8連敗を喫している。「調子が落ちる前に勢いで第1ステージを乗り切った」と言えなくもない。それにしても、張継科の成長は予想以上だ。

Photo上:ロビング打ちにトラウマ(?)のある王皓を、驚異のロビングで追いつめた水谷だったが…
Photo下:シャープな両ハンドドライブが武器の張継科
☆☆☆ 08超級聯賽女子組 第7節 ☆☆☆

[山西大土河華東理工 3-1 遼寧鞍鋼]
○郭炎 6、6、5 唐イェ序
 帖雅娜 10、-6、-8、-12 郭躍○
○饒静文/劉娟 5、8、-7、7 唐イェ序/常晨晨
○郭炎 5、4、-8、-7、9 郭躍

[魯能・路安集団 3-2 北京時博国際]
 彭陸洋 9、-5、11、-7、-4 張怡寧○
 李暁霞 -11、-6、4、-8 丁寧○
○李楠/彭陸洋 -5、-13、12、9、8 丁寧/彭雪
○李暁霞 8、-7、7、-5、8 張怡寧
○李楠 1、-4、3、8 彭雪

[八一工商銀行 3-1 江蘇中超電纜]
○木子 -8、6、12、9 姚彦
 曹臻 6、-4、5、-8、-9 范瑛○
○木子/文佳 11、11、8 張瀟玉/王シュアン
○曹臻 10、-8、9、7 姚彦

[北京北大方正 3-0 広東珠江怡景湾]
○陳晴 -5、5、10、10 劉詩ウェン
○リ・ジャウェイ 11、5、-7、9 曹幸ニィ
○陳晴/高曦 9、10、-9、12 周芳芳/蔡賽

[大同雲崗・雁北賓館 3-2 冀中能源]
 姜華君 10、-8、-7、-2 賈君○
○馮亜蘭 8、9、8 牛剣鋒
 姜華君/李暁丹 -9、-8、-10 牛剣鋒/白楊○
○馮亜蘭 5、-4、-12、3、8 賈君
○李暁丹 7、8、-9、7 白楊

 この第7節に勝利すれば、優勝を争うプレーオフ(第2ステージ・1~4位トーナメント)進出に一番乗りだった遼寧鞍鋼が、山西大土河華東理工に1-3で敗退。連勝も6でストップした。郭炎とのエース対決に敗れた郭躍は相当疲労がたまっているようだ。大先輩・王楠の抜けた穴を獅子奮迅の活躍で埋めてきただけに、肝心のプレーオフでベストの調子に持っていくのが難しいかもしれない。
 ここまで3勝3敗と、ともに優勝候補ながら今ひとつ波に乗り切れない魯能・路安集団と北京時博国際の対戦は、魯能・路安集団が3番ダブルス0-2のビハインドから一気にまくり上げて大逆転勝利。ITTF11月発表の女子世界ランキングで1位に躍り出た李暁霞は、2番で丁寧に敗れたものの、4番では張怡寧とのエース対決を制した。「李暁霞のプレーはまずまずだったが、張怡寧はあまり良いプレーができていなかった。トップの彭陸洋戦でかなり消耗していたのだろう」(魯能・路安集団/唐誠監督)。

 その他の試合では、北京北大方正が広東珠江怡景湾をストレートで破り、降格圏内から脱出。トップで「怪球手」ことペン粒高攻守の陳晴が、劉詩ウェンを破る値千金の一勝を挙げた。大同雲崗・雁北賓館は、冀中能源に競り勝って今シーズン初勝利。前節でシングルス2得点を挙げた馮亜蘭が、この試合でも2得点の活躍。相変わらず不調の姜華君に代わる若きエースとして、チームを勝利へ導いている。逆に冀中能源は、5~6位くらいの実力はあると思われたが、このままでは第2ステージ(7~10位チームによるトーナメント)でも自動降格、もしくは甲Aリーグとの入れ替え戦に回る可能性が高い。チームにも有望な若手はおらず、もし自動降格ということになれば、再び超級リーグへ戻るのは相当な困難を伴うだろう。純正・河北省メンバーで頑張っているだけに、もっと活躍してほしいチームなのだが…。

Photo上:ここまで1勝7敗の牛剣鋒。チームは自動降格だけは避けたいところ
Photo下:ツブ高使いの陳晴。同じ読みに大先輩の「陳静(ちんせい)」さんがいるため、編集部での呼び方は「ちんはれ」さんです…
★★★ 08超級聯賽男子組 第7節 ★★★ ※江蘇江南電纜は試合なし

[浙商銀行 3-1 海寧皮革城鵬翔]
 水谷 7、4、-9、-8、-6 陳剣○
○馬琳 10、5、9 李平
○水谷/張超 -11、5、2、7 李平/沙陳武
○馬琳 6、2、9 陳剣

[錦州銀行 3-1 四川全興]
○雷振華 -7、11、6、-9、10 邱貽可
 徐輝 -8、-6、4、-6 ハオ帥○
○徐輝/ジャク一鳴 7、-15、6、9 邱貽可/李静
○雷振華 3、8、-10、7 ハオ帥

[八一工商銀行 3-0 寧波北侖海天]
○王皓 3、9、6 呉尚垠
○徐克 -9、-5、5、10、6 馬龍
○徐克/楊暁夫 2、8、14 呉尚垠/呉ハオ

[上海冠生園 3-1 魯能中超電纜]
○王励勤 7、-10、6、9 唐鵬
 高礼澤 -8、8、8、-6、-4 張継科○
○許シン/張洋 8、-4、4、12 柳洋/周シン
○王励勤 10、13、-7、8 張継科

 単独首位の四川全興が、ここまで不調だった錦州銀行に敗れて2敗目。単独首位は守ったものの、第7節を終えてもまだ第2ステージ・1~4位トーナメント(プレーオフ)に進出するチームが決定しない混戦だ。
 浙商銀行の水谷隼(明治大・スヴェンソン)はトップで起用されたが、右中国式ペンドライブ型の陳剣にゲームカウント2-0から反撃を浴びて逆転負け。シングルスの通算成績は1勝3敗。しかし、ダブルスでは右シェークドライブペアの李平/沙陳武に完勝し、こちらは通算成績2勝2敗とした。エース馬琳のシングルス2得点の活躍で勝利した浙商銀行、残り2試合に連勝すれば、プレーオフ進出は十分可能だ。

 その他の試合では、ここまでシングルス9連勝だった馬龍(寧波北侖海天)が、八一工商銀行の若手・徐克に逆転負けを喫し、まさかの連勝ストップ。第3ゲームから徐克が積極的に台上フォアハンドで先手を取り、第4ゲームも8-10とマッチポイントを奪われながら逆転した。06年世界ジュニア選手権決勝で松平健太に敗れた徐克だが、中国男子のホープとして存在感を示した。
 上海冠生園はエース王励勤の2得点で、魯能中超電纜に勝利。出足で2連敗と厳しいスタートだったが、王励勤の復調とともにチームも勢いに乗ってきた。「王励勤のプレーはどんどん良くなっているし、ノングルーに対してもほぼ対応できるようになった。9月初旬のパナソニック中国オープンの頃は、7~8本のラケットを持ってきてテストし、チームメイトのラケットを借りたりして、試行錯誤の段階だった。しかし、この2カ月でラケット・ラバーともすでに固定できている」(上海冠生園・王家麟監督)。もともと、国家チームでもフィジカルの強さ、ラリー戦の安定感は群を抜いていた王励勤。ノングルーがこのベテランに再び光を当てることになるのか?

Photo上:王励勤、もうひと花咲かせたいところ
Photo下:徐克、このベッカムもどきの髪型はさすがに改善されております。古い写真でスミマセン(06世界ジュニアより)
 10月28日、上海市西南部の閔行区浦江鎮にあるニュータウン開発地区「新浦江城」において、北京五輪で金メダルを獲得した上海出身のスポーツ選手に対する、新築マンション1室の授与式典が行われた。マンションが贈られたのは、郭晶晶との女子3mシンクロナイズド板飛込みで優勝した呉敏霞、競泳・女子200mバタフライで優勝した劉子歌、男子10mシンクロナイズド高飛込み優勝の火亮、男子ボクシングライトフライ級優勝の雛市明、そして卓球男子団体優勝の王励勤の5選手だ。

 金メダリストたちにマンションを贈ったのは、「新浦江城」の開発を行っている中国の巨大企業グループ・華僑城集団。2010年の上海万国博覧会までに完成するというこの「新浦江城」、上海市の中心部からはかなり離れているが、130万平方メートルの立地に80万平方メートルの低密度住宅地、27万平方メートルの都市産業区と23万平方メートルの総合商業区を建設、イタリア風の街並みに2万5千人が住む緑あふれるパークタウン…というかなりバブリーなシロモノ。
 王励勤ら4選手に贈られたのは11階建てのマンションで、部屋の広さは約90平方メートル、分譲価格は100万元(約1435万円)以上。中国に五輪の競泳競技初の金メダルをもたらした劉子歌は、世界新記録を更新したこともあり、4階建てのマンションで広さは約160平方メートル、分譲価格は200万元(約2870万円)以上だとか。王励勤もシングルスとの2冠を達成していれば、広いほうの部屋が貰えたかもしれない。

 この日、両親と一緒に部屋を見学した王励勤。「ずっと雛市明と一緒に良い部屋を探してたんだ。彼が隣人になってくれれば安心だからね!」とボクサーの雛市明にラブコール。中国ボクシング史上初の五輪金メダリストである雛は、金メダル獲得後の「中国料理は脂っこいので、減量中はピザとハンバーガーを食べていた」という、よくできたジョークのような発言で注目を集めた選手だ。
 集合訓練やプロツアー、超級リーグでの遠征などで、地元・上海にいる時間は本当に短い王励勤。彼の収入ならば住む場所はいくらでも選べるだろうが、果たしてこの一大パークタウンが、彼の引退後の住居となるのだろうか。ちなみにマンションはまだ建設中で、入居が可能になるのは来年12月31日の落成以降とのこと。

Photo上:王励勤、金メダルの副賞はさすがにスゴかった
☆☆☆ 08超級聯賽女子組 第6節 ☆☆☆

[北京時博国際 3-1 北京北大方正]
 丁寧 3、-9、-9、-10 リ・ジャウェイ○
○張怡寧 -3、3、7、6 劉純
○丁寧/彭雪 10、-9、7、8 劉純/高曦
○張怡寧 8、8、8 リ・ジャウェイ

[広東珠江怡景湾 3-1 冀中能源]
○蔡賽 12、5、6 賈君
○劉詩ウェン 5、6、9 牛剣鋒
 周芳芳/蔡賽 -11、6、-9、-5 牛剣鋒/白楊○
○劉詩ウェン 2、9、10 賈君

[江蘇中超電纜 3-2 大同雲崗・雁北賓館]
○姚彦 8、-7、9、14 姜華君
 范瑛 -7、-7、-7 馮亜蘭○
○張瀟玉/王シュアン 10、8、-9、6 李暁丹/姜華君
 姚彦 -11、-8、6、-5 馮亜蘭○
○張瀟玉 -9、6、-5、10、2 李暁丹

[魯能・路安集団 3-1 山西大土河華東理工]
 彭陸洋 5、3、-4、-8、-10 郭炎○
○李暁霞 10、5、11 帖雅娜
○彭陸洋/李楠 9、-9、7、6 饒静文/劉娟
○李暁霞 6、5、-8、9 郭炎

[遼寧鞍鋼 3-2 八一工商銀行]
○唐イェ序 5、-6、8、8 曹臻
○郭躍 9、-18、7、8 文佳
 唐イェ序/常晨晨 8、-8、-10、-5 木子/文佳○
 郭躍 10、-11、-8、-8 曹臻○
○常晨晨 6、9、-9、7 木子

 女子超級リーグ第6節は、大きな番狂わせは起こらず、ほぼ順当な結果となった。
 遼寧鞍鋼はエース郭躍が4番で曹臻に敗れ、シングルスの連勝は10でストップ。しかし、トップの唐イェ序が曹臻との右シェーク異質速攻対決を制し、チームは6連勝。これまでシングルスではチームの足を引っ張ってきた感のある唐イェ序だが、ここ一番で大仕事をやってのけた。これには谷振江監督も「この試合は意外な結果が多かった。トップで唐娜(唐イェ序)が曹臻に勝つとは思わなかったし、郭躍が負けるとも思わなかった」と本音がポロリ。これで遼寧鞍鋼は、第2ステージの優勝決定トーナメント(1~4位のチームが進出)進出をほぼ確実なものとした。

 優勝候補の北京時博国際、広東珠江怡景湾、魯能・路安集団などが勝利を収める中、そろそろ気になってくるのが降格の危険性があるチーム。ここまで全敗の大同雲崗・雁北賓館は、馮亜蘭が范瑛、姚彦という実力者ふたりを破ったが、ラストで李暁丹が敗れてついに6連敗。キープレーヤーの姜華君が1勝8敗で完全にブレーキとなっている。また、実力的には5~6位くらいと思われた冀中能源は、昨シーズン好調だった賈君が2勝9敗とこちらもブレーキになり、牛剣鋒と白楊の名ダブルスにも往時の面影はない。2000~2001年シーズンの優勝チームだが、その当時から世代交替が進んでいないというのが辛いところだ。大同雲崗・雁北賓館と冀中能源は次節で対戦する。

Photo上:実力者・曹臻との速攻対決を制した唐イェ序(08北京五輪より)
Photo下:この腕っ節の強さ! 大同雲崗・雁北賓館のホープ馮亜蘭(06世界ジュニアより)
★★★ 08超級聯賽男子組 第6節 ★★★ ※魯能中超電纜は試合なし

[上海冠生園 3-0 浙商銀行]
○高礼澤 11、-5、10、-5、9 水谷
○王励勤 9、-9、11、6 馬琳
○王励勤/許シン 10、5、7 水谷/張超

[寧波北侖海天 3-0 錦州銀行]
○馬龍 6、-11、-8、5、8 徐輝
○呉尚垠 7、-6、9、1 雷振華
○呉ハオ/呉尚垠 4、10、6 徐輝/ジャク一鳴

[四川全興 3-1 江蘇江南電纜]
 邱貽可 -7、-9、7、-6 陳杞○
○ハオ帥 9、-9、6、7 朱江
○ハオ帥/李静 10、-9、9、-6、9 單明杰/陳杞
○邱貽可 3、9、-5、-9、11 朱江

[海寧皮革城鵬翔 3-2 八一工商銀行]
○陳剣 -4、8、10、6 李陟
 李平 9、-6、11、-3、-8 王皓○
○李平/沙陳武 8、6、5 李陟/楊暁夫
 陳剣 -2、-7、-5 王皓○
○侯英超 8、6、10 楊暁夫

 第1節、第4節に続き3試合目の出場となった浙商銀行の水谷隼(明治大/スヴェンソン)は、上海冠生園のトップに出場。北京五輪ベスト8の高礼澤(中国香港)と激戦を展開したが、ゲームオール9点で敗れた。総得点では高礼澤が46、水谷が52と水谷が上回っただけに惜しまれる敗戦。水谷にとってはやや合い口の悪い相手のようだ。試合は続く2番で上海冠生園のスーパーエース王励勤が、超級リーグでは分の悪かった馬琳に勝利。これで優位に立った上海冠生園は、続くダブルスで王励勤を起用して一気に勝負をかけ、水谷/張超ペアを圧倒して浙商銀行を完封した。
 水谷の浙商銀行はこれで2勝3敗となり、プレーオフで優勝のチャンスがある4位以内に入るためには、もう負けられない。ここまで5勝4敗と勝ち星の伸びないエース馬琳の爆発が待たれる。

 その他の試合では、四川全興が江蘇江南電纜に競り勝って首位をキープ。手首を故障している李静がダブルスで貴重な働きを見せ、前節で2失点を喫した邱貽可も朱江に競り勝った。敗戦をひきずらない戦いぶりで、第2ステージの1~4位トーナメント進出に大きく前進した。「今日は特にベテランがプロ根性を見せてくれた。結果には非常に満足している」(四川全興・陳宏宇監督)。
 また、ここまで4戦全敗の海寧皮革城鵬翔が、八一工商銀行を下して今季初勝利。王皓に2点は取られたものの、これまで出場機会のなかったチョッパー・侯英超がラストを締めた。寧波北侖海天はエース馬龍がシングルスの連勝を9に伸ばし、呉尚垠の活躍もあって錦州銀行を一蹴。錦州銀行はこれで1勝5敗と予想外の苦戦を強いられている。
 早くも残すところ3節となった2008中国超級リーグ。11月1日の第7節、5日の第8節、8日の第9節で第1ステージはすべて終了する。ここから3試合はどのチームも必死の戦いだ。

Photo上:テクニシャン高礼澤、水谷に北京五輪のリベンジを果たす
Photo下:水谷、あと一本に泣く…(写真はいずれも北京五輪から)
 10月9日深夜に発生した、王皓の「泥酔暴行」事件。当初は泥酔した五輪金メダリストのご乱行と報道されていたが、王皓の発言や暴行の有無などについて、「誇大報道だ」「いやすべて真実だ」とさまざまな報道が飛び交い、事件の真相はむしろ霧の中に隠れてしまった感がある。15日付の『人民日報』にも「王皓事件は本当に誇大報道か」という記事が掲載される一方、次第に報道は沈静化しており、王皓に対する処分も一切発表されていない。

 10月11日に中国中央テレビ局の取材を受け、「このような事態になったことは、自分にとって良いこととは言えない。一生のうちにはどんな事態も起こりうる。今回の事件は自分にとってひとつの教訓」と発言した王皓。自分にとっての教訓が、酔って暴れないことなのか、マスコミの誇大報道に巻き込まれないことなのか、何とも微妙な発言ではある。
 そして10月14日、王皓は自らのブログで「泥酔暴行」の事実を完全否定。「9日夜はクラブのコーチふたりと食事をした。翌日の朝7時には(超級リーグの試合で)飛行機で重慶に行かなければならず、10時過ぎには店を出た。駐車場でガードマンと言い争いになったのは、駐車に関する問題のせいで、暴行もしていなければ、『チャンピオンだから殴っても構わない』というようなことも言っていない。コーチと一緒なのに、どうして泥酔なんてできるだろうか。報道のほとんどは誇大報道だ。言葉が乱暴になったのは僕の失敗だが、今回の報道が早く沈静化することを願っている」(王皓のブログより)。

 一方、「マスコミの誇大報道」という指摘に対して、マスコミからも反論の声が上がった。京華時報の任冠軍記者が、自らのブログで「王皓が暴行を否定したことに対する回答」と題して、9日夜の自らの取材状況を克明に再現。事件後、最初に現場に到着した彼は、事件発生から間もないガードマンらの目撃談が、泥酔した王皓の暴行を裏付けていると主張。「彼らが短時間のうちに口裏を合わせたとは考えられない」としている。「王皓、もし君がオリンピックチャンピオンとして、自分の犯した罪を認めず、息のかかったマスコミを利用して黒を白にしようというなら、軽蔑を受けることになる」と舌鋒鋭い。

 もっとも、今回の事件ではけが人も物損も出ていない。後味は良くないが、新たな展開がなければ、事件もこのまま消え去っていきそうな気配だ。王皓は10月25日、鳳凰衛視(フェニックステレビ)のインタビュー番組『名人面対面』に出演している。もし注目すべき発言があればまたお伝えしたい。(『名人面対面』は福原愛が出演した中国中央テレビ局の『面対面』とは別番組)

Photo:渦中の人の心境やいかに…
☆☆☆ 08超級聯賽女子組 第5節 ☆☆☆

[山西大土河華東理工 3-2 北京時博国際]
○郭炎 -7、-5、4、7、10 丁寧
 帖雅娜 8、-6、-3、-4 張怡寧○
 饒静文/劉娟 7、-10、2、-9、-5 丁寧/彭雪○
○郭炎 7、6、-7、8 張怡寧
○饒静文 8、7、3 彭雪

[遼寧鞍鋼 3-0 大同雲崗・雁北賓館]
○唐イェ序 -9、9、14、6 姜華君
○郭躍 -8、-7、6、10、8 馮亜蘭
○唐イェ序/常晨晨 6、7、10 馮亜蘭/李暁丹

[八一工商銀行 3-2 魯能・路安集団]
 木子 5、9、-11、-7、-5 李暁霞○
○曹臻 9、6、-9、7 馮天薇
○木子/文佳 7、-9、7、-2、4 李楠/彭陸洋
 曹臻 10、-10、9、-7、-10 李暁霞○
○文佳 9、9、-8、6 彭陸洋

[北京北大方正 3-1 冀中能源]
○高曦 7、8、-7、9 賈君
○リ・ジャウェイ 4、9、-9、3 牛剣鋒
 高曦/劉純 -10、-5、-8 牛剣鋒/白楊○
○リ・ジャウェイ 11、5、10 賈君

[広東珠江怡景湾 3-1 江蘇中超電纜]
○劉詩ウェン 8、8、6 范瑛
 曹幸ニィ -9、-13、9、8、-9 姚彦○
○周芳芳/蔡賽 8、4、8 張瀟玉/王ティン
○劉詩ウェン -10、-4、5、6、10 姚彦

 遼寧鞍鋼がここまで4連敗中の大同雲崗・雁北賓館をストレートで破り、無傷の5連勝。エース郭躍も馮亜蘭に0-2のビハインドから逆転勝ちし、シングルス9連勝となった。
 女子第5節の最大のトピックスは、北京時博国際の張怡寧が昨年までのチームメイト・郭炎に敗れたこと。「張怡寧の2点は覚悟の上、その他の3点を頑張って取りに行った」という作戦は、3番ダブルスの敗戦で崩れたが、4番での大金星でラストにつなげ、饒静文の快勝を演出した。試合後の記者会見では「試合の前にインターネットで試合日程を調べた時、自分が思っていた対戦チームと違ったので、自分が間違えたと思ったんですが、後になってはっと気づきました。私は北京チームの試合日程を見ていたんですよ!」と笑い飛ばした郭炎、ここまでシングルス6勝2敗とまずまずの成績を残している。

 その他の試合では、優勝候補筆頭の魯能・路安集団がエース李暁霞の2得点もむなしく、早くも3敗目。同じく2勝3敗の北京時博国際ともども、優勝の可能性がある4位までに入るためには、これ以上負けられない。魯能・路安集団を破った八一工商銀行はエース曹臻と若手がうまくかみ合い、ここまで4勝1敗で2位と予想以上の健闘を見せている。超級リーグ女子の第5節終了時点での順位は以下のとおり。2勝3敗の5位集団4チームから、どこが抜け出してくるのか?

☆1.遼寧鞍鋼(5勝0敗)/2.八一工商銀行(4勝1敗)・山西大土河華東理工(4勝1敗)/4.広東珠江怡景湾(3勝2敗)/5.北京時博国際(2勝3敗)・魯能・路安集団(2勝3敗)・江蘇中超電纜(2勝3敗)・北京北大方正(2勝3敗)/9.冀中能源(1勝4敗)/10.大同雲崗・雁北賓館(0勝5敗)

Photo上:古巣に手痛いパンチを浴びせた郭炎
★★★ 08超級聯賽男子組 第5節 ★★★ ※浙商銀行は試合なし

[魯能中超電纜 3-2 四川全興]
○唐鵬 9、11、9 邱貽可
 張継科 11、-4、-8、-7 ハオ帥○
 柳洋/周シン -9、-3、-7 ハオ帥/李静○
○張継科 7、12、4 邱貽可
○柳洋 6、8、11 李静

[寧波北侖海天 3-1 海寧皮革城鵬翔]
○呉尚垠 9、-8、5、9 陳剣
○馬龍 -11、5、1、7 李平
 呉尚垠/呉ハオ -11、6、8、-9、-9 李平/沙陳武○
○馬龍 5、5、5 陳剣

[上海冠生園 3-2 八一工商銀行]
○王励勤 12、2、-5、9 徐克
 許シン -10、6、-7、-2 王皓○
○許シン/張洋 4、-9、5、14 徐克/楊暁夫
 王励勤 11、-8、-8、-7 王皓○
○張洋 4、-6、8、12 楊暁夫

[江蘇江南電纜 3-2 錦州銀行]
○陳杞 -8、11、9、5 徐輝
 林晨 -6、5、-6、-9 雷振華○
 單明杰/林晨 -4、-6、6、-12 徐輝/ジャク一鳴○
○陳杞 14、7、4 雷振華
○單明杰 10、6、7 ジャク一鳴

 ここまで好調な戦いぶりだった四川全興が魯能中超電纜に敗れ、超級リーグ男子は全勝チームが消えた。
 ラストの李静vs.柳洋は昨年、寧波北侖海天でチームメイトだったふたりだが、李静が試合前の練習で手首を傷め、ダブルスでさらに悪化させたことで、大きなハンデがついたようだ。四川全興としては、やはり邱貽可の2失点が誤算。チームを劇的な勝利に導いたかと思えば、簡単に連敗を喫するこの調子の波が、邱貽可の超級リーグでの課題であり、トップクラスに定着できない理由でもある。これは陳杞についても同じことが言えるだろう。「邱貽可が4番で敗れたのは調子が悪かったのではなく、トップで0-3で敗れたのが主な原因。どのゲームも競り合いだったが、この敗戦が士気に大きく影響し、自信を失ってしまった」(四川全興・陳宏宇監督)。これで超級リーグ男子は、四川全興と魯能中超電纜が4勝1敗で首位に並んだ。

 その他の試合では、海寧皮革城鵬翔が寧波北侖海天に1-3で敗れ、チームは4連敗。超級リーグの入札会議(ドラフト)で420万元(約6,300万円)で落札された李平がシングルス4連敗で、エースとしての重責を果たせないでいる。対照的に寧波北侖海天のエース馬龍は8連勝と絶好調だ。上海冠生園は王励勤が王皓とのエース対決に敗れたものの、総力戦で白星をもぎ取った。
 5節終了時点での超級リーグ男子の順位は以下のとおり。超級リーグでは勝った試合を2点、負けた試合を1点として点数を累計し、順位を決定する。4勝1敗だと9点、3勝1敗だと7点、1勝4敗だと6点だ。各節とも1回休みのチームがあるため、消化試合数は一定ではない。

★1.四川全興(4勝1敗)・魯能中超電纜(4勝1敗)/3.江蘇江南電纜(3勝2敗)/4.寧波北侖海天(3勝1敗)/5.浙商銀行(2勝2敗)・上海冠生園(2勝2敗)・錦州銀行(1勝4敗)/8.八一工商銀行(1勝3敗)/9.海寧皮革城鵬翔(0勝4敗)

Photo上:邱貽可は成績面でも暴れん坊か?
Photo下:過去数シーズンはほぼ五分の成績を残してきた李平、1番手としてはやや苦しい
 10月20日、上海市の目抜き通り・南京東路にある永安百貨店に、上海市出身の王励勤が凱旋した。これはスポーツブランドの李寧が中国の全20都市で行っている「奥運英雄栄帰故里~Hero Return~」という活動の一環で、五輪で活躍した選手たちが出身地でトークショーやファンとの交流を行うというもの。

 北京五輪では団体戦で優勝し、自身2枚目の五輪金メダルを獲得した王励勤。しかし、シングルスではスペアラケットの不備もあり、準決勝で馬琳に敗れ、悲願のシングルス金メダル獲得はならなかった。すでに30歳という年齢で、今後の去就が注目されているが、記者の「現役はいつまで続行しますか?」という質問に対しては「現在の目標はふたつあります。ひとつは来年日本で行われる世界選手権個人戦、もうひとつはやはり来年の第11回全中国運動会。この2つの大会が終わったら、あとは成り行きに任せます」(王励勤)。
 さらに「2010年のアジア競技大会・広州大会(11月12~27日開催)はどうですか」と質問されると、「考えたことはありません」との回答。これがアジア競技大会前後での引退を示唆するものとして、中国国内では「王励勤、アジア競技大会で引退か」とも報道されている。

 ノングルーへの対応、馬龍ら若手の台頭、そして30歳という年齢もあり、王励勤のロンドン五輪への道はあまりに険しい。劉国梁監督は「王励勤はロンドン五輪でも十分プレーできる」とも発言しているが、2010年5月22~30日に行われる世界選手権団体戦モスクワ大会で団体メンバーに入らなければ、ロンドン五輪出場の可能性はかなり低くなるだろう。

Photo:卓球以外ではF1が大好きという王励勤。シューマッハのファンだったそうです