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中国リポート

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 世界卓球で見せた中国選手たちのオフショット集。超級リーグの開幕前に、女子編もお届けしてしまいましょう。(写真はクリックで少し拡大)

 上段の2枚はガッツポーズ×2。どちらが迫力があるかは一目瞭然。李暁霞の写真は家の柱に貼っておけば、いろいろなものから守ってくれそう。一方、孔令輝監督はダイエット合宿の決意表明くらいにしか見えません。決勝2番で、タイムアウトの指示を李暁霞に拒否されたのも無理からぬところか……。

 中段左は会見での劉詩ウェン。笑って目尻が下がり、ますます垂れ目ちゃんに。なるべく画面の下から見上げてあげてください。中段右は女子団体決勝前の、出場メンバー3名。右のふたりはスコートにジャージを重ね着してますが、おしゃれな劉詩ウェンはそんなことはしません。「このふたり、信じられない」と表情が語ってますね(ウソです)。

 下段左は中国女子の表彰でのひとコマ。中央の人物にご注目。あのクールな朱雨玲が、これ以上ないというほどの満面の笑み。世界ジュニアの表彰台では眉ひとつ動かさなかったのに……。初の世界タイトル、やはりうれしかったようです。そして下段右は、女子団体決勝に入場してくる陳夢。不思議少女がさまよっているように見えるのが不思議。初めての演出で、さすがにとまどいを隠せなかった。
  • マルス(軍神)

  • 気合いは不戦敗

  • いつもより垂れてます

  • おしゃれ番長の意地

  • 氷の哄笑(こうしょう)

  • Dreaming Girl

 JA全農世界卓球東京大会の閉幕から2週間も経たぬうちに、5月17日に中国卓球クラブ超級リーグの男子、5月18日に女子が開幕する中国。事前情報もお伝えする時間がなく、申し訳ありません。……相変わらず、クラブ名がコロコロ変わっています。
 超級の情報も順次お伝えしますが、その前に世界卓球で目を引いた、中国選手たちのオフショットを少しご紹介しましょう。まずは男子編から。タイトルは適当につけてみました(写真はクリックで少し拡大)。

 上段の2枚は中国屈指のエンターテイナー、許シン。左の妙なポーズは、決勝3番で勝利した後、背中の「CHN 1」を指し示しているところ。本人曰く「自分が世界ランキング1位ということを示したかった」そうですが、残念ながらセルフ・プロデュースの能力は張継科には遠く及ばない様子。右は大会前の練習での一枚。こういうTシャツを着ちゃうところが、許シンの許シンたる所以(ゆえん)。世界ランキング1位になってもブレてません。

 中段左は、決勝後に声援に応える馬龍。眼差しに自信が感じられるようになってきましたね。大会前には中国男子チームのキャプテンに任命され、その期待に見事に答えました。中段右は会見での張継科。こんな綺麗な内また、久しぶりに見ました。まるで新人アイドルです。

 下段左も会見でのひとコマ。ドイツチームが話している間は、揃ってスマホをいじり倒す3人。会場のWi-Fiのパスワードは、真っ先にチェック済みでしょう。下段右は決勝4番で馬龍に声援を送る中国ベンチ。あれ、一番手前の人だけ明らかに温度が低い。その理由は……言うまでもないですね。
  • 「後ろのタグがかゆい人」

  • 「陽気なキングが地球を回す」

  • 「4番、キャプテン、馬龍」

  • 「机の下の真実」

  • 「王者たちがうつむく時」

  • 「冷静と情熱のあいだ」

 昨年、台湾を代表する巨大企業・鴻海グループと6千万台湾ドル(約2億400万円)・10年の大型スポンサー契約を結んだ荘智淵。JA全農世界卓球東京大会では、男子団体でチャイニーズタイペイに初のメダル(銅メダル)をもたらし、改めて健在ぶりをアピールした。

 5月8日、荘智淵は母親の李貴美とともに、スポンサーである鴻海グループの郭台銘・董事長を訪問し、世界卓球での成績を報告。メダル獲得を決めた準々決勝・韓国戦で着用したウェアとラケットを贈った。この贈り物を上機嫌で受け取った郭台銘氏のコメントが何とも面白い。
 「私がまだ成し遂げていないことを、君は先にやってくれたな!」
 実は郭台銘氏、有名な「韓国嫌い」。いや、韓国が嫌いというより、鴻海のライバル企業であるサムスンが嫌いなのだ。サムスンに追いつけ、追い越せで急成長してきた鴻海の郭台銘氏にとって、世界卓球でチャイニーズタイペイが韓国に逆転勝ちしたのは、何とも溜飲(りゅういん)が下がる出来事だったわけだ。

 郭台銘氏はよほどうれしかったのか、すでにスポンサーとして資金援助している荘智淵の卓球場「智淵卓球運動館」に加え、新たに中国の卓球訓練基地に匹敵する規模のトレーニングセンターを高雄市に建設することを提案。さっそく用地選びをスタートさせるという。それとは別に、鴻海グループ傘下の永齢基金会から200万台湾ドル(約680万円)を高雄市の卓球協会に寄付。何とも太っ腹だ。

 昨年の世界選手権パリ大会で荘智淵・陳建安が男子ダブルス優勝、さらに東京大会での男子団体3位と勢いづく台湾卓球界。韓国とはまたひと味違う攻撃卓球で、中国から金星を挙げることも多い。台湾を代表する巨大企業のバックアップを受け、今後がますます楽しみだ。
  • 荘智淵、準々決勝の韓国戦でのプレー

 今日、4月17日と明日の18日、国家男子チームは集合訓練を締めくくるエキシビションマッチを福建省厦門市の集美大学体育館で開催する。JA全農世界卓球に出場する張継科、馬龍、許シン、王皓、樊振東にハオ帥を加えた6名を2チームに分け、若手主体の2チームと対戦。勝利したチームが18日に決勝を行う。4チームの対戦カードと顔ぶれは下記のとおりだ。

張継科(右SD)・樊振東(右SD)・ハオ帥(左SD)
        vs.
梁靖崑(右SD)・尚坤(左SD)・劉イ(右SC)

馬龍(右SD)・許シン(左PD)・王皓(右PD)
        vs.
閻安(右SD)・周雨(左SD)・馬特(右SC)

※SD=シェークドライブ/PD=ペンドライブ/SC=シェークカット

 若手主体の2チームは、どちらも右のシェークドライブ、左のシェークドライブ、そして右のシェークカットというメンバー構成だ。集合訓練に入る際、「ドイツ、日本、そして韓国が主要なライバル」と発言していた劉国梁監督。日本と韓国にはカットマンがいて、日本とドイツは左右のシェークドライブが主力なので、その3チームを念頭に置いてバランスを取ったチームとも言えるが、右シェークドライブが松平健太&岸川聖也、左シェークドライブが水谷隼&丹羽孝希、そしてカットが塩野真人を想定した「仮想・日本チーム」と呼びたくなる。実際に劉国梁監督も、日本を最も警戒しているようだ。集合訓練では、日本選手の打法を若手選手たちに真似させて、対策練習を積んだという報道もある。

 ドイツのボルとオフチャロフは手の内が知れているし、創造的なプレー、予想外のプレーは少ない。韓国の若手はまだ経験不足で、カットの朱世爀はすでに中国にとって怖い相手ではなくなっている。若さと創造性、そして地元開催という地の利を加えて、最も「不確定要素」が多いのは日本戦ということだ。若手中心の仮想チームは、球威では日本を上回るかもしれないが、多彩なボールさばきや創造性では本家には及ばない。そう考えてみると、今大会の日本男子チームへの期待は大きくふくらむ。JA全農世界卓球の開幕は、もう目の前だ。
 今、中国では男子世界ランキング1位の許シンの担当コーチ交替が、ニュースとして伝えられている。これまでは秦志ジェン(01年世界選手権混合複優勝)が担当コーチだったが、馬琳や王皓を育てた「ペンドラ育成の神様」、呉敬平が新たに担当コーチとなった。

 もうすぐ終了しようとしている福建省厦門(アモイ)市での集合訓練では、「許シン・特別強化メニュー」を実行に移した呉敬平。最大の武器、フォアのパワードライブの威力をさらに高める一方で、フットワークでは「小砕歩」、つまり微調整のフットワークへの意識を徹底させた。大きく動くのは得意な許シンだが、この細かいフットワークを繰り返す練習に、「練習の感想は『疲れる』のひと言だよ」とコメント。しかし、特訓の成果もあってか、部内での練習試合ではまず負けないという。

 来月で60歳になる呉敬平は、1991年から国家チームのコーチを務める「最長老」。2012年のロンドン五輪後に一度引退を表明したが、2016年リオデジャネイロ五輪まで国家チームに留まることになった。今をときめく樊振東の担当コーチでもあるが、何と言ってもペンホルダー選手の育成が呉敬平の真骨頂(しんこっちょう)。彼を抜擢した蔡振華(現・中国卓球協会会長)から課せられた使命でもある。「ペンホルダーのドライブ型をどう改革できるか。君のコーチとしての手腕は、そこで判断させてもらう」。1996年の冬の集合訓練の際、蔡振華は呉敬平にそう語ったという。

 呉敬平は担当する選手の中から、16歳の馬琳の指導に全力を注いだ。裏面に粒高ラバーを貼り、時に反転して打球する変則型だった馬琳のボールセンスに注目。二人三脚の指導で五輪金メダリストにまで育て上げた。果たして許シンも五輪の頂点に立てるのか。今後のプレーの進化に注目だ。
  • 許シン、これで鬼に金棒か。それとも鬼が来たのか?

  • パリ大会で選手の練習を見守る呉敬平。ちょっとお疲れです

 昨日の4月13日まで、江西省宜春市で2014中国卓球クラブ甲Dリーグが開催された。トップリーグである超級リーグの下に甲Aリーグがあり、甲Aの下に甲B、甲Bの下に甲C……と下がっていった甲Dリーグ。開催地である宜春市もいたって地味な地方都市(失礼)だが、今大会は卓球の歴史に大きな足跡を残すことになる。史上初めて、すべてプラスチックボールを使用して行われたからだ。

 2014年7月1日という、ITTF(国際卓球連盟)によるプラスチックボールの導入時期を待たずして行われたこの大会。大会使用球となったのは、中国の卓球メーカー「双魚」のプラスチックボールで、シーム(継ぎ目)のあるタイプだ。中国ではすでに「双魚」を含め、「紅双喜(DHS)」「許紹発(XuShaoFa)」「拍里奥(palio)」の4メーカーがITTFからプラスチックボールの公認を得ている。
 双魚はプラスチックボールの開発に際し、すでに中国全土の省チームやクラブなどに試作品を送り、選手たちの意見をくみ上げて改良を重ねてきたという。さすがに機を見るに敏。これまでITTFの主催大会では、プロツアー・グランドファイナル(2007-2009)の大会使用球となったくらいしか実績のない双魚だが、この変革期は一気にシェア拡大を狙うチャンスか。

 もっとも、中国国内でもプラスチックボールへの移行は段階的で、甲Dリーグも次回はまたセルロイドボールに戻る可能性がある。ただし、「先端部分」の動きは早い。すでに国家男子2軍(ジュニア)チームが昨年12月1日から、女子2軍チームが昨年12月末から、練習での使用球をすべてプラスチックボールに切り替えた。「目先の大会で結果を出す必要はない」という合理的な姿勢はさすが中国だ。

 「回転がかからない」「スピードが落ちる」「弾まない」など様々な声が上がっているプラスチックボール。そこで卓球王国では、5月26日発売の『卓球グッズ2014』でプラスチックボールを大特集。セルロイドボールとプラスチックボールの違い、継ぎ目のあるボールとシームレス(継ぎ目なし)の比較、トップ選手による試打など盛りだくさんの内容。国家2軍チームの劉国正・男子監督、閻森・女子監督や選手たちの試打レポートも必見。以上、ちょっとだけ告知でした。
  • 悩ましきかな、プラスチックボール(写真は12年世界選手権時に撮影した試作品)

 現在、福建省厦門(アモイ)市の福隆体育公園内にある中国卓球訓練基地で集合訓練を行っている中国男子チーム。
 集合訓練に入る際の記者会見で、中国男子チームの劉国梁監督(総監督兼任)は次のように語っている。「強敵なのはドイツ、日本、韓国の3チーム。その中でも、ホームという地の利がある日本男子は、若くて実力もあり、決して油断できない相手だ。カットマン(塩野)がひとり入ったが、彼に対する研究もまだ十分ではない。様々なケースを想定して準備を進めていきたい」。

 また、アジアカップを欠場した張継科の状態について、劉国梁監督は3月20日にこうコメントしている。「左の肩甲骨の下部に痛みがあるようだ。レントゲンを2回撮ったが、すこし腫れているように見える。特に下回転のボールをドライブする時に痛みが強く出る」。ただし、練習メニューはほぼ通常どおりにこなしているようだ。ヨーロッパ勢が、ボルやメイスをはじめ、世界大会をたびたび欠場するのに対し、中国男子は故障での欠場は極めて少ない。

 下写真左はトレーニングを行う張継科、右は許シンに細かい指導を行う劉国梁監督。集合訓練中の中国男子の写真を、中国の卓球雑誌「ピンパン世界」から提供してもらった。世界卓球の開幕も、いよいよ間近に迫ってきた。
 3月30日に閉幕したITTFワールドツアー・ドイツオープン。男子ダブルスを制した王皓/呂翔ペアは、なかなか感慨深いペアリングだ。
 ひと昔、いやふた昔前の「王/呂」ペアといえば、92年バルセロナ五輪男子複金メダリストの王涛/呂林ペア。王涛のバック表ソフトのクセ球と広角打法、呂林の馬力のあるフォアドライブが噛み合ったナイスコンビだった。呂林は韓国選手のコピープレーヤーで、桧単板のラケットを使用した右日本式ペンホルダードライブ型。96年に現役を退き、現在は浙江省体育局・副局長の要職にある。

 そして、今回王皓とペアを組んで優勝した呂翔は、その呂林の息子さん。1996年8月9日生まれの17歳。6歳で卓球を始め、2010年に浙江省チームの一員として全中国選手権に出場。試合を観ていた王涛が呂林にこう話したという。「いいボールセンスをしている、うちのチームに連れて帰りたいくらいだ」。
 ちなみにプレースタイルは左シェークドライブ型で、憧れの選手は父親……ではなく同じ戦型の陳杞。ドイツオープンの男子シングルスでは、クリサン(ルーマニア)を破ったが、同じ左シェークドライブ型のイェレル(スウェーデン)に敗れている。

 日本式ペンドライブ型の父を持つ呂翔が、裏面打法のパイオニア・王皓とペアを組み、つかみ取った栄冠。中国卓球界でも、親子二代で選手として活躍した選手は非常に珍しいが、今後の成長に注目だ。
  • 父にソックリ? 11年成都ジュニアオープンでの呂翔(写真提供:ITTF)

 現在、福建省厦門(アモイ)市の国家卓球訓練基地で、JA全農世界卓球東京大会に向けた集合訓練を行っている国家男子チーム。集合訓練も折り返し地点を迎えた3月26日、卓球場を一般に開放し、国家チームの選手同士による対抗戦が行われた。

 コーチ陣が組んだ対戦カードは、樊振東対徐晨皓、許シン対周雨、馬龍対梁靖崑、そして張継科対劉吉康。妙な対戦カードに思えるが、実は国家チーム内にも選手同士の相性、得意・不得意というのが少なからずある。コーチ陣は、東京大会を戦う主力の4人に、あまり相性の良くない相手をぶつけたのだ。
 しかも張継科、許シン、馬龍の3人はレシーブでの「技術制限」付き。張継科と許シンはチキータ、馬龍はストップでのレシーブが禁止という、厳しいハンディがつけられた。ストップ禁止で若手のパワーヒッター、梁靖崑と戦った馬龍へのメッセージは、つまり「相手に先手をとられても、ラリー戦で堂々と打ち勝ってみせろ」ということ。結果は、樊振東は3−0、許シンは3−1で勝利したものの、馬龍と張継科は1−3で敗れている。

 主力選手の戦術面の強化、アクシデントへの対応能力を高める目的で行われたこのハンディマッチ。油断を許さない「選手イジメ」はさすが中国。馬龍と梁靖崑の間で、「先輩、今のはストップでしょ??」「いや、ツッツキが短くなっただけだ!」なんて会話が交わされたかどうかは……定かではない。
  • 「ホレホレ、これがやりたいんでしょ」と梁靖崑(ウソです)

  • 梁靖崑との激しい打ち合いに敗れた馬龍

 3月6日、中国卓球チームは、2月28日に締め切られたJA全農世界卓球東京大会へのエントリーメンバーを発表。男子は馬龍、許シン、張継科、樊振東、王皓、女子は李暁霞、劉詩ウェン、丁寧、朱雨玲、陳夢という顔ぶれだ。男女とも大きなサプライズはない。

 劉国梁総監督兼男子監督は、「直通東京」を通過した張継科と許シン以外の3名の人選について「リオデジャネイロ五輪を視野に入れて選出した」とコメント(出典:『中国新聞網』)。「団体戦は個人戦とは違う。若手選手たちが鍛錬を積み、2016年リオ五輪で不可欠な戦力となることを願っている」(劉国梁)。また、30歳の王皓の代表入りについては、「王皓のビッグゲームでの豊富な経験と安定したプレーは、今の代表チームには不可欠なもの。だから最終的に彼を選んだ」と述べている。

 一方、女子チームの孔令輝監督は、「今回は第一次のエントリーであり、集合訓練での選手の状態を見て最終的なメンバーを決めたい」とコメント。相変わらずエントリーについてはマイペースだが、その理由は「エントリーされた選手たちが気を抜かないようにするため」(孔令輝)。……国家チームは本当にメンバー変更をやりかねないところが怖い。国家男子チームは福建省厦門(アモイ)市、女子チームは四川省成都市でともに35日間の集合訓練を行い、4月19日前後に北京へ戻る予定だ。
  • 王皓、パパでも金?

  • ライバルの陳夢とともに代表入りした朱雨玲