卓球王国3月号 好評発売中!
写真表示不具合のお詫び
サイト内検索
スマホ版に
戻る

トピックス

トップニューストピックス
T2ダイヤモンド4日目
●男子シングルス決勝
許シン(中国/シュ・シン) 9、5、8、6 林ユン儒(チャイニーズタイペイ/リン・ユンジュ)

ブロックの名手たちが手こずる許シンの強烈なドライブを天才・林ユン儒はどうやって攻略するのだろうか。今大会の林ユン儒の出来の良さを見ていると、許シン超えもありえるのでは?と予想されたが、その期待を吹っ飛ばすかのように許シンが完勝した。

序盤から許シンの強烈なドライブが火を噴き、林ユン儒の堅陣を崩していく。林ユン儒も果敢にカウンターを狙っていくが、フォア対フォアでは勝てず、曲がって浮き上がる許シンのドライブに角度とタイミングが合わない。バックでチャンスを作ろうも、チキータのコースを読んだ許シンのカウンターに捕まり、得意の展開に持ち込めなかった。

また、ジャパンオープンの決勝では効いていたサービスも許シンはしっかりと対策しており、レシーブミスはほぼなく、むしろ一発で打ち抜く場面も多かった。どんな相手にも臆することなくロングサービスを出していく林ユン儒だが、許シンに対しては中盤から短い縦回転が主体にせざるを得なかったのだ。サービスを封じられた林ユン儒は、翼をもがれたのも同然だ。

林ユン儒が唯一チャンスがあったとしたら3ゲーム目だろう。リスクのあるストレート攻撃で厳しく許シンのフォアを狙い、大きく飛びつかせる戦術だ。しかし、甘いコースでは許シンの足が届いてしまう。あくまで打ち抜くレベルのスピードで狙わないと逆に許シンのフォアで倍返しを食らってしまう。
後半になるにつれて、無理に強く攻めるしかなかった林ユン儒がミスを重ね、その隙きを許シンは見逃さなかった。

スコアは4−0。圧巻の試合だ。
まさに最強のペンホルダー・許シン。
優勝のコメントでは
「2位だったら賞金は子どもの粉ミルク代だったのですが、1位になったのでさらに妻のためにブランドバッグをいくつか買うでしょうね」と会場を笑わせた許シン。

許シンは、海外選手に絶大的な強さを見せる反面、馬龍・樊振東にはやや分が悪く、東京五輪のシングルスに出場するかは未確定。また、劉詩ウェンとの混合ダブルスも有力視されているため、3種目戦うことが足かせとなり、シングルスの枠から外されるかもしれない。
「いや、やれる。俺は強い」
コート上の許シンはさもそう言っているように見えた。
絶対的な強さを見せつけ、ビッグタイトルへのチャンスを自分の手で掴もうとしている。
  • 許シンの最強のフォア。林ユン儒をもってしても対応できなかった

  • フォアが改良されている林ユン儒。今大会も存在感を見せた

  • 林のサービスを打ち抜く許シン。サービスは研究されている

  • 約1千万円の賞金をゲットした許シン。どんなバッグをプレゼントするのでしょう?

T2ダイヤモンド4日目
●女子シングルス決勝
孫穎莎(中国) 7、3、−6、−6、−3、3、4 伊藤美誠(日本)

 卓球のエンターテイメント性を追求しつつ、スピード感のある競技ルールのT2ダイヤモンド。世界の上位16人で争う高額賞金大会がシンガポールで開催。
 女子決勝に進んだのは伊藤美誠と孫穎莎。2週間間のチームワールドカップでは、団体決勝で両者は対戦。伊藤はマッチポイントを奪いながらも逆転された。その因縁の相手と、シンガポールの決勝の舞台で再戦した。

 1ゲーム目は互角のスタート、5−5。6−6から孫の強打で6−8と伊藤がリードを奪われる。7−8から孫の3球目ドライブで7−9。7−10からは強烈な孫のバックドライブが決まり、7−11で落とす。

 2ゲーム目、0−3から2−4、3−5から3−11と落とす。孫の強打が1ゲーム目から襲いかかってくるために、どうしてもリスクの高い攻めになっていき、打ち急いでしまうのか。

 3ゲーム目、3−1、5−1、ようやく攻撃が決まり始める。一気に8−1と離す。8−5と差を詰められたところでタイムアウト。その後、11−6で取り返す。

 4ゲーム目、2−2、4−4、伊藤の速いバックハンドに孫もミスが出始める。5−5から3球目のスマッシュがオーバーして、5−6。すぐに6−6。ブロックでしのぎ7−6。バック強打で8−6。
 バック強打からのフォアスマッシュのコンビネーションで9−6。10−6とゲームポイントを取ったあと、最後はバックブロックがエッジとなり11−6でゲーム奪取。0−2から2−2とする。会場では「ミマコール」が飛び交う。

 5ゲーム目からFAST5。2−0とリード。2−2から2−3、2−4から3球目スマッシュで3−4、最後は孫のバックドライブをブロックしきれず、3−5で落とす。

 6ゲーム目。体が前に乗った状態でブロック、そして強打すると伊藤の得点になる。ミスしたとしても、仕方ない。リスクを取らないと孫には勝てない。孫もグッと前に出て打球した時のボールは世界一の威力だ。攻撃をかわしては勝てない相手。伊藤のカウンター、スマッシュが孫を襲い、5−3で取り返し、最終ゲームへ。

 7ゲーム目、サービスエースで1−0のスタート。1−1からフォアドライブが決まり、2−1、孫の連続ドライブで2−2。互角だ。ロングサービスからの連続バック強打で3−2。あと2点。ブロックミスで3−3。
 巻き込みのサービスエースで4−3、マッチポイントを伊藤が先に奪う。孫の強打で、4−4。最後は勝負をかけた3球目のスマッシュがわずかにオーバーミスして、伊藤は敗れ、孫が優勝を飾った。
 直後のインタビューで伊藤は語った。
「この大会では絶好調でない中で決勝まで来て、0−2から挽回したけど、最後は負けてしまったので、次は勝ちたい。孫さんには今年に入ってたくさん負けているので、来年は勝てるように頑張りたい」
 伊藤の速さ対孫の威力の対決。スピードと回転という卓球の特徴を究極まで高めた二人の試合。素晴らしい内容だった。
 この試合に敗者はいない。
そこで見たのは、卓球を極限まで高めようとする「二人の勝者」だった。
  • バックだけでなく、フォアのカウンターブロックで孫穎莎を追い詰めた伊藤

  • 孫穎莎の攻撃力は間違いなく女子世界ナンバーワンだろう

  • 最後は3球目スマッシュのミス。またも1点に泣いた

  • 惜しかった。次こそ、表彰式で笑顔が見たい!

T2ダイヤモンド4日目
●女子シングルス3位決定戦
王曼ユ(ワン・マンユ/中国) 7、7、−8、6、2   田志希(ジョン・ジヒ/韓国) 

●男子シングルス3位決定戦
張本智和(日本) −8、−3、6、10、3、−3、3 林高遠(リン・ガオユァン/中国)  

 張本は林高遠に1勝2敗。1年前のグランドファイナルで4−1で勝ち、今年6月の香港オープンでは2−4で敗れている。許シン戦での敗戦のショックが残っているかもしれないが、この試合に勝って、4日後に始まる成都でのワールドカップに向かいたい張本。

 1ゲーム目、1−1からのバックカウンターブロックで声が出た。まだモチベーションは残っている。林を左右に揺さぶり、4−2、6−2とするが、すぐに6−6と追いつかれる。8−8から8−11。1ゲーム目を奪われた。

 2ゲーム目、1−3、2−6とリードを広げられる。3−11とこのゲームを落とす。中陣からの林の両ハンドにブロックとカウンターでミスが出ている。

 3ゲーム目、3−0のスタート、相手に十分な体勢で打たせないような台上技とブロックが決まりだした。5−2、6−3、11−6でゲームを奪い返した。

 4ゲーム目、林の速いドライブ攻撃が決まる。3−5。張本が台上フリックで4−5としたところで中国ベンチがタイムアウト。5−5にするも、打ちミスが出て5−7。
 ラリーからのフォアドライブで6−7、台上強打で7−7。次をブロックで止め、8−7と逆転。8−8からの台上ドライブで9−8。9−9でバックドライブが決まり10−9とゲームポイント。台上のミスで10−10。ここで張本がタイムアウト。「林はチキータをしてくるだろう」と張本は考えた。最後は林のドライブを両ハンドブロックでしのぎきり、11−10でゲームスコアをタイにした。

 5ゲーム目からFAST5に突入。2−3からチキータを決め3−3。4−3でゲームポイント。バックドライブを決め、5−3で取り、ゲームを逆転した。

 6ゲーム目、2−2から下回転のロングサービスをフォアに出しエースを取り、3−2とするも、このゲームは5−3で林が取った。
 最終7ゲーム目、台上強打が決まり2−0。ドライブレシーブで4−1とマッチポイント。次を5球目フォアドライブが空振りとなり4−2。林のバックドライブが決まり、4−3。最後はフォアドライブを決め、5−3で勝利した。
 勝利の瞬間、観客席に向かって雄叫び。セレブレーションとともに腕を何度も回し、観客に叫んだ。
 勝利後のインタビューで「リードされてから吹っ切れて向かって行けた。自分の目標は五輪の金メダル。今回は銅メダルだったけど、金メダルを取れるように頑張ります」と力強く答えた。
 
・・・素晴らしい勝利でした。
「出足6−2とリードしたけど、最初、回転に慣れていない部分もあり、しっかり点を取った感じではなかった。3ゲーム目から少しずつ自分のしたいことができた。昨日も0−2から吹っ切れて、ノンプレッシャーでやったほうが良いプレーができる。次のワールドカップでは1ゲーム目からそうしたい。10−10のタイムアウトでは、しっかり考えて、相手はチキータからくると思ったけど、自分から攻めるとミスしそうだったので、そこは耐えて耐えて、5ゲーム目から攻めようと考えました」

・・・中国選手に逆転で勝てたことは自信になると思うけど。
「ルールは違うけど今日勝てたので、次のワールドカップにつなげたい。ワールドカップは絶対3位以上、グランドファインルでは2連覇という目標をしっかり持って頑張りたい」

・・・前回、香港オープンでは負けているけど、お互い変えた部分はあったんだろうか。
「今回は相手がレシーブからフリックをたくさん使ってきた。前回も自分の凡ミスから負けてしまった。今回は1、2ゲーム目は相手は思ったよりも良くて、今回は相手にやられている感じがしたので、厳しいと思った。点数が競ってから相手のミスが出てきたので、粘ることを考えた」

・・・3ゲーム目から台上を厳しく攻めていた印象があった。
「チキータを使うタイミングがわからなくて、3ゲーム目からチキータとストップの使い分けができた」

・・・この1勝の意味は?
「3位と4位ではオリンピックでも、その意味は全然違う。しっかり勝ちきらないといけないし、決勝よりも緊張するかもしれない。正直、0−2の時には厳しいと思ったけど、そこで我慢して勝ち切れたことは次の大舞台につながると思う」
  • 気合いを入れ直し、見事3位入賞!

  • 張本が飛んだ!4ゲーム目を取り、ゲームをタイに戻した

  • 観客席に向かって、歓喜の雄叫び!

  • 勝負所でポイントが取れなかった林高遠

  • 女子3位は王曼ユ。パワーで田志希を上回る

  • 敗れた田志希だが、今大会は陳夢に勝つなど好調だった

 11月23・24日に埼玉・所沢市民体育館で開催された、「2019年(令和元年度)第16回 全日本学生選抜卓球選手権大会」。

 10月に開催された「全日本大学総合選手権(個人の部)」、通称「全日学」での男子優勝・及川瑞基(専修大)が欠場となる中、全日学準優勝の木造勇人(愛知工業大)が危なげなく決勝まで進出。三部航平(専修大)らとの接戦を制して勝ち上がってきた、後輩の田中佑汰との同士討ちとなったが、打球点の早いバックとフォアドライブ速攻のコンビネーションが冴えて主導権を握る。3-1となった第5ゲーム目に一気に優勝を決めるかと思われたが、そこから田中がブロックや強力なバックハンドなどで逆転。しかし第6ゲームは気合いを入れ直した木造が押し切って、優勝を決めた。

 女子は全日学優勝の森田彩音(中央大)が、山本笙子、梅村優香との同士討ちを制して、準決勝では好調の三條裕紀(青山学院大)を接戦で下して決勝進出。競った場面の安定感で、全日学に続く優勝に迫った。しかし奥下茜里(日本大)、鎌田那美(早稲田大)ら実力者に快勝して決勝に進んだ木村香純(専修大)が、両ハンドドライブのラリー戦で優位に立つ。体の切れが良く、打球点の早さと連打で一歩上回った木村が4-2で押し切って、自身初となるシングルスのタイトルを手に入れた。

男子優勝:木造勇人(愛知工業大)
2位:田中佑汰(愛知工業大)
3位:龍崎東寅(明治大)
4位:坂根翔大(関西大)
ベスト8:出雲卓斗(明治大)、高見真己(愛知工業大)、一ノ瀬拓巳(中央大)、三部航平(専修大)

女子優勝:木村香純(専修大)
2位:森田彩音(中央大)
3位:三條裕紀(青山学院大)
4位:鎌田那美(早稲田大)
ベスト8:奥下茜里(日本大)、松岡優香(東京富士大)、岡崎日和(東洋大)、梅村優香(中央大)

大会報道は卓球王国2020年2月号の掲載します
T2ダイヤモンド4日目
●男子シングルス準決勝
許シン(中国) 7、7、−9、6、4  張本智和(日本)

世界ランキング2位、29歳の許シンに立ち向かうのは、同5位、16歳の張本智和。過去6回の対戦はすべて許が勝っている。

 1ゲーム目も許ペース。7−3から7−6にして追い詰めるも、張本は7−11で落とす。連敗している許からの重圧なのか、普段しないようなミスが出た。
 2ゲーム目、許のドライブが唸りを上げ、張本を襲う。許のドライブの力と質が高すぎ、ブロックが止まらない。11−7と許がゲームを連取した。
 3ゲーム目、なんとか食らいついていきたい張本。5−5、ラリーの主導権を奪いたい張本。6−5、6−6、7−6から台上フォアフリックで8−6。ドライブを決められ、8−7となったところでタイムアウト。次を許の裏面バックがミスして9−7。2本打ちミスで9−9、10−9と先にゲームポイント奪った。ここで許は裏面ドライブをミスして、張本がゲームを取り返した。
 4ゲーム目、3−3から4−6、5−9とリードを奪われた張本は、このゲームを6−11で落とした。許のドライブが張本のブロックをはじいてしまう。
 5ゲーム目からFAST5に入ったが、3−3から張本の打ちミスで3−4となるが、次をチキータで決め、4−4。最後はフォアドライブで決めにいった張本のラケットが空を切り、許の勝利が決まった。

 許のドライブの威力ゆえに、先に攻撃を仕掛けようとする張本。それが打ち急ぎとなり、ミスにつながってしまう。ドライブの重圧が張本の攻撃を狂わせている。
 世界ランキング2位と5位の間には、ボールの威力という大きな溝があるようだ。
「いつものように試合がすることができた。優勝したら賞金をどうするか? 子どものために使うよ(笑)」と許シン。
 張本は夜の3位決定戦で林高遠と対戦する。

●張本のコメント
・・・試合を振り返ってどうですか?
「毎回同じパターンで、フォアドライブを取れない。それでも3ゲーム目を取ってチャンスはあったけど、簡単なドライブミスだったり、サービスが(台から)出てしまう。どこでやっても後1、2本が取れない。最初はチキータで攻めた。点は取れたけど、返されたらどうしようもなくて、3ゲーム目からストップに変えて、相手の打ちミスもあった。相手の凡ミスがなければ勝ちはない。4ゲーム目からサービスを変えられた。相手もどんどん進化している」

・・・ワールドカップもあるし、越えなきゃいけない壁ですね。
「勝ち方が全然わからない。勝ち上がって、何回も(彼と)やっていって慣れるしかない。次も中国選手ですけど、今の相手よりは少し下なので、自分の持ち味を出したい」

・・・何回もやっていても、あの許シンのボールは対応できないですか?
「誰も打てないボールなので、練習のしようがない。今回、坪井さんも練習相手してくれて、できる限りの良い準備はできたけど、それでも許シンは全然レベルが違いました」

・・・具体的に言うと、彼のボールはほかの選手と何が違うんだろう。
「普通は横(回転)が入っているとスピードは落ちるのに、彼のドライブはまっすぐと同じスピードに横が入っているので、オーバーミスしてしまう」

・・・あのドライブの威力があるので、打ちミスが出てしまうのかな。
「ストップが浮いてきたのに焦ってしまう。最後(4−4)のボールもそうです。そういうミスはゼロにしないといけない。ラリーをしていては絶対勝てない。浮いたボールに対するミスもなくしたい」
  • 攻める展開も多かったが、許シンには盛り返される

  • 「誰も打てない、練習のしようがない」という世界ナンバーワンの許シンのフォア

  • 許シンは張本にとって超えるべき壁だ

  • 午後は3位決定、林高遠に挑む張本。もう一戦、戦いが待っている

T2ダイヤモンド4日目
●女子シングルス準決勝
伊藤美誠(日本) 7、−5、10、2、1 田志希(ジャン・ジヒ/韓国)

 石川、佐藤と同士討ちを制し、準決勝に上がってきた19歳の伊藤美誠は世界ランキング7位。対する田志希は平野美宇、陳夢と格上の二人を倒した中国からの帰化選手で世界20位、27歳。二人の対戦は伊藤の1勝0敗。
 
 1ゲーム目、3−0から3−3、4−3からバック強打で5−3。2本連続サービスエースで7−3と離す。9−5、10−7からサービスエースで11−7で伊藤がゲームを先に奪った。サービスが効いている。
 2ゲーム目、一転して田が反撃に出る。11−5で取り返す。
 3ゲーム目、伊藤がリードしていたが、8−5から田が8−10と逆転、9−10から伊藤のバックドライブが決まり、10−10。次に伊藤のサービスが決まったかと思ったが、田がビデオチェックを要求。ネットインとわかり、プレー再開。次のボール、ラリーで伊藤がよく飛びつき、11−10で取り返した。このゲームを取ったのは大きい。

 4ゲーム目、出足で2−0から2本連続サービスエースで4−0。流れは完全に伊藤だ。5−1、7−2、11−2で一気にゲームを奪い、勝利に王手をかけた。
 5ゲーム目はFAST5に突入。まずは伊藤の巻き込みサービスがエースを取り、ゲームが始まる。一気に4−0でマッチポイント。サービスミスで4−1。最後はフォアストレートのドライブが決まり5−1で田を下し、決勝進出を決めた。ここまで失ったゲームは2ゲームのみ。伊藤美誠の完璧な試合ぶりが光る。

「3ゲーム目は相手が思いきってきたので、このゲームを取ったのは大きい。孫さんとの試合は楽しく、自分らしい試合をしたい」と伊藤はコメントした。
  • 孫穎莎との決勝へ。WTCのリベンジだ

  • ビデオ判定でサービスがネット判定になった

  • 伊藤の得意な逆チキータも要所で炸裂

  • 粘った田志希だが、レシーブに苦しんだ

T2ダイヤモンド4日目
●女子シングルス準決勝
孫穎莎(スン・インシャ/中国)−4、−7、4、−10、2、1、1 王曼ユ(ワン・マンユ/中国) 

 世界ランキング3位、19歳の孫穎莎、同5位、20歳の王曼昱の対戦。国際大会での対戦成績は孫の5勝4敗とほぼ互角。
 出足から孫穎莎に元気がないのが気になった。昨日、丁寧を破った強さと速さが影を潜め、ミスを連発している。当然、簡単に王曼ユが2ゲーム連取した。気合いを入れる王に対し、元気がないように見える孫は冷静に戦っているとも言える。
 1−3と後がなくなった孫が、FAST5になった5ゲーム目からジリジリと追い上げる。孫は3−3と並び、最後は5-1で王を退け、決勝進出を決めた。何度も対戦している両者の心理的な駆け引きを見るような試合だった。

●男子シングルス準決勝
林ユン儒(リン・ユンジュ/チャイニーズタイペイ) 6、10、8、 林高遠(リン・ガオユァン/中国)
 世界ランキング10位、18歳の林ユン儒は同じサウスポー世界3位、24歳の林高遠と対戦。ランキングでは林高遠が上だが、今の林ユン儒とは互角と言って良いだろう。対戦成績は3勝1敗で林高遠は分が良いが、最後のジャパンオープンでは林ユン儒が勝っている。

 1ゲーム目、林高遠にミスが出て、林ユン儒が先取。2ゲーム目、林高遠のミスも減り、攻撃が決まっていく。しかし、終盤に林ユン儒がつかまえ10−10にすると、最後はサービスからの3球目フォアドライブをバッククロスに決め、11−10で2ゲーム連取した。
 3ゲーム目、6−6から2本連取する林ユン儒。林高遠の攻撃をうまく吸収しつつ、攻撃に転じる。11−8で取り、林ユン儒が3ゲーム連取した。
 4ゲーム目、出足で林ユン儒が4−1とリード。6−3で林高遠のロビングを打ちミスして6−4。これで流れが変わるかとも思いきや、やはり冷静。10−5から10−7になったところで林ユン儒がタイムアウト。10−8となった後、最後はフォアドライブが決まり、11−8で林ユン儒がストレートで林高遠を下した。どちらが世界3位かわからないような内容だった。

 林ユン儒の強さの特徴は「スムーズさ」。両ハンドの攻撃では姿勢が崩れず、バックからフォア、フォアからバック、守りから攻めと転換していっても連続動作が早い。フォア前のサービスもほとんどチキータで返すが、その後のバックへの戻りも早い。攻撃球は驚くほどのパワーボールに見えないが、しなるような腕の使い方でボールは相手の手元で伸びる。
  • 徐々にギアを入れた孫穎莎。女子でこの体勢で打てるのか・・・

  • パワーボールが決まっていた王曼ユは惜しくも敗れた

  • 林ユン儒、恐ろしき18歳。T2の連覇に王手をかけた

  • レシーブに迷い、得意の展開に持ち込めなかった林高遠

●張本智和のコメント
・・・試合を振り返ってください。
「試合と試合(の時間)が少し空いて、相手も丹羽さんで独特のペースの人なのでずっと不安でしょうがなかった。丹羽さんも思い切ってきた。3ゲーム目からサービスや打つコースを変えて、逆転できたので今日はよく耐えた。2ゲーム目を取られた時には正直、0−4で負けるかなと思った。0−2の3ゲーム目の1−3で本当にダメだと思ったけど、ラリーにするしかないと思った」

・・・チキータが少なかった。
「シンガポールは湿気が強くて、今日も1本目のチキータがミスした時点でもう絶対やらないと決めました。横上回転の難しいサービスですけど、ストップをするしかなかった。今日も最初ストップはうまく止まらなかったけど、少しずつ止まるようになった。悪いなりによく耐えた。内容はあまり良くないけど、勝てたことが大事。日本人との試合は嫌じゃないけど、丹羽さんはどの選手にもないような独特の技を持っているし、警戒していて、丹羽さんのビデオは何十回も見たんですけど、あのスタート(0−2)。研究が少なかったら負けていた。アジアカップのリベンジができて良かった」

・・・明日の許シン戦は?
「6回やって、勝ったことのない相手で、絶対勝てる戦術はないけど自分を信じてやるだけです」

・・・湿気があるからチキータを使わなかったと言ってますが、丹羽選手は戦術としてストップをやられて、それがやりにくかったと言ってます。
「チキータはしたかったけど、1球ミスした時点で絶対入らないと思った。ちょうどロングサービスを出されていた。横上サービスをストップにするのは小さく止まらないけど、何本か止まって、少し浮いても相手も手こずっていた。チキータができたら出だしはもう少し楽だったかもしれない」

・・・湿気でボールが滑るという意味?
「理由はわからないけど、ヨーロッパでやるのと全然感覚が違った。ボールが持ち上がらない、重く感じました」

・・・4ゲーム目、張本君は早く終わらせて、次のゲームを11本勝負でやりたいし、丹羽君はFAST5に持っていこうとしていた。駆け引きがありました。
「ぼくはそのゲームを取ることで精一杯だったけど、7−1くらいで残り2、3分で、次を11本でやりたかった。そこで5本勝負になると、運で左右されてしまう」

・・・改めて試合を振り返って感じる点は?
「相手もオリンピックがかかっているし、ぼくもオリンピックが決まっている身として負けられない。いろいろプレッシャーはあったけど、いつもの丹羽さんとは違って、勝ちを意識して固さがなくはないと感じた。プレー以外のことを含めて試合なんだと感じました。アジアカップの時だったら、この感じだと0−4か1−4で負けていた。自分が良かった点もあるけど、相手が少しプレッシャーを感じていた部分もあると思います。
 明日の相手(許シン)はぼくとは格も違うので、勝っても負けても、しっかり表彰台に上がれるように頑張りたい」
  • 明日はまだ勝ったことがない許シンと対戦

  • 勝利後、ガッツポーズで噛み締めた張本

●試合後の丹羽孝希のコメント
・・・試合を振り返ってどうでしたか?
「ぼくは向かっていくだけだったので、序盤は良いプレーができた。2−0でリードしたあたりで時間を気にしてしまった。特に4ゲーム目は3本で負けてしまった。あと15秒くらいでFAST5だった。ぼくの狙いはFAST5に入ってから勝負だと思っていた。2−2でFAST5に行く作戦だった」

・・・チャンスはあったのでは?
「最後のほうはチャンスがどんどんなくなっていく感じだった。最後はぼくのサービスをバック前にストップしてきたし、向こうのサービスの配球も良くなってきた」

・・・今大会、最初は参加できない大会でしたが。
「出られる予定じゃなかったので、勝っても負けてもリラックスしてできた。今日は負けたけど充実感はありました。ラッキーですよ。1回勝てたし」

・・・水谷さんとの差もあまりない状況ですが。
「来週ワールドカップがあり、そこが一番大事になるので、その大会にすべてを賭ける気持ちで頑張りたい。五輪争いを抜きにしてもワールドカップはすごく大きな大会なので、今まで3回ベスト8なので、3位を目指して頑張りたい」

・・・張本選手とはいつ以来ですか?
「春のアジアカップです。あの時はチキータをしてきたけど、今日はぼくのバック前に止めてきた。チキータをしてくれたほうがロングサービスで散らしたりいろいろできるけど、ストップに絞られることでサービスが効かない状態になった。向こうのほうが冷静だった」

・・・水谷選手は「五輪代表の2番手はほぼ不可能だ」と言っていますけど。
「ぼく自身、ドイツオープンの鄭栄植戦が勝負で、そこで負けてから本当に吹っ切れた。シングルスの代表をぼくもあきらめていた。そうしたら、プレーも良くなってきて、運も味方についた。そのプレッシャーから解放されたのが良かった。まあ、他力ですけど」

・・・他力だけど、自分に流れが来ていることも感じている?
「感じてます。今回のT2の4人キャンセルも普通あり得ない。それならグランドファイナルの1人のキャンセルもあり得る。ついてますね」
*16名出るグランドファイナルは丹羽は現在17番目で、リザーブ選手となっている

・・・グランドファイナルを除いても、あと2大会(ワールドカップ、北米オープン)残っています。
「ぼくとしてはドイツオープンで負けてから五輪争いのことは吹っ切れています。カナダ(北米オープン)は正直出るかどうかはわからない。ワールドカップでベスト8、ベスト4に入ることを目指して、それが達成できたらあとの試合をキャンセルするつもりで、ワールドカップにすべてを懸けます」

・・・今回のT2出場は大きかったね。
「大きいですね。ドイツオープンに勝てば、T2にもグランドファイナルにも出られると思っていて、それなのに鄭栄植に負けて、T2も出られないと思って、厳しいと思っていた。複雑ですけど、ついていると思います」

・・・今年に入って、なかなか勝てないことが続いていたけど、最近、少し調子が上がっている感じがします。精神面の影響かな。
「7大会連続1回戦負けをしてから、今は4大会連続1回戦を突破している。プレーも良くなっている。気持ちの問題だと思う」

・・・試合後、握手した時、張本選手が何か言ってましたね。
「ひざは大丈夫ですか、と言われました(笑)」

・・・ひざは痛い?
「体はボロボロです。試合が続いているし、まだ続く。それが終わったら早く休みたい。そのために今頑張っている感じです」
  • 試合後は両者、がっちり握手。張本は丹羽のひざを気遣った

  • 速攻のキレが戻ってきた丹羽。五輪シングルスの切符をつかめるか?

  • ボールに食らいつく。今大会は下がってからでも粘った

  • 少し腰も気にしていた丹羽。満身創痍で選手たちは戦っている

T2ダイアモンド3日目
●女子シングルス準々決勝
田志希(韓国) 10、10、−4、−3、2、−4、4 陳夢(中国) 

 平野美宇を破り、勢いに乗っている 田志希が世界ランキング1位の陳夢を最終ゲーム5−4で下した。安定感とカウンターのうまい田が陳のミスを誘った試合だった。
   
●男子シングルス準々決勝
張本智和(日本) −6、−9、8、3、5、3   丹羽孝希(日本)

 丹羽は長いラリーにせずにサービス、レシーブからの早めに決着をつけたい。1ゲーム目は張本の得意のバックにもミスが出て、11−6で丹羽が先取。1本ごとに気合を入れる張本と、淡々と試合を進める丹羽の試合ぶりは実に対照的だ。
 2ゲーム目、思うようにラリーができない張本にやや焦りが見え、丹羽はいつものクールな試合ぶり。9−9から丹羽がサービスエースで10−9。次をサービスからの連続攻撃で丹羽が取り、11−9とゲームを連取した。

 3ゲーム目、張本のフォアドライブが丹羽を襲う。丹羽は懸命にブロックとカウンターで対抗。6−6から10−6と張本が離す。10−8になったところで張本がタイムアウトを取った。張本がぶつ切りの下回転サービスを丹羽のフォア前へ出し、丹羽のチキータはネットミス。11−8で張本が1ゲームを取り返す。
 4ゲーム目、出足から張本の台上バックドライブが決まる。一気に5−0と張本リード。11−3でこのゲームを張本が取り、ゲームカウントを2−2にした。
 5ゲーム目、早いテンポで試合が進む。丹羽得意のカットブロックを張本がネットミスして3−4。5−5から張本はフォアドライブで得点。次にはバックドライブを決め、7−5と張本がリード。8−5、9−5と張本の強打が炸裂。11−5と張本が3ゲームを連取した。
 5本勝負のFAST5に突入した6ゲーム目。一気にたたみかけたい張本。2−2からお互いのサービスエースで3−3。最後は丹羽のドライブがオーバーミスして5−3で張本が勝利した。

●女子シングルス準々決勝
孫穎莎(中国) 8、6、10、−9、3  丁寧(中国)

 五輪金メダリストの丁寧は若手の孫穎莎に完敗。五輪の中国代表候補の丁寧だが、この試合見る限り、力の差は歴然としている。ボールの威力、動きの速さでは孫穎莎に歯が立たなかった。

●最終日の組み合わせ
<男子準決勝>
張本智和(日本) vs. 許シン(中国)
林ユン儒(チャイニーズタイペイ) vs. 林高遠(中国)
<女子準決勝>
孫穎莎(中国)  vs. 王曼昱(中国)
伊藤美誠(日本) vs. 田志希(韓国)
  • 張本が逆転勝ちをおさめ、準決勝へ

  • 序盤は丹羽ワールド全開

  • 田志希は陳夢に勝利し、笑顔満開だ

  • 足元をすくわれた陳夢。FAST5が苦しめた

  • 素晴らしいバネを持つ孫穎莎。スイングスピードも段違い

  • フォアを抜かれた丁寧。パワーもスピードも孫穎莎に上をいかれた