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全日本選手権大会

水谷隼が4年連続2冠という成績で、見事な幕引き役を務めた今年の全日本。来年は彼に挑む若手がもっともっと出てきてほしい。社会人選手たちも、このまま黙ってはいないはずだ。

全日本選手権の詳細な報道は、2月20日発売の卓球王国4月号で特集します。速報では終えなかった全日本の表も裏も、あますところなくお伝えします。

速報を見てくださった皆さん、ありがとうございました!
準決勝の大苦戦とは一転、決勝での水谷隼のプレーは強さを感じさせた。吉田との3回目の全日本決勝は、今までの対戦で最も完璧な内容だった。
大きく勝敗を分けたのは、やはりサービス・レシーブ。水谷は第1ゲームに0-1から7-1と7本連取、第2ゲームは3-7とこの試合唯一のピンチから6本連取。いずれの連続得点でも、水谷は2本のサービスエース(吉田のネットミス)を奪った。第3ゲームも出足のサービスエースから5-1とリードを広げている。また、大きく浮いたレシーブをバッククロスへパワードライブで打ち抜くシーンもたびたび見られた。これもサービスエースに匹敵する効果をもたらしたはずだ。
後輩の松平健太が見せるような一発で抜けるフリック強打、通称パワーフリックも今大会では完全に自分のものにしていた。自分の力を発揮するだけでなく、相手の力を殺すことが勝利への近道であることを水谷隼はよく知っている。世界ランキングもベスト10に入り、天才の進化はまだまだ止まらない。世界団体選手権でも、中国を破るチャンスは確実に広がってきた。

観客席から「海偉ガンバレ!」の声もかかる中、ラリー戦で観客を沸かせるドライブの引き合いを見せた吉田海偉。しかし、準決勝で松平賢二が吉田のサービスに対応できずに完敗したように、決勝では吉田もまた同じ苦しみを味わった。3球目パワードライブで打ち抜くシーンはほとんど見られず。「強打の体勢から軽打、軽打の体勢から強打」という水谷のプレーにペースを乱され、チャンスボールと見えたボールも思い切って強打できなかった。ここ5年間で優勝2回、準優勝2回、3位1回という成績はすばらしいのひと言。高い集中力、勝利にかける執念にも衰えはない。しかし、目の前にそびえる水谷の壁は年々高さを増している。
●男子シングルス決勝
水谷(明治大) 4、10、7、8 吉田(個人)

★四年連続二冠、水谷隼選手の優勝インタビュー

-しかし、強いですね
「決勝戦はサービスが効いたので、比較的自分のペースで試合できました」

-準決勝がすごいゲームで、それを経て決勝でした
「準決勝はあと少しで負けるところまで追いつめられて、相手も調子が良かった。点を取るパターンがつかめなくて苦しかったけど、最後は練習してきたことを出そうと思って、思い切って攻めました」

-吉田選手のサービスの変化にも対応しましたね
「相手の変化がわからなくて苦労しましたが、最後は対応できた。吉田さんは最後まで僕のサービスに対応できなかった」

-史上三人目の四連覇、四年連続の二冠ですが?
「今回の全日本が今までで一番組み合わせが厳しかった。ずっと厳しい戦いを勝ち抜いて全勝できました。四連覇できるか不安でしたが、練習の成果が出せました」

-世界団体選手権への抱負をお願いします
「中国を倒して優勝したいです!」
●女子ダブルス決勝
藤井/若宮(日本生命) 12、9、-10、7 平野/樋浦(ミキハウス)

藤井/若宮ペアが女子ダブルスのチャンピオンに輝いた。藤井は金沢咲希と組んだ06年度以来の全日本タイトル、若宮は全日本初タイトルを獲得した。

藤井/若宮は今年度の東アジア競技大会で準優勝、平野/樋浦はジャパンオープン優勝と、国際試合で成績を残す2ペア。ストップレシーブばかりのミキハウスペアに比べ、日本生命ペアは積極的にフリックで主導権を握る。前陣での若宮の広角なシュートドライブがたびたびノータッチを奪い、2ゲームを先取。3ゲーム目に入り、樋浦のカウンタードライブが決まりだし、3-3から5本連続ポイントを決め、なんとか1ゲームを奪った平野/樋浦だが、第4ゲームは藤井/若宮が1-2から6本連取し、一気に優勝を決めた。
「うれしいです。もっと国際試合で勝てるように頑張ります」(藤井)
「一日、1~2時間はダブルスの練習をしてきました。優勝を狙っていたのでうれしいです」(若宮)

一方、敗れたミキハウスペアは、樋浦が「序盤、緊張して硬くなってしまった。これで全日本のダブルス決勝で敗れるのは3回目。考えないようにしたのですが…」。とコメント。彼女ほどの実力者でありながら、全日本のタイトルにあと一歩のところで手が届かない。一方の平野は「無冠で終わってしまいましたが、全日本は私だけではなく、みんなが賭けてくる大会。来年頑張ります。今年もこれからもっと試合が続くので、しっかり臨みたいと思います」と語った。

●男子シングルス準決勝
水谷(明治大) -10、5、-8、-8、9、4、9 張(東京アート)
吉田(個人) 5、3、3、4 松平(青森大)

会場中がシビれた一戦は、ゲームオール9点で水谷!
最終ゲームも一進一退のシーソーゲーム。水谷は4-5のビハインドでチェンジコートしたが、ここから張のフォアへややタイミングを外したフォアドライブを集め、張の待ちを外した。7-5、8-6、10-6として水谷がマッチポイント。張もプレッシャーのかかる場面で、ミスのない連続ドライブで10-9まで追いすがったが、最後は水谷のチキータレシーブの前に、張のバックハンドがネット。横回転だけでなく、やや下回転の入ったチキータか。観客席の明治大応援団が大歓声を上げた!
敗れた張は「3-1になって『いけそうだ』と思ってしまった。そこで考えが変わって、流れまで変わってしまった。水谷はなかなかミスをしてくれなくて、自分が先にミスをしてしまった」と試合を振り返った。しかし、張のブロック、フォアドライブの安定感も驚異的だった。

準決勝のもうひと試合、吉田vs.松平賢は吉田の完勝。吉田のサービスに対して松平賢はレシーブが乱れ、それまでの強力な攻撃が影を潜めた。「レシーブが全然できなくて、足が止まってしまった。相手のペースを変えることができなかった。サービスからの3球目もクロスにボールが集まり、吉田さんに待たれてしまっていた」と松平。今シーズンはドイツ・ブンデスリーガ2部で腕を磨き、スポット参戦した1部リーグでは荘智淵(チャイニーズタイペイ)をストレートで破る活躍。この全日本でも初のベスト4入りで成長を証明したが、最後のひと試合に課題を残した。
●男子シングルス準決勝
張(東京アート) 10、-5、8、8、-9、4 水谷(明治大)

男子準決勝、水谷と張の一戦はゲームオールにもつれた!
水谷は張の鉄壁のバックブロックと、ミスのない連続フォアドライブに台から下げられ、苦しい展開。中盤はサービスも思うように効かず、ゲームカウント1-3とリードを許す。第5ゲームも張9-7とリード、ここで水谷がタイムアウト、張9-8で勝負と見た張もタイムアウト。このゲームを最後はサービスエースで水谷が取り、続く第6ゲームは1-1からの6点連取などで奪った。

ただいま最終ゲーム、2-2!
●女子ダブルス準決勝
藤井/若宮(日本生命) -9、8、5、7 河村/福平(日立化成)
平野/樋浦(ミキハウス) 7、4、5 坂本/阿部(サンリツ)

下写真左:坂本/阿部に完勝した平野/樋浦。昨年石川とのペアで優勝した平野、2年連続のダブルス優勝まであとひとつ
下写真右:藤井/若宮に接戦の末敗れた河村/福平。日立化成からシングルスに続き、ダブルスでも優勝を狙ったが…
●男子シングルス準々決勝
張(東京アート) 4、5、9、8 高木和卓(東京アート)
吉田(個人) 7、9、6、10 大矢(東京アート)
松平(青森大) 4、9、8、9 田勢(協和発酵キリン)

男子シングルス準々決勝は、意外にもすべてストレートで決着がついた。

昨年のベスト16からワンランクアップの高木和卓は、張一博にストレートで敗退。張の前陣での連続バックドライブが、岸川戦に続き威力を発揮した。「思ったより相手のボールが伸びてきて、やりづらかった。普段練習している時とは違っていた。一博は引き出しが多かったです」と試合後の高木和。

06・07年度と2年連続で3位に入っている大矢は、ベスト8で進撃ストップ。吉田のストップに強打を封じられ、中陣からの執拗(しつよう)な粘りを打ち抜けなかった。「全日本ではこれまでに2回やっていますが、NTでも試合をするようになって慣れられたかもしれない。フリックを多く使って先手を取る作戦でしたが、吉田さんのストップが切れていてフリックが入らなかった」(大矢)。

これで準決勝の対戦カードは、水谷隼vs.張一博、吉田海偉vs.松平賢二となった!
●男子シングルス準々決勝
水谷(明治大) 6、3、10、3 韓(東京アート)

 観ていてため息が出るような水谷の強さだった。
 序盤からサービスが非常によく効き、試合を思いどおりにコントロールした水谷。浮いたレシーブには逆モーションを交えた3球目ドライブ、レシーブではストップからのパワーフリック。韓陽がミドルに打ち込んだボールも平気でブロックし、中陣でしのいでから大きく曲がるカーブロングで韓陽のミスを誘う。パワードライブとループドライブの使い分けも絶妙で、強打を警戒した韓陽はループドライブに対してオーバーミスを重ねた。
 第4ゲームはまさに「水谷オンステージ」とでも言いたくなるような、完璧なプレー。水谷4-0韓陽で韓陽がタイムアウトを取るも流れは変わらず5-2、7-3、10-3で水谷がマッチポイント。韓陽も最後の一本は諦め顔でロビングを上げていた。テクニシャン韓陽をテクニックで完封した水谷、やはり優勝はこの男なのか??
●女子ダブルス準々決勝
坂本/阿部(サンリツ) 5、7、-7、9 小西/小林(アスモ)
藤井/若宮(日本生命) -9、9、9、8 福原/石川(ANA/ミキハウスJSC)
福平/河村(日立化成) -13、-10、6、6、3 照井/中島(早稲田大)
平野/樋浦(ミキハウス) 8、13、-9、7 藤沼/渡辺(日立化成)

福原/石川は競り合いながら勝負どころでのミスが目立ち、藤井/若宮に敗れた。特に石川のバックにミスが多く、本来のボールの伸びが見られなかった。
「東アジア競技大会の決勝では本当に苦しい試合だったけど、競り合いながら勝つことができて、今回も苦しい試合になると思って準備はしてきた。最後の一本がどのゲームもとれなかった」(福原)
「強い相手で準備はしてきたが、競ったところで勝ちたい気持ちが強くなってしまって、自分がミスをしてしまった」(石川)。