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速報・現地リポート

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世界ジュニア選手権大会

〈男子ダブルス〉
●1回戦
○平野/吉田 3、6、4 エルシャーラウィ/ショウマン(エジプト)
○丹羽/町 13、7、-9、3 ディヤス/クルパ(ポーランド)

〈女子ダブルス〉
●1回戦
○前田/谷岡 5、4、6 カルジュナー/クラジェロバ(スロバキア)
○石川/森薗 3、7、ー9、5 張雅全/鄭先知(チャイニーズタイペイ)

〈混合ダブルス〉
●1回戦
○町/前田 6、-5、14、7 ムッティ/ヘプケ(イタリア/ハンガリー)
○吉田/谷岡 6、7、5 ホー/ウー(カナダ/アメリカ)
●2回戦
○町/前田 -3、5、-12、7、5 李佳陞/鄭先知(チャイニーズタイペイ)
○吉田/谷岡 8、5、-9、4 ニュイティンク/ポストアカ(ベルギー/ルーマニア)

 個人戦が本格的にスタート。日本勢は9日に行われたダブルス3種目では全勝を守っている。
 年甲斐もなく、優勝の興奮のせいだろうか、フランスの友人とホテルのレストランで祝杯を挙げたのに、夜眠れず、今原稿を書いている。
 世界ジュニア選手権は2回目の神戸大会から取材して、今回で7回目になる。感動的なシーンはいくつもある。リンツ大会の男子団体優勝。しかし、この時、中国は北京チームが代表だった。水谷、岸川、高木和という日本チームも強かった。本当の中国代表とやらせてみたかった気持ちもある。
 カイロ大会で劇的なシングルス優勝を果たした松平健太。そして、今回、女子団体で見事な優勝を果たした日本。エースの石川佳純が2点取り。トップの相手の朱はジャパンオープンで福原などのシニアを連破し、決勝まで進んだ強者だ。石川は出足から本当に落ち着いていた。やはり今まで数多くの大舞台を踏んできた選手だけに、相手の動きや緊張度を見ながら、うまくミスを誘い、要所では思いきりのよい攻めで快勝。4番のユース五輪金メダリストの顧玉ティンには飲んでかかるような戦いで、相手がナーバスになっていると見るや、スタートからの隙のない先行ダッシュで、一気に突き放した。
 石川は以前は攻撃のテンポが単調になることもあったが、今回気がつくのはレシーブでも、ブロックでもわずかにタイミングをずらしたり、ボールを殺したり、伸ばしたり、ナックルドライブを混ぜたりという多彩な技を駆使しつつ、勝負所では本来の思いきりのよい攻撃を見せた。どうしても体は大きくなく、ボールの威力にも限界はあるが、天性のボールタッチを生かしたひとつのスタイルを表現した。
 森薗も素晴らしい試合をした。1ゲーム目は完全に相手のボールの威力に面食らい、なすすべもなくノータッチで抜かれていたが、2ゲーム目から徐々に反応していく。最後は競り合いで敗れたが、完全に顧のパワーボールに体が反応し、相手の回転のかかったドライブを表ソフト面での変化ブロックで沈め、打球点の早いドライブを打ち込んだ。敗れたものの、この2番の森薗の戦いが流れを止めずに、良い形で3番の谷岡につなげたのは間違いない。
 3番の谷岡はエリートアカデミーの申し子とも言える選手で、以前よりもカットと攻撃のコンビネーションが巧みになり、攻撃に安定感が出た分、猛烈に切れたカットが生きていた。岸監督が言うように、「日本女子の新しいカットマンの形」に突き進んでいる。
 岸監督も選手をうまく乗せていった。ピリピリとした厳しさはまわりに与えず、しっかりチームをまとめ、選手が気持ちよくプレーできる雰囲気を作った人だろう。謙虚な人柄でITTFのインタビューで「ずっとこの日を待っていました。今まで5回も中国に負けて、相手の優勝するシーンだけを見てきたので、こんなすばらしい日はない。夢のようです」と応えた言葉に、通訳していてこちらもジーンと来た。
 この優勝は日本全体の勝利だろう。日本卓球協会も選手にチャンスを与え、サポートしてきた。特に谷岡はエリートアカデミーで手塩にかけて育てている。石川はミキハウスという強力な母体で日々練習し、強くなった選手だし、森薗も青森山田で6年間、自らに激しい練習を課し、小さい体というハンディを猛練習で補って、ここまで強くなった。母体だけの手柄でも、協会だけのバックアップだけでもない。母体と協会が融合した形での、日本独自の大きな成果とも言えるだろう。
 もちろん、その向こうには、才能ある選手を伸ばしている草の根の指導者が全国にいることを忘れていけないだろう。日本の卓球の潜在的なパワーが結集し、実を結んだ結果だ。日本は強大な中国卓球協会のやり方の真似はできない。日本独自のやり方が確かにあることの証左だろう。 (今野)
 日本女子がスロバキアのブラティスラバの会場にいる人々を感動させた。そして海を遥か越えて、日本の卓球ファンを熱くさせたのではないか。すばらしいチームワーク、相手が王者中国でもひるまずに、堂々と戦った試合態度。天才石川は冷静に、そして果敢に中国を倒した。すばらしいチーム、すばらしい選手たち、そしてすばらしいスタッフに「ありがとう!」だ。
 もちろん、男子も頑張った、感動的な戦いぶりだった。個人戦も頑張ろう!
 日本女子は悲願の初優勝を果たした。会場にいた、またITTFのネットを通して、世界中の多くの人に賞賛されたはずだ。それは不倒の王者、中国を見事な試合で破ったからだ。もちろん石川というスーパースターがいたとは言え、そのチーム一丸の戦いぶりは感動を与えた。ITTFのITテレビのアナウンサー、マーシャル氏は「夢を実現した日本、我々に夢のような勝利を見せてくれた日本に、おめでとう!」と岸監督に、そしてテレビに向かって言葉を発した。
 まさに日本女子は世界のジュニアの歴史の1ページを書き換えたのだ。
 岸監督「今までいつも中国が勝つ場面だけを見せられてきて、それに変わって日本が優勝することを夢見てきて、それが現実のものとなった。夢のような気分です。思った以上のプレーをしてくれたし、大岡先生から引き継いで、いつか世界一になることを夢見てきて、この場所に座らせてもらえたことにすごく感謝しています。石川はすばらしいプレーだった。貫禄というか、中国選手とやってもいろんな細やかな部分でテクニックを入れることができる。見ていて感心させられました。コントロールもいいし、思い切りもいいし、最後の4番の試合は感動しました。森薗は今回プレーの出来もよくて、決勝でもアグレッシブに良い試合してくれた。簡単に森薗がやられていたら谷岡も変わったかもしれない。谷岡は最後まで打ち切ってくれた。今までにない日本のカットスタイルを見せることができた。
 今回は中国も良いメンバーもそろえていたし、そういう中国に勝ったことは価値がある」
 河野監督のコメント「丹羽君を負けさせたのは私の責任ですわ。運もなかった。向こうの方が力が上だから、丹羽君が勝って、そこからの勝負だから。。丹羽君のサービスは効くけど、あとの2人のサービスは効かなかった。中国のほうはサービスは効く。でもそれは中国と当たったからわかったこと。団体戦全体としては本当に良くやった。丹羽の1点は計算できるけど、あとの二人は計算できない。平野以外は高校1年生だから、16歳でチームを作って戦うのは難しいし、良い勉強させてもらった。中国の真似をして、個人戦ではガッツを前面に出して頑張っていきたい」。
*写真は左からベンチの丹羽、3番の平野
〈男子団体決勝〉
   日本  0-3  中国
 吉田  -6、-7、-2       周雨○
 丹羽  -11、5、4、-9、-11 呉家驥○
 平野  -7、-6、-6     林高遠○


 トップの吉田は出足は良かったが、周のボールの威力に押され、6本で落とし、2ゲーム目も7本。細かいプレーというよりも周の荒っぽいが威力あるボールに押されている。3ゲーム目は2-11、ワンサイドゲームだった。周、強い。
 2番は丹羽対呉家驥。呉は裏面を使うペンホルダードライブ型「ミニ王皓」というか体つきも似ている。1ゲーム目、10-12で競って落としたが、2ゲーム目は5本で取り返した。3ゲーム目、2-1、3-1、相手のミドル前処理のまずさをつき、5-1。6-1、6-2、7-2、徹底したミドル前狙いだ。サービスも効いている、8-2、8-3、9-3、9-4、10-4、11-4。完全に丹羽のペースに持ち込んでいる。
 4ゲーム目は4-4で中国がタイムアウト。5-4、6-4、7-4、8-4、完全に丹羽の試合だ。8-5、8-6、8-7で河野監督がタイムアウト。8-8、どうした丹羽。8-9、8-10と6本連取され、9-10としたが、9-11で落とした。最終ゲームへ。しかし丹羽はやってくれるだろう。
 5ゲーム目、0-2、まずい。1-2,…….11-13。3回のマッチポイントを取ったが最後は丹羽が敗れた。日本には後がない。
 3番は平野対林高遠。1ゲーム目は7-11。林のボール速い。平野はボールに食らいつくが、林は何本でも打ってくる。結局、3-0で敗れ、日本は準優勝に終わった。「丹羽を勝たせてやれなかった。でも日本は高校1年3人でよくがんばった。シングルスでは中国選手を見習い、声を出して頑張るように選手に言いました」と河野監督。
*写真は3回のマッチポイントを握りながらも敗れた丹羽、その丹羽に勝った呉、3番で平野を破った林
〈女子団体決勝〉
   日本  3-1  中国
○石川  9、13、-6、-7、3 朱雨玲
 森薗  -6、5、-8、-14 顧玉ティン○
○谷岡  9、-4、-4、7、9 易芳賢
○石川  7、6、8    顧玉ティン
 森薗   -      朱雨玲

 4番はエース対決。石川が顧に1ゲーム目5-1とリード。6-1、6-2、8-7,9-7、10-7、11-7、やった、いいぞ石川。完全に主導権を奪っている。
2ゲーム目も出足はいい。3-0、3-1、4-1、7-2、7-4、11-6。流れは完全に石川だ。顧の顔に焦りがある。顧の強打を完全に石川はかわしている。
 3ゲーム目、1-0、1-1、1-2、3-2、3-3、優勝へのカウントダウンだ。がんばれ石川。3-4、4-4、最後は11-8(途中経過はなし。写真を撮っていました)。勝った、勝った、石川すごい。日本初優勝!!!!!
「この日をずっと待ってました。興奮しています。今まで中国の勝つところばかりを見ていました。これは夢のようです」(岸監督)

*写真は左から、勝利した谷岡、石川対顧の試合、そして石川勝利でわく日本ベンチ
○石川  9、13、-6、-7、3 朱雨玲
 森薗  -6、5、-8、-14 顧玉ティン○
○谷岡  9、-4、-4、7、9 易芳賢

 3番谷岡は悪くない。5-5、6-7。易のボールもさほどパワーがあるわけではない。6-8。谷岡の攻撃も決まり、7-8。8-8。攻撃も織り交ぜ9-8とひっくり返す。バックの巧みなブロックで10-8、10-9。ツッツキをブツっと切り、易はネットミス。11-9で先取。
 2ゲーム目、易の打ちミスが減り、谷岡にも焦りが出て、4-11。3ゲーム目、0-3、1-3、1-4。2-6、易はつなぎのドライブをバックへ集め、決定打はフォアへ。2-8。3-8、3-93-10、4-10、最後はエッジが入り、4-11。手詰まりの展開となってきた。
 4ゲーム目、攻撃が決まり、1-0。2-1、3-1、3-2、4-2、5-2、易にミスが出始める。5-3、易のレシーブミスで6-3、攻撃決まり7-3、7-4、7-5、再び攻撃8-5、9-5、9-6、9-7、10-7、最後は谷岡のぶつ切りフォアカットで相手がネットミス、11-7。勝負は最終ゲームへもつれこんだ。
 5ゲーム目、1-0、易のツッツキがネットミス2-0、谷岡切りまくれ! 易、スマッシュが決まり1-2。2-2。谷岡攻撃だ、3-2。3-3、3-4、4-4、4-5、谷岡のフォアカットが切れ過ぎて、易のツッツキがオーバーミス5-5。5-6。5-7で日本がタイムアウト。6-7、易がドライブをネットミス、7-7、ここで中国がタイムアウト。先が読めない展開だ。
 易がツッツキをオーバーミス8-7、9-7、9-9、10-9、11-9。やった谷岡が易を破り、ついに日本が優勝へ大手。
*写真は左から、森薗に勝った顧、3番で勝った谷岡
〈女子団体決勝〉
   日本対中国
○石川  9、13、-6、-7、3 朱雨玲
 森薗  -6、5、-8、-14 顧玉ティン○

 石川は出足から落ち着いている。無理に強打で攻め続けるでもなく、要所での強攻と、うまいブロックで相手のミスを誘って、2ゲームを連取。サービスもよく効いている。緩急の使い分けがうまく、たまに見せるナックルドライブやボールの力を殺したブロックで次第に相手の朱も焦ってきた。3ゲーム目5-4の石川リードで中国はタイムアウト。そこから石川のリズムが崩れ、6-11と逆転でゲームを落とした。流れが悪くなっていた。4ゲーム目も1-5と離されるが、5-5と追いつく。5-7、6-7、6-8,7-8,7-9,7-10、7-11。朱のミスがなくなり、両ハンドのドライブが決まってきた。勝負は最終ゲームへ。
 5ゲーム目、1-1、2-2、サービスエース3-2,連続サービスエース4-2,ラリーを制し、5-2でチェンジエンド。5-3,連続ドライブが決まり6-3,7-3,ここから一気に攻め、最後はエッジボールのラッキーもつき11-3で石川が先勝した。良いぞ、ニッポン。
 2番は森薗対顧。出足から顧のパワードライブに圧倒され、6本で落とすも、2ゲーム目は森薗も落ち着き、11-5で取り返す。3ゲーム目はシーソーゲーム。5-4、5-5、6-5、6-6。7-6、8-6、森薗の速いドライブが決まる。8-7,顧のパワードライブが森園のバックを襲う8-8,顧のバックハンドがネットインで8-9。中陣からの顧のドライブに森園がブロックミス8-10。森薗打ちミスで8-11、このゲームを取りたかった。
 4ゲーム目、顧は相変わらず強いドライブを打ち込む。0-1,1-1、1-2、顧ネットインで1-3。森薗バックブロックが決まり、2-3、顧のバッククロスのフォアドライブで2-4。顧の回り込みフォアドライブは威力満点。2-5。ここで岸監督がタイムアウト。顧の台上バックハンドで2-6。森薗バックハンドで取り返し3-6,4-6。5-6となったところで中国ベンチがタイムアウト。ここが勝負の分かれ目になる。
 森薗フォアドラが決まり、6-6。6-7かあ森薗攻める7-7。そして7-8、顧の回転のかかったループドライブで7-9,森薗得点8-9。8-10、9-10、10-10と追いつき、壮絶な打ち合い。最後は14-16で顧が勝った。しかし、森薗もユース五輪金メダリストに堂々とした戦いで散った。
*写真は左から、トップで石川と戦った朱、朱に勝った石川、2番の森薗はチームの流れを止めなかった
 男子団体決勝は現地時間の夜の7時に始まる。中国はサウスポーを3人そろえるか。前大会シングルス3位の林高遠と宋鴻遠は強力。ユース五輪金メダリストの丹羽がその壁をどう破るか注目だ。
 日本男子の河野監督のコメント。「簡単に3-0で勝つとは思っていなかった。トップの吉田君が勝ってくれて流れを引き寄せた。向こうも1番でかってというオーダーだったので、トップがキーポイントだった。丹羽もやりにくそうな相手だったけど、自分を忘れずにプレーしてくれた。3番平野もだんだんよくなっている。初日からすると落ち着いたプレーになっている。各国の代表として、世界代表として中国と戦います」
*写真は中国の林高遠