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全日本選手権大会

今大会の結果は、2月21日発売の卓球王国4月号『全日本Evolution!』で詳しくお伝えします。小学生選手の大活躍、ラン決の激闘、涙の引退、そしてチャンピオンの強さの秘密。全日本の表と裏を余すところなくお伝えします。

どうぞご期待ください!
●男子シングルス決勝
水谷(明治大) 7、8、5、3 張一博(東京アート)

水谷隼、ついに男子シングルスで5連覇を達成した!
試合序盤からフォアクロスの引き合いでも、バック対バックの打ち合いでもミスが出なかった水谷。張のバックハンドは相変わらず精度が高く、凡ミスは少なかったが、水谷のバックハンドの精度はそれを上回り、逆に張が焦れてミスをする展開。それでも張は、第1ゲームを7点で落とした後、第2ゲーム2-8から粘り強く8-8まで追いついたのだが、このチャンスを逃すとあとは一方的な展開。張は「第1ゲームが大事なので、レシーブを入れようと思って慎重にいったけど、今考えると思い切っていった方が良かったと思う」と試合後に振り返った。

水谷が圧巻のプレーを見せたのは第4ゲーム。1-0から打点を落とし、逆モーションでバックストレートへバックフリック、さらにナックル性のフォアドライブで3-0とリード。ここで張がタイムアウトを取ったが、3-1から水谷が一気の5点連取。6-1からバックストレート、7-1からバッククロスへ強烈な3球目パワードライブを決め、会場がどよめく。今大会、かさにかかって攻めた時の水谷には迫力があった。最後も10-3のマッチポイントで、張のミドルへパワードライブ。ブロックの堅い張がまったく反応できず、体に突き刺さるようなボールだった。そのまま大きくガッツポーズする水谷、ついに男子シングルス5連覇だ。

試合後の優勝者会見では「昨年は海外の成績も僕が日本選手で一番良かったし、今大会はみんなが僕の優勝を疑わない大会だったと思う。できるだけ簡単に優勝したいと思っていた」「今日の初戦(準々決勝)で丹羽選手と当たるので、完膚なきまでに叩きたいと思っていた」と水谷節も絶好調。しかし、まったく嫌味に感じさせないほど、強い強い水谷だった。世界選手権ロッテルダム大会のプレーが楽しみだ。
●男子シングルス決勝
水谷(明治大) 7、8、 張一博(東京アート)

第2ゲーム、8-2から8-8まで挽回された水谷だが、10-8として逆横下回転サービスでサービスエース!
水谷が優位に試合を進めている。
余興の和太鼓、そしてオーロラビジョンに歴代のチャンピオンの映像が映し出され、いよいよ決勝を争う二人が登場した。
チャンピオンのスライドと選手登場の間も和太鼓は地響きのように鳴り続けており、すばらしい演出だった。感動した。
●女子ダブルス決勝
藤井/若宮(日本生命) 9、9、-5、-12、8 阿部/小野(サンリツ)

前回王者ペア対社会人王者ペアの対戦となった、女子ダブルス決勝。第1・2ゲームともに、藤井/若宮が序盤でリードを広げるも、阿部/小野の速攻が後半で炸裂し、追いつくという展開。しかし、前回王者が競った場面で強きのプレーを見せて2-0とリード。社会人王者として意地を見せたい阿部/小野も、得意のスマッシュ連打を決めて、第3ゲームを奪うと、第4ゲームもジュースの末にゲームを奪取。

最終ゲームも阿部/小野が激しいラリー戦を制し、3-0とスタートダッシュをかける。藤井/若宮もたまらずタイムをとるが、アンラッキーな相手のネットインもあって、6-2とリードは広がる。このまま阿部/小野が初優勝まで一直線かと思われたが、勝利を意識してしまったのか、ここからまさかの失速。藤井/若宮が積極的に攻めて2度の4連続ポイントで追いつき、逆転。阿部/小野は、阿部が粘り強いプレーを見せるも、精神的に崩れた小野が連続してミスをしてしまう。激しく流れが行き来した一戦は、最後まで自分達のプレーを信じて攻め続けた藤井/若宮に勝利の女神はほほえんだ。優勝を決め、涙ぐむ若宮。一方、つかみかけた栄冠を逃した阿部の目にも涙。激戦の末に、明暗はくっきりと分かれた。

★藤井/若宮の優勝者インタビュー

-苦しい試合でしたが、連覇を達成されたお気持ちは?

(藤井)途中諦めかけた時も何度かあったけど、たくさんの方が会場で応援してくださったので、力になりました。二人で頑張ってきて、本当に良かったと思います。試合の途中も話し合いましたが、強気で攻めていこうと言っていた。それが貫けて良かった。去年いろいろ国際大会や、国内でも経験をさせてもらった。その経験の成果をふたりで出すことができて良かったです。

-今日は決勝で勝てましたね?

(若宮)昨日は負けてしまって悔しかったけど、私たちのペアはおととしから組みはじめて
培ってきたものは多かった。今日の優勝は意味があると思います。ふたりとも攻める卓球なので、最後まで攻められたことが勝因のひとつだと思います。

-去年はアジア競技大会でもメダル、今年は世界選手権もありますね。
(若宮)これからまだまだふたりで練習して、コンビネーションを上げて、皆さんに応援してもらえるようになりたい。応援よろしくお願いします。
女子ダブルス決勝を前に開場は照明を落とし、怪しい雰囲気が漂っている。イイ感じだ。
そして、その暗がりの中でおにぎりを食べる編集部員たち。
●男子シングルス準決勝
水谷(明治大) 10、-6、7、10、9 高木和卓(東京アート)
張(東京アート) 6、5、4、11 吉田(個人)

男子シングルス決勝は、昨年の準決勝と同じ顔合わせ、水谷vs.張の対決となった。

今大会当たりに当たっている高木和卓を迎えた水谷は、高木和の思い切りの良いフォア強打にたびたび打ち抜かれながらも、巧みな緩急で着実に得点。高木和が水谷の決定打を、驚異のフットワークで返球するスーパープレーを見せれば、水谷も負けじと打点を落とし、ネットの横から滑り込ませるカーブドライブで高木和のミスを誘う。華々しいラリー戦が続き、大いに観衆を沸かせたが、最後は水谷のサービスで高木和がレシーブミス。会場は大きな拍手に包まれた。07年世界選手権を最後に、世界代表から遠ざかっている高木和だが、代表返り咲きも十分狙えるパフォーマンスを見せた。

準決勝のもうひと試合は、張がストレート勝ち。吉田は張のバックブロックを打ち抜けなかった。会場からは今年も「海偉頑張れ!」の声援が飛んだが、第4ゲームにゲームポイントを奪うのがやっと。「ロシアリーグから、大会直前にシンガポールナショナルチームの合宿に参加していた。向こうは湿気がすごくて、日本に戻ってきてからも体調が悪くて、足が動かなかった。過去7年間で最悪のコンディションでした。その中でベスト4まで来れたのは奇跡ですね」と試合後にコメントを残した。
●女子ダブルス準決勝
藤井/若宮(日本生命) 7、-8、9、4 藤沼/福平(日立化成) 
阿部/小野(サンリツ) -8、-7、8、8、7 照井/中島(早稲田大) 

昨年度優勝の藤井/若宮と、昨年の全日本社会人で優勝した阿部/小野ペアが決勝へ進出。阿部/小野は2ゲームを連取されてからの逆転勝ち。ナックル性のボールをうまく使って、学生ペアのミスを誘った。
●男子シングルス準々決勝
高木和卓(東京アート) -8、-6、10、7、-6、12、9 松平賢(青森大)    
吉田(個人) 9、13、8、8 笠原(早稲田大)

ベスト8の常連・高木和卓が松平賢との壮絶なラリー戦を制し、初のベスト4進出。残る3試合がストレートで決着する中で、両者の気合いが激突する素晴らしい試合だった。最終ゲームは高木和卓が中盤でリードしてチェンジエンドしたが、松平賢が9-9まで追いつく。ここで高木和は思い切りの良い両ハンドドライブを連発。最後も迷いのないフォアのパワードライブで決め、「どうだ」と言わんばかりに勝利の咆哮。最後の高木和のプレーには、ビビリや迷いは一切無かった。「暴れん坊アート」の申し子が、全日本の舞台で久々の輝き、しかも強烈な輝きを放っている。

「勝負所で雑念が入って、余計なことをしてしまったのが悔やまれます。逆に卓さんは最後で思い切ってやってきた。バックハンドが下から出るところがあるので、これを直して、世界戦にはイチから臨みたい」(松平賢)
高木和と松平賢の死闘の合間に、レトロな携帯電話を見つけた。(条太)