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世界卓球東京大会WEB速報

 昨日の男子団体・準々決勝でオーストリアと対戦した中国。ストレートで勝ってベスト4進出を決めたものの、まだエンジン全開とは言い難い。トップ馬龍は3-0とはいえ、ハベソーンとの打ち合いでミスが多く、2番張継科はゲームカウント1-2の第4ゲーム、9-10でマッチポイントを奪われた。ここでガルドスの乾坤一擲のカウンタードライブがネットを弾いてオーバーし、辛くも勝利を拾ったものの、相変わらず大舞台にならないとテンションが低い。ベンチで劉国梁監督が必死でカツを入れていた。

 観客席を赤く染める中国応援団も、「どうせ負けないでしょ」と思われているのか、ほとんど姿を見せていない。今のところ北朝鮮応援団のほうが断然目立っている。過去の大会でもそうだったが、決勝になったら突然中国の応援団が現れるのだ。

 ちなみに徐行運転のチームメイトをよそに、フルスロットルでぶっ飛ばしているのが許シン。昨日のフェガール戦では3ゲームをすべて11-4。パワードライブはホップするような弾道を描いて相手コートを打ち抜き、ループドライブは触れただけで弾かれるような、強烈な回転に充ち満ちている。まさに旬の男だ。
  • 張継科はまだ3、4割の力?

  • 「欧州の張継科」と言いたくなるスタイル、惜しかったガルドス

  • 規格外のパワードライブ、許シン

  • ベンチでアドバイスする劉国梁監督

 ゴールデンウイークまっただ中の5月3日。会場の外では、新たに大会の冠スポンサーであるJA全農のブースも登場し、長い行列ができている。今日は暑いので、特にジェラートは大人気だ。「テレ東フェス(テレビ東京フェスティバル)」のブースも相変わらずたくさんの人を集めている。やはり閑散としているよりは、ワイワイ賑わっているほうがウレシイ。

 まだ当日券はありそう。天気も良いので、皆さんぜひ観戦に来てください。日本女子対オランダ戦は19時スタートですよ!
 〈香港 3-0 ドイツ〉
○李皓晴 -9、3、9、8 P.ゾルヤ
○姜華君 6、-9、-4、8、10 イバンチャン
○呉穎嵐 5、5、7 ヴィンター

 〈シンガポール 3-1 ルーマニア〉
○ユ・モンユ 8、-4、8、-2、7 サマラ
○馮天薇 10、8、9 モンテイロ(ドデアン)
 リー・イザベルスーユン 4、-9、-9、5、-8 スッチ○
○馮天薇 8、5、9 サマラ

 女子団体・準々決勝は10時から2試合が行われ、香港とシンガポールというアジア勢が勝ち上がった。ドイツとルーマニア、欧州女子卓球界の名門も健闘およばず。

 ドイツで勝利にあと一歩まで迫ったのは、カット+攻撃のイバンチャン。バックカットでよく粘り、要所でフォアのパワフルな攻撃を決めた。第5ゲーム9-10の場面で、3球目パワードライブをバッククロスに打ち抜いたプレーには驚かされたが、続く2本はカットとツッツキのイージーミス。攻撃的チョッパーの宿命なのか…。

 昨日、韓国から金星を挙げたルーマニアは、トップのサマラがユ・モンユに惜敗。馮天薇という絶対的エースのいるシンガポールを相手に、この1点が重すぎた。3番スッチがカットのリー・イザベルスーユンに対し、ループドライブとスマッシュで懸命のカット打ち。最終ゲーム8-2から8-8まで追いつかれたが、振り切って1勝を挙げた。
  • 姜華君を追い詰めたドイツのイバンチャン

  • 1勝をあげたルーマニアのスッチ

 オールドファンなら誰でも知っている韓国のヒロイン。写真右が梁英子さん。ペンホルダー裏ソフトの攻撃型で、豪快なドライブとバックハンドを持つ攻撃選手として、1983年の東京大会ではシングルスで決勝まで進み、曹燕華に敗れ、87年ニューデリー大会でも決勝で何智麗に敗れて、ともに2位。
 
 88年のソウル五輪では玄静和とくんだ女子ダブルスで金メダルを獲得、87年も女子ダブルスでチャンピオンとなっている名選手だ。

 88年五輪を最後に引退。10年間ほど卓球を離れていたが、その後モンゴルや中国に宣教師の夫ともに赴任。2年前から韓国女子チームのジュニア担当のコーチになっている。
 現役時代、何度も対戦した星野さんとは良き卓球仲間である。
 女子団体・準々決勝で日本と対戦するオランダ。リー・ジャオとリー・ジエの両輪が揃ってから、世界団体では3大会連続でベスト8と安定した成績を残している。

 昨日のチャイニーズタイペイ戦後、エースのリー・ジャオは「難しい試合だと思っていたが3−0で勝ててとても最高の気持ち。試合の前はみんなナーバスだったがチャンスがあると思っていた。若いエーラントにとっては初めての大会だが、良く戦ってくれている」と語った。準々決勝で対戦する日本については、「とても若いチームでレベルが高い。石川と平野という2人の若い選手にカットマン(石垣)、みんな才能がある選手」と評した。まあ彼女から見れば、たいていのチームは若いチームに見えると思うのだが…。

 2番手のチョッパー、リー・ジエは今大会どうも動きが重い。どうしたのかと思ったら、「6カ月前に出産して、3カ月前にトレーニングを再開したばかり」とのこと。なんと、ママさん選手としての参戦だったのだ。さすがに動きが落ちるのは仕方がない。
 ただ、リー・ジエは攻撃力があり、精神的にも粘り強く、試合を投げることがない。油断のならない相手であることは確かだ。
  • リー・ジャオの闘志は健在だ

  • フォアのスマッシュが強力なリー・ジエ

★5月3日のタイムテーブル

10:00〜 女子団体・準々決勝
     [シンガポール vs. ルーマニア]
     [香港 vs. ドイツ]
13:00〜 男子団体・準々決勝
     [韓国 vs. チャイニーズタイペイ]
16:00〜 女子団体・準々決勝
     [中国 vs. 北朝鮮]
19:00〜 女子団体・準々決勝
     [日本 vs. オランダ]
      男子団体・準々決勝
     [ドイツ vs. シンガポール]

今日は19時から、日本女子とオランダの準々決勝。昨日メダル獲得を決めた男子に続きたい。
対戦相手のオランダは、リー・ジャオとリー・ジエはピーク時に比べると力は落ちている。特にカットのリー・ジエは、ここまで2勝6敗という成績だ。しかし、3番手である長身のエールラントがここまで全勝で、ベスト8進出に大きく貢献している。「3番手の選手(エーラント)は最近力をつけてきている。ドイツオープンで平野美宇が負けている。ここは必ずとって残り4試合のうちにどうやって2点取るかを考えたい。石川とリージャオは1勝1敗。彼女の得意なコースがあるからそこにサーブがいかないようにしたい。平野はカット打ちがうまいが、リー・ジエは粘って行くボールに対して攻撃力がある。それが一番怖い。打たさないようにして平野に勝ってもらいたい」(村上恭和監督)。

その他にも、男子団体準々決勝の韓国対チャイニーズタイペイ、女子準々決勝のシンガポール対ルーマニアなど好カードが目白押し。男子団体準々決勝のドイツ対シンガポールは、勝者が明日の準決勝で日本と対戦する。

祝日とあって、観客席も出足は好調。さあ、張り切っていきますよ!
 肝っ玉の据わった19歳の丹羽孝希がトップでフレイタスに完勝して、この準々決勝の勝敗は決まった。「今日の勝利は丹羽のおかげ」とエースの水谷が絶賛するほど、今日の丹羽は完璧だった。前回のフレイタス戦では3ゲームの出足でつまずき集中力を欠いたが、今日はその3ゲームの出足もリードを奪った。

「ぼくが1番で勝ったらチームも絶対勝てると思っていた。ぼくが勝つことによって健太さんがやりやすくなるとおもった。最後にフレイタスがYGサービスを出してこなかったのですごくやりづらかったけど、出足の1,2ゲームを取ったのが大きかった。
 相手のバック前にサービスを出して相手のチキータを狙って、ストップも甘いので狙いにいったし、前回はフォア前サービスからの展開だったけど、そこは変えました。前回2−2の最終ゲーム4−8からバック前のサービスから逆転できたので、それを使いました」

 常にラリーの主導権を奪った丹羽。クールな試合ぶりはラブオールからゲームセットまで変わらず、勝利の瞬間、ガッツポーズを見せたのが唯一感情を爆発させたときだった。
「プレッシャーは全然ないです。この舞台で1番でやれる喜びもあったし、みなさんの応援もあったのでやりやすかった。緊張も全くなかった。最後のガッツポーズはメダルを決めたような気持ちでした。
 ドイツには何回も負けているので地元開催で勝ちたいオフチャロフとボルには今まで勝ったことがないので、向かっていきたい」
 会見で答える丹羽はいつもと同じ。笑顔も見せないクールなコメント。しかし、内側には熱いものを感じた。ドイツ戦で何かをやってくれる予感がする。明後日は丹羽に注目だ。
 ついに日本男子チームが目覚めた。天才たちが目覚めた。グループリーグ初戦での敗戦から、どこかスッキリしないプレーが続いていたが、このポルトガル戦でようやく会心のプレーを見せてくれた。

 試合後、長いテレビ取材を経て、ミックスゾーンに姿を現した倉嶋洋介監督。「自分が思っていた以上に選手のプレーが素晴らしかったですね。これまでも選手たちは調子は悪くなかったけど、精神的な部分であったり、試合の中での駆け引き、戦術の冴えが今ひとつだった。そういった冴えが出てくると、選手たちも調子が出てくる」と語った。

「ポルトガル戦での戦い方は2日前とほとんど一緒。3番の健太も、前回はモンテイロに負けたけど、戦術的にはほとんど勝っていた。もう一度明日やれるかと昨日のミーティングでひとり呼び出して、「やれます」と言ってくれたので、その強い気持ちがあれば大丈夫だと思った。塩野の起用ももちろん考えましたが、健太にはこのまま成長してもらいたいので、先を見据えての起用でもある。彼の潜在能力があれば、まだまだすごいプレーができる。

 選手たちも疲れはあると思うけど、会場の雰囲気にも慣れて来て、頼もしく感じる。多少疲れているくらいのほうが、彼らにとってはいい。水谷の右足の状態は特に問題はない。それを言ってられないという状況もあります。この大舞台に慣れているのもあるし、しっかり経験を積んできて、日本のエースにたくましく成長してくれた。

 準決勝はたぶんドイツとやることになるので、日本の卓球の新しい扉を開けたい。ドイツ戦はボルとオフチャロフという二枚看板がいるので、3番手には必ず勝つ。そして残り2点をどう取るかが課題になるでしょう」
3選手とも台上プレー、出るか出ないかのボールに対する“台まわり”の技が相手選手を圧倒していた。

1番の丹羽は、静かな緊張感のある出足だったが、それは丹羽ペースでもあった。前回戦って、どう攻めたらポイントできるかがわかっていたようだ。主に相手のバックを攻め、フォア強ドライブを封じる攻め方と、多彩な技で相手に何をするか読ませない戦い方が効果的だった。丹羽が相手を翻弄し、相手の調子が出る前に勝負を決めた一戦。相手が思い通りにいかず、イライラしているのがよくわかるほどであった。

続く水谷は、1ゲーム目、レシーブはフォア前、ラリーでは相手のバックを早い攻めで突き、完全に水谷ペース。2ゲーム目の途中にアポローニャがバックブロックをカウンターリターンしてきたので、水谷はフォアサイドを攻めだした。そのゲームは水谷が取ったが、3ゲーム目も前半でフォアを攻めたため、そこからアポローニャのペースになり出した。しかし、3ゲーム目の5-9からバックに攻めを切り返て、逆転したのはさすがだ。特に今の水谷はバックのブロックの打球点も非常に早く、より勝ちやすくなっている。

3番の松平は、ネットプレー、そこからのミドル攻めで完全に相手よりも勝っていた。また、ストップレシーブをして、次を攻撃で狙っている時に、相手にダブルストップをされたにもかかわらず、攻撃態勢からネットプレーに切り替えても、ストップがワンバウンドで出ない技術力は見事だ。松平の台上からの技、攻め、ブロックなどは、ぜひ若い選手たちに見て学んでほしい。フォアとバックのブロックは1、2ゲーム目は少しだけ打球点が落ちている分、入りが悪かったようだが、3ゲーム目10-10、打球点の早いバックブロックでの得点から吹っ切れたようで、4ゲーム目は“ケンタ速攻”が止まらなかった。
 〈日本 3−0 ポルトガル〉

○丹羽 7、5、14 フレイタス

○水谷 4、6、9 アポローニャ

○松平 7、−9、10、7 モンテイロ

 3番松平、グループリーグで惜敗していたモンテイロにリベンジ。ストレートで勝利した日本、準決勝進出を決め、これで4大会連続のメダルが確定!

 グループリーグでの対戦では、フォアハンドでの強引な攻撃のミスが目立っていた松平だが、今回のモンテイロとの再戦では、持ち味である打球点の早いバックハンドをうまく織り交ぜた。第3ゲーム9−10から逆転でこのゲームを取ると、第4ゲームはきっちり中盤でリードを広げ、試合勘もかなり戻ってきた気配。勝利を決め、ベンチではホッとしたような笑顔で、チームメイトたちと握手を交わした。
  • 完璧にフレイタスのボールを見切った丹羽!

  • ケンタ、ついにお目覚めだ