日本の女子は2大会連続でメダル獲得を果たした。
その印象的なシーンをベンチのすぐ後ろのカメラマン席で見ていた。
1−1となった3番のダブルス。1ゲーム目を取られて2ゲーム目10−9でエッジボールがついた。「神様はいるんだな」とその瞬間に福原は思った。
ダブルスで勝利をあげて、笑顔の二人。しかし、コートから出た瞬間に笑顔だった福原の表情が変わった。厳しい表情で、笑顔だった伊藤に対してアドバイスを送る。勝利に浸るのは一瞬でいい。4番の伊藤に厳しく言葉を掛けた。
そして、そこにウォーミングアップから駆けつけた石川は勝利のタッチもそこそこにやはり伊藤にアドバイスを送る。3人での戦術的、精神的な確認作業なのだろう。
そこにはメダルへかける3人の並々ならぬ思いが伝わってきた。
そして伊藤の快勝につながっていく。
普段3人は別々に練習をする。それぞれが「チーム」を持ち、専任コーチと練習相手を抱える。ナショナルチームや海外リーグが中心の男子とは違う。女子3人はスポンサーがつき、マネージメント会社もつき、国際的にも国内的にもライバル関係なのだ。
しかし、世界選手権やオリンピックでは、ともに日の丸を背負い、「メダル獲得」という共有の目標を持って戦う。
今大会、初出場でメダルを獲得した15歳の伊藤は、中国の郭躍の16歳を抜いて史上最年少のメダリストとなった。
中国は別格にしても、今大会の日本の活躍に世界中の卓球関係者は熱い視線を送っている。