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速報・現地リポート

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全国高校選手権(インターハイ2019)

●学校対抗準決勝
愛工大名電(愛知) 3−1 遊学館(石川)
○篠塚 5、6、−10、6 天野
○曽根 6、3、5 菊地
 加山・曽根 −11、−9、−7 吉田・大野○
○谷垣 7、5、5 清野


男子学校対抗は愛工大名電、野田学園が勝利。
頂上決戦はやはりこの2校の対決となる。野田学園は昨年の準決勝で競り負けていた鶴岡東にリベンジを果たした。

愛工大名電はトップに篠塚、2番に曽根を置くオーダー。対する遊学館は天野と菊地で勝負をかける。
準決勝のトップという緊張する試合でも、篠塚は相変わらず飄々としたプレーで、プレッシャーなど全く感じさせない。天野を相手に1ゲームは落としたが、3球目チキータやカウンター、連続強打にロビングなど、オールラウンドなプレーで勝利。小柄ながら、しなやかで力強いスイングは、まさに天才型だ。

2番の曽根は菊地のカットをフルスイングで打ち抜く。普通の選手ならばフォアで持ち上げてからドライブ対カットの展開に持っていくが、曽根はバックハンドでもカットが打てる。3球目バックドライブが鋭く突き刺さり、菊地はまともにカットをさせてもらえなかった。

ダブルスは一転して遊学館ペアがストレートで勝利する。加山・曽根の強打をさらに強打で打ち返す吉田と大野。決まったと思ったボールでも、さらに厳しいボールで狙い打ち、名電ペアを広角に攻める。加山・曽根も両サイドを切ったボールに対してはミスが多くなってしまった。遊学館ペアが素晴らしいコンビネーションで、今大会初めて名電を土につけた。

しかし、1点を取られても動じない。ジュニア3位の横谷が出場できないほど名電の選手層は厚い。
4番に登場したのは昨年の全中王者・谷垣。得意のバックハンドの連打で清野を後ろに下げ、展開を優位に持っていった。ベンチから遊学館の植木監督が「一歩、前へ出ろ!」と声をかけるが、谷垣のスピードバックドライブが清野を少しずつ後ろに追いやる。

「勝ちたいなら前に出ろ!ミスを怖がらずに勝ちたいなら前へいけ!」とアドバイスを送ったが、スピードに押されて清野は一歩が出なかった。
遊学館、今年も頂点に届かず。名電の壁は一枚破っても、まだ次の厚い壁が待っている。

「実力差のある名電に少しは冷や汗をかかせられたのかな。彼らの夏の成長が感じられました。3年生の吉田、大野の姿を見て、後輩たちが何かを感じ取り、これから頑張ってくれるでしょう。実績のない選手たちばかりですが、よく勝ったと思います。夏に強い遊学館を出せたんじゃないですかね。
今年はみんながエースです。でも柱となる選手を作れなかったのも事実。選抜は6人、インターハイは5人で戦いました。普通の学校は4人ですから。
最後、吉田が悔しくて泣いてました。でもすぐに個人戦のダブルスが始まりますから、あのペアにストレートで勝ったんだから、その悔しさをダブルスにぶつけて優勝してみろと言いました」(植木監督)
 大会前半、最大のサプライズを演出したのはこのチームだ。女子学校対抗でベスト4に進出した萩光塩学院。キリスト教系のいわゆる「ミッションスクール」で、印象的な校名は聖書の一節「地の塩、世の光」に由来している。前回大会が初出場、そして今回が2大会目の出場でベスト4。阿部一道監督は「自分でも信じられないです」と笑顔で語った。以下は阿部監督のコメント。

「準決勝に関してはオーダーは結構良かった。相手のエースを外して、前半1−1で回れたので、ダブルスの2ゲーム目をジュースで落とさなければ、チャンスはあったかなと思います。4番は相手のほうが引き出しが多くて、対応しきれなくて負けてしまいましたけど、5番も2−1でリードしていたので、十分に強いチームとも戦えるなという手応えを感じました。
 いろいろなところに練習試合に行かせていただいて、鍛えていただいたので、それが大きな要因かと思います。大学や高校の強豪校との練習試合でメキメキ力をつけて大会に入れた。関東にも行かせてもらったし、岐阜で3校で合同合宿を行った時に徳田と川本が良い成績を残したり、手応えは感じていました」

 萩光塩学院の普段の練習試合は、「他の学校さんと変わらない」そうだ。ただ、朝練や毎日の自主練習の時間を設けて、選手の自主性を尊重している。思い切りの良いフォアスマッシュでポイントゲッターとして活躍した徳田などは、自主練習で毎日残って練習し、力をつけた選手だという。

 地元のクラブやスポーツ少年団の代表など、阿部監督を入れて4名が外部コーチとして指導。エースとして活躍した川本も「外部コーチの方がたくさんいて、いろいろなアドバイスをもらえるのが良い」と語っている。2年前には父母の会も発足し、観客席では他のチームに負けない大きな声援が送られた。

 「大会中に校長先生からも連絡をいただいたり、いつも気に懸けてくださって、学校側からバックアップをしてもらえるので、すごくやりやすい環境ではあります。選手たちが、自分がやりたいようにやれる練習環境を作るのが自分たちの仕事。あまり良いアドバイスはできないですけど、環境はしっかり作ってあげたい。
 今回できすぎたので、来年はすんなりとはいかないと思いますけど、2年生主体のチームなので今年以上の成績を残せるよう、コツコツ頑張っていきたいと思います」(阿部監督)

 選手が監督やベンチの顔色を気にせず、勝負所でも勇気あるプレーを連発できるのは、自主的に練習して力をつけてきた自信の現れでもあるのだろう。ラブオールから最後の一球まで、萩光塩学院の戦いぶりは爽やかだった。
●女子学校対抗準決勝
〈四天王寺 3−0 明徳義塾〉
○大川 6、6、5 船場
○菅澤 −6、6、−10、8、6 岡田
○高橋・中森 4、14、4 高田・岡田

〈遊学館 3−1 萩光塩学院〉
○出雲 4、7、3 西内
 泉田 7、−2、−3、−6 川本○
○出雲・相馬 7、12、6 徳田・川本
○相馬 9、7、8 徳田

女子学校対抗・準決勝は四天王寺と遊学館が勝利!
明日の女子学校対抗決勝は、今年も四天王寺対遊学館!

四天王寺対明徳義塾は、3回戦の大成女子戦でチームのピンチを救った大川が、目の覚めるようなバックストレートへのフォアドライブを連発して船場に快勝。明徳としては、2番岡田で1点を返したかったが、2−1とゲームをリードしながら、ややプレーが消極的になったか。

2番岡田が菅澤から2−1とゲームをリードしたが、ここからややプレーが消極的になった。1年生の菅澤も相当プレッシャーを感じていたが、勝負所ではしっかりフォアで攻めた。「もう少し競った時に、思い切って自分から攻めていかないといけない。ミス待ちしているような感じだから、その点ではサービス・レシーブの読みも相手のほうが上でした。それが実力なので、経験を生かして今後につなげてもらいたい」と明徳の佐藤監督は語った。

もうひと試合は、躍進を続ける萩光塩学院が遊学館と激突。2番川本がバックハンドの強烈なミート打ちを炸裂させて、学校対抗のシングルスは今大会全勝。昨年度大会は山陽女子からインターハイに出場した川本だが、転校して初の全国大会となるインターハイで鮮烈な印象を残した。チームはダブルスを落とし、4番徳田が相馬の変化カットを必死にスマッシュで狙い打ったが、最後は変化に屈した。

「自分の得意なバックハンドをたくさん出すことができて良かったと思います。今の結果に満足することなく、選抜でまた表彰台に立てるよう、イチから頑張りたい」と試合後の萩光塩学院・川本。ちなみに昨日の準々決勝、桜丘戦のラストで勝利した野上とはいとこ同士とのこと。川本・徳田・野上・西内と1・2年生の選手が多く、今後も目が離せないチームだ。
男子学校対抗・女子学校対抗の準々決勝までの勝ち上がりは下記のとおり。男子は第1〜4シードの愛工大名電(愛知)、鶴岡東(山形)、遊学館(石川)、野田学園(山口)がベスト4に進出。愛工大名電、鶴岡東、遊学館は昨年に続く4強入りとなった。明日の準決勝は愛工大名電対遊学館、野田学園対鶴岡東という対戦カード。男女のベスト4・計8校の中で唯一、ここまで失点のない王者・愛工大名電は、準決勝の遊学館戦でも強さを見せつけるのか。

 女子学校対抗のベスト4も、四天王寺(大阪)、遊学館(石川)、明徳義塾(高知)の3校は昨年に続く4強でシードを守った。女子の準決勝は四天王寺対明徳義塾、そして萩光塩学院対遊学館。予想外の苦戦が続く四天王寺は、全員卓球の明徳義塾を前に再び試練の時を迎える。遊学館はここまで不安定な出雲・相馬のダブルスを調整し、勢いに乗る萩光塩学院との大一番だ。
●女子学校対抗・準々決勝
〈四天王寺 3−1 希望が丘〉
 中森 −9、−9、2、10、−10 稲吉○
○大川 6、9、5 藤森
○高橋・中森 12、−10、−3、4、11 稲吉・田中
○高橋 9、7、5 杉本

〈明徳義塾 3−1 済美〉
○三村 5、7、4 菅
 里川 −5、9、−10、−5 木塚○
○高田・岡田 7、−7、9、4 黒田・木塚
○船場 5、6、8 黒田

〈萩光塩学院 3−2 桜丘〉
○川本 8、−8、9、−7、8 浅井
 國弘 −3、−6、−8 顧林婧○
 徳田・川本 −9、−10、−9 浅井・原田○
○徳田 7、9、9 木田
○野上 −8、8、−9、7、10 原田

〈遊学館 3−2 就実〉
○相馬 8、6、2 枝広
○高橋 5、8、−5、7 寺坂
 出雲・相馬 −1、−13、−6 津田・枝広○
 津隈 −9、7、−3、5、−6 津田○
○出雲 5、6、−9、7 松田

女子学校対抗、ベスト4のシードを守った四天王寺・明徳義塾・遊学館に、破竹の勢いで割って入ったのが山口の萩光塩学院。今日の速報でも述べたように、2年連続2回目の出場で驚きのベスト4進出だ!

「桜丘戦の勝負のポイントは、やはり1番と5番でしょうね」と試合後の阿部一道・萩光塩学院監督。1番で先制点を挙げたのは川本だ。叩きつぶすように水平に振りぬくバック強打は、彼女独特の感性。普通の選手なら、とても怖くて振り抜けないボールでも、ネットミスを怖がらずにバックハンドで狙い打つ。それがサイドを切って入るのだから、前陣でのカット+攻守で相手を翻弄する浅井もさすがに苦しくなった。

2番で國弘が顧とのカット対決に敗れ、3番ダブルスも敗れて逆転されたが、4番徳田が思い切りのよい前陣両ハンドで完勝。2台進行ではあったが、一気にチームに流れを引き戻した。そして5番野上は、右シェーク両面表ソフトの原田とのバック対バック、ツッツキ対ツッツキの我慢比べのラリーを際どく制した。最終ゲーム10−8から10−10に追いつかれながらも、勝ちきった精神力は見事。

「最後まであきらめずにプレーしてくれたことが、劣勢を跳ね返せた要因です。目標はベスト8だから、もう目標は超えちゃいましたね。
 桜丘戦では、川本が勝ったことのない浅井さんに勝って、4番の徳田も冬の高体連合宿では負けている相手だった。そして野上も、去年のインターハイ前に桜丘に練習試合に行った時には、原田さんに負けていましたから。負けている相手に向かっていくことで、良い結果が得られたと思います。ここまで来ましたが、優勝を狙うより目の前の試合をしっかりやっていきたい」(阿部監督)。

 その他の試合では、四天王寺はトップ中森が稲吉に最終ゲーム7−10から逆転負けするも、ダブルスは逆に最終ゲーム7−10から逆転勝ち。希望が丘との白熱の一戦を制した。明徳義塾は、済美のエース木塚に1点を落としたものの、船場が済美の守護神・黒田をストレートで破って勝利を決めた。

 遊学館は就実に3−2で勝利。後半の2台進行で先に5番出雲がチームの勝利を決めたが、就実の4番津田は最後まで全力のプレーを見せ、勝利をもぎ取った。トップに1年生の枝廣を起用した就実の大島礼子監督は、「枝廣には相馬さんと当たって、そこで勉強してほしかった」と試合後のコメント。枝廣は序盤は威力あるフォア強打を決めながら、中盤から相馬の変化が読めなくなったが、来年への種を蒔いた一戦だった。
●男子学校対抗準々決勝
愛工大名電(愛知) 3−0 静岡学園(静岡)
遊学館(石川)3−0 関西(岡山)
野田学園(山口) 3−1 明豊(大分)
鶴岡東(山形) 3−1 明徳義塾(高知)

愛工大名電をはじめ、外シードの4校がそのまま準決勝へ。メンバーが変わってもやはりこの4校は強い。春の選抜ではやや頼りなかった選手たちも、この半年で技術・体力は見違えるほどに伸びている。

特に体力面はインターハイでの戦いでは重要で、今日に限ればダブルスの連戦後に団体戦が2連戦。3−2の熱い団体戦後に、すぐにまた団体戦が入るチームもあるだけに集中力、そして体力がかなり必要になる。インターハイで勝つには、そこを乗り切る力が必要になるのだ。

準々決勝での激戦は野田学園vs明豊、鶴岡東vs明徳義塾だ。
野田学園は前半に出場した戸上がゲームオールのギリギリで中村に勝利したが、今泉が渡辺に敗れて1−1のスコアでダブルスへ。
ダブルスも点数が離れない接戦だったが、ゲームオールで野田学園が奪取。戸上、そしてダブルスのどちらかが落としていたら、チームは途端に敗戦の危機だっただろう。後半の宮川が勝利して、明豊を下したが、野田学園にとって準々決勝は薄氷を踏む戦いだった。しかし、そこでエースが踏ん張ることが大事。それがチームを奮い立たせる。

一方で明徳義塾はエースの手塚が敗れて、前半0−2のスタートとなった。「ダブルスは取り返したが、やはり前半で1本ほしかった。手塚にはエースとしての重圧があったのかもしれない。自分が取らないとという感じであまり状態は良くなかった」」と佐藤建剛監督は試合後にコメント。
4・5番のシングルスに入っても、両校が1点ごとに大ガッツポーズで応戦。どの試合も大熱戦の試合は、4番で鶴岡東の櫻井が魂の勝利。
「うちは泥臭くやらないと勝てないんですよ。明日も泥臭くいきます」と杉野森監督。
昨年、怒涛の決勝進出を果たした鶴岡東、2年連続決勝進出にあと1勝だ。
●男子学校対抗3回戦
愛工大名電(愛知) 3−0 安田学園(東京)
関西(岡山) 3−2 富田(岐阜)
遊学館(石川)3−1 帝京安積(福島) 
野田学園(山口) 3−0 日本航空(山梨)
明豊(大分) 3−0 北科大(北海道)
明徳義塾(高知) 3−0 育英(兵庫)
鶴岡東(山形) 3−0 埼玉栄(埼玉)
静岡学園(静岡) 3−2 東山(京都)

3回戦のスコアはほとんどが3−0だが、試合内容は激しく、どちらに転んでもおかしくはないないようだった。
それは愛工大名電も同じで、この舞台では一分の余裕はない。安田学園の伊藤に谷垣がゲームオールジュースまで追い込まれ、ダブルスも大熱戦。名電が隙を作ったら、すぐにでもひっくり返されてしまう展開だった。
逆に言えば、安田学園はオール1年生のメンバーで素晴らしいプレーを見せてくれた。「学校としてインターハイは6年ぶりですが、彼らとは中学から一緒で4年間戦ってきています。だからやってくれるんじゃないかと思っていました。伊藤も名電や野田学園に勝ちたいと準備してきましたから。彼らが中学に入ってきた時に日本一になりたいと言ってくれた。来年、再来年で日本一を目指したい」(行田監督)

もうひとつ、見応えのある試合となったのは関西vs富田だ。
ダブルスは富田が取り、2−1で折り返したが、後半のダブルスが一進一退の粘り合い。この舞台、それも8入りを決める試合で緊張しない選手はいないだろう。観客席にも緊張が伝わるようなラリー戦、最後にボールを入れきった関西が逆転勝ちを収めた。
女子学校対抗3回戦、済美が強豪・横浜隼人を破って歓喜のベスト8入り。エース木塚を中心に、勝負の要(かなめ)であるダブルスを取ったのが大きく、勝負強さが光る4番黒田が試合を決めた

「ベスト8の壁を破れという周りからのプレッシャーがあったけど、今回は思った以上に選手が頑張ってくれた。4番の黒田も普段は崩れてしまうところだけど、最後まで粘り切ってしっかりやってくれました」(木塚監督)。1971年の第40回大会では女子学校対抗優勝も果たしている済美だが、このベスト8には価値がある。

2大会連続2回目の出場となる萩光塩学院は、武蔵野を破ってベスト8進出の快挙。2番でバック強打が武器の川本が、3ゲーム目にマッチポイントを奪いながらも逆転され、最終ゲームも中盤で大きくリードされながら逆転勝ち。流れを引き寄せて、3番ダブルスも大接戦を制した。どの選手も伸び伸びと、持てる力を出し切るプレーに好感が持てる。

真岡女子は遊学館に1−3で敗れてベスト16で大会を終えたが、バックハンドの名手・矢口がストレート勝ちでチームに1点をもたらした。2022年のとちぎ国体に向け、強化がスタートした第1期のメンバーが今年の3年生。「男子にできることは女子にもできるという発想で、攻撃的なプレーを目指してきました」と真岡女子の星野監督。かつての「ショートの真岡」「カットの真岡」とは違う、伸び伸びとした両ハンドの攻撃スタイルを見せた。
●女子学校対抗3回戦(ベスト8決定戦)
四天王寺(大阪) 3−2 大成女子(茨城)
希望が丘(福岡) 3−2 富田(岐阜)
済美(愛媛) 3−1 横浜隼人(神奈川)
明徳義塾(高知) 3−1 札幌大谷(北海道)
桜丘(愛知) 3−1 滋賀学園(滋賀)
萩光塩学院(山口) 3−1 武蔵野(東京)
就実(岡山) 3−0 日南学園(宮崎)
遊学館(石川) 3−1 真岡女子(栃木)

試合後、ほとんどの選手たちが涙を流していた。5番大川が最終ゲーム5−9でリードされ、さらに9−10、10−11と二度のマッチポイントを奪われた四天王寺。か細い綱を渡り切り、ベスト8進出!

2台進行となった3回戦、前半で菅澤が出澤の連続スマッシュを止めきれず、三浦が両面裏ソフトの佐藤のカットを打ちあぐんだ四天王寺。2戦続けて完敗を喫し、まさかの0−2スタート。3番ダブルスは完勝し、4番高橋も勝利したが、5番大川対小林の一戦がゲームオールにもつれる。

小柄ながら勝負度胸満点の大成女子・小林はフォアのカウンタースマッシュを連発。中陣に下げられてからも、苦しい相手の心理を見透かすように、弧線の高いドライブでコースを突いてから反撃した。最終ゲームは9−5と小林がリードしてから9−9。小林のフォアストレートへの3球目フォアスマッシュで10−9、さらに11−10と小林が二度のマッチポイントを奪ったが、大川が堅いレシーブでしのぎ切った。

「カットの佐藤の出来が良くて、2-0になった時に3-0でいけるかなと思ったけど、ダブルスが厳しかった。小林は良い勝負をするだろうと思っていましたが、そこを勝ちきれなかった。本人たちは一生懸命やっていたし、ここを決勝戦だと思ってやろうと言っていた。結果がすべて、勝った者が強いんです」(大成女子・関川監督)
 女子学校対抗のベスト16の顔ぶれは、地区別にすると「北海道1・関東4・北信越1・東海2・近畿2・中国2・四国2・九州2」という内訳。東北地区からのベスト16入りがなかったのは残念。一方で関東からは、大成女子、真岡女子、武蔵野、横浜隼人と4校がベスト16に入った。

 5年ぶりのインターハイ出場となった真岡女子のベスト16入りは、オールドファンにはうれしいニュースかもしれない。かつて名伯楽・大島俊之助氏の指導のもと、徹底的に守備力を鍛えるスタイルで1974・75年女子学校対抗2連覇。75年世界選手権女子ダブルス優勝の高橋省子をはじめ、菅谷佳代・福田法子などの世界代表を輩出した。女子学校対抗3回戦の組み合わせは下記のとおり。

●女子学校対抗3回戦(9時開始予定)
四天王寺(大阪) vs. 大成女子(茨城)
富田(岐阜) vs. 希望が丘(福岡)
横浜隼人(神奈川) vs. 済美(愛媛)
札幌大谷(北海道) vs. 明徳義塾(高知)

桜丘(愛知) vs. 滋賀学園(滋賀)
萩光塩学院(山口) vs. 武蔵野(東京)
就実(岡山) vs. 日南学園(宮崎)
真岡女子(栃木) vs. 遊学館(石川)

四天王寺は初出場ながら16強入りの大成女子と対戦。大成女子のエース・出澤対策を入念に練っていると聞く四天王寺だが、学校対抗でその成果を見せるか。ともに前回ベスト8の富田対希望が丘は、激しいラリーの応酬になりそうだ。