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速報・現地リポート

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世界選手権モスクワ大会(団体戦)

  〈日本男子 vs. 中国〉
 吉田 -6、馬琳
 水谷    vs.    馬龍
 岸川    vs.    張継科
 水谷    vs.    馬琳
 吉田    vs.    馬龍

 吉田、馬琳の複雑なモーションのサービスに苦しみ、第1ゲームを落とした。第2ゲームは5-6から強烈なバックプッシュを決め、6-6のタイ。
  〈日本男子 vs. 中国〉
 吉田    vs.    馬琳
 水谷    vs.    馬龍
 岸川    vs.    張継科
 水谷    vs.    馬琳
 吉田    vs.    馬龍

 日中専門誌のオーダー予想は完全に的を外した。中国は国内選考会で苦戦した馬琳をここで2点起用、対する日本は吉田海偉を2点起用し、トップは吉田対馬琳だ。
●女子準決勝
 〈シンガポール 3-0 ドイツ〉
○馮天薇 15、5、7 呉佳多
○王越古 5、-6、3、-8、11 ジルベライゼン
○スン・ベイベイ 7、1、4 ヴィンター

 シンガポールが広州大会に続く決勝進出を決めた。
 トップは馮天薇と呉佳多のエース対決、第1ゲームで呉が馮天薇から何度もゲームポイントを握ったが、15-14の場面でサービスミス。このゲームを落とし、馮天薇の安定感とパワーを兼ね備えた両ハンドドライブに屈した。
 惜しかったのは2番ジルベライゼン。回転量の多いバックドライブと、強引な回り込みドライブ攻撃で王越古から最終ゲーム9-6とリードしたが、ここで勝利を焦ったか、王越古に逆転負けした。
 3番ヴィンターは香港戦で張瑞を下しており、注目されたが、第2ゲーム10-0まで離されるなど、スン・ベイベイとの実力者は歴然。後陣で粘ってからのカウンターなど、会場を沸かせるプレーもあったが、ストレートで敗れた。

 下写真左は馮天薇、右はジルベライゼン
 〈日本男子 vs. 中国男子〉
A 水谷隼   -   馬龍
B 岸川聖也  -   王皓
C 吉田海偉  -   張継科(or許シン)

 〈日本女子 vs. 中国女子〉
A 福原愛   -   劉詩ウェン
B 平野早矢香 -   丁寧
C 石川佳純  -   郭炎

 中国の卓球雑誌「ピンパン世界」の宋斐記者に中国のオーダーを予想してもらった。さすがに「オーダーはトップシークレット」だそうだが、「馬龍をトップにもってくるだろう、馬琳は出さない。3番手は張継科か許シン」と読んだ。女子は意外にも「丁寧が2点で出てくる、3番手はベテランの郭炎」と予想。今大会、故障を抱える郭躍は出場機会が少ない。「男子は日本にもチャンスがありそうだけど、女子はやはり厳しいと思う」。
 日本は男女チームとも、エースをトップに出す真っ向勝負のオーダーと読む。女子は石川の爆発力に期待したい部分もあるが、ここに来てオーダーを大きく変えることはなさそう。男子のトップで水谷と馬龍のエース対決が実現すれば面白い。

 日本が男女チームとも準決勝まで勝ち進み、中国越えを挑む。男子の決勝トーナメント1回戦のオーストリア戦と準々決勝の香港戦、女子の準々決勝の韓国戦。厳しいと思われた組み合わせを、日本はすばらしいプレーで乗り越え、勝ち上がってきた。中国は若手が強い日本を警戒し、全力を挙げて叩きつぶしに来るだろう。しかし、準決勝で中国と当たることさえ、決して「不運」とは言わせないムードが、今の日本チームにはある。

 下写真は中国の馬龍(左)と丁寧(右) 
 5月26日のシャララ会長の記者会見で五輪のシングルス出場枠について語ったが、ITTF(国際卓球連盟)は28日付でロンドン五輪に関して以下のプレスリリースを流した。

 26日のITTF総会で2012年ロンドン五輪でシングルスを2名に制限する出場枠についての提案が、28日のITTF執行役員会で承認された。
 選手の全体の出場枠は北京五輪と同じく、男女86名ずつだが、シングルスの出場枠が一国(NOC=各国のオリンピック委員会)3名から2名に減らす。すべての選手は五輪憲章に従い、NOCによって公認されなけばいけない。
 男女72名ずつの選手は以下のように選ばれる。
・ 世界ランキングから28名(各NOC最大2名まで)
・ 大陸予選によって40名
・ 世界最終予選によって2名
・ 第三者委員会による招待選手1名
・ 開催国のNOCからの直接エントリー1名
合計72名
 残りの14名の枠は団体戦のためのチーム編成のために使われる。
 日本から一本だけ持ってきたアリナミンV。とうとう出番がやってきました。もう一本はウォッカ対策の「ウコンの力」、こちらは多分出番はないでしょう…。

 また、会場のプレスシートは、ふつうの強化プラスチックのイスに仮設のテーブルを載せただけのもの。ここに昨日は14時間以上座っていたので、さすがに体がバリバリ。一昨日合流した伊藤ジョータ氏が、ホテルからクッションを借りてきてくれました。

★5月29日のタイムスケジュール 
10:00~(日本時間15:00~)    女子準決勝[ドイツ vs. シンガポール]
13:00~(日本時間18:00~)    男子準決勝[日本 vs. 中国]
16:30~(日本時間21:30~)    女子準決勝[日本 vs. 中国]
19:30~(日本時間30日0時30分~)  男子準決勝[韓国 vs. ドイツ]

 ここ3日ほど雨模様だったモスクワだが、今日は爽やかに晴れ渡った。何かが変わりそうな朝だ。
 本日のタイムスケジュールは上記のとおり。男女準決勝が行われ、日本男子は13時から、日本女子は16時30分から中国と相まみえる。

 昨日の日本の戦いぶりはすばらしかった。男女とも勝利の後は満面の笑顔。感激の涙や、何かを達成した虚脱感はそこにはなかった。「馬龍とやりたい、彼を倒したい」と語った水谷隼、「大舞台で中国とやれるのは嬉しい」と語った福原愛、両エースのコメントも頼もしい。中国も日本を相当警戒しているだろう。

 昨日はホテルで食事を終えたのが1時半すぎだった王国取材班。しかし、今日「疲れた」などと言うつもりは毛頭ない。日本の皆さんも、日本から熱いエールを日本選手団に送ってください!
●男子準々決勝
 〈中国 3-0 ベラルーシ〉
○馬龍 8、9、2 サムソノフ
○王皓 2、6、-6、7 チチェチニン
○許シン 3、10、7 プラトノフ

 〈ドイツ 3-0 ロシア〉
○ボル 11、6、5 スカチコフ
○オフチャロフ -9、4、3、-5、7 スミルノフ
○ズース 9、-8、6、-6、5 クズミン

●女子準々決勝
 〈中国 3-0 オランダ〉
○劉詩ウェン 9、-2、5、9 リー・ジャオ
○丁寧 8、-10、4、-8、7 リー・ジエ
○郭炎 3、3、2 ノウウェン

 中国は男女ともストレート勝ちで準決勝進出。団体9連覇を狙う中国女子は、2番で丁寧がリー・ジエと接戦。課題であるカット打ちの克服に取り組んでいるが、まだ不安がある様子だった。日本女子の大熱戦のため、試合開始が2時間近く遅れた男子のドイツ対ロシアは、ストレートでドイツが勝利。
 下写真は3番でクズミンを破り、吠えるズース。
 トップの平野選手の朴戦は、2ゲーム目の8-10から促進ルールに入ったのが勝負の分かれ目でした。韓国の対平野の戦術は徹底していたが、平野もそれを上回るほど徹底していた。
 日本チームが良かったのは、1ゲーム目を取っていたこと、そしてスコアで2点離れた時の次の1本が良かった。つまり2点(本)離されて、次の1点を取られたら3点差になるところを、1点取るから、そこで1点差に詰めている。各ポイントでそういう場面が多かったために、相手が焦っていたのがわかった。
 全体の流れの中での最大のポイントは3番の石川戦だった。0-2になった時に吹っ切れたのではないか。1,2ゲーム目はフォア前、ミドルへのサービスが少なかったが、3ゲーム目から変えた。フォア目のサービスとミドルへの攻撃を多くした。1ゲームを取った時に、これはいけるかも、と思った。
 福原選手の場合は、2番の負けた試合でも収穫があったと思う。フォアでカット打ちをしていて負けると思ったら、ツッツキのラリーに持っていった。金キョン娥は百戦錬磨、経験の差が少しだけ出ていた。ただ内容的には、こういう戦術を使わなければ勝てないという内容の試合だった。逆に、福原戦での韓国ベンチを見ていると、勝った試合も負けた試合も戦術がはっきりしていなかった。それはあまりに福原選手の意外性が多かったからだろう。選手は対応しきれなかったし、韓国ベンチの指示がはっきりしてなかったし、迷いが見られた。
 福原選手は金戦ではツッツキで粘り、朴戦はバックハンドで粘っていた。彼女の今のフォアハンドでは難しいけど、朴戦のように、相手がツッツキをボトッと落としたり、ポンと浮かしてそれをバックハンドでスマッシュするとか、福原選手は戦術が徹底していた。逆に相手は戦術が徹底していなかった。
 いかにそのゲーム、その状況に応じた戦い方ができるかというのは、勝負の鍵になってくる。競った時にどちらが耐えられないか、どちらが実行するのかというのがポイント。日本は、明らかに実行していた。
 韓国は、今までずっと、競ったら勝てるという自信があったのではないか。今回は競ったら自滅していた。予選リーグで負けたショックもあったかもしれない。
 日本はぶれなかった。ここで1本取られたら嫌だとか、ここで1本ほしいから入れていこうというような、心理的なブレがなかった。いつもは韓国がぶれないのに、今日は日本がぶれなかった。日本選手の自信、勢い、技術の向上、戦い方の向上が見えた試合だった。
 5時間の死闘を終えて村上恭和監督のコメント
「カットマンとの4試合はこうなると思っていました。とにかく粘れと。打ち急ぐなと。促進ルールも計算済みでした。北京五輪終わったあと、韓国に勝てないとメダルは獲れないということで、カット対策ということで、プロツアーにもカットマンを帯同させ、専属のカットマンをつけてきました。その練習効果は出ていますね。
 石川は唐にバックへ長いサービスを使っている時が勝っているのに、1,2ゲーム目で全然出さなかった。それを使って流れが変わったし、それを実行できるのは石川のすごいところ。福原は金より朴のほうが勝ちやすい。金戦は早く負けるな、平野とやるまで疲れさせろという作戦もあった。
 福原は、タイペイ戦の鄭に負けたのが一番悪い福原で、そのあとは世界のトップに勝つ福原に変わった。
 今までは、中国は当たって砕けろだったけど、追い詰めるよ、という気持ちです」

 ラストで朴美英に勝った福原愛。涙はなく終始笑顔だった。
「最後、10-4の時は相手のミスではなくて自分で決めようと思っていたので、すごいうれしかった。ラストは2人が回してくれたので無駄にしたくなかった。2番の金戦は経験の差かなと思いました。あそこで私がしっかり勝っていれば3-0で勝ったのにと思った。 
 バックハンドが良かった? フォアハンドばかり練習していたのに(笑)。(ラストの)2ゲーム目、5-1で勝っていて負けたので、ガックリ来ていたけど、みんが後ろについているし、たくさんの方々が応援しているのであきらめちゃいけないと思いました。5時間ですか? すごい!お腹がすいてきていた(笑)。
 北京五輪で2回も負けて、メダル決定戦での韓国の(勝利の)キャーッという声が耳から離れなくて、試合前も思い出して、絶対に勝つという気持ちがあった。最後まで勝てると信じていた。今日は誰一人欠けても勝てなかった。
 ずっと中国とやりたいと思っていた。満足しないで、大舞台で中国とやれるのはうれしい」