スマホ版に
戻る

速報・現地リポート

トップニュース速報・現地リポート

世界ジュニア

●男子
日本3-2チャイニーズタイペイ
韓国3-0香港
中国3-0ドイツ
フランス3-0ポーランド

●女子
中国3-0韓国
ドイツ3-2アメリカ
香港3-1クロアチア
日本3-0ルーマニア

準決勝は、男子:日本vs韓国、中国vsフランス、女子:中国vsドイツ、香港vs日本
●女子団体準々決勝
 日本 3−0 ルーマニア
○谷岡 3、8、5 バリン
○前田 5、12、10 スッチ
○加藤 12、4、6 チオバヌ

 「今日のオーダーは驚きはないですよ」という試合前の岸監督の言葉どおり、谷岡・前田の2点使いに、3番加藤のオーダーで臨んだ日本女子。
 トップでカットが打てないバリンを谷岡が完璧に下し、続く2番では昨日の練習でカット打ちをやり込み、やや自信を欠いていたフォアハンドの精度を高めた前田が、スッチに完勝した。「古いデータではあるけれど、3年前の対戦では前田が勝っていた。だからスッチに当てにいったけど、ストレートでの勝利は驚きましたね。フォアハンドを強く当てるようにアドバイスして、第2ゲーム以降は台上でも強いボールが打てていたと思います」(岸監督)。

 そして会心のプレーを見せたのが3番の加藤。「押せば引く、引けば押す」という絶妙なラリーはとても中学1年生とは思えない。レシーブから目の覚めるようなバック強打を見せたかと思えば、相手がカウンターで狙っているところへループドライブを送ってミスを誘う。「アドバイスをしたら、それをすぐに実行に移せる子なんです」と岸監督。国内でしまわれていた引き出しが全開になったかのように、見事なラリーの「対話力」を見せた。

 難敵・ルーマニアに完勝し、試合後に今大会一番の笑顔がのぞいた日本女子。続く準決勝は香港対クロアチアの勝者。香港の勝利が予想されるが、果たして。上写真はフォア前・ミドル前から相手のフォアへ流す、チキータの逆回転バージョン、加藤美優(みゆ)の得意技「ミユータ」。これに切れたツッツキを混ぜると結構効く。
 選手団のオフィシャル・ホテルであるアディタヤ・サロヴァール・プレミアの4階フロアには、深夜にも関わらず、「ギャアァ−!」「アハハハハ!」「オーマイガーッ!」という選手たちの嬌声が響き渡っている。みんなよく打ち、よく食べ、よく笑う。青春ですね。
 しかし、選手たちに告ぐ。修学旅行じゃないんですよ、早く寝なさい。

 男女団体は第2ステージが終了。その5分後にドローが行われ、準々決勝の対戦カードが決定した。

●男子準々決勝
日本 vs. チャイニーズタイペイ
香港 vs. 韓国
中国 vs. ドイツ
ポーランド vs. フランス

●女子準々決勝
中国 vs. 韓国
ドイツ vs. アメリカ
香港 vs. クロアチア
日本 vs. ルーマニア

 日本は男子チームがチャイニーズタイペイ、女子がルーマニアと、なかなか気の抜けない相手との対戦。男子のチャイニーズタイペイは、今日の中国戦で樊振東から1ゲームを奪った李佳陞と、10年ユース五輪銀メダルの洪子翔がいる。この両選手がどこまで村松のカットを打てるのか。
 女子のルーマニアは、第2ステージでアメリカに負けたのは予想外だった。スッチがリリー・チャンに打ち合いで敗れたのが大きく響いた。日本も前半でスッチから勝ち星を挙げれば、流れを大きく引き寄せられるはず。

 明日11日は男女団体の準決勝まで行われる。下写真は第2ステージで1ゲームも落とさない圧倒的強さを見せた中国女子チーム。試合を離れると表情は明るく、笑顔が絶えない。エース朱雨玲(写真右)も笑うとなかなかカワイイんです。
 今大会もやはり別格の強さを見せる中国。中国の試合が行われるコートには、各国のコーチ陣が立てたビデオカメラの三脚がたくさん立てられている。もちろん日本チームのビデオカメラも、その中にはある。

 もちろん中国にも油断はない。日本チームが試合をしているコートに選手がやってきて、ビデオカメラを回していく。常に全コートで最も早く試合を終える中国女子は、今日のロシア戦が終わった後、ずっと日本の試合を観戦していた。中国にとってマークすべき相手は日本、韓国、香港のアジア勢に絞られるが、その中でも2年前に苦杯を喫した日本は、最も注意すべき相手なのかもしれない。
 上写真は日本戦で谷岡に敗れたP.ゾルヤ(ドイツ)、下写真はスッチ(ルーマニア)。ドイツとルーマニアという、欧州女子を代表する2大強国のホープとして、ヨーロッパユース選手権で火花を散らしてきたふたり。しかし、今大会のプレーを見る限りでは、ここ2、3年は大きな技術的進歩は見られないのではないか。

 P.ゾルヤは身長が伸びて体が大きくなったが、卓球がそれに合わせてスケールアップしていない感がある。台上のプレーも繊細さを欠き、持ち味であるフォアのパワードライブに結びつけられない。他のヨーロッパ女子からも感じることだが、身体の大きさを「武器」と言えるようになるまでには、やはり筋力が必要なのだ。P.ゾルヤもヨーロッパでは優位を保てても、アジアに対しては厳しい。
 両ひざにサポーターをしたスッチは、世界ジュニア選手権もすでに4大会目の出場。大会の顔というべき選手だが、故障の影響もあるのか、体が絞り切れていないようにも見える。小柄ながらラリー戦での強さが目を引いていたが、体格をカバーする新たな武器がなければ、今後も苦しい戦いを強いられそうだ。

 両選手とも華のある選手だけに、また上昇気流に乗ってほしい。
 第2ステージ初戦のチャイニーズタイペイ戦では、世界ジュニア経験組の谷岡と前田を2点起用。一方、ヤマ場と思われた第2戦のドイツ戦では、伊藤の2点起用に3番で加藤を出場させるなど、意表を突く用兵術を見せた日本女子チームの岸卓臣監督。試合後、三原孝博コーチと「うまくいったな」と安堵の表情を見せた。三原コーチとともに、3とおりのオーダーの中から選んだ苦心のオーダーだった。

 「昨年までエースだった石川がいなくなり、オーダーは非常に迷いました。確実な得点源はいない。細心の注意を払って戦う必要があった。特にドイツ戦は、ロシアのノスコワ、アメリカのアリエル・シンと各チームのエースが欠場する中で、P.ゾルヤのいるドイツが一番イヤだと思っていた。
 意外だけれど、谷岡も前田もP.ゾルヤとは今まで当たったことがない。不安はありましたが、とにかく前半で谷岡をP.ゾルヤに当てようと。もう一度ラストで谷岡まで回るのは想定内で、その上で3−0で決着をつける展開を狙っていきました。P.ゾルヤはプレーそのものは結構単調なので、(左利きだから)バックサイドには強打、フォアサイドには軽打しか来ないと伝えた。事実、そのとおりの試合展開になりました。
 伊藤の2点起用は、伊藤と対戦することが相手にとってもプレッシャーになると感じた。今日は監督判断で、ゴーサインを出しました」(岸監督)

 「今回のメンバーは谷岡はエース格だけれど、あとは誰が2点使いでも良いと思っている」と語る岸監督。「実際に試合に出ていかないと成長もない。今回は過渡期、移行期。少し大胆に戦っていこうと思う」。
 ドイツ戦で世界ジュニアの初陣となった加藤も、3番に下がってきたドイツの2番手ミッテルハムを振り切り、初陣を勝利で飾った。第1サービスでいきなりサービスを一発フォルトにとられながら、動じない大物ぶりを見せた。日本女子は明日の準々決勝も総力戦で勝利を目指す。

上写真は試合後に握手する日本女子とドイツ。下写真は3番で加藤に敗れたミッテルハム
 ポーランド戦トップで酒井が1敗を喫したものの、明日の準々決勝へ進んだ日本男子。
 ハンガリー戦、ポーランド戦では腰の状態に不安がある町を温存し、村松・吉田・酒井の3人を起用した。村松も右ひじにテーピングをしており、試合後はすぐにアイシング。ジュニアとはいえ、すでに日本のトップクラスである選手たち。故障とのつきあい方も、常に課題となる。

 「もっと楽に勝ちあがれると思ったけど、酒井が落としたのでちょっとヒヤッとした。選手の出来はぼくの感覚ではまだ4~5割くらい。プレーが硬いですね」と試合後の河野正和監督。
 「今年は丹羽がいない。そこでチャンスをつかめと選手にはハッパをかけている。それでも吉田や町はこれが最後の世界ジュニアだし、結果を残したいという思いは強いでしょうね。ジュニアでは必ず勝たなければならないとは思っていない。どれだけ経験を積ませられるか、どれだけ成長できるかが大事で、その上で結果が残せれば一番良い」(河野監督)。

 下写真は第1戦のハンガリー戦では会心のプレーを見せた一方で、ポーランド戦では自分で試合をコントロールできない時の戦術転換に課題が見えた酒井。大会中にどんどん成長してほしい。
●男子団体第2ステージ
 日本 3−1 ポーランド
 酒井 −9、5、−9、−3 ディアス○
○村松 6、11、9 クルパ
○吉田 9、−5、9、8 バンコス
○村松 9、−3、7、6 ディアス

●女子団体第2ステージ
 日本 3−0 ドイツ
○谷岡 11、8、9 P.ゾルヤ
○伊藤 8、−7、8、10 クラフト
○加藤 −9、1、10、6 ミッテルハム

 男女団体第2ステージの第2試合、日本は男子がポーランド、女子がドイツを下し、明日の準々決勝進出を決めた。これでベスト8以上が確定した。
 上写真はポーランド戦で2点を挙げた村松。バックカットの変化が冴えた。下写真はドイツ戦3番で、3番に下がってきた相手チームの2番手ミッテルハムを破った加藤。
●男子団体第2ステージ
 日本 vs. ポーランド
 酒井 vs. ディアス
 村松 vs. クルパ
 吉田 vs. バンコス
 村松 vs. ディアス
 酒井 vs. クルパ

●女子団体第2ステージ
 日本 vs. ドイツ
 谷岡 vs. P.ゾルヤ
 伊藤 vs. クラフト
 加藤 vs. ミッテルハム
 伊藤 vs. P.ゾルヤ
 谷岡 vs. クラフト

 男女団体第2ステージの第2戦。日本は男女とも思い切ったオーダーを組んできた。男子は吉田を3番に下げ、村松と酒井を2点起用。女子は伊藤を2点起用し、3番に加藤を使ってきた。河野監督、岸監督の勝算やいかに?
 日本 3−0 チャイニーズタイペイ
○谷岡 −5、8、9、−6、8 許雅ティン
○前田 −6、7、−8、7、3 黄郁ウェン
○伊藤 −8、6、2、−6、8 邱嗣樺

 日本女子もチャイニーズタイペイを下し、初戦を白星スタート。しかし、岸卓臣監督は「難敵でしたね〜」と試合後にチャイニーズタイペイを評した。
 タイペイはランキングの上では4番手の許雅ティン(女+亭)をトップ谷岡にぶつけてきた。思い切った用兵術だった。許はフォア表、バック粒高の変則的な前陣攻守で、バックの粒高で巧みに変化をつけ、フォアはひたすらツッツキ、あまいボールだけ強打。とにかく徹底的に粘る、カットマンにはもっともいやなタイプだった。谷岡も勝利を意識して堅くなった印象があり、持ち前のバックドライブにもミスが多かったが、それでも最後の最後まで、必死にボールに食らいついた。ゲームオール8点での勝利、試合後に笑顔はなく、ひたすら安堵の表情だったが、よくトップで勝ってくれた。

 2番前田はゲームカウント1−2の2−5から徐々にリズムを取り戻し、逆転勝ち。サウスポー対決だったが、終盤はうまくコースを突いた。3番で起用された伊藤は、勝利を意識して堅くなる場面もあったが、無理なボールはしっかりツッツキ、フォアに飛ばされたらループでミスを誘い、あまいボールはスマッシュ。ボールのコンセプトがしっかりしていた。

 初戦は苦しんだほうが流れに乗れるケースも多い。続く第2戦、ドイツ戦に期待だ。