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世界ジュニア

●女子団体決勝
 中国 3−0 日本
○朱雨玲 6、11、3 伊藤
○顧玉ティン 9、8、2 谷岡
○顧若辰 −9、4、5、4 前田

 日本は中国と競り合うゲームはあったものの、3番前田が1ゲームを奪うにとどまった。王者・中国のプレーも相当硬かった。しかし、日本は細かいネットプレーやブロックなどでミスが多く、点差を詰め切れなかった。

 1番伊藤の2ゲーム目、あるいは2番谷岡の2ゲーム目、ここを日本が取っていれば流れは変わったかもしれない。特に2番顧玉ティンはカット打ちに不安があり、2ゲーム目に1−9から8−9まで谷岡が追い上げ、完全に逆転ムードだった。しかし、ここを競り負けて、3ゲーム目は楽になった顧が思い切りパワーボールを打ち込んできた。
 3番顧若辰もベンチで不安げな表情をのぞかせていたが、前田のバックに切れたツッツキをおくり、バックドライブや強打のミスを誘った。今年で10回目の世界ジュニア選手権で、女子団体では中国が2大会連続9回目の優勝となった。

 写真上は2番の谷岡対顧玉ティン。途中、顧のカット打ちは崩れかけていたのだが…。写真下は優勝を決めた後の中国ベンチ
 間もなくスタートする女子団体決勝。場内の電光掲示板に、トップの対戦カードが発表された。日本は小学6年生の伊藤美誠、中国は一昨年の女子チャンピオン・朱雨玲。
 両チームの練習が終わった。さあ、取材も張り切っていきます。
 女子団体決勝を待つ会場。メディア席の隣に座っていろいろ喋ったのが、インド・Hmtvのスポーツアナウンサー、グルプラサドくん。地元のテルグ語でおはようは「シュボテヨン」、ありがとうは「ダニヤワダル」、なんてありきたりな会話の中で、こんなトークが。

 「卓球は時々やるよ」と言っていたグルプラサドくん。インドにも卓球場があるのか、それとも体育館でやるのかと思って、「卓球がやりたくなったら、どこへ行くの?」と聞ききましたところ……。
 「Table tennis? No!」
 ……イヤ、あなたさっき「卓球ときどきやる」って言ったでしょ。なんとも明るく「No!」と言われてしまったのでした。まあ、卓球はインドではポピュラーとは言えません。3番目に人気があるのがバドミントンだとかで、それはちょっと悔しい。

 日本人はテニスの「ニシコリ」しか知らないと言っていたグルプラサドくん。カメラを向けると、ごらんのとおりバッチリ決めてくれました。「日本人はみんな顔がフラットでしょ、インド人は彫りが深くて、みんなアクターみたいだね」と言ったら、「フフン」と笑ってまんざらでもなさそうでした。
 写真は世界ジュニア初出場ながら、団体の主力メンバーとして起用されている中国の樊振東(ファン・ジェンドン)。修行中の板前のようなルックスだが、これでまだ15歳。ドラム缶のような筋骨隆々とした体つきで、台上から猛烈なパワードライブを放ったかと思えば、中陣でのつなぎからバックドライブでぶち抜く。
 中国男子チームでいうと、09年世界混合複優勝の張超をよりパワフルにしたタイプか。今年7月のアジアジュニア選手権で優勝し、一躍注目を集めたが、それまでは国際大会にはほとんど出たことがなかった。日本男子にとっては、ある程度手の内が読めていて、打球点が落ちる林高遠よりも、この樊振東のほうが嫌なタイプ。

 ちなみに今大会の中国男子、シェークの3人はいずれも、現世界チャンプの張継科と同じラケットを使っている。準決勝では出場しなかったが、右シェークドライブ型の徐晨皓のフリーハンドは、馬龍によく似ていた。やはり先輩たちへの憧れは強いのだろうか。
 昨日、電光掲示板にちょこんと乗っていたエレファントちゃん。インドなので、たぶんインドゾウでしょう。どこの国の選手がやったものか、ちょっと癒されました。
 世界ジュニア速報、大事な準決勝のアップが遅くなってスミマセン。
 本当は会場でアップしたかったのですが、日本の試合が終わって大急ぎでカメラを片付け、会場正面へ走っていったら、日本選手団を乗せた最後のバスがもう発車しかけていました。これを逃すとどうなっていたやら。まあ、誰かしらが「じゃあこの車に乗っていけ」と言ってくれるのがインドのようですが。

 ホテルに帰ったら、今度はインターネットのWi-Fiがつながらなくなって、深夜に何度もフロントに行きましたが、「システムの調子が悪い、15分後には大丈夫でしょう」「1時間待ってください」と暖簾に腕押し。今朝は別の方法でなんとかアクセスできました。会場でも電源が来なくなったり、急に照明が落ちたり、本当に照明が落ちてきたり…(非常灯が天井から落ちてきて、フロアで割れてました)。試合の電光掲示板は、操作をしているのがちょっとお年を召した方々なので、スコアはまったく当てになりません。

 それでも、大会役員も現地の報道関係者も本当に親切。選手団が泊まるホテルも快適です。ホテルで選手たちが食べている夕食、ビリヤニやカレー、スパイスの効いたラムやマトンは最高に美味しいです。編集部の皆サン、ボクだけゴメンナサイ。

 今日は勝負の男女団体決勝、16時(日本時間19時半)から女子団体決勝、17時45分(日本時間21時15分)から男子団体決勝。ただいま、蚊の乱舞するホテルのロビーで原稿を打っていますが、先ほど男子の選手たちが脈拍と体重のチェックをしていました。午前中は休養に当てるそうです。
 若くても選手たちの気力と根性は、さすが日本代表。監督、コーチ、マッサーにドクター、スタッフの方々もプロの仕事をしています。現地取材と速報も頑張ります。下写真は会場に向かう途中の風景。
●男子団体準決勝
 中国 3-1 フランス
○樊振東 9、5、5 ゴーズィ
○林高遠 9、8、9 フロール
 范勝鵬 9、-8、8、-10、-12 アングレ○
○樊振東 9、9、3 フロール

●女子団体準決勝
 中国 3-1 ドイツ
 顧玉ティン 10、-7、-7、-9 P.ゾルヤ○
○朱雨玲 4、2、6 クラフト
○顧若辰 6、-8、12、8 シュー
○朱雨玲 6、7、5 P.ゾルヤ

 団体準決勝で、中国が男女とも1点を落としている。
 まず女子団体準決勝。ドイツのP.ゾルヤが、思い切りの良い攻めで顧玉ティンとのサウスポー対決を制した。顧の強打に対しても決して守勢にならず、ただブロックするだけでなくカウンターで狙っていった。第5ゲーム10-9のマッチポイントでは、P.ゾルヤのバックドライブに顧のブロックが弾かれ、ボールが高く高く舞い上がった。ボールが落ちてくる途中で勝利を確信し、両手を高々と挙げたP.ゾルヤ。谷岡戦での低調なプレーがウソのように、積極果敢な攻撃で、ドイツ女子のエースの面目を保った。

 男子団体準決勝では、3番でこちらもサウスポーのエンゾ・アングレが、右ペンドライブ型の范勝鵬にゲームオールジュースで競り勝った。フランス女子チームからも「アレ!アレ!エンゾ!」の声援が送られる中、回転量の多いフォアドライブで范を押し切った。フランスはエースのシモン・ゴーズイが樊振東に歯が立たなかったが、2番フロールも林高遠と互角のラリー戦を見せていた。
 ガシアン、シーラ、エロワらのメンバーで中国と決勝を争った97年世界選手権を久々に思い出した。ヨーロッパのジュニア男子を牽引するフランス、その実力を十分に見せた。チームワークも最高だ。

写真は上からP.ゾルヤが勝利した瞬間、アングレ、フランス男子チームのベンチ
 強敵・香港に対して、厳しい試合となったが、ラストはインターハイチャンピオン・前田が締め、日本が決勝に進出!

●女子団体準決勝
 日本 3-2 香港
 前田 −6、−8、13、−9 杜凱琹○
○谷岡 8、−9、8、8 李清韻
○伊藤 7、3、7 林依諾
 谷岡 5、6、−5、−4、−10 杜凱琹○
○前田 4、6、8 李清韻

 非常に苦しい一戦だった。日本を苦しめたのは、香港の「ボンバーヘッド」杜凱栞。上背はそれほどないが、ガッチリした体格で一発のパワードライブは中国女子と互角の威力がある。トップの前田戦では台の中央に構えて、フォアはブロックと軽打で対応し、チャンスボールを強打。サウスポーの前田の広角のコース取りをうまく殺した。

 4番の谷岡戦でも、序盤は打ちミスが連続したものの、中盤から李清韻と同じようにツッツキとループで粘る作戦に切り替えた。最終ゲームは10-8で谷岡がマッチポイントを握っていたのだが、ここから杜が逆転した。試合後に岸卓臣監督は谷岡が2番の李清韻戦で腰を傷め、4番の谷岡戦が始まると同時に、5番前田をすぐ練習に行かせたことを明かした。

 ラストは前田対李清韻。ここまでフォアハンドの感覚が戻らず、谷岡とのカット打ちなどで必死で調整を行ってきた前田だが、準決勝ラストという大一番で闘争本能に火がついたか。積極的なフォアハンド連打とコースの厳しいバックハンドで、ストレート勝ち。日本の決勝進出を決めた。

上写真は前田、下写真は髪型のインパクトがすごい杜凱琹
●男子団体準決勝
 日本 3-1 韓国
○吉田 7、3、3 崔徳和
○村松 11、2、−5、−4、11 チャン・ウジン
 酒井 9、−9、−5、−5 金民赫○
○村松 −10、9、11、6 崔徳和

 準々決勝でチャイニーズタイペイに薄氷を踏む勝利だった日本男子。苦しい一戦でチームの屋台骨を支えた吉田雅己(上写真)が、この韓国戦でも先陣を切った。攻撃力のあるカット主戦型・崔徳和に対し、弧線の低いループドライブで正確に攻め、チャンスボールはミドルへ強打。第3ゲームは崔が戦意を喪失するほど、完璧なカット攻略を見せた。崔のカットはフォアは切れておらず、バックはよく切れていたが、その変化にもまったく引っかからなかった。

 そしてタイペイ戦の敗戦から奮起し、2点取りを果たしたのが村松(下写真)。2番の張禹珍(ジャン・ウジン)戦の出足から、素晴らしく気合いが入っていた。試合後、河野正和監督は「タイペイ戦では自分が1点落として、チームも苦しんだ。自分が落とすとどれほど苦しい試合になるか、よくわかったと思う。韓国戦は、自分がエースとしてしっかり2点取るぞという、村松の気力の勝利」と彼の健闘をたたえた。
 4番では崔とのカット対決となり、序盤は打ちミスを連発していたが、徐々に安定感と思い切りの良さが出てきた。「エースとして一戦一戦を経験していって、本物になっていくと思う。だから村松の勝利は本当に日本にとって大きかった」(河野監督)

 明日の中国戦、中国は経験豊富な林高遠とパワーヒッターの樊振東(12年アジアジュニア優勝)が主軸。今の吉田の状態は非常に良い。村松も連戦の疲労はあるとはいえ、準決勝での2勝は大きな自信になったはず。05年大会以来の表彰台の頂点も、十分に狙える。
●男子団体準々決勝

 日本 3-2 チャイニーズタイペイ
 村松 1-3 李佳陞○
○吉田 3-0 洪子翔
 酒井 0-3 寥振ティン○
○村松 3-2 洪子翔
○吉田 3-0 李佳陞

 さすがの河野監督も試合後に「負けるかと思ったわ~」とひと言。日本、第2ステージで中国に敗れた「最強の2位チーム」、タイペイにあと一歩まで追い詰められた。

 日本は村松のプレーが想像以上に硬く、苦しいプレーになった。2番でサウスポー李佳陞の堅いブロックと、コースの読みにくいドライブに完敗。カット主戦型の体のキレは、遠いボールよりもミドルを攻められた時によくわかる。村松はミドルのボールに対するバックカットのミスが多かった。
 それでも4番で、一撃必殺のパワードライブを持つ洪子翔に対し、最終ゲームは本来のカットの変化が蘇った。

 チームの屋台骨を支えたのは吉田。盟友の町が試合に出られない中で、2番で洪子翔、5番で李佳陞を破ったプレーはさすがだった。ラストの李佳陞戦は第2ゲームに9-3のリードから追いつかれ、ジュースの応酬の中でゲームポイントも取られたが、ここを押し切ったのが大きかった。
 さすがインターハイ、そしてブンデスリーガのプレッシャーの中で鍛えた実戦感覚はダテではない。渡邊隆司コーチは「村松が負けた後、『吉田の試合への入り方をよく見ておいて』と言った」と試合後に語った。世界ランキングでは村松が上位だが、吉田が先輩の貫禄を見せた形だ。