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世界卓球パリWEB速報

●男子シングルス準々決勝
13:00(20:00) 松平健太 vs. 許シン(中国)

日本選手団でただひとり、大会第7日目に勝ち残った松平健太。男子シングルス準々決勝の相手は、現世界ランキング1位の許シン(中国)。
この4年間の対戦成績は健太の1勝2敗。直近の対戦は今年3月のワールドチームクラシック・準決勝で対戦し、スコアは競りながらも3ー1で許シンが勝利した。
2010年のワールドチームクラシックでも3-1で許シンに軍配が上がっているが、2009年のアジア選手権団体決勝では、健太が3ー1で勝利している。ただ、この2試合は古すぎて参考にならないだろう。

昨日のサムソノフ戦の後で、「出足が重要になりますね」と語った健太。もちろん、中国選手とやる時は第1ゲームを奪って、プレッシャーをかけていくのが鉄則。そして、中国はいかに健太を台から離すかを、徹底的に研究してくるだろう。そして要所では、低く沈むドライブを健太のフォアに集めてくるのではないか。バックの堅いブロックとカウンターを避け、変化をつけたループでフォアを攻略してくるとみた。

ただし、中国選手の戦いぶりを見ていると、落としたゲームの次のゲームは、必ず戦術やコース取りを変えてくる。そして、出足で大量リードを奪ってしまう。この戦術転換への対応が遅れないようにしたい。馬琳戦のように、中国選手より中国選手らしく戦うしかない。
★大会第7日目・5月19日のタイムテーブル ※( )内は日本時間

●男子シングルス準々決勝
11:00(18:00) 王皓(中国) vs. 閻安(中国)
12:00(19:00) ボル(ドイツ) vs. 馬龍(中国)
13:00(20:00) 松平健太 vs. 許シン(中国)
14:00(21:00) 張継科(中国) vs. バウム(ドイツ)

●女子シングルス決勝
15:00(22:00) 李暁霞(中国) vs. 劉詩ウェン(中国)

●男子ダブルス決勝
16:00(23:00) ハオ帥/馬琳(中国) vs. 陳建安/荘智淵(チャイニーズタイペイ)

●女子ダブルス準決勝
18:45(20日AM1:45) 郭躍/李暁霞(中国) vs. 馮天薇/ユ・モンユ(シンガポール)

●男子シングルス準決勝
19:45(20日AM2:45)試合開始

●女子ダブルス準決勝
20:45(20日AM3:45) 陳夢/朱雨玲(中国) vs. 丁寧/劉詩ウェン(中国)

●男子シングルス準決勝
21:45(20日AM4:45)試合開始

大会第7日目、5月19日(日)のタイムテーブルは上記のとおり。松平健太と世界ランキング1位・許シンの決戦は日本時間の20時スタート。日本勢としては、79年世界選手権優勝の小野誠治以来となる、男子シングルスでのメダル獲りに挑む。
コートも一台だけになり、いよいよ大会も大詰めだ。
  • 健太対許シン、ベルシーで何かが起きる?

1. 劉詩ウェン対朱雨玲(女子シングルス準々決勝)

 1、2ゲーム目は朱選手の方がバック対バックでは優っていた。しかし、劉選手のバックドライブはスピードに加え、少しずつ回転の変化が加わっているので、相手の朱選手が後半はバックも押されてしまった。サービスもコースと回転を変化させるので、相手は予測しにくい。そしてフォアサイドでも、回りこんでも打球点は落とさずフォアドライブできる。
 対する朱選手は、チキータも使うし、バックは非常に強い。凄いカウンターもある。ただ、劉選手と比較するとフォアが少し弱かった。
 それにしても劉選手は、あれほど速い打球点で、しかも回転をかけられるというのはすごい。中国は伝統的に、身長の低い選手はあまり起用しないが、彼女が世界に出てくる理由がよくわかる。かつての鄧亜ヒョウ選手などと同じように、「別格」と言える選手だ。

2. ボル対岸川聖也(男子シングルス4回戦)

 ボル選手の試合を見ていると、なぜ彼が人気があるのか、わかるような気がする。性格やフェアプレーだけでなく、卓球そのものにリズムがあり、その高速のリズムが非常に芸術的に思える。岸川選手も高度な技術を持っているのに、ボルがその技術を封じてしまった。徹底して岸川選手のバックへ、たたみかけるように速いドライブを送り、しかも打球点が速いから岸川選手が回りこめない。それだけでなく、バックサイドからのフォアドライブはシュートするドライブも凄い。ドライブを高速で、広角に打てる。
 サービスは簡単にストップできないように、横下とYG(ヤンジェネ)を出す。それでいて、ストップレシーブされても非常に処理がうまい。中国選手に勝てるのも道理だ。

3. 張継科対ガルドス(男子シングルス4回戦)

 ガルドス選手は2ゲーム目、張選手にバック対バックのラリーで優っていた。特にバックストレートへのバックドライブで、張選手のバックへの回り込みを躊躇(ちゅうちょ)させた。
 しかし、2ゲーム目を落とした張選手は、ここからフォアとフォアミドルへボールを送る戦術に切り替えた。サービスはフォア前へ出し、そこから攻撃していく戦術を使った。最初はミスも出たが、相手の注意が次第にフォアへ向くようになり、張選手が優位に立った。4、5ゲーム目はレシーブもフォア前へのストップを多用し、特に5ゲーム目はバックをすかさずフォアで回り込む戦術を使い、相手の攻撃を封じた。
●男子シングルス4回戦(ベスト8決定戦)
閻安(中国) 6、6、7、6 荘智淵(チャイニーズタイペイ)
バウム(ドイツ) 9、−9、10、9、2  オフチャロフ(ドイツ)

 波乱が起きた。ロンドン五輪で銅メダルを獲得したオフチャロフがドイツのチームメイト、バウムに完敗し、4回戦で姿を消した。オフチャロフはバックに来たボールは回り込んで強打できるが、フォアへの浅いボールはほとんどがループドライブで、攻撃的なボールが少ない。チームメイトのバウムはそのウイークポイントを見切っているのか、定期的にそこへボールを送り、ループドライブを得意のバックハンドのカウンターや、フォアストレートへのカウンタードライブで攻めた。

 オフチャロフも第1ゲームで大量リードを奪いながら、8ー7まで点差を詰められた時点で早くもタイムアウト。どこかバウムに対して意識過剰なように見えた。第5ゲームは中盤から凡ミスが続き、完全に集中力が切れた状態。あまりにあっけなく、パリの舞台を去ることになった。
●男子シングルス4回戦(ベスト8決定戦)
許シン(中国) 7、5、5、7    フレイタス(ポルトガル)
張継科(中国) 6、−6、7、5、9  ガルドス(オーストリア)
王皓(中国)  −8、7、7、5、3  ガオ・ニン(シンガポール)

 ロンドン五輪の金、銀メダリストの張継科、王皓がそろって準々決勝に進んだ。危なげないプレーと試合運びで、今大会第3、4シードの二人が快勝。許シンもフレイタスを一蹴し、丹羽を下した馬龍とともに中国の厚い壁を築こうとしている。

 現五輪・世界王者の張継科はこれまでおとなしいプレーに終始している。この半年の国際大会でも、オーストリアオープンの高木和卓戦をはじめ、外国勢の取りこぼしが多く、劉国梁総監督から酷評されたことも。しかし、いつ爆発するかわからないのがこの男の魅力。台上バックドライブからの連続バックドライブは健在で、フォアへの飛びつきは驚異的に早く、そして正確。この休火山、いったいどこで爆発するのか。
●男子シングルス4回戦(ベスト8決定)
ボル(ドイツ) 6、7、4、3 岸川

岸川聖也、松平健太に続くベスト8入りはならず。
第1ゲームの出足でリードを奪った岸川だが、中盤で追いつかれると、後はなかなかリードする展開にならず。試合後、「こちらが攻撃しても、さらに早い打球点の両ハンドでカウンターされてしまう。作戦を見いだせない」と岸川が語ったように、岸川の攻めたボールを、ボルはことごとく跳ね返していった。そしてレシーブや3球目でのボルの回転量の多いループドライブに苦しめられた。「実力差がそのまま点数になりました」(岸川)。3種目フルエントリーの岸川と、シングルスのみのエントリーだったボルとの体力面の差も感じられた。

 「ダブルスでメダルを獲れたし、シングルスで16に入ることも相当大変なことなので大きな自信になりました。オリンピックに続いて、シングルスで良い結果が出せたので自信にしていいと思う」と今大会を振り返った岸川。「こんなに良い会場で、こんなに観客の多い中でプレーできるのは、卓球人生の中でもそんなにないので楽しい大会でした。卓球はこうあるべきだと思うし、日本での卓球の試合も参考になる部分は多いと思う」(岸川)。日本男子チームの中では、唯一の03年パリ大会の経験者。岸川聖也の2回目のパリ大会が終わった。
●女子シングルス準決勝
劉詩ウェン(中国) 8、ー9、9、5、8 朱雨玲(中国)

ともに小柄で、前陣でピッチの早い両ハンドに緩急を織り交ぜて得点するスタイル。
前陣での我慢比べのような展開になったが、中盤からフォアハンドでの仕掛けを多くした劉詩ウェンに軍配が上がった。
劉詩ウェン、悲願のビッグタイトルまであとひとつ。決勝で対戦する李暁霞に対しては、国内大会での成績ではかなり分が良いが、相手はビッグゲームの決勝での経験が豊富だ。

そして敗れたとはいえ、今大会の中国チームの若手選手たちが緊張からなかなか結果を出せない中で、朱雨玲は3回戦の姜華君戦でペースを乱しながらもここを乗り切り、初出場3位という成績につなげた。競争の厳しい中国女子にあって、まずは及第点の成績と言えそうだ。
 花の都パリ。10年前の大会の時と印象がやや違う。本日、土曜日は6割ほどの観客の入りだが、10年前は連日満員になっていた印象がある。昨日までは観客はさほど入っていなかった。
 試合の合間の、音楽の使い方や演出はさすがにうまい。1年前のドルトムントよりもセンスはある。このセンス、日本でもほしいものだ。ただ、試合中でも、ゲーム間でなくても、ちょっとしたインターバルで音楽が入るのはやや過剰だ。選手もやりにくいのではないだろうか。
 ITTFのシャララ会長は来年の東京大会の運営ではなく、観客の入りを心配していたが、来場した観客に卓球というエンターテイメントを見せる工夫を、東京の組織委員会の方たちにお願いし、そして期待したい。
 丹羽選手と馬選手の一戦は、数年後に日本が中国に勝つ時代が来ることを思わせる一戦だった。
 2ゲーム目、丹羽選手の戦術はおもにふたつ。チキータでのレシーブからバック対バックに持ち込んで、馬選手にフォアドライブをさせないこと。そして、馬選手のバック前へのサービスから3球目攻撃を仕掛けることだった。
 逆に馬選手は、丹羽選手がフォア前をチキータでレシーブすると、次にバックハンドで丹羽の空いたバックを攻めてくる。そしてサービスは、チキータを封じるフォアサイドを切るサービスも戦術として混ぜ、そのサービスからフォアドライブを多用しようとしていた。2ゲーム目、3ゲーム目はこの展開が多かった。

 しかし、馬選手は4ゲーム目を落とした後、バック対バックではなく、丹羽選手のフォアにボールを送る戦術に切り替えた。そして、それまでは丹羽選手のチキータをバックハンドで返球していたが、バック対バックでのラリーを止め、チキータに対して先にフォアドライブで仕掛ける戦術だ。ここで両者の間に少し差が出た。
 馬選手のフォアドライブはスピード、回転ともに超・世界級といえる。馬選手のそのフォアドライブを、丹羽選手は何本か早い打球点でかけ返していた。これは本当に天才にしかできない領域の技術。これがもっと入るようになれば、世界はもっと近くなる。丹羽選手ならそれが可能だと思う。
●混合ダブルス決勝
キム・ヒョクボン/キム・ジョン(北朝鮮) 6、8、3、-6、-8、7 李尚洙/朴英淑(韓国)

 3ゲームを先取した北朝鮮ペアは、3−2まで追い上げられるが最後は積極的な連続攻撃で韓国ペアを下した。
 以下は優勝記者会見でのコメント。

李尚洙「私にとって初めての世界選手権でしたがとてもすばらしい体験ができたと思います」
朴英淑「決勝では最初緊張して堅くなってしまったが、次第に良くなっていった」
キム・ヒョクボン、キム・ジョン「予想外の成績だし、望外の喜びです。この喜びを金正恩第一書記と北朝鮮の人民に捧げます」
キム・ヒョクボン「たとえ、中国がもっと強いペアを出してきても、私たちはもっと良い訓練を課し、金メダルを目指したい」
キム・ジョン「(表彰台での涙の理由は?)もちろんそれは喜びの涙です。ピョンヤンを出発するときもとてもたくさんの人たちが見送ってくれました。その人たちへの感謝の涙でした」

 最後に記者から「南北間にはいろいろな政治的な問題はあるが、そういうことに関してどう考えるか」という質問に対し、韓国卓球協会のパク副会長がいきなりマイクを手に取り、「我々は卓球というスポーツするためにここにいます。スポーツマンはスポーツを語るべきで、政治は語らない。そして我々の兄弟である北朝鮮の金メダルにおめでとうと言わせてください」と言い、会場から拍手を浴びた。