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速報・現地リポート

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全国高校選手権(インターハイ2015)

琵琶湖のほとり、滋賀県立体育館で行われたインターハイ・卓球競技。メダリスト一覧は下記のとおりとなった。

[男子学校対抗]
優勝:青森山田(青森)
準優勝:野田学園(山口)
3位:愛工大名電(愛知)、瓊浦(長崎)

[女子学校対抗]
優勝:四天王寺(大阪)
準優勝:山陽女子(岡山)
3位:正智深谷(埼玉)、希望が丘(福岡)

[男子シングルス]
優勝:三部航平(青森・青森山田)
準優勝:木造勇人(愛知・愛工大名電)
3位:松山祐季(愛知・愛工大名電)、及川瑞基(青森・青森山田)

[女子シングルス]
優勝:田口瑛美子(埼玉・正智深谷)
準優勝:橋本帆乃香(大阪・四天王寺)
3位:芝田沙季(大阪・四天王寺)、牛嶋星羅(埼玉・正智深谷)

[男子ダブルス]
優勝:松山祐季・木造勇人(愛知・愛工大名電)
準優勝:春日勝太・金博(高知・明徳義塾)
3位:及川瑞基・三部航平(青森・青森山田)、内村秀平・内村英司(宮崎・都城商業)

[女子ダブルス]
優勝:平真由香・田口瑛美子(埼玉・正智深谷)
準優勝:橋本帆乃香・塩見紗希(大阪・四天王寺)
3位:芝田沙季・木村香純(大阪・四天王寺)、奥下茜里・徳持ひかり(岡山・就実)

大会の詳細は来月発売の卓球王国11月号に掲載。少々お待たせしてしまいますが、その分今大会は綿密な取材と、技術特集の準備を進めています。汗と涙と笑顔の5日間、凝縮して皆さんにお届けします。もちろん、恒例のチャンピオンインタビューもありますので、お楽しみに。
速報を担当したふたり、編集部タローは新幹線の中でノートパソコンに向かい、編集部ユウは京都で男子チャンピオン・三部くんのインタビュー中。どうか本誌のインターハイ特集にご期待ください!
  • ヤマダのプライドを見せた三部、ついに初優勝

  • 3年前の全中決勝で敗れた田口、今大会は見事に優勝

ゲームオール11−9というスコアで女子シングルス決勝を制した田口。試合後、ベンチの平亮太監督と握手した直後、涙があふれた。「団体戦で自分のせいで負けてしまって……、日本一になれて良かったです」と声を詰まらせながら語った。

5日間という決して長くはない日程の中で、今大会の田口はまさに地獄と天国を味わった。女子学校対抗では、初戦となる2回戦の華頂女子戦トップで敗れるなど、波に乗れないまま黒星が続いた。そして準決勝の四天王寺戦4番で橋本に敗れ、チームは3位。試合後に涙を流した。

シングルスも決して楽な道のりではなく、ゲームを落とす試合も多かったが、決勝は苦しい中でよく耐えた。「3ー1でリードしていて、3ー3になった時に『まだもう1ゲームある』と気持ちを切り替えた。そこから強気のプレーで行けたのが良かった」(田口)。第6ゲーム、9ー6のリードから逆転を許す展開は、カットとの対戦では相当厳しい心理状態だったはずだが、最終ゲームも中盤からリードを広げ、押し切った。誰もが手こずる橋本のハイトスのバックサービスや低く曲がるカーブロングを、バック表ソフトの球質を生かして確実に返球。鉄壁を誇る橋本のバックカットが、田口のバック強打の前にミスが続いた。正智深谷の猛練習で培った基礎技術は、最後の最後でウソをつかなかった。

また、橋本も敗れたとはいえ、今大会で与えたインパクトは非常に大きい。正確なカットとツッツキに加え、サイドスピンを入れるツッツキ、強打を何本もしのぐロビングやカーブロングなど、技術は多彩。攻撃で一本ミスが出ても、次にさらに厳しい攻撃を打ち込むメンタルの強さがある。1991年大会優勝の坂田倫子さん(元五輪代表)以来となるカット主戦型の優勝は目前だった。今後も、その活躍から目が離せない選手だ。
  • 高い集中力でカットを打ち続けた田口

  • ベンチに戻り、涙があふれた

  • 今大会「無敵」とさえ思われた橋本、本当に強かった

  • ベンチで田口を支えた平監督

●女子シングルス決勝
田口(正智深谷)12、1、−5、6、−7、−11、9 橋本(四天王寺)

まさに我慢のカット打ち。田口が橋本を大接戦で下し、初優勝。
詳報はのちほど
●男子シングルス決勝
三部(青森山田)−6、−11、8、7、−7、6、9 木造(愛工大名電)

最終ゲームの2−5、そして5−8とリードされていた三部が執念の粘りを見せて逆転勝ち。
8−8の勝負所で強気のロングサービスを2本。試合中にあまり感情を出さない三部だが、「負けられない」という気迫が全面に出ており、最後は大きなガッツポーズ!
最後の青森山田メンバーとして王者の牙城を守った。

「シングルスでの成績が出せてなくて、今回はどうしても優勝したかった。ずっと及川が来ると思って準備していたから木造くんが来てちょっと嫌だった。チキータが取れなかったので、ロングサービスからラリー戦に持ち込もうと思い、最後は気持ちで粘りました」(三部)
今日は観客席で水谷隼選手も応援に駆けつけた。偉大なるOBに見守られ、見事に三部は高校王者に名を刻んだ。
おめでとう。

敗れはしたが1年生の木造は堂々の戦いで、優勝まで本当にあと一歩だった。特にチキータからの展開とチキータ対策のパターンが多く、三部も「どこにボールがくるのかわからないから、ボールを絞りにくい」とコメント。
首から提げた銀色のメダルを金に変えるために来年に向けての戦いが始まる。
  • 全中以来、シングルスのタイトルとなった三部

  • 強化してきたというフォアハンドで粘った

  • 逆転負けが悔やまれる

  • 惜しかった木造。ボールの威力は申し分ない

●女子シングルス準決勝
田口(正智深谷) 8、8、−6、5、−2、6 牛嶋(正智深谷)
橋本(四天王寺) 7、8、−9、−8、5、−7、5 芝田(四天王寺)

女子シングルス準決勝、同士討ちとなった2試合は田口と橋本が勝利し、決勝へ駒を進めた。
田口はカーブロングを交えた牛嶋の揺さぶりにも動じず、バッククロスへの安定したループドライブからの強打で押し切った。試合後、「普段の練習試合では負けてばかりなので、今日は勝ちたかった」と涙の牛嶋。見事なプレーを見せたが、チームメイトに慣れられてしまうのはカットの宿命か。

一方、橋本と芝田は大激戦。こちらはカットの橋本が制した。頻繁にラケットを反転させながら、鉄壁のカットとツッツキで守り、芝田のカーブドライブやスマッシュも後陣からロビングでしのいでしまう橋本。芝田もミドル攻めを混ぜながら、我慢のカット打ちでゲームオールに追い付いたが、最終ゲームは序盤で離されてチャンスがなかった。
  • 恐るべきオールラウンダー、橋本が決勝へ

  • 団体戦の不調を払拭するプレーを見せている田口

●男子シングルス準決勝
木造(愛工大名電)−5、7、7、7、−6、−5、7 及川(青森山田)
三部(青森山田)9、8、12、7 松山(愛工大名電)

スーパー1年生木造がついに及川を超えた。
昨年度の全日本選手権で一般、ジュニアで2連敗していた宿敵・及川を準決勝で破った木造。
前陣のラリーの強さはさることながら、チキータ潰しのロングサービスをフォアで打ち込むなど、レシーブの読みが冴えていた。

最終ゲームの4−4の場面、及川がスピードのある下回転のハーフロングサービスを木造のバックに出し、それを木造が落としてしまって、チェンジエンド。
その後、木造が逆転し、7−5の場面で及川が再び同サービスを出してきたが、木造はバックドライブで対応した。
同じパターンで点数は獲られないという非凡な木造の対応力はが光った場面だった。
  • 決勝進出を決めた木造。1年生優勝なるか!?

  • 敗戦後、何度もラケットを握り直す及川。「もっとできた」と言い聞かせているのか

●男子シングルス準々決勝
及川(青森山田)10、4、9、10 辻(白子)
木造(愛工大名電)12、9、−8、7、4 一ノ瀬(青森山田)
松山(愛工大名電)−10、−6、9、7、−10、8、9 弓取(希望が丘)
三部(青森山田)−7、2、−4、2、8、5 出雲(遊学館)

●女子シングルス準々決勝
田口(正智深谷)13、3、−9、6、6 三條(四天王寺)
牛嶋(正智深谷)−11、2、9、6、−6、−11、12 木村(四天王寺)
橋本(四天王寺)8、13、6、4 山本(福井商業)
芝田(四天王寺)−8、10、7、10、−8、9 平(正智深谷)

女子シングルス準々決勝は、四天王寺と正智深谷の一騎打ちの構図。芝田と平の右シェークの本格派同士の対戦は、バック対バックでうまくコースを変えて揺さぶり、要所で下回転系のサービスでエースを取った芝田が団体戦のリベンジ。田口は三條のバック粒高のボールを、バック表ソフトで確実に返球し、ペースをつかませなかった。牛嶋は木村にゲームカウント3ー1から3ー3に追いつかれ、最終ゲームも10ー8から10ー11と逆転されたが、しのぎきった。敗れたとはいえ1年生の木村、持てる力を出し尽くしたプレーは見事。
福井商業の山本は、粘り強いカット打ちで橋本に対抗したが、橋本のカットとツッツキはとにかくミスがなく、高くトスを上げるバックサービスの変化も驚異だった。
インターハイもいよいよ最終日。
残すは男女シングルスの準々決勝〜決勝。男女各8名がシングルスの優勝者を目指す。

準々決勝のカードは以下のとおり
●男子準々決勝
及川(青森山田)vs.辻(白子)
木造(愛工大名電)vs.一ノ瀬(青森山田)
弓取(希望が丘)vs.松山(愛工大名電)
出雲(遊学館)vs.三部(青森山田)

●女子準々決勝
田口(正智深谷)vs.三條(四天王寺)
木村(四天王寺)vs.牛嶋(正智深谷)
山本(福井商業)vs.橋本(四天王寺)
平(正智深谷)vs.芝田(四天王寺)

昨日のダブルスで愛工大名電と正智深谷ペアが優勝したことで3冠王の誕生はなくなった。
男子は及川と三部が青森山田最後のタイトルを獲りに行く。女子は正智深谷vs.四天王寺の構図に福井商業の山本が飛び込んできた。カット打ちは得意という山本、2強の壁を崩したいところだ。
男子ダブルスで3位に入賞した内村秀平、英司(都城商業/みやこのじょうしょうぎょう)の兄弟ペア。
見た目があまりにそっくりなので双子と勘違いしそうだが、兄が3年生の秀平、弟が2年生の英司と年子の兄弟で、英司のほうが背が高いところも少々ややこしい。

彼らは地元の都城TTCで卓球を始め、五十市中、そして都城商業で腕を磨き、全国の表彰台へ駆け上がった。

決して卓球が盛んではない土地だが、地道な努力を積み、卓球エリートに果敢に挑戦する姿は、観ている者に感動を与えた。

都城商業の学校対抗への出場は実に33年ぶり。当然ながら全員が初のインターハイ団体の試合になる。
その中で、1回戦で名門校・上宮を破り、2回戦で慶應義塾に勝利して、ベスト16入り。3回戦の希望が丘戦も惜しい試合だった。

シングルスでは兄の秀平が4回戦進出(ベスト32)、そして本日のダブルスでは愛工大名電、瓊浦、関西、青森山田のペアを次々に破り、準決勝へ進出した。

「表彰台は最高です。最後のインターハイで良い結果が出せてうれしいです」(秀平)
「うれしいです。来年は(兄がいなくなるから)厳しくなるけど頑張りたい」(英司)

平日は5時間、休日は1日練習を課し、見事にメダルを獲得した内村兄弟。
その胸にかけたメダル、そして笑顔は美しかった。
  • 初の団体戦で燃えたメンバー

  • 上宮をストレートで押し切った

  • コンビネーションはもちろん抜群

  • ベンチでともに戦った藤井監督と一緒に

「これまで、個人戦でも団体戦でも四天王寺を破ることができなかった。学校対抗ではまた勝てなかったけど、ダブルスで破ることができてうれしい」。決勝を終えた平は、開口一番、ライバル四天王寺を倒したいという思いの強さを語った。
「どの試合でも気持ちの部分でまず負けていなかった。最初から“日本一になれる”と思っていたんです」(平)。「準決勝の芝田/木村戦が勝負かなと。でもすごい自信を持ってできました」(田口)。

団体戦では終始厳しい表情だった平亮太監督も、今日のダブルスのベンチでは時折笑顔を見せ、ベンチの雰囲気も頂点に向けてどんどん良くなっていった印象。ご当地・滋賀の出身である平は「めっちゃうれしいです」と笑顔を見せた。ふたりともシングルスでもベスト8に進出しており、今日は合計8試合を戦い抜いた。さすが猛練習で知られる正智深谷、明日もこのタフさがものを言うかもしれない。
  • 優勝を決め、涙の田口(中央)

  • 表彰式では最高の笑顔を見せてくれたふたり